秋から冬にかけて旬を迎える里いも。ほくほく、ねっとりとした食感が美味しい食材です。今回はそんな里いもを使った和風(和食)のレシピをご紹介します。サラダや煮物などの副菜から、芋煮やコロッケなどの主菜など、様々な料理でお楽しみください。
里いもは、サトイモ科の植物です。里いもの「塊茎(かいけい)」(茎の地下部)と呼ばれるでんぷんなどを蓄積し変形した茎の部分が可食部になります。
里いもの原産地は、インド東部からインドシナ半島と言われており、現地では「タロイモ」と呼ばれています。日本でも縄文時代から栽培されていたと言われていて、江戸時代まではじゃがいもやさつまいもよりも食べられていました。
里いもの主な生産地は埼玉県、千葉県、愛媛県などです。令和3年度の収穫量は全国で142,700トンでした。
令和3年度の主な地域別の取扱量は下記の通りです。
埼玉県…約3,318トン
千葉県…約1,319トン
愛媛県…約834トン
出典:
一般的に言われる「旬」とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。
里いもには初夏から秋が旬となる品種と冬から初春が旬となる品種があります。品種によって旬が違いますが、一般的には秋から冬が里いもの旬の時期とされています。
一般的にスーパーなどで販売されている里いもの品種は、どの品種も11月から収穫量が多くなり、4月頃まで貯蔵されるため秋から春にかけてが最も里いもを安価で購入できる時期になります。
里いもの可食部100gあたりに含まれる三大栄養素は下記の通りです。
エネルギー...53kcal
水分...84.1g
たんぱく質...1.5g
炭水化物...13.1g
脂質...0.1g
食物繊維...2.3g
糖質は10.8gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。
里いもにはカリウムも豊富に含まれています。カリウムはミネラルの一種で、ナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きがあるといわれています。
出典:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(文部科学省)
里芋は生食を避けるべき野菜であり、加熱料理をして食べるのが一般的です。生食を避けるべき理由としては、シュウ酸と呼ばれる苦味やえぐみを感じさせるアクがあることと、生のでんぷんは消化しにくいということが挙げられます。
シュウ酸とはいわゆる「アク」と呼ばれる成分で、栄養素というよりも老廃物です。シュウ酸はほうれん草やたけのこなどにも含まれています。ほうれん草などの場合、シュウ酸は水に溶けるカリウム塩やナトリウム塩の形で液胞という袋の中に閉じ込められていますが、植物によってはシュウ酸カルシウムの結晶となって液胞の中に含まれています。里いもにはシュウ酸カルシウムが針状結晶となっています。里いもの皮を剥くと手がかゆくなったり喉に不快感を与えるのはシュウ酸カルシウムの結晶が刺さって刺激するためであると言われています。
また、里いもなどのイモ類にはでんぷんが大量に含まれています。でんぷんとは、植物が光合成によって実や根などに蓄積した炭水化物です。でんぷんは水に溶けない性質があり、水にさらすと水の中に沈みます。水に沈殿することから「殿粉(デンプン)」という名称がつきました。水に溶けない生のでんぷんは人間にとって非常に消化しにくい状態であり、食べ過ぎるとお腹を壊してしまうことがあります。
そもそも、里芋のぬめりの正体は何かご存知ですか?里芋の独特のぬめりは「ガラクタン」などの成分によるものです。ガラクタンには免疫力向上作用が期待できます。
ぬめりを取るために効果的な下処理は、塩でもみ洗いすることです。皮を剥いた里芋に塩を適量ふり手で揉み込みます。水で洗い流せばぬめりが取れます。ぬめりが取れることで中まで熱が通りやすくなりますし、味が染み込みやすくなります。またふきこぼれを防ぐこともできます。
里芋にはぬめりがあって、皮を剥くのに一苦労しますよね。電子レンジを使えば簡単に皮剥きができます。
里芋の皮に浅めの切り込みを一周入れ、耐熱皿に並べます。水を一回しかけ、ふんわりとラップをします。里芋5個で電子レンジ(600W)4〜5分を目安に加熱します。火が通ったらキッチンペーパーなどに持ち、手で皮を剥きます。手がかゆくなることもなく、薄く皮が剥けるので無駄もありません。
里いもの和風副菜レシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
揚げたねぎの香ばしさがクセになる一品です。
長ねぎに含まれる辛味成分であるアリシン(硫化アリル)には、抗酸化作用や血栓予防作用、食欲増進作用などが期待できます。
ねぎは焼き色がついてきたら一気に焦げるので、すぐに火からおろしましょう。
ねぎと里いものサラダのレシピはこちら
里いもの旨みが引き立つひと品に仕上がります。
このレシピではグルテンフリーのしょうゆを使用しています。
成形する時は熱いので注意し、タオルなどを使いましょう。
焼き里いものレシピはこちら
