じゃがいもはダイエットに向いている食材なのでしょうか?カロリー・糖質だけではなく、ダイエット効果が見込める栄養素にも注目します。ダイエット中にじゃがいもを取り入れるコツや気をつけるべき点も分かりやすく解説します。
生のじゃがいも(皮なし)の可食部100gあたりのエネルギー量(カロリー)は59kcalで、糖質は8.4g(炭水化物から食物繊維を引いた値)です。水分は29.8g、たんぱく質は1.8g、炭水化物は17.3g、脂質は0.1g、食物繊維は8.9gです。
じゃがいもは調理や加工をするとさらにカロリーと糖質が上がります。フライドポテトにすると100gあたり153kcalになり、糖質は21.1gです。また、乾燥マッシュポテトは100gあたり347kcal、糖質は76.2gです。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
他の野菜の100gあたりのカロリー(エネルギー量)と糖質は上表の通りです。
よく食卓に並ぶトマトは100gあたりカロリー20kcalで糖質は3.7g、ピーマンは100gあたりカロリー20kcalで糖質は2.8gと低いです。これらに比べるといも類であるじゃがいもはカロリーも糖質も高いです。
ただ西洋かぼちゃはカロリー78cal・糖質17.1gなので、かぼちゃに比べるとじゃがいものカロリーと糖質は低いです。
ちなみに、ごはん(白米)100gあたりカロリー156kcalで糖質は35.6gです。チョコレートはミルクチョコレートの場合100gで550kcalで糖質は51.9gにもなります。
じゃがいもは野菜の中ではカロリー・糖質がやや高い方ですが、炭水化物と比べれば低いので、食べ方を工夫すればダイエットに向いていると言えます。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
じゃがいもにはダイエット効果が期待できる栄養素・成分が含まれています。じゃがいもの詳しい栄養素はこちらの記事で紹介しています。
意外かもしれませんが、じゃがいもはビタミンCが豊富に含まれており、「畑のリンゴ」とも呼ばれています。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。このコラーゲンですが、肌に弾力を与えるだけでなく、丈夫な骨を形成したり、丈夫な腱や筋肉を作ったり、関節の動きを良くする働きもあります。ビタミンCとたんぱく質を一緒に摂取してしっかり運動すれば筋肉量が増え、代謝が上がり、痩せやすい身体になります。
また、ビタミンCにはコレステロール値を下げる作用もあります。さらに、ビタミンCはストレスを感じると大量に消費されます。そのため、ダイエットでストレスを感じる方には積極的に摂取したい栄養素です。
ビタミンCが不足すると肌荒れが起きるだけでなく、貧血や倦怠感など体調不良も引き起こすことがあるので注意しましょう。
じゃがいもは「カリウムの王様」と言われるほど、豊富にカリウムが含まれる野菜です。
カリウムは体内で総量の98%が細胞内液に存在し、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらか一方の水分量が多くならないように、バランスを調整しています。カリウムには利尿作用があり、塩分を摂り過ぎたときに、排泄する働きがあります。そのため、むくみ予防に繋がります。
カリウムは主に野菜に含まれています。糖質制限ダイエットやケトジェニックダイエットではおかずの食べる量が増え、塩分の摂取量が多くなります。そのため、野菜もしっかり食べるのが大切です。
また、カリウムには筋肉の収縮を調整する作用もあり、心臓機能や筋肉機能を正常に保つことができます。ダイエット中に筋トレを行う人には大変重要な栄養素です。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、特に水溶性食物繊維がダイエットの強い味方です。じゃがいもには水溶性食物繊維の方が多く含まれています。
水溶性食物繊維は、消化管で糖質を取り囲み、糖質の消化・吸収をブロックし、血糖値の上昇を抑えます。また、コレステロールを吸着し排出することで血中コレステロール濃度を低下させます。
さらに、食物繊維が豊富な食品は食べごたえがあり、咀嚼に時間がかかります。たくさん噛むことで満腹中枢が刺激されてすぐにお腹がいっぱいだと感じやすくなります。その結果、食べ過ぎを防ぐことに繋がります。
肉や魚介に多いビタミンB郡ですが、じゃがいもにはパントテン酸(ビタミンB5)やビタミンB6が比較的多く含まれます。少量ですが、ビタミンB1やナイアシン(ビタミンB3)も含まれています。
ビタミンB群は炭水化物、たんぱく質、脂質のいわゆる3大栄養素をエネルギーや体の材料に変えるのをサポートする働きがあります。特にビタミンB1は糖質をエネルギーにするために多量に消費されるビタミンです。
