きゅうりをカットしたら空洞ができていて腐敗しているのではないかと心配になったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではきゅうりに空洞ができてしまう原因や対処法などを解説します。
きゅうりをカットしてみたら複数の穴が空いていて驚いた経験がある方は多いのではないでしょうか。カットしたときに穴が空いている状態を「スが入る」といいます。
「ス」は漢字では「鬆」と表記します。「鬆」には「あらい。ゆるい」という意味があり、骨がスカスカになりもろくなってしまう病気「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」などにも使われています。
スが入る現象はきゅうり以外にも大根やかぶ、ごぼうなど様々な野菜の他、いちごなどの果物にも起こり、空洞ができてしまった野菜や果物は「空洞果」と呼ばれます。
きゅうりが空洞果になってしまうのは、生理現象によるもので腐敗が原因ではありません。そのため、空洞ができているのみで腐敗のサインが見られなければ食べることができます。
空洞ができている以外にも異臭がしたり茶色く変色しているなどの異変がある場合は腐敗している可能性があるので注意しましょう。腐敗したきゅうりの特徴は後述するので、チェックしてから食べられる状態か判断してください。
空洞ができてしまったきゅうりは腐敗のサインが見られなければ食べることができますが、新鮮で良い状態とはいえません。そのため、空洞ができていない新鮮な状態のきゅうりと比較して味や食感は劣ります。
しかし、工夫をすれば美味しく食べることができます。空洞ができてしまったきゅうりにおすすめの食べ方も後述しますので、そちらを参考にしてください。
きゅうりに穴があき空洞果になってしまう主な原因には下記の2つがあげられます。
きゅうりに空洞ができてしまう原因として最も多いといわれているのは、水分不足です。
「きゅうりはほぼ水分」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。その通りきゅうりは95%が水分と水分量が多い野菜です。そのため栽培中の水やりが不十分だったりすると、空洞ができてしまいます。
きゅうりの旬である夏場は気温が高く、乾燥しやすいため家庭菜園では特に水分不足によって空洞ができてしまうことがよくあります。また、気温が低い冬場も乾燥するため涼しいからといって水やりをおろそかにしていると水分不足に陥ります。
水やりをしすぎも根腐れを起こす原因となるため注意する必要がありますが、水分不足にならないよう水を与えることが大切です。
きゅうりは栽培中のホウ素欠乏によっても空洞ができてしまうことがあります。
ホウ素には植物の細胞分裂を活発化し、生育を促進する働きがあります。しかし、ホウ素が欠乏するときゅうりの組織がもろくなってしまうので空洞ができたり亀裂が入ったりしてしまいます。
特に土壌の酸度がアルカリ性に傾いていると、ホウ素が吸収されにくくなるためホウ素欠乏によって空洞ができたり亀裂が入りやすくなります。日本の土は一般的に酸性であること多いためホウ素欠乏によって空洞果になってしまうことはあまりないといわれていますが、きゅうりを栽培する際には酸性になるよう土壌作りをすることも大切です。
続いて空洞ができてしまったきゅうりの対処法を紹介します。
水分不足が原因で空洞ができてしまっている場合、柔らかくなっていることもあります。きゅうりに限らず、野菜にピンとした張りと固さがあるのは、繊維にしっかりと水分が含まれているためです。そのため繊維から水分が抜けてしまうと張りがなくなり柔らかくなります。
柔らかくなってしまったきゅうりは、水につけておくことで水分を吸い、再び張りを取り戻すことがあります。ボウルなどに水を入れてきゅうり全体を水につけるか、水を入れたコップに入れておくと良いでしょう。
空洞ができてしまったきゅうりは食べられるといっても見た目が悪いですよね。気になる場合は穴の空いてしまった部分をカットして食べると良いでしょう。
例えば輪切りにしてしまうと、穴の空いている部分が目立ってしまいます。そのため千切りにするなど穴の空いた部分が目立たないようカットして使うと良いです。細かくカットすることで食感の悪さもカバーすることができます。
きゅうりはサラダにするなど生の状態で食べることが多い野菜ですが、加熱調理をしても美味しく食べることができます。加熱調理をすることで、食感の悪さをカバーすることができます。
また、加熱することできゅうりの青臭さも軽減されるため、きゅうりの青臭さが苦手な方でも食べやすくなるメリットもあります。
空洞ができたきゅうりを美味しく食べるおすすめの料理を紹介します。
空洞ができたきゅうりは、たたききゅうりにすれば見た目が気にならなくなります。新鮮なきゅうりと比較して食感は劣りますが、しっかりと味が染み込むので美味しく食べることができますよ。
たたききゅうりは、きゅうりを綿棒などで叩いた後に調味料で味付けをするだけなので簡単に作ることができます。ただし、叩きすぎてしまうとより食感が悪くなってしまうので注意しましょう。
上述したように空洞ができてしまったきゅうりは、炒めものにすることで食感の悪さが気にならなくなります。また、濃いめの味付けにすれば味の悪さもしっかりとカバーできます。
さらに、きゅうりの外皮に多く含まれるβ-カロテンは油と一緒に摂ると吸収率がアップするメリットもあります。ぜひ、皮ごと炒めものにしてみてください。
きゅうりでは珍しいかもしれませんが、煮物にすることもできます。煮物にすれば食感の悪さや見た目の悪さが気になりません。また、味も染み込みやすいので時間をかけずに手軽に作れるのも嬉しい点です。
きゅうりの青臭さが苦手な方はしょうがをたっぷり入れることで、青臭さを和らげることができますよ。
