じゃがいもはカレーやポテトサラダ、フライドポテトなど火を通してから食べることが多いですよね。加熱料理が一般的ですが、じゃがいもは生のまま食べることはできるのでしょうか。今回は、じゃがいもを生で食べることのメリットや注意点、美味しく食べるポイントをご紹介します。生のじゃがいもを使ったおすすめレシピも合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
じゃがいもは生食できるのか解説します。
煮物や炒めものなど加熱調理してから食べることが圧倒的に多い野菜ですが、実は生食することができます。
じゃがいもは生食できないと多くの人が思っているのは、じゃがいもにソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれているためであると考えられます。
ソラニンやチャコニンは日光にあたることで生成されます。スーパーなどで販売されているじゃがいもは収穫後日光に当たらないよう保管されており、中毒症状を引き起こす量の天然毒素は含まれていません。そのため、じゃがいもを生で食べても健康上大きな問題は起こらないと言えます。
そもそも、ソラニンやチャコニンは加熱調理をしても分解されません。ソラニンやチャコニンが多く含まれているじゃがいもの場合、加熱をすれば安全に食べられるというわけではないので、加熱調理する場合と生食する場合どちらも、ソラニンやチャコニンが増えているじゃがいもには注意する必要があります。注意点については後述しますので、そちらを参考にしてください。
上述したように、本来じゃがいもは生食することができる野菜です。
そのため、加熱調理をしたときに生焼け・生煮えだったとしても問題なく食べることができます。しかし、生焼け・生煮えのじゃがいもはでんぷんが消化されにくい状態であるため食べすぎてしまうとお腹を壊してしまうことがあるので注意しましょう。(詳しくは後述します)
また、加熱ムラができて柔らかい部分や硬い部分がある状態では、美味しく食べられません。健康上問題がないとはいえ、生焼け・生煮えの場合はレンジで温めるなどして、再加熱したほうが美味しく食べられるでしょう。
生で食べるじゃがいもは、加熱したじゃがいものホクホクとした食感ではなく、シャキシャキとした食感が特徴的です。
じゃがいもに限らず野菜の細胞壁はペクチンによって固められています。加熱することでペクチンが分解されると柔らかくなるのです。そのため、生食するとよりしっかりとした食感を楽しめます。
味もクセがないので、和食、洋食、中華などさまざまな料理とマッチします。主にサラダや和え物として食べると美味しくいただけます。
じゃがいもを生で食べることで、焼いたり茹でることで失われやすい栄養素(ビタミンやミネラルなど)を効率よく摂取することができます。
じゃがいもは、「畑のりんご」と呼ばれるくらいビタミンCが豊富に含まれています。じゃがいもに含まれているビタミンCは、でんぷんに守られているため熱に強く壊れにくいのが特長ですが、それでも皮を剥いたり、細かく切って火にかけたりすると、4〜5割のビタミンCは失われるといわれています。
また、じゃがいもに含まれるカリウムなどの水溶性ミネラルは、煮たり茹でたりすることで溶け出してしまいます。生で食べると溶け出すことがないので、しっかりと栄養素を吸収することが可能です。
じゃがいもの搾り汁には、美容や健康に様々なメリットをもたらすと言われています。
例えば、糖尿病予防や高血圧予防、免疫力アップ、便秘解消などの効果が期待され、医療や美容業界でもその効果効能が注目されています。
搾り汁の作り方は、芽と皮を取り除いたじゃがいもをすりおろし、布巾などを使って搾って汁を取ります。そのまま飲んでも問題ないですが、ジュースやはちみつを加えて飲んだり、ぬるま湯で薄めて飲むと飲みやすいです。
生のじゃがいもに多く含まれている栄養素は下記の通りです。
上述したように、じゃがいもにはビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。
コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。 その他、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
じゃがいもは「カリウムの王様」と呼ばれるほど、カリウムが豊富な野菜です。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
パントテン酸は肉や魚介などの動物性食品から、野菜やきのこなどの植物性食品まで、様々な食品に含まれます。野菜の中では比較的じゃがいもにも多く含まれています。
