じゃがいもを切った時に中が茶色く変色していることがあります。大抵の場合、茶色の部分を取り除けば食べることが可能です。今回は、じゃがいもの中が茶色くなってしまう原因や、腐ったじゃがいもの見分け方などを詳しくご紹介します。
じゃがいもを切ったときに、中が茶色に変色していることがあります。
結論からいうと、じゃがいもの中が茶色でも、その部分を取り除けば食べることができます。
茶色く変色しているからといって、必ずしも腐っているというわけではなく、生理現象やじゃがいもの病気によって茶色くなっていることがあります。
じゃがいもの色別の変色の原因に関してはこちらの記事をご覧ください。
外からの見た目には問題がなくても、じゃがいもを切った時にじゃがいもの中心が空洞になっていたり亀裂が入っていて、その部分が茶色く変色していることがあります。これは菌などによる病気ではなく「中心空洞症」という生理障害です。
中心空洞症の原因は、いもの急激な肥大によって中心部へのでんぷんなどの成長に必要な栄養素の供給が不十分な時に起こります。いもが急激に肥大する主な原因は、肥料過多や肥大時の気温、降水量、広すぎる株間などが考えらます。男爵いもなどの品種で生じやすい生理障害ですが、メークインやキタアカリなどの品種では少ない傾向にあります。
じゃがいもの生産地でセンサーによる選別が行われるため、中心空洞症になっているじゃがいもが出荷されることは多くはないのですが、稀に見分けがつかずそのまま流通してしまう場合があります。
病気にかかっているわけではありませんので、空洞や亀裂部分を取り除けば、中心空洞症のじゃがいもは食べても問題ありません。
じゃがいもを切った時に、輪状に褐変していることがあります。これは、「輪腐病(わぐされびょう)」という現象で、じゃがいもが細菌に感染することによって起こる病気です。
変色した部分は食べるのを避けるべきですが、それ以外の部分は食べても問題ありません。
黒色心腐病と同じように、じゃがいもの中心部が茶色く変色してしまっていることがあります。これは「褐色心腐病(かっしょくしんぐされびょう)」という生理障害です。
褐色心腐病の主な原因は水分不足による細胞の枯死です。じゃがいもの栽培中(肥大期)に地温が高くなることにより土壌が乾燥し、それにより水分不足となります。水分不足に陥ると細胞が枯死し、変色してしまいます。褐色心腐病はメークインや紅丸などの品種で発生しやすく、男爵いもやトヨシロ、ワセシロなどでは少ないです。
褐色心腐病の場合、変色している部分を食べても害はありませんが、心配な方は切り落として使用しましょう。
じゃがいもを切った時に、じゃがいもの中心部に小円形または不整形に茶色または黒く変色していることがあります。変色した部分は水分を失っている状態となり、ゴムのような弾力があります。空洞になっていたり、亀裂が入っていることもあります。切ったじゃがいもを空気にさらしていると、切断面が次第に変色することもあります。
これは「黒色心腐病(こくしょくしんぐされびょう)」という生理障害です。細菌や害虫などによって生じる病気ではなく、高温状態に置かれたじゃがいもの酸素不足によって生じます。じゃがいもは、温度が高くなると活発に呼吸をします。元々、じゃがいもの内部には酸素が不足しているため、呼吸量が増えることにより酸素不足となり、内部の細菌が死滅してしまいます。酵素作用は破壊されないため、チロシナーゼが活動してチロシンがメラニン化されることによって茶色や黒に変色してしまうのです。
黒色心腐病が発生しやすい品種には、男爵いもや農林1号、ユキシロなどがあります。反対にトヨシロやワセシロなどの品種では発生が少ないです。
病気ではありませんが変色している部分は避ける方がよいので、しっかりと取り除いてから調理しましょう。
じゃがいもを切ってそのまま放置しておくと、切り口が変色します。時間が経つにつれて、ピンク→赤→茶→紫→黒と色が変化していきます。これは酸化による生理現象であり、病気ではありません。
これは、じゃがいもを切ることでアミノ酸の一種であるチロシンが空気に触れ、チロシナーゼによってチロシンが酸化され、褐色のメラニン色素が生成されるためです。また、じゃがいもの中のポリフェノール物質が、ポリフェノラーゼなどの酵素によって酸化されるのも、褐色に変わる原因となります。
病気ではありませんので、変色部分を食べても害はありませんが、心配な場合は切り落としてから食べましょう。
