ホクホクとした食感がたまらないじゃがいも。他の食材との相性もバツグンですが、今回はじゃがいも「だけ」を使ったレシピをご紹介します。じゃがいもだけでも和洋関わらず様々な味付けで楽しむことができます。
じゃがいもの原産地は南米アンデス山系の標高4,000〜5,000mの地域と言われています。この地域では、古くから重要な食材として栽培されており、1540年頃にはスペインに、18世紀末までにはヨーロッパ各国に伝えられ普及したと考えられています。
日本へ伝来したのは1598年と言われており、オランダ船によって現在のインドネシア、ジャカルタ方面から長崎に伝えられました。本格的に栽培されるようになったのは明治維新以降で、北海道で生産が始まりました。
近年じゃがいもは主に北海道や鹿児島県、長崎県、茨城県などで栽培されています。
出典:令和3年産指定野菜(秋冬野菜等)及び指定野菜に準ずる野菜の作付面積、収穫量及び出荷量(農林水産省)
一般的に言われる旬とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。
北海道では、春に植えて夏過ぎに収穫されるため、北海道産のじゃがいもの旬は秋ごろです。北海道以外の土地では、冬に植えて夏前に収穫されるため、旬は春ごろとなります。
一般的に、春から初夏にかけて収穫され出回るものを新じゃがと言います。収穫されてすぐに出荷されるため皮が薄く、水分量が多いのが特徴です。新じゃがの主な生産地は鹿児島県や長崎県などです。
じゃがいもは長期保存が可能な野菜の一つです。そのため、旬以外の時期でも美味しくいただくことができます。常温保存でも秋や冬の時期は3ヶ月ほど日持ちしますし、冷蔵では6ヶ月保存することができます。
じゃがいもの可食部100gあたりのエネルギー(熱量)は59kcalです。他の野菜と比べると、トマトは20kcal、ほうれん草は18kcal、大根は15kcalですので、野菜の中でも特にカロリーが高めであることがわかります。
じゃがいもには実はビタミンCが豊富に含まれています。「畑のりんご」といわれるほどで、その量は100gあたり28mgです。トマトには15mg、ほうれん草には35mg、大根には9mg含まれています。ビタミンCは水溶性ビタミンなので、茹でたり煮ることで流出しやすい成分なのですが、じゃがいものビタミンCはでんぷんに守られているので流れにくいという特徴があります。
また、じゃがいもは炭水化物も多く含まれており、可食部100gあたりの炭水化物の量は17.3gです。他の野菜と比べると、トマトには4.7g、ほうれん草には3.1g、大根には4.1g含まれており、じゃがいもの炭水化物量は野菜の中では豊富な部類に入ります。ごはん(白米)の炭水化物量は37.1gなので、食べ方を工夫すればダイエットにも向いている食材といえます。
じゃがいもの栄養素については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
出典:食品成分データベース(文部科学省)
じゃがいもは「丸ごと皮ごと」で茹でれば9割のビタミンをキープできるというデータがあります。じゃがいものデンプンや不溶性食物繊維は皮に多く含まれています。そのため、皮を剥かずに茹でるのがビタミンCを守るために大切です。
皮の近くには抗酸化作用のあるポリフェノールの一種クロロゲン酸や、むくみ予防の効果があるカリウム、貧血予防の効果がある鉄分なども多く含まれている、というメリットがあります。ただし、皮ごと食べるデメリットもあるので注意しましょう。
また、切れば切るほど、水にふれる表面積が大きくなるので、なるべく丸ごと、カットする場合も大きく切るのが、ビタミンCを守るために重要です。スライスしてから茹でると、なんとカリウムとマグネシウムに関しては8割減、ミネラル全体でも6割減という研究結果もあります。
【芽や緑化した皮に注意】
じゃがいもの芽や皮には、有毒物質であるソラニンやチャコニンが含まれています。これらの成分は大量に摂ると下痢、腹痛、吐き気、めまいなどの症状が現れます。
特に、皮が緑色になっているじゃがいもは要注意です。じゃがいもが腐っているというわけではありませんが、日光や蛍光灯などの光に当たることでソラニンやチャコニン量が増え緑色に変色してしまいます。
じゃがいもを調理する際は、皮(特に緑色の皮はマスト)と芽はピーラーや包丁を使ってしっかりと取り除いてから使用するようにしましょう。
出典:食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報(農林水産省)
茹でるときはじゃがいもの投入のタイミングもポイントになります。じゃがいもは水から茹でるのが重要!