きゅうりは味噌汁の具材にもなります!味噌汁にすれば、食感の悪さもカバーできますし、茹でることで流出してしまうビタミンCやカリウムなどの栄養素も汁ごといただけるので栄養面でも◎
きゅうりはほぼ水分で栄養がないと言われることが多いですが、ビタミンCはトマトの1.2倍含まれていることがわかっています。栄養素を無駄にすることなく食べるにはお味噌汁がおすすめです。
空洞ができてしまったきゅうりは腐敗しているわけではないので食べることができますが、下記のような特徴があるきゅうりは腐敗しているため食べることができません。
腐ったきゅうりの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的にシワシワ
溶け出している
白い液体がでている
表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。ヘタの部分はとくにカビが生えやすく、ヘタのみであれば切り落とせば食べられることもありますが、全体的にカビが生えてしまっている場合は破棄しましょう。カビは、カビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。
新鮮なきゅうりの表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは水分が抜けて乾燥してしまっている状態です。少し水分が抜けてしまった程度であれば問題ありませんが、完全に抜けてシワシワになっていたり、溶け出している場合は腐敗しています。
また、白い液体が表面についている場合や全体的に茶色っぽくなっていたり黒っぽく変色している場合も破棄してください。
腐ったきゅうりの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
生ゴミ臭
カビ臭い
きゅうりは青臭さがある野菜ですが、そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
きゅうりに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったきゅうりの触感の特徴は下記の通りです。
ぶにょぶにょしている
全体的にぬめりがある
糸をひいている
新鮮なきゅうりは上述したように張りがあり、ある程度硬さがありますが、腐敗が進んでいるとぶにょぶにょとした触感になります。また、全体的にぬめりが出ている場合や糸をひく場合も腐敗が進んでしまっている状態なので、残念ですが破棄しましょう。
購入したきゅうりに空洞ができてしまっていたら悲しいですよね。続いて新鮮なきゅうりの選び方を紹介します。きゅうりを購入する際の参考にしてください。
新鮮なきゅうりの特徴は下記です。
イボがとがっている(イボがない品種もある)
肩が盛り上がっている
特有の香りがし、皮にハリと弾力があり、ずっしり重い
切り口が黒ずんでいない
また、きゅうりは時間が経ち肥大化するとビタミンCが減少する傾向にあります。栄養の観点からも早めに食べたいものです。
きゅうりに限らず野菜は正しく保存することで、腐敗を防ぐだけではなく長く美味しく食べることができます。購入をしたら正しく保存しましょう。
下記でご紹介しているきゅうりの保存方法はこちらの記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
きゅうりは1〜2日で食べるなら常温保存も可能です。
直射日光が当たる箇所は避けて、冷暗所で保存しましょう。ただし、保存の最適温度は10~15度程度なので、夏場は常温保存は避けるのが無難です。水分が多くあまり日持ちしないので、すぐに食べるようにしましょう。新聞紙かキッチンペーパーに包み、立てて保存します。
1〜2週間保存したいなら冷蔵保存しましょう。
きゅうり表面の水けをよく拭き取って、1〜2枚のキッチンペーパーで巻き、ポリ袋に入れ、へたを上にしてカップなどに立てて野菜室で冷蔵保存します。きゅうりは通常の野菜室やチルド室では低温障害を起こすので、温度が比較的高い野菜室を必ず利用するようにしましょう。
キッチンペーパーは寒さから守るだけではなくきゅうりを冷凍する際は塩もみをして冷凍用保存袋に入れて冷凍する、保存中に染み出てくる水分で野菜が傷まないようにするためにも重要な役割を果たします。キッチンペーパーで包むというひと手間をするだけで、野菜の持ちが全く違います。
長く保存するほどビタミンCが減少する傾向にあるので、なるべく早く食べたいものです。
1ヶ月ほど長期保存したい場合は冷凍保存します。
前述の通り、きゅうりは水分量の多い野菜なので、丸ごと冷凍保存には向きません。冷却の過程できゅうりの中に大きな氷結晶ができてしまい組織を壊し、食感・風味を悪くします。
そのため、きゅうりを冷凍保存する際、小口切りにしボウルに入れ塩もみをし、しっかり水けを絞り、一度で食べる分だけラップで包み、ジッパー付きポリ袋に入れて保存します。塩の量はきゅうり1本に対して小さじ1/4が目安です。
塩もみしたものを冷蔵保存する場合は、その日のうちに食べるようにしましょう。手には雑菌がついているため、何日も保存するのは衛生上避けた方がよいでしょう。
常温で解凍するか、流水して解凍しましょう。きゅうりは半解凍くらいに留めるのがポイント。しばらく放置するとベチャベチャとした食感になってしまうためです。水分が多いので、半解凍したら水けをしっかり絞り調理に使いましょう。サラダや酢の物、混ぜ寿司など色々使えて便利です。
きゅうりは、天日干したりオーブンなどで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、塩漬けや酢漬けにして漬け保存することも可能です。きゅうりの保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
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