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とうもろこしは生で食べられる?お腹壊す?注意点を解説

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とうもろこしは生で食べられる?お腹壊す?注意点を解説

「とうもろこしって生で食べても大丈夫なの?食中毒の心配は?」と不安に思う方も多いかと思います。そもそも野菜には生食できるものと、加熱が推奨されるものがあります。本記事ではとうもろこしを生食するときの注意点について詳しく解説しています。

とうもろこしは生食できる?

とうもろこしは生で食べられる野菜です。生食できない野菜とはどんな違いがあるのでしょうか。また、とうもろこしの品種によってどんな違いがあるのかも解説します。

とうもろこしは生食できる

加熱して食べることが多いとうもろこしですが、鮮度がよければ生食できます。

一方で、生食が推奨されない野菜もあります。

例えば、たけのこやほうれん草には、アクの元の成分であるシュウ酸という成分が含まれており、結石を作る原因となったり、カルシウムの吸収を阻害するといわれています。そのため、茹でてアク抜きして食べます。

とうもろこしは、シュウ酸などの有害成分は含まれていないので、生食しても問題ありません。

生食に適した品種もある

とうもろこしは生食ができる野菜ですが、特に生食に適した品種というものも存在します。

例えば、フルーツとうもろこし(フルーツコーン)やピュアホワイトなどです。

フルーツとうもろこしは厳密には品種名ではありません。とうもろこしの中でも特に甘みが強い品種「スイートコーン」の中でもさらに甘みが強く、粒皮の柔らかいもののことを指します。その名の通りフルーツのような甘みがあり、生食がおすすめです。

ピュアホワイトは一般的に販売されている黄色いとうもろこしとは異なり、白色をしている品種です。甘みが強くみずみずしいため、生食でも食べやすいと人気があります。

とうもろこしを生食するメリット

生のとうもろこしでしか味わえない魅力には下記の3つがあります。1つずつ詳しく解説していきます。

  • みずみずしい食感

  • 糖度の高さ

  • 栄養を無駄にしない

食感

生のとうもろこしは、シャキシャキとしたみずみずしい食感を楽しむことができます。

とうもろこしに限らず野菜の細胞壁はセルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。

加熱をするとペクチンが分解されるため野菜は柔らかくなります。

そのため、生食するほうがしっかりとした食感が出ます。

甘み

とうもろこしは、生の状態が最も糖度が高く、焼いたり、茹でたりすることで甘みが減ってしまいます。

ピュアホワイトなど生食するのに適した品種の中には、シャインマスカットなど果物に匹敵する糖度をもつものもあります。

また、とうもろこしは鮮度が落ちるのが非常に早く、時間が経ってしまうと甘みが減ってしまいます。

そのため、買ってきたらすぐに生で食べるのが、最も甘みを感じられる食べ方といえます。

水溶性の栄養素を無駄にしない

とうもろこしには、カリウムなどの水溶性の栄養素も含まれています。

茹でることで、水溶性の栄養素は流出してしまいますが、生食であれば水溶性の栄養素も無駄なく摂取できます。

とうもろこしに含まれている栄養素は後述しますので、そちらを参考にしてください。

とうもろこしを生食するときの注意点

生のとうもろこしを食べる際は、鮮度に特に気を配る必要があります。しかし、どんなに鮮度がよくても食べ過ぎたらお腹を壊す可能性があるので注意が必要です。

鮮度が大事

とうもろこしを生食するときに最も重要なのが鮮度です。

とうもろこしに限らず、野菜や果物は鮮度が落ちてくると味や食感が悪くなり、美味しく食べることができません。

新鮮なとうもろこしの特徴は下記の通りです。

  • 皮がついたままのもの

  • 外側の皮(オニ皮)がみずみずしく濃い緑のもの

  • 全体がふっくらしてるもの

  • 先端部分が凸凹していないもの

  • 先端のヒゲが多くしっかりとしていて濃い茶色のもの

  • 切り口が黄色く変色していないもの

腐敗していなくても、鮮度が落ちて痛み始めているとうもろこしは、細菌が繁殖している可能性もあるため生食は避けましょう。

収穫されてから2日以内がベスト

「お湯を沸かしてから畑に採りに行け」といわれるほど、とうもろこしは鮮度が落ちやすいのが特徴です。

1日経つと水分が蒸発し、栄養価や甘みが半減してしまいます。

そのため、とうもろこしが生食できる期間は収穫後2日以内といわれています。

収穫されてから時間が経てば生食には向かないので、とうもろこしを生食するならピュアホワイトなど生食に適した品種を選ぶのがよいでしょう。

食べすぎない

とうもろこしは元々粒の薄皮が固く消化されにくい食べ物です。

特に生食する場合は加熱するよりも消化に時間がかかるため、食べすぎないように注意しましょう。

大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

とうもろこしは淡色野菜で、他の淡色野菜と合わせて230gが目安なので、1日あたり多くても100g程度、つまり1/2〜1本程度が摂取目安量といえます。

出典:厚生労働省

食中毒の可能性は?

