なすをカットしたときに中がスカスカになっていた経験はありませんか?本記事ではなすがスカスカになってしまう原因などを詳しく解説します。
なすをカットしてみたら複数の穴が空いてスカスカになっていた経験がある方は多いのではないでしょうか。カットしたときに実に穴が空いている状態を「スが入る」といいます。
「ス」は漢字では「鬆」と表記します。「鬆」には「あらい。ゆるい」という意味があり、骨がスカスカになりもろくなってしまう病気「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」などにも使われています。
スが入る現象はなす以外にも大根やかぶ、ごぼうなど様々な野菜の他、いちごなどの果物にも起こり、空洞ができてしまった野菜や果物は「空洞果」と呼ばれます。
なすにスが入ってしまうのは、生理現象によるもので腐敗が原因ではありません。そのため、穴があいてスカスカになっていても腐敗のサインが見られなければ食べることができます。
スカスカになっている以外にも異臭がしたり茶色く変色しているなどの異変がある場合は腐敗している可能性があるので注意しましょう。腐敗したなすの特徴は後述するので、チェックしてから食べられる状態か判断してください。
穴があいてスカスカになってしまったなすは、腐敗のサインが見られなければ食べることができますが、新鮮で良い状態とはいえません。
そのため、スが入っていない新鮮な状態のなすと比較して味や食感は劣ります。
しかし、工夫をすれば美味しく食べることができます。スカスカになってしまったナスにおすすめの食べ方も後述しますので、そちらを参考にしてください。
なすにスが入ってしまう原因は下記の通りです。
なすは90%以上が水分の野菜です。
そのため栽培中の水やりが不十分だったりすると、穴があいてスカスカになってしまいます。なすの旬である夏場は気温が高く、乾燥しやすいため家庭菜園では特に注意が必要です。また、気温が低い冬場も乾燥するため涼しいからといって水やりをおろそかにしてしまうとスが入ってしまいます。
水やりをしすぎも根腐れを起こす原因となるため注意する必要がありますが、水分不足にならないよう水を与えることが大切です。
また、保存中に乾燥して水分が抜けてしまうことも、スが入る原因になります。
なすは高温の環境で育っていたり、肥料不足などで株が衰えてしまうことでもスが入ってしまいます。当たり前ですが、良い実をつけるためには株が健康であることが大切です。
そのため、家庭菜園でなすを育てる際には特に生育環境に気をつける必要があります。水分不足はもちろんのこと、肥料不足などで株が不健康な状態にならないようにしましょう。
一般的にスーパーで販売されているなすは、熟す前に収穫されている未熟果です。しかし、収穫の時期が遅れてしまうと、大きく育ちすぎたり熟してしまって実に穴があきスカスカになってしまうことがあります。
サイズ的には大きいほうが可食部が多くて得だと感じる方も多いと思いますが、正しい時期に収穫することが大切です。また、スーパーなどで購入する場合は大きさを確認して購入しましょう。
新鮮で美味しいなすの選び方については後述しますので、そちらを参考にしてください。
穴があいてスカスカになってしまったなすは、食べることができますが食感が悪くなっています。そこで、スカスカになってしまったなすのおすすめの食べ方を紹介します。
穴があいてスカスカになってしまったなすは、水分が抜けてしまっていることが多いので浅漬にするのがおすすめです。浅漬けは、塩もみをしてなすの水分を抜くことが多いですが、スカスカになったなすであれば簡単に浅漬けを作ることができます。味も染み込みやすくなっているので、美味しく食べれます。
煮浸しにするのも良いでしょう。煮浸しであれば柔らかくなってしまった食感の悪さも気になりにくいです。また、上述したように、スカスカになってしまったなすは調味料が染み込みやすくなっているので味の悪さもカバー可能です。
簡単に作ることができるので、すぐに使い切りたいときに便利です。
スカスカになってしまったなすは味噌汁にしても◎見た目は悪くなってしまいますが、柔らかくなってしまった食感が気になりにくいです。
また、味噌汁は流出してしまう水溶性のビタミンCやカリウムも汁ごといただけるので栄養も無駄になりません。
スが入った=腐敗ではありませんが、下記の特徴があるなすは腐敗しているので食べることはできません。残念ですが、破棄しましょう。
腐ったなすの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的にシワシワ
溶け出している
全体的に変色している
表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。ヘタの部分はとくにカビが生えやすく、ヘタのみであれば切り落せば食べられることもありますが、全体的にカビが生えてしまっている場合は破棄しましょう。カビは、カビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。