水から茹でることで、ペクチンという食物繊維の一種が水中の無機イオンと結合して不溶化し、細胞内のでんぷんの吸水を防ぎます。でんぷんは加熱して水を加えると糊化(「こか」と読みます。のり状になることを指します)して、膨張し、細胞同士の結びつきが弱まってしまいます。
水から茹ででんぷんの吸水を防ぎ、結果として膨張を防ぐことができれば、細胞が壊れないので、ビタミンCの流失を最小限に留めることができます。
沸騰したお湯にじゃがいもを投下すると、でんぷんを糖に変換させるアミラーゼが失活してしまうので、甘みも弱くなってしまいます。また、いきなり熱湯に投下すると、じゃがいもの中心に火が通るまでに外側がボロボロになってしまうというデメリットもあります。
じゃがいもは水から茹でることで、栄養、甘み、煮崩れ予防(食感と見栄え)の3つもメリットがあります。
じゃがいもは調理によっては水にさらす場合もあります。
栄養素は水溶性と脂溶性に分けられます。水溶性の栄養素はその名の通り水に溶ける性質を持っています。そのため、煮たり茹でたり、また水洗いをすることで栄養素が溶け出してしまいます。
水溶性の栄養素には、まずビタミンだとビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸など)とビタミンCがあります。せっかくじゃがいもにはビタミンCが豊富なのに溶け出してしまうのはもったいないですよね。また、ミネラルのカリウムも水溶性です。
そのため、じゃがいもはみそ汁やスープなど煮汁ごと食べられる料理がおすすめです。また、お鍋やシチューなどもいいですよね。
ちなみに脂溶性のビタミンであるビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが油脂に溶けるため、油と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。油で炒めたりドレッシングなどを使うと良いです。
他の栄養素(食材)と一緒に摂ることで、じゃがいもに含まれる栄養素を効率よく摂取することが可能です。じゃがいもの効果的な食べ方は下記の通りです。
たんぱく質(鶏ひき肉、豚肉など):ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素なので、たんぱく質と一緒に食べることで筋肉の修復は合成を促進します。
ビタミンE(オリーブオイルなど):ビタミンCにはビタミンEの抗酸化作用を持続させる効果が期待できます。
カルシウム(にんにく、桜えびなど):じゃがいもに含まれるマグネシウムとの相性が良く、一緒に摂ることで両方の吸収を促進します。
鉄(あさり、レバーなど):ビタミンCには鉄の吸収率をアップする作用があります。
じゃがいもには様々な品種があり、品種によって食感などが異なります。そのため、料理に合わせてじゃがいもを使い分けると◎です。
一般的に男爵やキタアカリなどのホクホクとした食感の品種はデンプンの含有量が多く、煮崩れしやすい品種といわれています。これらの品種はマッシュポテトなどにおすすめです。
メークインやはるかなどしっとりとした食感の品種はデンプンの含有量が少なく、煮崩れしにくいといわれています。そのため、肉じゃがやカレーなどの料理に使うとよいです。
ただし、じゃがいもの食感の好みには個人差があるため、好みによって使い分けてOKです。
じゃがいもだけをメイン食材に使用した和風のレシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
茹でたじゃがいもを調味料と混ぜて揚げるだけの簡単レシピです。
このレシピでは、米粉と米パン粉を使用しています。米粉は小麦粉と比較すると油を吸収しにくいため、カリッと揚げることができます。
コロッケを揚げ始めたら、あまり触らないようにし、しっかり焦げ目がついたら上下を返しましょう。
簡単に作れるシンプルコロッケのレシピ・作り方はこちら
簡単に作れて満足感の高い一品です。
このレシピでは、小麦粉を使用していないグルテンフリーのしょうゆを使用しています。
じゃがいもに火を通しすぎると形が崩れやすくなるので注意しましょう。
じゃがいもの煮ころがしのレシピ・作り方はこちら
新じゃがが美味しい季節には、新じゃがで作る煮ころがしもおすすめです。
じゃがいもと明太子は好相性。リピート間違いなしのひと品です。
このレシピでは、形が崩れにくいメークインを使用しています。スライサーを使えばあっという間に細切りができるので、時間がない時に◎。
2〜3回水を替えながら10分ほど水にさらし、ザルにあげ水けを拭きましょう。
じゃがいもの明太子炒めのレシピ・作り方はこちら
6種類のプレートがセットになっているので、他の食材にも使えて大変便利です。お手入れも簡単でコンパクトに収納できるのも◎。
やや太めに切ったじゃがいもの食感が美味いひと品です。
このレシピではごま油を使用しています。ごま油には、悪玉コレステロール値を抑えるリノール酸や抗酸化物質のオレイン酸などが豊富に含まれています。