外はサクサク、中はほっくりした食感がクセになるひと品です。
揚げ油には高温でも酸化しにくいオリーブオイルを使用しています。米油もおすすめです。
電子レンジで加熱することで火が通り、揚げ時間を短縮することができます。
里いものからあげのレシピはこちら
ねっとりとした食感が美味しい里いもの定番煮物料理です。
このレシピでは、てんさい糖を使って甘みをつけています。てんさい糖を使うことでまろやかな甘さに仕上がり、コクも増します。てんさい糖には普通の砂糖(白砂糖)よりもミネラル類が豊富に含まれているのが特徴です。ミネラル類は、美容や健康に効果的です。
里いもの煮物のレシピはこちら
みそとゴマの旨みが合わさって、里いものホクホク、ねっとりとした食感を楽しめる煮物です。
このレシピでは砂糖の代わりにメープルシロップを使用しています。メープルシロップは、サトウカエデなどの樹液を濃縮した甘味料です。カロリーが白砂糖の2/3と低く、GI値(食後の血糖値の上がりやすさを示す数値)も73と白砂糖(GI値100)より低いのが特徴です。
里いもに塩をふってもむことで全体のぬめりが取れ、味が染み込みやすくなります。
里いものごまみそ煮のレシピはこちら
根菜で作るみそ汁です。お好みで七味唐辛子をかけてお召し上がりください。
ごぼうには食物繊維(不溶性食物繊維と水溶性食物繊維ともに)が多く含まれていますので、腸内環境を整えたり、血糖値の上昇速度を緩やかにしてくれることが期待できます。
味噌を溶き入れたら、火を止めましょう。
里いもとごぼうのみそ汁のレシピはこちら
寒い冬の季節におすすめのひと品です。旬の里いもの甘みがみそと合います。
ちくわの原料となっている白身魚にはたんぱく質が含まれています。里いもに含まれているビタミンCが、たんぱく質によるコラーゲン生成に必要不可欠なため、美肌効果が期待できます。
味噌を溶いたら、火を止めましょう。
里いもとちくわのみそ汁のレシピはこちら
具材たっぷりで満足度の高い一品です。
ごま油で野菜類を炒めるのがポイントです。野菜の旨味が出て、出汁を使わなくても美味しくいただけます。
お好みで唐辛子をかけてお召し上がりください。
里いも入り豚汁のレシピはこちら
里いもの和風主菜レシピをご紹介します。
しょうゆとみりんでシンプルな味に仕上げました。
このレシピで使用しているまいたけには、きのこ類の中でも特に免疫力アップに役立つβ-グルカンという成分が豊富です。
里いもを大量消費したい時にもおすすめです。
芋煮のレシピはこちら
里いもと味噌は好相性。食べごたえがありご飯が進むひと品です。
大豆の発酵食品である味噌には、たんぱく質が多く含まれています。里いものビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのを助ける役割がありますので、一緒に食べると◎。コラーゲンには美肌効果が期待できます。
みその香りがとんでしまうので、溶き入れたら火を止めましょう。
牛肉と里いものみそ煮のレシピはこちら
甘辛の味付けでご飯がすすむひと品です。
里いもに含まれるビタミンCは、鶏肉に含まれるたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。コラーゲンには美肌効果が期待できます。
鶏肉にあらかじめ味つけをしておくのがポイントです。
里いもとチキンの煮物のレシピはこちら
里いものねっとりとした食感とひき肉のホロホロとした食感が美味しいひと品です。
こちらのレシピでは生姜を使っています。生姜の辛み成分であるジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンには、新陳代謝を上げる作用が期待できます。
大きい里いもはひと口大に切りましょう。
里いものそぼろ煮のレシピはこちら
味噌でこっくりと仕上げた一品です。里いもに味がしみこんでいて、ご飯が進みます。
豚肉はビタミンB1が豊富なので、疲労回復の効果も期待できます。
調味料は加える前に丁寧に混ぜ合わせ、みそを溶いておきましょう。
里いもと豚バラのみそ煮のレシピはこちら
いかと里いもの組み合わせは◎。ご飯のおかずはもちろん、お酒のおつまみにもおすすめのひと品です。
いかには、疲労回復作用が期待されるタウリンが豊富に含まれています。高タンパク、低カロリー、低脂質な食材です。
いかは最初にさっと煮て味をつけ取り出し、最後に戻し入れることで柔らかく仕上がります。
いかと里いもの煮物のレシピはこちら
里いものねっとりとした舌ざわりが美味しいひと品です。
このレシピでは、米粉と米パン粉を衣として使用しています。グルテンフリーのコロッケです。
揚げ油にはオリーブオイルや米油がおすすめです。
里いもコロッケのレシピはこちら
ちりめんじゃこのだしと里いもの食感でやさしい味の炊き込みご飯です。
ちりめんじゃこはたんぱく質が豊富に含まれています。大豆の約1.2倍で、カロリーは半分。カルシウムやビタミンDも豊富です。
玄米にはビタミンB1が豊富に含まれています。疲労回復が期待できます。
里いもとじゃこの玄米ご飯のレシピはこちら
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