新鮮ななすの表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは水分が抜けて乾燥してしまっている状態です。少し水分が抜けてしまった程度であれば問題ありませんが、完全に抜けてシワシワになっていたり、溶け出している場合は腐敗しています。
また、変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に茶色っぽくなっていたり黒っぽく変色している場合も破棄してください。
腐ったなすの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミ臭
カビ臭い
なすは青臭さがある野菜ですが、そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
なすに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったなすの触感の特徴は下記の通りです。
ぶにょぶにょに柔らかくなっている
全体的にぬめりがある
糸をひいている
新鮮ななすには張りがあり、ある程度硬さがありますが、腐敗が進んでいるとぶにょぶにょとした柔らかい触感になります。また、全体的にぬめりが出ていたり糸をひく場合も腐敗が進んでしまっている状態なので、残念ですが破棄しましょう。
最後に新鮮でおいしいなすの選び方を紹介します。なすを購入する際の参考にしてください。
新鮮ななすは下記の特徴があります。
ガクの紫色が濃く、トゲが鋭く尖っている
ヘタの切り口が白い
ガクと実の間が白〜薄紫〜紫に変化している
実の紫色が濃く、ハリ・ツヤがある
手にしたときに軽いものは中身がスカスカになっている可能性が高いので注意しましょう。また、ヘタの大きさに対して実が小さいものは未熟です。傷やシワがあるものも避けましょう。
なすに限らず野菜は正しく保存しないと、鮮度が落ちて変色したり味や風味、食感が悪くなってしまいます。なすを購入したら正しく保存することが大切です。
それでは、なすの正しい保存方法を詳しく解説していきます。
気温が10℃前後で直射日光が避けられ風通しのよい部屋(冷暗所)ならば、常温でも1週間ほど保存することができます。夏場や冬場の暖房を使用している環境なら1〜2日です。
新聞紙に包むことで皮が乾燥するのを防ぎます。新聞紙がない場合はキッチンペーパーでもOKです。また、立てて保存するのもポイントです。野菜は育ったときと同じ状態で保存することでストレスがかからず、栄養を損なわずに済みます。
表面に水けがついている場合はしっかり拭き取り、1個ずつラップで包んでから冷蔵用保存袋にいれて野菜室へ。数日で種は黒くなってしまいますが、味に変化はありません。1週間ほど経っても、皮にはしわがよらず、つややかです。ラップで包むひと手間で鮮度が全くちがいます!
なすを保存するときはへたを切り落とさないようにしましょう。へたを切ってしまうと水分を失いやすくなります。
ラップで包む余裕がないときは、厚手の冷蔵用保存袋に入れて保存するだけでも、買ってきた袋でそのまま冷蔵するのとは鮮度に大きな違いが生まれます。2〜3日で食べきるならば、ラップなしでもOKです。
冷凍保存する場合は、乱切りや厚めの輪切りなど調理しやすいサイズにカットしましょう。丸ごと冷凍することも可能です。
なすはポリフェノールによる褐変が起こりやすいので、気になる方は水に10分ほどさらすか、塩をかけて10分ほど置くことで防ぐことができます。体に悪いわけではないので、そこまで気にしすぎる必要はありません。
乱切りや厚めの輪切りなど食べやすいサイズに切って、オリーブオイルで炒めて粗熱を取ります。その後に冷凍用保存袋に入れて空気を抜き、密閉して冷凍庫へ。
野菜は加熱することで水分が抜けるので、風味や食感が悪くなる原因である氷の結晶が冷凍の過程で発生しにくくなるためです。油で加熱調理をすれば変色の心配もいりません。
そのまま加熱調理に使うことができます。使い方は生のなすと基本的に同じです。煮浸しや揚げ浸しなど味を染み込ませる料理が特におすすめです。麻婆なすやカレーの具にしても◎。
おひたしにしたい場合は、前日に冷蔵庫に移して常温解凍か、流水解凍を。
なすは常温・冷蔵・冷凍保存の他にも、天日干しなどで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、塩漬けやからし漬けにする漬け保存が可能です。なすの保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
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