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きゅうりが青臭い原因は?軽減する下ごしらえと調理法を解説

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きゅうりが青臭い原因は?軽減する下ごしらえと調理法を解説

きゅうりの青臭さが苦手という方は多いのではないでしょうか。本記事ではきゅうりが臭い原因や青臭さを軽減し食べやすくする方法などを詳しく解説します。

きゅうりが青臭い原因

きゅうりの青臭さが苦手で食べにくさを感じたり、どうしても食べられないという方も多いのではないでしょうか。きゅうりが臭いと感じる原因を解説します。

香気成分による臭い

きゅうりには独特の青臭さがあります。きゅうりに限らず野菜にはそれぞれ特有の香気成分をもっており、様々な成分が混ざりあって独特の臭いを感じさせます。

きゅうりの香気の主な成分はトランス‐2‐シス‐6‐ノナジエナール(菫葉アルデヒド)やトランス‐2‐シス‐6‐ノナジエノール(キュウリアルコール)といわれています。また、きゅうりにはピラジンと呼ばれる成分も含まれており、ピラジンも青臭さの原因であるといわれています。

これらの青臭さの香気成分はきゅうりの組織が破壊されると酵素の働きによって生成されます。これは、草刈りをしたときに一気に草の臭いが充満するのと同じ原理です。

カメムシの臭いに似てる?

きゅうりの青臭さをカメムシの臭いに似ていると感じる人もいます。

カメムシは危険を感じると足の付け根から刺激臭のする液体を出します。この刺激臭の成分は植物がもつデセナールやヘキセナールなどのアルデヒド類です。低濃度では森林を思わせるようなフレッシュな香りですが、高濃度では激臭となります。カメムシはこれらの香り成分を高濃度で発散することで身を守っています。

厳密にいえば、きゅうりと全く同じ構造の匂い成分をもっているというわけではありませんが、上述したようにきゅうりにもアルデヒド類などの香気成分をもつため、きゅうりとカメムシの匂いが似ていると感じる人がいると考えられます。

腐敗による臭いではない

人によっては吐き気がするほど臭いと感じることもあるようですが、単に青臭いだけであれば元々きゅうりがもつ香気成分によるものなので、腐敗しているわけではありません。そのため、問題なく食べることができます。

しかし、腐敗することによってきゅうりから青臭い以外の異臭がすることもあります。この場合は食べることができないので破棄しましょう。注意すべききゅうりの臭いについては後述しますのでそちらを参考にしてください。

きゅうりの青臭さを軽減する方法【下ごしらえ】

青臭くても問題なく食べられるとはいっても、青臭くて食べられない・口にしたくないという方も多いでしょう。そこで、きゅうりの青臭さを軽減し美味しく食べる方法を紹介します。

板ずりしてから茹でる

きゅうりに塩を振ってまな板の上で転がすと青臭さが軽減される

きゅうりは調理をする前の下処理として、板ずりをすることが多いです。しかし、板ずりするだけでは青臭さの原因となっている成分は板ずりをしただけでは軽減されにくいです。そこで、板ずりをした後に茹でることをおすすめします。

まず、きゅうり1本あたり、塩小さじ1/2で板ずりをします。数分置いて馴染んだら、塩をしっかり洗い流します。

きゅうりは板ずりすることで、

  • イボが取れることでえぐみが取れる

  • 雑菌や農薬が取り除かれる

  • 緑が鮮やかに出る

  • 水分が抜けやすくなる

  • などのメリットがあります。

本来はきゅうりを調理するときは必ずやりたい板ずり。近年は品種改良が進み、イボがないものや、えぐみが少ないものが多いですが、雑菌や農薬を(完全ではないものの)取り除く効果が見込めます。板ずりした塩は汚れが付いているので、そのまま使わず、必ず洗い流しましょう。

