玉ねぎを使おうと思ったらカビが生えていたなんて経験はありませんか?玉ねぎには黒カビや白カビ、青カビなど様々なカビが発生します。今回はこれらのカビについて詳しく解説をするとともに、カビが生えないような保存の仕方をご紹介します。
玉ねぎには主に黒・白・青(緑)のカビが発生します。それぞれのカビは原因となる病原菌や増殖しやすい条件などが異なりますので、詳しく解説します。
玉ねぎの皮(特に玉ねぎの上部)に炭のような黒い汚れが付いていることがあります。これは汚れではなく黒カビで「黒カビ病」という名前が付いています。玉ねぎの表皮から数層にわたり黒色のカビが発生します。皮に発生した黒カビが、中の白い可食部分に付着することはありますが、中まで侵食することはほとんどありません。
玉ねぎの黒カビの原因は、「アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)」という病原菌です。「クロコウジカビ」ともいいます。
黒カビが発生する主な原因は、高温と多湿です。玉ねぎは収穫後、保存性を高めるために貯蔵されますが、貯蔵中の温度や湿度が高い場合に発生しやすいといわれています。
ちなみに玉ねぎに付着する黒カビは、お風呂場やエアコンに発生するものとは菌の種類(クラドスポリウム)が異なります。
出典:石川県農林総合研究センター農業試験場
玉ねぎの表皮や根の部分に白い綿のようなフワフワとした白カビが生えている場合は、「タマネギ乾腐病(かんぷびょう)」という伝染病である可能性が高いです。根から腐敗が進み、可食部である白い実まで侵食します。
白カビを発生させるタマネギ乾腐病の原因は、「フザリウム オキシスポルム フォルマスペシャーリス セペ(Fusarium oxysporum f.sp. cepae)」という病原菌です。土壌伝染や玉ねぎの傷の部分から侵入します。また、この病原菌は、28度前後の高温で活発に活動する性質を持っています。そのため、玉ねぎの肥大期である真夏に繁殖しやすいです。
黒カビとの違いは、カビの発生場所です。上述の通り、黒カビは玉ねぎの皮の上部に発生することが多いのに対し、白カビは玉ねぎの根元の部分に発生します。
出典:第5話・タマネギの乾腐病〜農学博士・児玉不二雄の植物の病気の話(SAc WEB)
玉ねぎの一部に緑や青のカビが生えてしまうことがあります。玉ねぎの皮や、可食部の外側に発生することが多いです。
青カビの原因はアオカビ属(ペニシリウム属)の病原菌です。アオカビ属(ペニシリウム属)には約300種類以上の菌があり、中にはゴルゴンゾーラなどのチーズの製造に用いられる青カビもあります。アオカビ属(ペニシリウム属)は低温度でも極微量の栄養物に発育しカビ臭を放ちます。
ちなみに青カビは、みかんやレモンなどの柑橘系や食パンなどにも発生します。
出典:食品のカビについて(株式会社 東邦微生物病研究所)
<カビが活発に繁殖する条件>
温度・・・一般的なカビの発育温度は5〜45℃。特に15〜30℃の範囲で増殖しやすい。
栄養・・・食品そのものがカビの栄養成分となりカビが発育する。
酸素・・・カビは酸素がある場所でのみ発育する。
水分・・・自由水の量が多いほど増殖しやすい。
pH・・・カビの多くはpH3〜9で発育しやすく、pH4〜6で増殖しやすい。
カビが生えている玉ねぎをすぐに捨てるのはNG。状態をしっかりと確認しましょう。
黒カビや白カビは皮に発生することが多いです。そのため、皮を剥けば普通に食べることが可能です。皮に生えたカビが中の白い実の部分に付くことがあるため、調理の前にしっかりと水洗いしましょう。
万が一カビが玉ねぎの中まで発生してしまっている場合はその部分を取り除けば食べることができます。包丁でカビが生えた部分を切り落とし、カビが生えていない部分のみを調理しましょう。
ただし、免疫力が低い小さい子どもや高齢者や心配な方は、食べるのを避けた方が無難でしょう。
カビが生えている状態で加熱調理をしても、カビがなくなることはありません。調理する前に必ずカビは取り除きましょう。
ちなみに玉ねぎは、加熱すると玉ねぎ特有の辛みが抑えられ甘みが増します。これは、辛み成分である硫化アリルが熱に弱く、加熱することで揮発・分解しやすいです。玉ねぎを炒めると甘みが増すのはこのためで、辛み成分が分解され、もともと玉ねぎがもっている甘み成分を感じやすくなるのです。
誤ってカビを食べてしまった場合、嘔吐や下痢、腹痛などの症状が出る可能性があります。これらの症状が長引くような場合は、専門医の受診を推奨します。