とうもろこしには天然毒素などは含まれていないため、新鮮なとうもろこしであれば食中毒の心配はありません。

ただし、とうもろこしには不溶性食物繊維の方が多く含まれています。

不溶性食物繊維の一種であるセルロースの含有量は、さつまいもの4倍です。不溶性食物繊維は摂りすぎると便秘になる可能性があります。

また、とうもろこしにはでんぷんが含まれています。でんぷんは生の状態では消化されにくい性質があるため、消化機能が未熟な小さなお子様や胃の調子が悪い方は生食は避けた方がよいでしょう。

出典:厚生労働省

生のとうもろこしを美味しく食べる方法

生のとうもろこしを美味しく食べるには、茹でたとうもろこしと同じく「かぶりつく」のがおすすめです。サラダにしたり、スムージーにするのもよいでしょう。

かぶりつく

茹でたとうもろこしは丸ごとかぶりつくことが多いですが、生食も同様にかぶりつくのがおすすめです。

実はとうもろこしは部位によって甘みが異なり、最も甘みのバランスが安定しているのが中央部分です。

端から食べる方も多いと思いますが、豪快に真ん中からかぶりつくことでとうもろこしの甘みを贅沢に味わうことができます。

農家の方もおすすめしている食べ方なので、ぜひ試してみてください。

サラダ

とうもろこしも、他の野菜と同様、サラダでも美味しく頂けます。

とうもろこしには亜鉛が含まれています。亜鉛はビタミンAと相乗効果があり、抗酸化作用の効果アップなどが期待できます。

そのため、ビタミンAが豊富に含まれる人参やかぼちゃ、ほうれん草などと一緒に食べるのがおすすめです。

スムージー

生のままでは消化不良が心配という方には、スムージーにするのがおすすめです。ミキサーに入れて撹拌すれば、消化を助けます。

本来スムージーは冷凍した野菜や果物で作りますが、近年は生の状態で作ることも多いです。

バナナとほうれん草、とうもろこし、豆乳、はちみちなどで作るシンプルなグリーンスムージーもとても美味しいのでぜひ試してみてください。

とうもろこしの栄養素・成分

とうもろこし100gあたりの主な栄養素・成分

とうもろこしには、

  • リノール酸

  • グルタミン酸

  • アスパラギン酸

などが特に豊富に含まれています。

リノール酸

とうもろこしには、リノール酸が豊富に含まれています。

リノール酸は、人の体内で合成できない必須脂肪酸です。オメガ6系脂肪酸のひとつで、ひまわり油やコーン油、ごま油に含まれています。血液中のコレステロールを低下する作用があり、動脈硬化や心臓病の予防に繋がります。

ただし、リノール酸は摂取しすぎると、血液凝集作用や炎症を引き起こす作用を持ったアラキドン酸の生成促進に関与することが分かっています。現代人の食生活ではリノール酸を多く摂取しているので、摂取量は気をつけましょう。

グルタミン酸

グルタミン酸は体内で合成することが出来る非必須アミノ酸の一種で日本で最初に発見されたうま味物質です。

グルタミン酸は、脳の機能にダメージを与えるアンモニアを解毒してそれらを含む尿の排出を促進する効果があります。

また、興奮系の神経伝達物質として働き脳機能を活性化させるので、認知症予防の効果や、記憶力や学習能力を高める効果があるといわれています。血圧を下げる効果があることもわかっています。

アスパラギン酸

アスパラギン酸は非必須アミノ酸のひとつで、その名の通りアスパラガスから発見されたアミノ酸です。

アスパラギン酸は酸味を含むうま味成分で、日本人が古くから重宝している醤油や味噌などの発酵調味料のうま味の正体だといわれています。

アスパラギン酸はうま味成分としてだけでなく、人の体調を整える働きもあります。

疲労回復効果があることから医薬品や栄養ドリンクにも使われています。アスパラギン酸はカリウムやマグネシウムを細胞に取り込みやすくし、クエン酸回路を円滑に回すことで乳酸をエネルギーに変換して、疲労回復の働きをしています。

さらには、人間の体液のバランスを整えたり、アンモニアを解毒して肝臓の負担を減らす働きもあります。

また、新陳代謝を活発にし角質の水分を保持してくれるので、肌の保湿効果もあります。そのため化粧品にも使われています。

出典:食品成分データベース

腐敗したとうもろこしの特徴

下記のような特徴があるとうもろこしは、加熱をしても食べることができません。腐敗したとうもろこしは破棄しましょう。

見た目

腐ったとうもろこしの見た目の特徴は下記の通りです。

  • カビが生えている

  • 全体的に茶色く変色している

  • 溶け出している

とうもろこしが腐るとカビが生えることがあります。

とうもろこしに白いホコリのようなふわふわしているものがついているときは白カビ、黒い斑点や黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビの可能性が大です。

じゃがいもなどの固い野菜の場合は、表面にカビが生えていても、中まで侵食していなければカビが生えている部分を取り除けば食べることができるといわれています。

しかし、とうもろこしに生えるカビの中には死亡事例がある程の毒性をもつ種類もあるので、食べずに破棄しましょう。

また、とうもろこしが全体的に茶色く変色していたり見るからに溶け出している部分がある場合も腐敗しています。

臭い・味

腐ったとうもろこしの臭いや味の特徴は下記の通りです。

  • 酸っぱい匂い・味

  • 生ゴミ臭

  • カビ臭い

酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。

とうもろこしに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。

この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。

あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。

また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。

カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や、土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」などがあります。

また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もありますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。

触感

腐ったとうもろこしの触感の特徴は下記の通りです。

  • 全体的に痩せていて軽い

  • ぶにょぶにょしていて柔らかい

  • ねばねばしている

全体的に痩せていて、持ったときに軽い場合は腐敗していて中身がスカスカの状態です。また、指で押すと簡単にへこむぐらい柔らかくなってぶにょぶにょしていたり、ねばりが出てしまっている場合も腐敗しているので破棄しましょう。