三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)の代謝に働く補酵素コエンザイムAの成分となり、エネルギーの代謝をサポートする役割を担います。
さらに、副腎の働きを強化し、抗ストレスホルモンとよばれる副腎皮質のホルモンの分泌を高める作用もあります。また、皮膚や髪の健康に関わるほか、免疫力も高めます。
ビタミンB6は肉や魚に豊富で、特に生魚に豊富です。野菜の中では比較的じゃがいもにも多く含まれます。
ビタミンB6はたんぱく質を分解する補酵素としての役割を担います。血液のもととなる赤血球や神経伝達物質セロトニンの合成にも働きます。
また、免疫機能を正常に保つ役割も担います。
食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」があります。食物繊維と糖質を足したものが炭水化物です。
じゃがいもにはどちらも含まれますが、不溶性食物繊維の方が多いです。近年(2018年)の計測方法の変更により、じゃがいもの食物繊維の含有量は大幅にアップしています。
不溶性食物繊維は水に溶けずに水分を吸収すると膨らみます。その結果、腸が刺激されて、ぜん動運動が盛んになります。また、便のかさも増します。これらの働きによって、スムーズな排便が促されます。腸内環境も整います。
水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇がゆるやかになります。また、水溶性食物繊維は、腸でのコレステロールの吸収を抑え、体外に排出する役割もあります。
じゃがいもを生で食べる際に、いくつか注意していただきたい点がありますのでご紹介します。
じゃがいもは生で食べることができますが、食べ過ぎてしまうと消化不良を起こし、腹痛などを引き起こしてしまう恐れがあります。
じゃがいもの主成分であるでんぷんは、生の状態ではβ−デンプンといい、β−デンプンは消化されにくい性質を持っています。β−デンプンは、加熱をすると消化されやすいα−デンプンへと変化します。ちなみに、β−デンプンは片栗粉にも使われます。片栗粉を摂りすぎるとお腹を壊してしまうのは、β−デンプンが含まれているからです。
また、じゃがいもには食物繊維も含まれています。加熱したからといって食物繊維が減るわけではありませんが、過剰摂取すると便秘や下痢、腹痛、吐き気の原因となる場合があります。
生のじゃがいもの食べ過ぎは避け、1日1個(150〜200g)程度にとどめておくのがよいでしょう。じゃがいも1個に含まれるデンプンの量は約15gと言われています。
じゃがいもの芽やその周辺の皮には、有毒物質である「ソラニン」や「チャコニン」が含まれています。ソラニンは、水にほとんど不溶で、加熱によっても分解されにくい(170℃以上の加熱で分解が始まる)です。そのまま食べると中毒を起こし、腹痛やめまいなどを引き起こす可能性があり、また苦味もあるため、調理の際にはきれいに取り除く必要があります。
じゃがいも100gあたりに含まれるソラニンとチャコニンの量は、約7.5mgと言われています。そのうち、3〜8割が皮の周辺にあります。皮が緑色になると、ソラニンとチャコニンの量はなんと100mg以上に!緑色になってしまったら、皮ごと食べずに皮を剥いてから食べる方が安全です。
じゃがいもを生で食べる場合は、芽が生えているところは皮を厚く切って根元から取り除きましょう。
皮が緑色になっている部分にもソラニンやチャコニンが多く含まれていますので、その部分も皮を厚めに切ってから食べましょう。
じゃがいもは日光に当たると葉緑体が生成されます。葉緑体の中にはクロロフィルと飛ばれる緑色の色素が含まれているため緑色になるのです。ソラニンやチャコニンは日光に当たることで生成されるので、緑色に変色しているじゃがいも=日光に当たっている=天然毒素が多く含まれていると判断することができます。
皮がほとんど緑色になっていなくても、皮を剥いたら実の表面が緑色になっているということもあるので注意しましょう。
皮や実の表面の一部が緑色に変色してしまっている場合は、その部分の皮を厚めにカットしてから調理してください。
じゃがいも全体が緑色に変色してしまっている場合は、有毒物質が大量に含まれている恐れがありますので、皮を剥く・剥かないに関わらず食べずに廃棄することをおすすめします。
また、皮には食物繊維も豊富なので、摂りすぎると下痢や便秘、腹痛、吐き気の原因になる場合があります。
未熟で小さなじゃがいもは、上記でご紹介した有毒物質であるソラニンやチャコニンが多く含まれていると言われています。したがって、特に生で食べる時は、小さいじゃがいもは避けるべきです。
ソラニンやチャコニンは加熱でも分解されにくいため、調理をする際も未成熟なじゃがいもは避ける方がベターです。
