きゅうりは冷凍すれば冷蔵保存するよりも長く保存することができます。しかし、冷凍したきゅうりがまずいと感じたことがある方も多いのではないでしょうか。本記事では冷凍したきゅうりがまずくなってしまう原因やまずくなりにくいきゅうりの冷凍のコツを紹介します。
冷凍したきゅうりがまずくなってしまう原因としては、下記の3点があげられます。
きゅうりはみずみずしくシャキシャキとした食感を楽しむことができる野菜ですが、冷凍するとぐにゃっとした柔らかい食感になってしまいます。
冷凍することでシャキシャキとした食感が失われてしまうのは、冷凍することできゅうりの組織が壊れてしまい、水分が流出してしまうためです。
この普段食べているきゅうりとは異なるぐにゃっとした食感がまずいと感じさせる原因の一つであるといえます。
きゅうりに限らず、冷凍した野菜は水っぽくなってしまって美味しくないと感じる方は多いのではないでしょうか。冷凍すると水っぽくべちゃっとしてしまうのは、冷凍する際に野菜に含まれている水分が凍り、解凍するときに水分としてそのまま出てきてしまうためです。
特にきゅうりは95%が水分と水分量の多い野菜なので、そのまま冷凍すると水っぽくなってしまいます。
冷凍する際に野菜に含まれている水分も一緒に凍ってしまうのは避けられませんが、冷凍するときの一工夫や解凍方法を工夫することで水っぽくべちゃっとしてしまうのを防ぐことができます。
冷凍したきゅうりは風味も悪くなりやすいです。これは、解凍されたときに冷凍して凍った水分と一緒にきゅうりに含まれる風味となる成分が流出してしまうためであると考えられます。
また、冷凍庫についている食材の臭いや細菌の臭いなどがきゅうりについてしまうことも風味が悪くなる原因になります。これはきゅうりだけではなく様々な食材でよく起こります。冷凍したときの特有の臭いの原因の多くは冷凍庫についている臭いが移ってしまうことによるもので、これはしっかり密閉して冷凍庫に入れることで防ぐことができます。
きゅうりを冷凍することで食感や風味が悪くなって美味しくなくなってしまうのなら、冷凍しないほうが良いのではないかと思う方も多いと思いますが、冷凍するメリットももちろんあります。
基本的に野菜などの食材の鮮度が落ち、栄養価が落ちたり腐敗してしまうのは、空気にふれて酸化が進んだり、乾燥したりといった外的要因や食品に含まれる酵素や微生物の働きなどの内的要因によるものです。
冷凍庫などの低温の環境では、腐敗や食中毒の原因になるほとんどの菌類や微生物、酵素の分解作用が働くことはありませんので、外的要因である乾燥や酸化を防げれば鮮度が落ちたり栄養価が落ちてしまうことを防ぐことができます。
きゅうりは水分量が多いためあまり日持ちしない野菜です。正しく保存すれば冷蔵でも丸ごとの状態で1〜2週間保存することが可能ですが、カットしてしまうと冷蔵だと2日〜3日しかしません。そのため、長く保存したい場合は冷凍保存するのが良いです。
冷凍することで食感や味が変わってしまうことがあるなら、栄養価も下がってしまうのではないかと思う方も多いと思います。アスパラガスなど、茹でてから冷凍することがある野菜の場合は冷凍に関係なく茹でる段階で水溶性の栄養素が流出してしまいますが、基本的に冷凍によって野菜の栄養価が大きく下がってしまうことはありません。
きゅうりにおいては、詳しく記載された資料はないため詳細は不明ですが、冷凍によって大きく栄養価が下がることはないとされています。
なお、きゅうりに含まれる栄養素については下記の記事で詳しく解説しています。
それではまずくなりにくいきゅうりの冷凍のコツを紹介します。
野菜を冷凍する場合、丸ごと冷凍する場合とカットしてから冷凍する場合がありますが、きゅうりを丸ごと冷凍するのはNGです。
前述の通り、きゅうりは水分量の多い野菜なので、丸ごと冷凍保存には向きません。まるごと冷凍してしまうと冷却の過程できゅうりの中に大きな氷結晶ができてしまい組織を壊し、食感・風味を悪くします。
そのため、きゅうりを冷凍する場合は小口切りにして冷凍することをおすすめします。
きゅうりを冷凍するときは、きれいに洗った後に小口切りにして(スライサーを使ってもOK)塩もみをします。塩もみをすることで、きゅうりに含まれている水分を出すことができます。
あらかじめきゅうりに含まれている水分を抜いておけば、食感が悪くなってしまったり解凍したときに水っぽくなってしまうのを防ぐことができます。
きゅうりの塩もみに関しては、下記の記事でも詳しく解説しています。
<塩もみすると水分が出るのはなぜ?>
異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。野菜を塩でもむと、野菜の水分に塩が溶け濃い塩水ができ野菜の外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、野菜の内側から水分が出てくる。
きゅうりを塩もみして水分を出したら、しっかりと水気をふきとります。
きゅうりに余分な水分がついたまま冷凍してしまうと、せっかくきゅうりから水分をだしても余計な水分も一緒に凍って解凍されてしまうため、水っぽくなってしまいます。
キッチンペーパーなどを使って、しっかりと水気をふきとってから冷凍するようにしましょう。