板ずりしたきゅうりを沸騰した湯で茹でるとさらに青臭さが軽減される

板ずりが終わったら、沸騰したお湯に1分ほど茹でます。

茹でることで青臭さの原因となる成分が流出されるため、青臭さを軽減することができます。

きゅうりを茹でるなんて意外かもしれませんが、そうすることで、色が鮮やかになり、食感が全然違う仕上がりに。普通の塩もみと比べて、ボリボリッとした食べごたえのある歯ざわりが楽しめます。

皮を剥く

きゅうりの青臭さは皮を剥くことで軽減される

きゅうりの青臭さの原因となる成分は皮や種に集中しているため、皮をむくことでも青臭さを軽減することができます。

きゅうりの皮はピーラーを使えば簡単に剥くことができます。

きゅうりの皮をむくことで苦味も軽減されますし、口当たりもよくなります。ただし、きゅうりの皮にも栄養素が含まれているため栄養価を下げたくない場合はやはり皮ごと食べるのが望ましいです。

種をとる

種をとるのも青臭さを軽減するのに有効です。
まず、きゅうりを縦半分に切ります。

きゅうりの種を取ると、青臭さが軽減される


小さいスプーンで、きゅうりの種を取り除きます。水分が多く柔らかいので、あまり力を入れずに簡単に取り除けます。

縦半分に切ったきゅうりの種をスプーンを使って取り除く


削るとこんな感じです。

きゅうりの種を削るとこのようになる


削ったら、ヘタを切り落とし斜め切り(笹切り)にしていきます。

きゅうりの種を取り除いたら斜め切り(笹切り)にカットする

塩もみをする

きゅうりを塩もみすると青臭さが軽減される

きゅうりは塩もみをすることで、きゅうりに含まれている水分を出すことができます。きゅうりは水分が95%の野菜なので、塩もみすることで水分を抜く必要があります。そうしないと、料理の味付けをきゅうりの水分が邪魔してしまいます。漬物や加熱調理をする場合など塩もみをしない料理もありますが、例えば、酢の物や和え物では必ず塩もみをします。

塩もみをすることで、きゅうりに含まれている香気成分や苦味成分を水分と一緒に出すことができるので、青臭さも軽減されますし、苦味も軽減されて食べやすくなります。

<塩もみすると水分が出るのはなぜ?>

異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。野菜を塩でもむと、野菜の水分に塩が溶け濃い塩水ができ野菜の外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、野菜の内側から水分が出てくる。

きゅうりの青臭さを軽減する方法【調理法】

油で炒める

きゅうりの青臭さが気になる場合は加熱調理するとよい

きゅうりに限らず、青臭さが気になる野菜は油を使って調理をすると、油が野菜をコーティングしてくれるため臭いが気にならなくなります。そのため、きゅうりの臭いが気になる場合は油で炒めるのがおすすめです。

きゅうりは生食されることが多いので、意外と感じる方も多いと思いますが、炒め物にするなど加熱調理をしても美味しく食べることができますよ。また、きゅうりは油で調理をするとβ-カロテンの吸収が高まるので栄養面的にも◎

スパイスを使う

調理をするときにスパイスを一緒に使うと、青臭さが軽減され食べやすくなります。

カレーパウダーなどを使って炒めものにするのもおすすめです。カレー味であれば小さなお子様も食べやすくなるでしょう。

マヨネーズを使う

きゅうりをサラダにして食べるなど生食したいときは、マヨネーズをかけるとまろやかになり独特の青臭さや苦味が気になりにくいのでおすすめです。塩抜きをしてからマヨネーズを使って和え物にするのも良いでしょう。