じゃがいもを茹でたら、じゃがいもの内部が茶色く(黒く)なってしまうことがあります。「水煮黒変」ということもあります。じゃがいもの品種や茹で具合などによって赤や紫っぽく見えることもあります。
これは、調理器具などより溶け出した鉄とフェノール化合物との反応によるものであり、腐っているわけではありません。
病気ではありませんので、そのまま食べても問題ありません。
じゃがいもを切った時に、輪状に茶色に変色していることがあります。これは、じゃがいもやわさびなどによく起こる「輪腐病(わぐされびょう)」という病気です。クラビバクター・ミシガネンシス・セペドニカスという細菌によって引き起こされます。可食部である塊茎(かいけい)だけでなく、茎や葉、根茎に発生します。
輪腐病では、維管束部が腐ります。維管束とは、根から吸い上げられた水分や栄養分が通る道管(どうかん)と、葉で作られた栄養分が通る師管(しかん)が集まって束になっているところを指します。
じゃがいもは双子葉類(最初に生えてくる葉っぱの枚数が2枚の植物)に分類され、双子葉類の維管束は輪のように並んでいるため、輪状に変色するのです。
第二次世界大戦後、アメリカから輸入されたじゃがいもによって、1950〜54年にかけて全国各地で大発生したといわれています。近年では、種芋の厳密な検査を行っているため、発生することは少なくなっています。
変色した部分は食べるのを避けるべきですが、それ以外の部分は食べても問題ありません。
じゃがいもを切ったときに、内部に濃淡のある縞模様が生じる場合があります。これは「ゼブラチップ病」というじゃがいもの病気です。切ったじゃがいもを油で揚げた時にまだら模様が顕著化することから「ゼブラチップ」という名が付けられました。
ゼブラチップ病の原因はバクテリアです。昆虫の一種であるシリッドが媒介するリベリバクター(Liberibacter)というバクテリアによって引き起こされます。シリッドは、トマトやピーマン類にも病気をもたらします。
ゼブラチップ病であるじゃがいもは食べても害はないといわれています。
じゃがいもが下記のような状態になっている場合は、腐っている可能性が高いため、食べずに捨てるようにしましょう。
じゃがいもの表面に白い粉の塊のようなものが付いている場合は、カビである可能性が高いです。ただし、カビを除けば、そのじゃがいもを食べることは可能です。
水洗いしてカビをしっかり洗い流し、カビが生えている部分を切って破棄します。他の部分に異常がないことを確認しましょう。
カビが広範囲に広がっていたり、実がブヨブヨしたり、悪臭がする場合は、廃棄しましょう。
腐っているというわけではありませんが、じゃがいもから芽が大量に生えている場合、食べるのは避けるべきです。
じゃがいもの芽やその周辺には、有毒物質である「ソラニン」や「チャコニン」が含まれています。ソラニンは、水にほとんど不溶で、加熱によっても分解されにくいです。そのまま食べると中毒を起こし、腹痛やめまいなどを引き起こす可能性があり、また苦味もあるため、調理の際にはきれいに取り除く必要があります。
芽が生えているところは、皮を厚く切って根元から取り除きましょう。
ちなみに、ソラニンはトマトなどにも含まれています。
じゃがいもの皮の一部が緑色に変色している場合、その部分には上記でご紹介した有毒物質「ソラニン」や「チャコニン」が多く含まれています。
緑の部分を厚く剥いて料理に使用しましょう。
じゃがいも全体が緑色に変色してしまっている場合は、有毒物質が大量に含まれている恐れがありますので、食べずに廃棄することをおすすめします。
じゃがいもから茶色い液体が出ている場合は、全体的に腐っている可能性が非常に高いです。
中身に問題がなく、表面のみ茶色い液体がついているのであれば、ビニール袋に入れたまま保管していたなど密閉された状態で保管していたことにより湿気で水滴がつき、じゃがいもについていた泥汚れと合わさって茶色い汁が出ているように見えるということが考えられます。
しかし、じゃがいもの中身から茶色い液体がにじみでているようであれば、腐敗しているので食べるのは避け、すぐに廃棄しましょう。
本来じゃがいもはほぼ無臭に近いです。明らかに異臭がする場合は、細菌が入ってしまい腐敗してしまった状態である可能性が高いため、食べるのはやめて処分しましょう。
一見、異常が見えないように見えるじゃがいもでもレンジで温めたり加熱をすると酸っぱい臭いを感じることがあります。見た目で判別できない場合は、皮を剥きカットしたじゃがいもを一度レンジで温めて匂いを確認しておくと安心です。