きゅうりから水分を出して水気をふきとったら、一度で食べる分だけラップで包み、ジッパー付きポリ袋に入れて保存します。
ポリ袋にきゅうりを入れたら、しっかりと空気を抜いて密閉することが大切です。しっかりと空気を抜いて密閉しておくことで、空気に触れて鮮度が落ちてしまったり冷凍庫の臭いがついてしまうことを防ぐことができます。
きゅうりに限らず、野菜を冷凍する場合は急速冷凍をしたほうが旨みをぎゅっと閉じ込めることができます。冷蔵庫に急速冷凍機能がない場合は、金属トレイの上にのせて冷凍庫へ。
金属トレイは温度の伝達が早いため、急速冷凍と同じ効果を得ることができます。
また、冷凍庫の扉付近は開け閉めによる温度変化の影響を受けやすいため、できるだけ温度変化の少ない扉付近を避けた場所に置いたほうが早く冷凍することができます。
冷凍すれば永遠に保存できてしまうような気がしてしまいますが、どんなに長く保存しても1ヶ月を目安に食べきるようにしましょう。
冷凍しても長く保存していると鮮度は落ちてしまうので、味や食感はどんどん悪くなってしまいます。冷凍しているからといっていつまでも入れておかず、なるべく早く食べきることが大切です。
冷凍きゅうりの味や食感を悪くしてしまわないためには、解凍方法も重要です。
冷凍した食材を解凍するときは電子レンジを使うことが多いですが、野菜の場合はレンジで一気に解凍すると時短になる一方で、水分が沢山出てしまうためおすすめできません。
冷凍したきゅうりを解凍したい場合は、冷凍庫から出し常温に置いて解凍します。ゆっくり解凍することで水分が沢山出て食感が悪くなったり、風味が悪くなってしまうのを防ぐことができます。
きゅうりは半解凍くらいに留めるのがポイント。しばらく放置するとベチャベチャとした食感になってしまうためです。水分が多いので、半解凍したら水けをしっかり絞り調理に使いましょう。
冷凍したきゅうりは流水解凍することもできます。
流水解凍とは冷凍した食材を水をためたボウルに入れて、水を流しながら解凍していく方法です。冷凍庫から取り出したら、そのまま水をためたボウルに入れて、水を流すだけです。
自然解凍より早く解凍できるので、すぐにサラダなどで食べたいときにおすすめです。
冷凍野菜を直接入れると水っぽくなってしまうので、ジッパー付きポリ袋のまま入れるのがおすすめです。それでも、自然解凍より水が出やすいのでベチャっとしてしまいやすいです。流水解凍する場合も半解凍にとどめるのが良いです。
冷凍したきゅうりを加熱調理するのであれば、凍ったまま使用するのがベストです。
解凍してから使うこともできますが、全解凍してしまうときゅうりの水分が流れ出てしまい食感や味が悪くなってしまいますし、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養も流出してしまいます。
そのため、冷凍したきゅうりを加熱調理する場合は解凍せずに直接料理に使うのがおすすめです。
それではどんな料理におすすめなのか、紹介していきます。
冷凍したきゅうりは酢の物にして食べるのもおすすめです。冷凍したきゅうりは味が染み込みやすい状態になっているため、美味しく食べることができます。酢には殺菌効果がありますし、消臭効果もあります。
特にイカやタコなどタウリンが含まれている食材と一緒に酢の物にするのがおすすめです。きゅうりの食物繊維と、タウリンにはコレステロールを下げる効能があるため、一緒に摂取することでより効果がアップします。
食物繊維は、コレステロールを吸着して体外に排出することで、血中のコレステロール値を低下させます。タウリンは、血中の悪玉(LDL)コレステロールを大きく低下させ、さらには善玉(HDL)コレステロールを増やします。全体の総コレステロールは低下します。
またタウリンには血圧を下げる効果もあります。
きゅうりはミネラル類が多くないため、ミネラル類を豊富に含むわかめと和えて酢の物にするのもおすすめです。
きゅうりを和え物にするときは、塩もみをして水分を抜いてからでないと水っぽくなり味が薄くなってしまいます。塩もみをして冷凍したきゅうりであれば、そのまま和え物にすることができるので非常に便利です。あらかじめ水分を抜いてあるので、味を薄くしてしまう心配もありません。
調味料がしっかりと馴染むので美味しい和え物にすることができます。和え物であれば青臭さや苦味も気になりにくいので、ぜひ試してみてください。
冷凍したきゅうりは、解凍せずにそのまま漬物を作ることもできます。
塩もみをして冷凍した状態のきゅうりは水分が出ている状態なので食感が柔らかくなっていますし、漬物液などに漬け込むそれだけでしっかりと味が染み込んだ美味しい漬物になります。
解凍したときに気になる冷凍臭も、漬物にしてしまえば気になりにくいです。
味噌汁などの汁物にしても、柔らかくなってしまったきゅうりの食感の悪さが気にならなくなります。汁物であれば、流出してしまうビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も汁ごと一緒に摂取することができるので栄養面でもメリットがあります◎
きゅうりは出汁と味噌で味を付けた「冷や汁」にもよく使われる食材です。お味噌汁はもちろんのこと、冷や汁に使うのもおすすめです。
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