玉ねぎを切ったら白い乳液のような汁が出てきて驚いた経験があるという方は多いのではないでしょうか。腐ってしまったとがっかりするかもしれませんが、白い汁が出るのは腐敗が原因ではありません。本記事では玉ねぎから出てくる白い汁について詳しく解説します。
玉ねぎを調理しようと思って切ったら、玉ねぎの中からぬるぬるとした白い液体が出てきて驚いたことがある方は多いのではないでしょうか。
玉ねぎの白い液体は硫化アリルと呼ばれる成分です。包丁などで切ることによりタマネギの細胞が壊れ、アミノ酸や酵素が混ざり合って反応することで硫化アリルが白い液体となって中からじわじわと出てきます。切らないとわからないため「切ってみたら腐ってた」とがっかりしてしまうかもしれませんが、腐敗しているわけではありません。
硫化アリルは玉ねぎ以外の野菜にも含まれており、例えば長ネギの白い部分も多く含まれていることで知られています。その他にもニンニクやニラ、らっきょうなどユリ科の植物に含まれていて、ツンとした匂いや辛味の元にもなっている欠かせない栄養成分です。
上述したように玉ねぎを切ったときに出てくる白い汁は、玉ねぎやネギなどの辛味成分である硫化アリルによるものです。切ったときに硫化アリルが白い汁となって出てくるのは、硫化アリルの含有量が多いということであり玉ねぎが新鮮であることを意味しています。
実は玉ねぎを切ると涙が出てくるのも香味成分である硫化アリルが原因です。切った際に硫化アリルが蒸発して鼻や目の粘膜を刺激するので、脳が刺激物を洗い流すために涙が出てきます。
白い汁が出てくる玉ねぎは涙が出てきて調理をしにくかったり、辛味が強くて食べにくいと感じる方も多いと思いますが、新鮮な良い玉ねぎをGETすることができたということです。
硫化アリルには、様々な効果・効能が期待できます。
硫化アリルの一種である「アリシン」には、血栓を予防する作用があると言われています。玉ねぎを食べると血がサラサラになるといわれるのはこのためです。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす働きがあります。動脈硬化を遅くして、心臓血管障害や脳血管障害を予防すると考えられています。
また、ある種の硫化アリルは胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す作用も期待できるといわれています。さらには、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり血圧を下げて高血圧を防ぐ効果が期待できます。
硫化アリルは水に溶けやすい性質があります。玉ねぎを水に浸けることで辛味を抑えることができるのはこのためです。しかし、長い時間水に浸けてしまうと硫化アリルが溶け出してしまいますので白い汁が出てくるほど新鮮な玉ねぎの場合は、できるだけそのまま食べるのがおすすめです。加熱調理をする場合は、スープにするなど溶け出したエキスも一緒に摂れるように調理をすると良いでしょう。
玉ねぎを切ったときに出てくる白い汁は問題ないのですが、玉ねぎの表皮や根の部分に白い綿のようなフワフワとした白カビが生えている場合は、「タマネギ乾腐病(かんぷびょう)」という伝染病である可能性が高いので注意しましょう。根から腐敗が進み、可食部である白い実まで侵食します。
白カビを発生させるタマネギ乾腐病の原因は、「フザリウム オキシスポルム フォルマスペシャーリス セペ(Fusarium oxysporum f.sp. cepae)」という病原菌です。土壌伝染や玉ねぎの傷の部分から侵入します。また、この病原菌は、28度前後の高温で活発に活動する性質を持っています。そのため、玉ねぎの肥大期である真夏に繁殖しやすいです。
白カビは皮に発生することが多いですので、皮を剥けば普通に食べることが可能です。ただし皮に生えたカビが中の白い実の部分に付くことがあるため、調理の前にしっかりと水洗いしましょう。万が一カビが玉ねぎの中まで発生してしまっている場合はその部分を取り除けば食べることができます。包丁でカビが生えた部分を切り落とし、カビが生えていない部分のみを調理しましょう。ただし、免疫力が低い小さい子どもや高齢者や心配な方は、処分することをおすすめします。