実際にじゃがいもを調理して食べたときに、飲み込めないほど苦かったり、舌が痺れる、酸味を強く感じた場合は、飲み込まずに破棄しましょう。
強い苦味があったり、舌が痺れるのはソラニンやチャコニンといった天然毒素が多く含まれていることが原因です。そのまま食べてしまうと中毒症状が出る可能性があるので、飲み込まずに吐き出しましょう。
また、酸っぱい場合は腐敗している状態です。食材は腐敗するとバクテリアの働きによって発酵するため、酸っぱい臭いがしたり酸味を感じます。あきらかに酸味がある場合も破棄してください。
じゃがいもを生食するときの注意点はおわかりいただけたでしょうか。続いてじゃがいもを生で美味しく食べる方法を紹介します。
じゃがいもには様々な品種があります。じゃがいもの品種によっては、デンプンの含有量が多く、上述したように消化不良を起こしてしまう可能性があります。
一般的に、メークインなどのしっとりとしたじゃがいもは、デンプンの含有量が少ないと言われていますので、生でじゃがいもを食べる場合は、しっとり系のじゃがいもを選ぶとよいでしょう。
メークインの他には、はるかやとうや、ホッカイコガネなどがあります。
男爵いもやキタアカリなどの品種は、デンプンの量が多く、過剰摂取することで腹痛などを引き起こす可能性があります。
じゃがいもを生で食べる時は、できるだけ新鮮なものを使いましょう。新鮮なじゃがいもには下記の特徴があります。
凸凹が少なくなめらかな形のもの
重みがありふっくらと丸いもの
切ったときに表面がみずみずしく、スが入っていないもの
反対に、下記の特徴があるじゃがいもは腐っている可能性が大なので、生では食べないようにしましょう。
カビが生えている
芽が大量に生えている
皮が緑化している
茶色い液体が出ている
酸っぱい臭いがする
ブヨブヨ、ネバネバする
苦味、えぐみの味がする
切ったじゃがいもを水にさらすことで、ある程度のデンプンを洗い流すことができます。
デンプンが多い状態だと舌触りがあまりよくなく、美味しく感じられないことがあります。そのため、水にさらしてデンプンを取り除くことで、生でも美味しくいただくことができます。
じゃがいもを生で食べる際は、じゃがいもの切り方にもポイントがあります。
生のままのじゃがいもは、当たり前ですが硬いため、千切りや細切り、薄切りなど食べやすい大きさに切って食べるのがおすすめです。
芽や皮をしっかりと取り除き、スライサーや包丁を使って薄く切ります。上述した通り、切ったじゃがいもはしばらく水にさらすことで、食感がよくなります。
新じゃがは普通のじゃがいもと比較して皮が薄く、水分量が多いのが特徴です。したがって、生で食べるとよりシャキシャキ感を楽しむことができます。
新じゃがは、普通のじゃがいものように長期保存ができない野菜なので、なるべく早めに使い切りましょう。
じゃがいもは常温や冷蔵以外に、冷凍でも保存することが可能です。生のままでも冷凍保存することはできますが、解凍した時にブヨブヨの食感になってしまい味が落ちてしまいます。そのため、下茹でしてマッシュしたりカットしたものを保存するには冷凍がおすすめです。色々な調理にすぐに使えるので便利です。
皮を剥いて一口サイズに切って熱湯で15分ほど茹で、潰してマッシュポテトを作ります。しっかり粗熱をとってから、小分けにし平たくラップに包み、冷凍用ジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜いて冷凍します。ポリ袋に入れる前に金属トレイに乗せて急速冷凍すると、食感が損なわれにくくなります。ハムなど他の食材を入れると日持ちしなくなるので、混ぜないようにしましょう。
冷凍マッシュポテトは前日に冷蔵庫に移して自然解凍か、電子レンジで加熱して解凍します。電子レンジを使うとホクホクとした食感になります。ポテトサラダやポタージュ、コロッケなどに使えます。
一口大にカットし下茹でしたじゃがいもを冷凍保存することも可能です。
最後に、生のじゃがいものを美味しく食べられるおすすめのレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
熱湯をさっと回しかけて、じゃがいものシャキシャキとした食感を楽しみます。
ポテトのナムルのレシピはこちら
アンチョビやパセリで洋風仕上げに。アンチョビやにんにくが極細の千切りのじゃがいもによく絡み美味。
アンチョビポテトのサラダのレシピはこちら
千切りじゃがいものおかずサラダです。極細切りにして歯ざわりを楽しみます。
じゃことポテトのサラダのレシピはこちら
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