使わずに放置されると脂肪として蓄積されてしまう糖質をエネルギーに変えるので、ダイエットを効率的に行う上で大切な栄養素と言えます。日本人はビタミンB1が不足している人が多いので、ダイエット中だけでなく、常に積極的に摂取したい栄養素です。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
ダイエットにおすすめのじゃがいもの調理法は、生のまま食べるか、蒸すか、茹でるかがおすすめです。
生でじゃがいもを食べる場合は、さっと熱湯に通します。この際、千切りや細切りにすると食べやすいです。品種によってはデンプンの含有量が多く消化不良を起こしてしまう可能性があるため、デンプンの含有量が少ないと言われているメークインなどのしっとり系のじゃがいもを選ぶとよいでしょう。
ちなみに、じゃがいも(皮なし・生)の100gあたりのカロリーは59kcalで、蒸したじゃがいもは76kcal、水煮の場合は71kcalです。
じゃがいもは油と相性のよい食材です。フライドポテトやポットチップスなど、揚げたじゃがいもは高カロリーなので注意です。ポテトチップスの場合、フレーバーにもよりますが、100gあたりカロリーは550kcal前後、糖質は50g前後にもなります。
じゃがいもの調理法ですがダイエットには「蒸す」「茹でる(スープ)」がおすすめです。「焼く(炒める)」は油を多く使わなければ(使いすぎなければ)OKです。ビタミンCは熱に弱い性質があるのですが、じゃがいもはデンプンがビタミンCを守ってくれるので、加熱してもそこまでビタミンCは失われません。
じゃがいもはビタミンCだけでなく、カリウムなどのミネラルも水溶性です。スライスすると成分が流出しやすくなります。スライスしてから茹でると、なんとカリウムとマグネシウムに関しては8割も減ってしまいます。ミネラル全体でも6割減。これではせっかくじゃがいもを食べるのにもったいないですよね。大きめのカットをしたり、皮ごと調理をしたりするよう心がけましょう。
栄養を逃さないようにするには、電子レンジで加熱するのもおすすめです。水を使うことなく加熱できるので、水溶性の栄養素の流出が防げます。
皮ごと食べる方がカリウム、鉄、食物繊維の量が多くなります。また、皮にはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が多く含まれています。クロロゲン酸には強い抗酸化作用があるためシミ、シワ、老化を防止する働きがあります。
また、じゃがいもの皮を剥いて茹でると、水溶性であるビタミンCが半分も溶け出してしまいます。茹でるときは皮付きのまま水から茹でるようにしましょう。皮ごと茹でれば9割のビタミンをキープできます。
しかし、皮のまま食べるデメリットもあるので注意が必要です。
じゃがいもの調理では油だけではなく、味付けには注意しましょう。甘味料を多く使えば、その分カロリーが上がります。じゃがいもだけでは味が薄いので、濃い味付けをしてしまう傾向にあります。ダイエット中はなるべく砂糖は使わず、塩・コショウや酢にしましょう。
また、じゃがいもの場合はマヨネーズの使い過ぎにも注意が必要です。ちなみに、カロリーハーフのマヨネーズがありますが、カロリーが低くても糖質は一般的なマヨネーズよりも高い場合があるので注意しましょう。豆乳マヨネーズは通常のマヨネーズの半分くらいのカロリーですが、それでも高いので、マヨネーズを避けるのに越したことはありません。
バランスよく栄養を摂取するには、五大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン類・ミネラル類)を意識し、1食で主食(主にご飯)・主菜(肉・魚・大豆製品など)・副菜(野菜・海藻・きのこなど)を取り入れるのが大切です。
前述したような極端なダイエット方法を実施すると、代謝が落ちダイエットに非効率的なだけではなく、体調を崩してしまう場合もあります。ダイエット中は主食・主菜は抜かずに、じゃがいもを副菜のひとつとして取り入れるのがベストです。
食べ方のコツは、副菜→主菜(肉や魚)→主食(ご飯)の順に食べることです。そうすることで血糖値がスパイク(急上昇)することが抑えられます。血糖値を急上昇させると急降下し、2時間程で空腹感を覚え過食の原因になります。
栄養素は水溶性と脂溶性に分けられます。水溶性の栄養素はその名の通り水に溶ける性質を持っています。そのため、煮たり茹でたり、また水洗いをすることで栄養素が溶け出してしまいます。
水溶性の栄養素には、まずビタミンだとビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸など)とビタミンCがあります。せっかくじゃがいもにはビタミンCが豊富なのに溶け出してしまうのはもったいないですよね。また、ミネラルのカリウムも水溶性です。