上述したようにβ−カロテンはマヨネーズと一緒に摂取すると吸収率があがるので、生で食べる場合もマヨネーズやドレッシングをかけて油と一緒に摂取すると良いです。

ただし、油のとりすぎは肌荒れや肥満の原因になるので注意しましょう。

きゅうりの青臭さが気になりにくいレシピ

きゅうりの青臭さが気になりにくいおすすめのレシピをご紹介します。

Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。

きゅうりの粒マスタード和え

きゅうりの粒マスタード和え

マスタードの甘酸っぱさがきゅうりとよく合います。あともう一品ほしいときにどうぞ。

すぐに食べても美味しいですが、半日ほど冷蔵庫で寝かせるのも◎。

きゅうりの粒マスタード和えのレシピはこちら

きゅうりのキムチ炒め

きゅうりのキムチ炒め

きゅうりは炒めることで甘みが増し、青臭さが苦手な人にもおすすめのレシピです。きゅうりは大きめに切ることで歯ごたえアップ。

しょうがを先に炒めることで、風味が豊かになります。

きゅうりのキムチ炒めのレシピはこちら

きゅうりと鶏ひきの甘酢炒め

きゅうりと鶏ひきの甘酢炒め

きゅうりに甘酢がよくからみ◎。しっかり味ですがみずみずしい一品。ごはんとよく合います。

きゅうりを加熱することで青臭さが和らぎ、きゅうりが苦手な人でも美味しくいただけます。

きゅうりと鶏ひきの甘酢炒めのレシピはこちら

注意すべききゅうりの臭い

上記で紹介したように、単に青臭い場合はきゅうりがもつ香気成分によるもので腐敗しているわけではありません。しかし、下記のような臭いがする場合は注意が必要です。

カビ臭い

きゅうりには白カビや黒カビが生えることがあります。表面に白いふわふわとしたホコリのようなものがつくのが白カビ、黒く変色するのが黒カビです。白カビや黒カビなどのカビの胞子は目にみえないほど小さいので、カビが生えていないように見えてもカビの胞子が入り込んでいてカビの匂いがすることがあります。

カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。

カビはカビ毒を発生させ、下痢や嘔吐などの症状を引き起こす可能性があります。ヘタのみにカビが生えてる場合はヘタをカットすれば問題なく食べられることもありますが、高齢者の方や小さなお子様が食べる場合など心配な方は破棄するのが無難です。

出典:かびとかび毒についての基礎的な情報(農林水産省)

酸っぱい臭い

きゅうりから酸っぱい臭いを感じる場合は、腐敗している可能性が高いです。

きゅうりに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がしたりします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。

腐敗した食材には細菌が分布している可能性が高く、細菌の種類によっては下痢や嘔吐などの食中毒を引き起こすことがあるので、破棄しましょう。

腐敗したきゅうりの特徴

腐敗したきゅうりの臭い以外の特徴を紹介します。下記のような特徴があるきゅうりは食べずに破棄してください。

見た目

腐ったきゅうりの見た目の特徴は下記の通りです。

新鮮なきゅうりの表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは水分が抜けて乾燥してしまっている状態です。少し水分が抜けてしまった程度であれば問題ありませんが、完全に抜けてシワシワになっていたり、溶け出している場合は腐敗しています。

また、白い液体が表面についている場合や全体的に茶色っぽくなっていたり黒っぽく変色している場合も破棄してください。

触感

腐ったきゅうりの触感の特徴は下記の通りです。

  • ぶにょぶにょしている

  • 全体的にぬめりがある

  • 糸をひいている

新鮮なきゅうりは上述したように張りがあり、ある程度硬さがありますが、腐敗が進んでいるとぶにょぶにょとした触感になります。また、全体的にぬめりが出ている場合や糸をひく場合も腐敗が進んでしまっている状態なので、残念ですが破棄しましょう。

きゅうりの正しい保存方法

きゅうりの青臭さはきゅうりがもつ香気成分によるものなので、青臭さの元を断つことは難しいですが、カビが生えたり腐敗することによって臭くなってしまうのは、正しく保存することで防ぐことができます。