太めの細切りにし食感よく仕上げましょう。上記でご紹介したスライサーを使えば簡単に作れます。
じゃがきんぴらのレシピ・作り方はこちら
北海道では郷土料理ともされているじゃがいもの塩ゆで(塩煮)。そのまま食べても美味しいですし、ストックしとけばさまざまな料理に使えて便利です。
しっかりと形を残したい場合は、煮崩れしにくいといわれるメークインやはるかなどの品種がおすすめです。
竹串がすーっと通れば茹で上がりです。保存する場合は、完全に冷ましてから冷蔵庫に入れましょう。
塩ゆでポテトのレシピ・作り方はこちら
ホクホクじゃがいもにバターが溶けて美味。
このレシピでは、植物性バター(スプレッド)を使用してます。動物性原料は一切使用していませんが、まるで本物のバターのような風味をお楽しみいただけます。
切り込みをしっかり入れることで火の通りが早くなり、バターも染み込みやすくなります。
じゃがバターのレシピ・作り方はこちら
もちもちとした口当たりの団子と甘辛いしょうゆだれが絡んで◎。見た目もかわいいのも嬉しい一品です。
このレシピでは砂糖の代わりにメープルシロップを使用しています。メープルシロップは、カロリーが白砂糖の2/3と低く、GI値(食後の血糖値の上がりやすさを示す数値)も73と白砂糖(GI値100)より低いのが特徴です。
みたらしは焦がさないように混ぜましょう。
みたらしじゃが団子のレシピ・作り方はこちら
じゃがいもだけを使った洋風レシピをご紹介します。
じゃがいもだけで作る簡単シンプルサラダです。
このレシピで使用しているリンゴ酢は、通常のお酢よりも酸味が弱く甘みがあるのが特徴です。
じゃがいもは小さく切って茹でると時短になります。
シンプルポテトサラダのレシピ・作り方はこちら
新じゃがが美味しい季節には、新じゃがで作るポテトサラダがおすすめです。
塩こしょうだけで味付けをした定番のマッシュポテトです。
こちらのレシピでは、牛乳の代わりに豆乳(無調整)を使用しています。牛乳よりもよりなめらかな口当たりに仕上がります。また、このレシピではバターやマーガリンは使用せず、オリーブオイルでなめらかな仕上がりにしています。
じゃがいもは熱いうちにつぶし、焦げないように混ぜながらなめらかにするのがポイントです。
マッシュポテトのレシピ・作り方はこちら
マッシュポテトを使ったレシピには、イギリスの家庭料理シェパーズパイがあります。じゃがいもとミートソースの相性がバツグンのひと品です。
じゃがいもを切って油で揚げるだけの簡単レシピです。
このレシピでは、片栗粉を使用しています。片栗粉で揚げると小麦粉と比べて、サクっとした食感に仕上がります。
ビニール袋に空気を入れてから振ると、片栗粉がまんべんなくつきます。片栗粉をつけたらすぐに揚げましょう。
フライドポテトのレシピ・作り方はこちら
ヘルシーに食べたい方には揚げないフライドポテトがおすすめです。かりかりの食感がお好みの方には、細切りポテトのフライが◎。
ソース味の付いた、サクサク衣がおいしいひと品です。
衣には米パン粉を使っています。米粉は小麦粉と比較すると油を吸収しにくいため、カリッと揚げることができます。
こちらのレシピでは、上記でご紹介したFilyの塩ゆでポテトを使用しています。竹串がすーっと通れば茹で上がりです。
じゃがフライのレシピ・作り方はこちら
食感がクセになる一品です。
つなぎに片栗粉を使うことで、小麦粉と比べて、カリッとした食感に揚がります。
2つのうち1つのじゃがいもはサイコロ状に切るのがポイントです。そうすることで、ゴロゴロとした食感を残すことができます。
ハッシュドポテトのレシピ・作り方はこちら
表面はカリカリ、中はもっちりの食感がおいしい!塩とオリーブオイルだけで作るシンプルレシピです。
じゃがいもは、デンプンを多く含む男爵がおすすめです。デンプンの粘質を生かしてくっつきやすくなります。デンプンを生かした料理なので、じゃがいもを水にさらす必要はありません。
フライ返しで押さえつけながらこんがり焼き上げましょう。
じゃがいものガレットのレシピ・作り方はこちら
じゃがいもの生地はしっとりもちもち。朝ごはんにもおすすめのひと品です。
このレシピでは、てんさい糖を使って甘みをつけています。てんさい糖を使うことでまろやかな甘さに仕上がり、コクも増します。てんさい糖には普通の砂糖(白砂糖)よりもミネラル類が豊富に含まれているのが特徴です。ミネラル類は、美容や健康に効果的です。
スイーツとして食べても、ツナやアボカドなどと一緒に主食として食べてもおいしいです。
じゃがクレープのレシピ・作り方はこちら
じゃがいもを使ったアジア風の料理をご紹介します。
熱湯をさっと回しかけて、じゃがいものシャキシャキとした食感を楽しみます。
このレシピでは、生食でも食べやすいメークインを使用しています。メークインはデンプンの含有量が少ないため、生で食べても歯ざわりがいいです。
じゃがいもは極細の千切りにしましょう。塩はお好みで加減しましょう。
ポテトのナムルのレシピはこちら
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