そのため、じゃがいもはみそ汁やスープなど煮汁ごと食べられる料理がおすすめです。また、お鍋やシチューなどもいいですよね。
ただし、汁物は塩分の摂りすぎになる可能性が高いため、薄味を意識するようにしましょう。
じゃがいもは炭水化物よりカロリーが低いからといって「主食をすべてじゃがいもに置き換える」「食事全体をじゃがいもに置き換える」といった極端なダイエット方法はおすすめしません(ただし「じゃがいもを食べる代わりにごはんの量を減らす」のは◎)。
摂取カロリーが抑えられるので、一時的には体重が落ちることが期待できますが、途中で炭水化物をドカ食いしてしまいリバウンドしたり、栄養バランスが崩れて体調を崩してしまう可能性があります。実は、炭水化物もダイエットに必要な栄養素で、適量ではあれば体を動かすエネルギー源になり、脂肪を燃やす役割を担います。
また、じゃがいもに含まれる食物繊維は食べ過ぎると気持ち悪くなったり、下痢や腹痛の原因になるので注意しましょう。
そもそも、野菜の中では高カロリーの方なので、「ごはんよりカロリーが低いからいいや」と食べ過ぎてしまったら、ダイエット効果は期待できません。GI値も中程度なので、食べ過ぎに注意しましょう。
GI値とは、炭水化物を摂取した際の血糖値の上昇度を表す値です。GI値が高ければ高いほど食後に高血糖になりやすく身体に負担をかけてしまう他、脂肪が体内に蓄積されやすいといわれています。また、血糖値の上昇は血糖値の急降下に繋がり、空腹を感じやすくなってしまいます。基本的にGI値55以下が低GI食品、56〜69が中程度、70以上は高GI食品といわれます。
食べるのは朝やお昼がおすすめです。じゃがいもは食物繊維が多く腹持ちがいいため、朝やお昼に食べることで間食をせずにいられます。また、朝やお昼なら日中の活動エネルギーになりますが、夜に食べてしまうと寝ている間に脂肪として蓄積されてしまいます。
ダイエット中にじゃがいもを食べるときに特に積極的に摂取してもらいたいのがたんぱく質です。
じゃがいもに豊富に含まれるビタミンCは、たんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。たんぱく質を豊富に含む肉類・魚類・卵・大豆と一緒に摂ることで、筋肉を増やして痩せやすい体に近づけます。
じゃがいもにはビタミンB6という栄養素も含まれています。ビタミンB6はたんぱく質をエネルギーに変えたり、筋肉や血管などを作るのをサポートする栄養素です。必要量はたんぱく質を摂取した量に比例するため、筋肉量を増加させるためにプロテインなどたんぱく質を多くとっている人はビタミンB6を多く摂る必要があります。
じゃがいもはカリウムが豊富ですが、大豆にもカリウムが豊富です。日本人はカリウムが不足しがちですので、様々な食材からカリウムを摂取すると良いでしょう。余分なナトリウム(塩分)を排出し、むくみ改善に役立ちます。
じゃがいもは野菜の中で炭水化物(糖質)が多い部類に入ります。この糖質をエネルギーに変えるのをサポートするのがビタミンB群です。じゃがいもにも少し含まれますが、豊富ではありません。ダイエットを効率的に行うには糖質をエネルギーに変えるのは非常に重要です。
そのため、ダイエット中にじゃがいもを食べる際は、ビタミンB群を豊富に含む豚肉やアボカドなども取り入れるのがおすすめです。
最後に、じゃがいもを使ったおすすめのダイエットレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
千切りじゃがいものおかずサラダです。ちりめんじゃこはたんぱく質が豊富です。大豆の約1.2倍で、カロリーは半分。カルシウムやビタミンDも豊富です。じゃがいもは極細の千切りにしましょう。スライサーを使えば時短になります。
じゃことポテトのサラダのレシピはこちら
具材たっぷりの汁物なので、満足度が高い一品です。糖質制限をしている人はスープでお腹を満たし、炭水化物の量を抑えることができます。また、豚肉のたんぱく質とビタミンB1が一緒に摂れるのも◎。
じゃがいもと玉ねぎの豚汁のレシピはこちら
ブロッコリーにはビタミンCや食物繊維、植物性たんぱく質などダイエット効果のある栄養素が豊富に含まれています。スープにすることで満腹感も得られます。
ブロッコリーとじゃがいものスープはこちら
スパニッシュオムレツとは、フライパンで平らに丸く焼くオムレツを指します。たんぱく質がたっぷり摂れる一品です。主食を減らしても満足感が得られやすいので、糖質制限ダイエット中の方におすすめです。
スパニッシュオムレツのレシピはこちら
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