腐った玉ねぎの特徴を解説します。
茶色い汁が出ている
切ったら中身がスカスカ
皮を剥いたときに中身が茶色く変色していたり、茶色い汁が出ていたら残念ですが腐敗がかなり進んでしまっています。食べずに破棄しましょう。
皮に黒や茶色のススのような斑点がある場合は、黒カビが発生してます。皮に生えているカビは、基本的には内部まで侵食することはないので、皮を剥いたら問題なく食べることが可能です。ただし、中には玉ねぎの可食部にまでカビが生えてしまっている場合もあります。カビの範囲が狭い場合は、その部分を取り除けば食べることができますが、広範囲にカビが生えている場合は食べずに処分しましょう。
玉ねぎを切ったら、実が乾燥してスカスカになっていることがあります。この場合は腐っているというわけではありませんが、水分量がかなり減っていて食感や味が劣っていますので、食べずに廃棄する方がよいでしょう。
ブヨブヨしている
全体的に柔らかい
玉ねぎは本来固い野菜ですが、腐敗が進むと実がブヨブヨと柔らかくなってしまいます。玉ねぎは上部の中心部から傷み始めることが多いため、手で軽く触ってみてブヨブヨしていたり、全体的に柔らかさを感じたら腐っている可能性が高いです。玉ねぎを触ったときに、全体が柔らかく凹むぐらいになってしまっていたら食べずに破棄しましょう。
玉ねぎを切ってみて一部のみがブヨブヨしていたり柔らかくなっている場合は、その部分を取り除けば食べることができます。
ガスのような臭い
卵が腐ったような臭い
青臭い
玉ねぎは元々ツンとする強い香りが特徴的ですが、腐敗が進んでいる玉ねぎはさらに臭いが強くなります。ガスのような臭いや、卵が腐った時のような臭いがする場合は、玉ねぎが腐っている可能性が高いです。
また、青臭い場合は、青カビが原因である可能性があります。青カビは玉ねぎの皮や、可食部の外側に発生することが多いです。カビ自体が見えなくてもカビの菌が増殖しはじめていることがあります。
玉ねぎの正しい保存方法をご紹介します。
玉ねぎは湿度に弱い野菜であるため、湿度の高い冷蔵庫での保管には向いていません。そのため直射日光が当たらない風通しの多い室温が低い場所(冷暗所)で、ネットで吊るして保存するのが理想的です。
ポリ袋に入って売ってる場合は買ってきたらすぐに取り出します。冷蔵・冷凍保存よりも長く保存できます。玉ねぎの薄皮は剥いてしまうと乾燥を進めてしまうので、剥かずに保存します。野菜用ネットがない場合は、洗濯ネットやストッキングでも代用可能です。通気性の悪いビニール袋に入れるのはNGです。
大量にあるときは新聞紙を敷いたダンボールにまとめて入れて新聞紙をかぶせます。新聞紙が湿ったら取り替えます。新聞紙をかぶせたら通気性が悪くなるのでは?と思うかもしれませんが、かぶせるだけなので通気性は保たれるのと、むしろ新聞紙は水けを吸収するので、こまめに取り替えれば湿度対策になります。
春・秋・冬は基本的に玉ねぎは常温保存しましょう。ただし、室内の湿度が上がる夏場は冷蔵庫の方がよい場合があります。通年玉ねぎは冷蔵室で2週間ほど保存できます。
また、カットした玉ねぎも常温保存できないので冷蔵保存します。使いかけはラップできっちり包み、ポリ袋に入れて口をしっかり締めます。3日ほどしか保存できないのですぐに使うようにしましょう。
通常冷凍保存は保存期間を伸ばすために行いますが、玉ねぎの場合は常温保存の方が長く保存できてしまいます。しかし、保存場所に困ったときやすぐに調理で使えるようにしたい場合はやはり冷凍保存が便利です。1点注意を上げるならば、冷凍した玉ねぎはみずみずしさが失われてしまうので、サラダや和え物には向きません。加熱調理に基本的に使うようにしましょう。
薄切りやくし形切り、みじん切りなど使うときを想定して好きな大きさに切り、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。冷凍した玉ねぎは、凍ったまま煮物や炒め物などに使うことができます。
