じゃがいもを食べようとしたら、皮や実が緑や青っぽく変色してしまっていた経験はありませんか?じゃがいもが緑色に変色するのは、有毒物質のソラニンやチャコニンによるものです。じゃがいもがもつ天然の毒素で、人間が摂取すると腹痛や吐き気などの中毒症状を起こしたり、最悪の場合死に至るケースも。しかし緑色の部分をしっかりと取り除けば、安全に食べることが可能です。
じゃがいもを食べようとしたら皮が緑や青っぽく変色していた、皮を剥いたら内側が緑色になっていた、という経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。全体的に緑色になってしまっているじゃがいもは食べてはいけません。
斑点というよりは、皮や実が全体的に緑色や青色に変化するようなイメージです。一見腐っているようには見えないため、そのまま調理して食べる方が見受けられますが、緑色に変色したじゃがいもをそのまま食べるのは危険です。
緑色に変色してしまっているじゃがいもは、有毒物質の「ソラニン」や「チャコニン」が生成されています。
ソラニンやチャコニンは、グリコアルカロイドという毒素の一種で、虫や動物などの敵に食べられないようにするために分泌される毒素と言われています。ソラニンやチャコニンは日光や蛍光灯などの光に当たることで生成されます。
じゃがいもが変色する原因は日光に当たることで葉緑体が生成されたためです。葉緑体の中にはクロロフィルと呼ばれる緑色の色素が含まれていて、ほうれん草など緑色の野菜や植物は葉緑体が多く含まれているため緑色をしています。
じゃがいもが緑色に変色しているということは、じゃがいもが日光に当たったことを意味しています。そのため、ソラニンやチャコニンが多く生成されていると判断することができます。
普通のじゃがいもではソラニンやチャコニンが100g中に2〜13mg程度含まれますが、日光や蛍光灯などの光を浴びることで緑色になったじゃがいもには30〜50mg、発芽部分には500mgも含まれることがあります。
ソラニンやチャコニンを30mg以上とると中毒を起こすと言われており、腹痛やめまい、眠気などを引き起こす可能性があります。また、ソラニンやチャコニンには苦味もあるので美味しく食べられません。
ちなみに緑色のじゃがいもの品種はありません。緑色のじゃがいもを見たら通常は茶色や黄色っぽいじゃがいもが、緑色に変色したと思って良いでしょう。
緑色に変色してしまったじゃがいもの対処法を紹介します。
じゃがいもの芽に含まれるソラニンやチャコニンの毒性は加熱しても残ります。加熱調理をすれば大丈夫ということはないので注意してください。カレーに入っているじゃがいもやフライドポテトが緑色だったという場合もNGです。
海外ではじゃがいもの加熱調理によってソラニンやチャコニンが減少したとの報告もあります。しかし、ソラニンやチャコニンの濃度が高いじゃがいもを茹でる・煮るなどの加熱調理をすると、毒素が溶け出します。これにより中毒を発症する可能性は低くなりますが、完全に毒性が消えるわけではありません。また、調理前のじゃがいものソラニンやチャコニンの濃度はそれぞれ異なり、毒素の減り方にもばらつきがあります。高温で揚げたり焼いたりしても6割程度の毒素が残ったという実験結果もありますので、加熱をしても毒性は消えないと思っていた方がよいでしょう。
出典:じゃがいもの加工調理によるソラニン・チャコニンへの影響(農林水産省)
じゃがいものソラニンやチャコニンは、皮を剥くことで約70%は除去でき、調理の際に煮汁にも溶出するため、茹でこぼすことでもソラニン、チャコニンを取り除くことができます。
うっすら緑色の場合や一部のみに変色している箇所がある場合は、しっかりと取り除けば食べることができます。じゃがいもの芽(緑色の芽が生えることもあります)やその周辺の皮にも、天然毒素が含まれているので必ず芽と緑色に変色した皮は特に厚めに切り落としてから使用しましょう。
上述したように、ソラニンやチャコニンは加熱しても完全に取り除くことはできませんので、下処理の段階で丁寧に緑色の部分や芽を取り除くことが大切です。
じゃがいもを茹でこぼす際は、他の食材と一緒に茹でることは避けましょう。お湯の中に溶け出したソラニンやチャコニンが他の食材に移る可能性はゼロではないためです。
体重が50kgの人の場合、ソラニンやチャコニンを150mg〜300mg(0.15g〜0.3g)摂ると、最悪の場合死に至る可能性があるとされています。そのため、下処理の際に必ず皮や芽を取り除いてから調理するようにしてください。
誤って緑色のじゃがいもを食べてしまった場合は、腹痛や吐き気などの中毒症状が起きないかをよく確認し、気分が優れないようであればただちに医者に相談しましょう。
新じゃがが緑色の場合も原因は同じです。日光や蛍光灯の光に当たることによって天然毒素が生成されている状態です。