じゃがいもがブヨブヨしている場合、じゃがいもの水分が抜けてしまっている状態です。あまりにぶよぶよしていたり、中身がネバネバしているなどの異常が見られる場合は腐敗し始めているので食べずに処分しましょう。
じゃがいもは、芽が出始めると芋から芽に栄養を送るため柔らかくなってぶよぶよとしてきます。この場合は生理現象であり腐っているわけではないので、食感は悪くなりますがソラニンやチャコニンが含まれている芽を取り除くなど適切な処理をして調理すれば食べても大丈夫です。しかし、腐敗が始まっている可能性もあるので心配な方は処分することをおすすめします。
じゃがいもを食べた時に、苦味やえぐみ、舌のしびれを感じるようであれば、ただちに食べるのをやめましょう。
このような味がするのは、じゃがいもに含まれる「ポテトグリコアルカロイド」という成分が原因といわれています。ポテトグリコアルカロイドは天然毒素の一種で、食べた時に舌がピリピリしたり、苦味などを感じます。酸っぱい味がする場合も腐っている可能性が大なので、食べないようにしましょう。
じゃがいもを正しく保存することで、変色や腐敗を防ぐことが可能です(生育中の生理障害によって茶色く変色してしまったじゃがいもを除く)。
じゃがいもの正しい保存方法についてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
じゃがいもは、基本的に常温(冷暗所)で保存します。ただし湿度と光に弱いので、直射日光が当たる場所や多湿な環境での保存は避けましょう。じゃがいもの発芽を防ぐために、りんごを一緒に保存すると◎。りんごから放出されるエチレンガスが発芽を抑えてくれます。
基本的には常温保存がおすすめですが、暑い夏の保存や冬場でも長く保存したい場合、またカットや調理したじゃがいもを保存したい場合などは冷蔵や冷凍保存がおすすめです。
じゃがいもをまるごと冷蔵する場合は1個ずつキッチンペーパーに包みポリ袋に入れて野菜室へ。キッチンペーパーで包むことで寒さからじゃがいもを守り、余分な水分を吸い取ってくれます。
カットしたじゃがいもは傷みが早いので、水に浸けて保存します。カットしたじゃがいもは傷みが早いのでなるべく早めに食べきるようにしましょう。
冷蔵保存におすすめの保存容器はこちら。耐熱耐寒(-20℃~400℃!)で食材の臭いが付きにくいです。じゃがいもだけでなく、他の食材の保存にも◎。
じゃがいもを冷凍するなら下茹でしたものがおすすめ。生のままのじゃがいもは解凍後ブヨブヨとした食感に変わってしまうためです。下茹でして粗熱を取ったら、冷凍用保存袋に入れて保存します。マッシュポテトにして冷凍するのが最もおすすめです。
冷凍におすすめの保存袋はこちら。厚手なので、食材の乾燥や酸化、臭い移りを防ぎます。電子レンジ解凍ができるので、わざわざ移し替える必要がありません。サイズは3展開(S・M・L)です。
じゃがいもは醤油や酢に漬けて保存することも◎。浸けることで酸化を防いだり、微生物の繁殖を防ぐことが可能です。冷蔵庫で2週間ほど保存ができます。
漬け保存の方法はとてもシンプルです。千切りにしたじゃがいもをお好みの漬けダレと合わせるだけ。じゃがいもなら、醤油の漬けダレ(しょうゆ:酒:みりん=1:1:1)やオイルの漬けダレ(オリーブオイル100mlに対して塩小さじ1弱)がおすすめ。
じゃがいもの千切りは、スライサーを使えば簡単にできます。おすすめのスライサーはこちら。6種類のプレートがセットになっているので、他の食材にも使えて大変便利です。お手入れも簡単でコンパクトに収納できるのも◎。
じゃがいもを千切りにしたら、上記でご紹介したようなガラスやホーローなどの臭いがつきにくい保存容器に入れて保存するのがおすすめです。
じゃがいもの茶色い部分は取り除くので、形が悪くなってしまいます。そのため、煮物など一口大にカットして、ホクホクとした食感を生かす料理には向きません。下記に紹介するレシピではじゃがいもの形が気にならないレシピですのでおすすめです。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
表面はカリカリ、中はもっちりの食感がおいしい!塩とオリーブオイルだけで作るシンプルレシピです。
じゃがいものガレットのレシピはこちら
じゃがいもとベーコンで作る揚げない春巻きです。揚げずにオリーブオイルで焼き上げた春巻きです。メインディッシュやおつまみとしてお楽しみください。
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