また、冷凍した玉ねぎは組織が壊れていて火の通りがよくなるので、飴色玉ねぎをたった5分で作ることができます。油も使う必要がないのでカロリーカットにも。ぜひお試しください。
加熱してから冷凍する方法もあります。これだと使うときがとにかく楽チン。好きな形・大きさにカットした玉ねぎを加熱し冷ましてから、小分けしラップし冷凍用保存袋に入れて冷凍します。スープやカレー、ハンバーグにおすすめです。ハンバーグで使うときは前日に冷蔵室に移して自然解凍しましょう。
玉ねぎは丸ごと冷凍も可能!丸ごと冷凍するときは上下の端を切り落とし、さらに1cmほど十字に切り込みを入れます。そしてラップをし冷凍用保存袋に入れます。丸ごと冷凍玉ねぎは丸ごと頂きます。スープに丸ごと入れたり、丸ごとレンジ蒸しにしてオリーブオイルと塩をかけて食べると美味。丸ごと冷凍した玉ねぎは特に柔らかい食感になるので、それを活かして食べましょう。
新鮮で美味しい玉ねぎの見分け方をご紹介します。
玉ねぎは球型に近いほど良質だと言われています。平らな玉ねぎは熟しすぎているため、傷みが早く長期保存ができません。丸みを帯びているものを選びましょう。
玉ねぎの皮がよく乾燥しているものが新鮮な玉ねぎのサインです。皮に傷などがなくツヤのあるものを選びましょう。
玉ねぎは収穫後に乾燥させてから出荷されます。乾燥させることにより皮が茶色くなり、この茶色い皮のおかげで玉ねぎの水分が守られ、かつ外からの湿気が入り込みにくくなっています。
手に持ったときにずっしりと重みのあるものを選びましょう。軽く感じられる玉ねぎは、中の水分が抜けていたり、中が空洞化している可能性があります。
玉ねぎの上部がぎゅっと引き締まっているのが新鮮な玉ねぎです。玉ねぎは上部の中心部分から傷み始めることが多いため、玉ねぎを購入する際は上部がしっかりと締まっているものを選びましょう。
玉ねぎは上部の中心部分から傷み始めることが多いため、上部が固くてしっかりとしたものがよいです。軽く押してみて、へこまないものが新鮮な玉ねぎです。万が一へこむ場合は、すでに腐敗が進んでいる可能性が高いです。
芽が玉ねぎの上から伸びている状態だと、玉ねぎの栄養素がどんどん吸収され味が劣ります。そのため、芽の生えていない玉ねぎの方が美味しく食べることができます。
玉ねぎは、十分に球肥大した後葉が枯れ、自発休眠に入りますが、1〜3ヶ月後には休眠から覚め発根・萌芽が開始します。
仮に芽があっても、芽の部分を取り除けば問題なく食べることができます。
玉ねぎの下部のひげ根の部分にも注目してください。
ひげ根が長く伸びてしまっているものは、栄養が取られているため味が劣っています。なるべくひげ根が生えていないものを選びましょう。
葉付きの玉ねぎ(葉玉ねぎ)の場合、葉の部分が青々としているものを選びましょう。葉が枯れていたり、茶色などに変色しているものは、収穫から時間がかなり経過している可能性が高いです。
玉ねぎが傷んでしまう前に!玉ねぎの大量消費レシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
酢に含まれるクエン酸は、食べた物を体内でエネルギーに変えるときに必要な栄養素です。そのため疲労回復に効果的と言われています。さらに代謝アップにもつながるので、ダイエットにも効果的と言われています。新玉ねぎで作っても美味しくいただけます。
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簡単に作れる玉ねぎスープです。玉ねぎは加熱すると目がしみる元である硫化アリル類が糖に変化して甘みが増します。
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食材は玉ねぎだけ。玉ねぎの甘みがおいしい玉ねぎ丼のレシピです。シンプルですが満足感のある一品です。
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