新じゃがの場合も同様に、全体的に緑色だったり中まで緑色になってしまっている場合は破棄するのが無難です。うっすら緑色だったり、一部のみが緑色の場合は変色している部分を切り取って調理しましょう。
種芋の場合は食用になるわけではないので、緑色に変色していても大丈夫です。
実は種芋の多くは緑色に変色しています。これは、植え付ける前にわざと日光や光に当てて発芽を促す「催芽処理」を行うためです。
じゃがいもは休眠状態だと芽を出しません。食用のじゃがいもは芽が出たら困りますが、種芋の場合は芽を出してくれないとじゃがいもを栽培することができません。
そのため、催芽処理をするため基本的には日当たりの良い場所にしばらく種芋を置いています。日光に当たるのでもちろん葉緑体が生成されて緑色になります。
じゃがいもは、日光を浴びることでソラニンやチャコニンの量が増えて緑色になってしまいます。そのため、家庭菜園をする場合は、じゃがいもに直接日光が当たらないように、しっかりと土寄せをすることが大切です。また、収穫したじゃがいもを長時間太陽の下で放置しておくのも避けましょう。
未成熟のじゃがいもには、ソラニンやチャコニンが多く含まれていますので、十分に大きく育ってから収穫することも重要です。
じゃがいもが緑色に変化しやすい季節は特にありませんが、収穫はできるだけ曇りの日に行うのがおすすめです。晴天時に収穫を行う場合は、遮光シートをかけて光が当たるのを防ぎましょう。
じゃがいもは、長期保存ができる野菜です。保存方法によっては半年近く日持ちします。
じゃがいもの保存は常温保存が基本です。低温に弱いわけではありません(低温で保存できないわけではありません)。しかし、0〜5℃の温度で保存すると、でんぷんが糖化し、ホクホクとした食感が損なわれてしまいます。そのため、冷蔵・冷凍保存にはあまり向かず、常温保存がおすすめです。
日光や蛍光灯などの光が当たらないように、新聞紙などをかけて冷暗所で保存します。秋・冬は3ヶ月、夏場でも1ヶ月は保存が可能です。
じゃがいもを保存する際、りんごと一緒に常温保存するのがおすすめです。りんごから放出されるエチレンガスは果実の熟成を進めますが、じゃがいもの発芽を抑える効果があります。じゃがいもは暖かく明るい場所で発芽が進むので、繰り返しになりますが、冷暗所で保存するのが大切です。
切ったじゃがいもを水にさらすことで、多少のソラニンやチャコニンが水に逃げていきます。さらした水は調理には使用せず捨てるようにしましょう。
水にさらしても緑色の部分がなくなるというわけではありません。水にさらしても緑色の部分は変化しないので、しっかりと取り除く必要があります。
また、切ったじゃがいもを水にさらすことで、切り口が褐変する現象も防ぐことができます。
じゃがいもの表面に白い粉の塊のようなものが付いている場合は、カビである可能性が高いです。
白カビは、白くふわふわとしたほこりのようなカビで、食品にできるカビで最も身近な種類です。普段は空気中に舞っていて、繁殖できる場所を見つけるとどんどん増えていきます。
じゃがいもの場合は表面全体はもちろんのこと、水分が溜まりやすい芽の周りにも生えやすいです。
また、じゃがいもには黒カビや青カビが生えることもあります。
カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状が起こる可能性があるので、全体的にカビが生えてしまっている場合は破棄しましょう。
じゃがいもの皮を剥いたら、中に黒や茶の斑点や筋のようなものがあることがあります。
これらは、生育中にじゃがいもが病気になったことが原因です。例えば、じゃがいもの中が黒く空洞になっている場合は「中心空洞症」、輪状に茶色または黒くなっている場合は「輪腐病」、そして中心部に小円形または不整形に褐変している場合は「褐色心腐病(黒色心腐病)」に感染している可能性が非常に高いです。
変色している部分を除けば食べることは可能ですが、あまりにも変色が進んでしまっている場合は、廃棄することをおすすめします。
全体が濃い茶色や黒色に変化し、中身が柔らかくなりブヨブヨとしていたら腐敗している可能性が高いです。あまりにぶよぶよしていたり、中身がネバネバしているなどの異常が見られる場合は腐敗し始めているので食べずに処分しましょう。
じゃがいもが柔らかくなっている場合、じゃがいもの水分が抜けてしまっている状態です。じゃがいもは、芽が出始めると芋から芽に栄養を送るため柔らかくなってブヨブヨとしてきます。この場合は生理現象であり腐っているわけではないので、食感は悪くなりますがソラニンやチャコニンが含まれている芽を取り除くなど適切な処理をして調理すれば食べても大丈夫です。しかし、腐敗が始まっている可能性もあるので心配な方は処分することをおすすめします。
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