きゅうりを正しく保存すれば鮮度を保ち、より長く美味しく食べることができるので購入したら正しく保存するようにしましょう。

下記でご紹介しているきゅうりの保存方法はこちらの記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。

常温保存

丸ごと

きゅうりは1〜2日で食べるなら常温保存も可能です。

直射日光が当たる箇所は避けて、冷暗所で保存しましょう。ただし、保存の最適温度は10~15度程度なので、夏場は常温保存は避けるのが無難です。水分が多くあまり日持ちしないので、すぐに食べるようにしましょう。新聞紙かキッチンペーパーに包み、立てて保存します。

冷蔵保存

丸ごと(1〜2週間)

きゅうりを丸ごとキッチンペーパーで包みポリ袋に入れて野菜室で立てて保存する

1〜2週間保存したいなら冷蔵保存しましょう。

きゅうり表面の水けをよく拭き取って、1〜2枚のキッチンペーパーで巻き、ポリ袋に入れ、へたを上にしてカップなどに立てて野菜室で冷蔵保存します。きゅうりは通常の野菜室やチルド室では低温障害を起こすので、温度が比較的高い野菜室を必ず利用するようにしましょう。

キッチンペーパーは寒さから守るだけではなく、保存中に染み出てくる水分で野菜が傷まないようにするためにも重要な役割を果たします。キッチンペーパーで包むというひと手間をするだけで、野菜の持ちが全く違います。

長く保存するほどビタミンCが減少する傾向にあるので、なるべく早く食べたいものです。

カット(2〜3日)

カットしたきゅうりは保存袋に入れて2〜3日ほど保存することができる

カット(小口切り)したきゅうりも冷蔵保存が可能。その場合はあまり重ならないようにジッパー付きポリ袋に入れて、空気を抜き封を閉じます。切ったものは傷みが早いので、なるべく早く食べきりましょう。カットしたきゅうりの冷蔵保存の期間の目安は2〜3日です。

半分だけ残った場合は、ラップできっちり包み、ジッパー付きポリ袋に入れて冷蔵保存しましょう。こちらも数日以内で食べ切るようにしましょう。

冷凍保存

塩もみ(1ヶ月)

きゅうりを冷凍する際は塩もみをして冷凍用保存袋に入れて冷凍する

1ヶ月ほど長期保存したい場合は冷凍保存します。

前述の通り、きゅうりは水分量の多い野菜なので、丸ごと冷凍保存には向きません。冷却の過程できゅうりの中に大きな氷結晶ができてしまい組織を壊し、食感・風味を悪くします。

そのため、きゅうりを冷凍保存する際、小口切りにしボウルに入れ塩もみをし、しっかり水けを絞り、一度で食べる分だけラップで包み、ジッパー付きポリ袋に入れて保存します。塩の量はきゅうり1本に対して小さじ1/4が目安です。

塩もみしたものを冷蔵保存する場合は、その日のうちに食べるようにしましょう。手には雑菌がついているため、何日も保存するのは衛生上避けた方がよいでしょう。

冷凍きゅうりの解凍方法

常温で解凍するか、流水して解凍しましょう。きゅうりは半解凍くらいに留めるのがポイント。しばらく放置するとベチャベチャとした食感になってしまうためです。水分が多いので、半解凍したら水けをしっかり絞り調理に使いましょう。サラダや酢の物、混ぜ寿司など色々使えて便利です。

きゅうりは、天日干したりオーブンなどで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、塩漬けや酢漬けにして漬け保存することも可能です。きゅうりの保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。

新鮮なきゅりの選び方

当たり前ですが、新鮮なきゅうりを購入し保存する方が、より長く美味しく保存することができます。新鮮なきゅうりには下記のような特徴がありますので、購入時の参考にしてください。

  • イボがとがっている(イボがない品種もある)

  • 肩が盛り上がっている

  • 特有の香りがし、皮にハリと弾力があり、ずっしり重い

  • 切り口が黒ずんでいない

また、きゅうりは時間が経ち肥大化するとビタミンCが減少する傾向にあります。栄養の観点からも早めに食べたいものです。