上記でご紹介した腐った玉ねぎの特徴を参考に、腐ってしまった玉ねぎを食べないようにすることが大切です。少しでも怪しいなと感じる場合は、食べずに処分する方がいいでしょう。
玉ねぎを正しく保存することで、カビの発生を抑えることが可能です。直射日光や高温多湿を避け、できるだけ涼しい環境で保存しましょう。
複数の玉ねぎをネットやダンボールなどに保存していて、1個の玉ねぎにカビが生えているのを見つけた場合、その玉ねぎはすぐに取り除きましょう。
カビは、空気に舞って他の玉ねぎに移ってしまう可能性があります。カビは移りやすいので、カビが生えているのを発見したら取り出して、野菜室などであればアルコールで拭き掃除をするなどしてカビ対策を行いましょう。
玉ねぎは、日光を浴びたり、湿度が高い場所で保存することで、カビが増殖しやすくなります。したがって玉ねぎは直射日光が当たらない風通しの多い室温が低い場所(冷暗所)で、ネットで吊るして保存するのが理想的です。
ポリ袋に入って売ってる場合は買ってきたらすぐに取り出します。冷蔵・冷凍保存よりも長く保存できます。玉ねぎの薄皮は剥いてしまうと乾燥を進めてしまうので、剥かずに保存します。野菜用ネットがない場合は、洗濯ネットやストッキングでも代用可能です。通気性の悪いビニール袋に入れるのはNGです。
大量にあるときは新聞紙をひいたダンボールにまとめて入れて新聞紙をかぶせます。新聞紙が湿ったら取り替えます。新聞紙をかぶせたら通気性が悪くなるのでは?と思うかもしれませんが、かぶせるだけなので通気性は保たれるのと、むしろ新聞紙は水けを吸収するので、こまめに取り替えれば湿度対策になります。
春・秋・冬は基本的に玉ねぎは常温保存しましょう。ただし、室内の湿度が上がる夏場は冷蔵庫の方がよい場合があります。通年玉ねぎは冷蔵室で2週間ほど保存できます。通年玉ねぎであってもカットしたものは常温保存できないので冷蔵保存します。使いかけはラップできっちり包み、ポリ袋に入れて口をしっかり締めます。3日ほどしか保存できないのですぐに使うようにしましょう。
カビが生える以外の、腐った玉ねぎの特徴をご紹介します。
玉ねぎは元々ツンとする強い香りが特徴的ですが、腐敗が進んでいる玉ねぎはさらに臭いが強くなります。ガスのような臭いや、卵が腐った時のような臭いがする場合は玉ねぎが腐っている可能性が高いので、食べずに廃棄する方がよいでしょう。
玉ねぎを切ると一部だけが茶色く変色していることがあります。この場合は玉ねぎが腐っているため、変色している部分をしっかりと取り除いてから食べるようにしましょう。変色の範囲が広い場合は、食べずに廃棄しましょう。
玉ねぎは本来固い野菜ですが、腐敗が進むと実がブヨブヨと柔らかくなってしまいます。玉ねぎは上部の中心部から傷み始めることが多いため、手で軽く触ってみて柔らかさを感じたら腐っている可能性が高いです。
玉ねぎを切ってみて一部のみがブヨブヨと柔らかくなっている場合は、その部分を取り除けば食べることができます。
玉ねぎ全体が柔らかく凹むような玉ねぎを食べるのは避けましょう。
玉ねぎから茶色い汁が出ている場合、かなり腐敗が進んでいますので、食べずに廃棄しましょう。
白い汁が出る場合は腐っているわけではありませんので、食べることが可能です。
玉ねぎを切ったら、実が乾燥してスカスカになっていることがあります。この場合は腐っているというわけではありませんが、水分量がかなり減っていて食感や味が劣っていますので、食べずに廃棄する方がよいでしょう。
玉ねぎが腐っている場合は見た目や臭いなどで気づくことがほとんどです。腐っていることに気づかずに万が一食べてしまった場合、酸味を感じることが多いようです。
味が少しでも変だなと思ったときは、それ以上食べるのをやめて処分するようにしましょう。
玉ねぎにカビが生えてしまう前に!玉ねぎの大量消費レシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
酢に含まれるクエン酸は、食べた物を体内でエネルギーに変えるときに必要な栄養素です。そのため疲労回復に効果的と言われています。さらに代謝アップにもつながるので、ダイエットにも効果的と言われています。新玉ねぎで作っても美味しくいただけます。
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簡単につくれる玉ねぎスープです。玉ねぎは加熱すると目がしみる元である硫化アリル類が糖に変化して甘みが増します。
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