腐った玉ねぎは茶色く変色したり、触ると柔らかくなったり、異臭を放つようになります。一部が腐っている場合と全体的に腐っている場合があり、一部のみが腐敗しているのであれば、その部分をしっかり取り除けば食べることができます。この記事では、腐っている玉ねぎの特徴や、玉ねぎが腐る原因、正しい保存方法などを詳しくご紹介しています。
玉ねぎは元々ツンとする強い香りが特徴的ですが、腐敗が進んでいる玉ねぎはさらに臭いが強くなります。
一般的な玉ねぎは保存性を高めるため、収穫した後乾燥させてから出荷されて店頭に並びます。しかし表面は乾燥していても中には水分が残っているので、見た目ではわからなくても中が腐敗して異臭を放つことがあります。
ガスのような臭いや、卵が腐った時のような臭いがする場合は玉ねぎが腐っている可能性が高いので、食べずに廃棄する方がよいでしょう。また、青臭い臭いが強い場合はカビが生えている可能性があります。カビが見えなくてもカビ菌が繁殖しはじめていることがあるので、心配な方は破棄しましょう。
玉ねぎの皮を剥いてカットしたときに、重なっている層の一部のみが茶色く変色している場合は病気に感染している可能性があります。
りん片腐敗病は、育っていく過程で強風や機械的に生じた傷やアザミウマなどの害虫の食害痕などの傷口から細菌が侵入することによって発症し、玉ねぎの中間葉が枯死する症状がみられ切ると実の一部が腐敗していることが多いです。また低温高湿でも発症しやすいため冷蔵庫で保管していることで発症することもあります。
茶色く変色してしまっている部分は腐敗しているのでしっかりと取り除いてから食べましょう。ただし、変色の範囲が広い場合は破棄してください。
玉ねぎは本来固い野菜ですが、腐敗が進むと実がブヨブヨと柔らかくなってしまいます。玉ねぎは上部の中心部から傷み始めることが多いため、手で軽く触ってみて柔らかさを感じたら腐っている可能性が高いです。
玉ねぎを切ってみて一部のみがブヨブヨと柔らかくなっている場合は、その部分を取り除けば食べることができます。
玉ねぎ全体が柔らかく凹むような玉ねぎを食べるのは避けましょう。
玉ねぎから茶色い汁が出ている場合、かなり腐敗が進んでいます。食べずに廃棄しましょう。高温多湿の場所で保存していたことや、病気が進行してしまったことが原因で腐敗が進むと茶色い汁が出てきてしまうことがあります。
柔らかくなるなどの変化がなくても、カットしたときに茶色い汁が出てくるということもあります。鮮度がかなり落ちている状態ですので全体的に腐敗している様子が見られない場合でも破棄するほうが良いでしょう。
ただし、下記で詳しく解説しますが、白い汁が出る場合は腐っているわけではありませんので、食べることが可能です。
玉ねぎの皮(特に玉ねぎの上部)に炭のような黒い汚れが付いていることがあります。これは汚れではなく黒カビで「黒カビ病」という名前が付いています。玉ねぎの表皮から数層にわたり黒色のカビが発生します。皮に発生した黒カビが、中の白い可食部分に付着することはありますが、中まで侵食することはほとんどありません。そのため、皮も問題なく食べることができます。ただし、中には玉ねぎの可食部にまでカビが生えてしまっている場合もあります。カビの範囲が狭い場合は、その部分を取り除けば食べることができますが、広範囲にカビが生えている場合は食べずに処分しましょう。
玉ねぎの黒カビの原因は、「アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)」という病原菌です。「クロコウジカビ」とも言います。
黒カビが発生する主な原因は、高温と多湿です。玉ねぎは収穫後、保存性を高めるために貯蔵されますが、貯蔵中の温度や湿度が高い場合に発生しやすいといわれています。
ちなみに玉ねぎに付着する黒カビは、お風呂場やエアコンに発生するものとは菌の種類(クラドスポリウム)が異なります。
玉ねぎを切ったら、実が乾燥してスカスカになっていることがあります。この場合は玉ねぎが実に蓄えている水分や養分を使って成長しようとしていることが考えられます。
腐敗しているというわけではありませんので食べることはできますが、水分量がかなり減っていて食感や味が劣っています。栄養素も減ってしまっている状態ですので、もったいないですが食べずに廃棄する方がよいでしょう。
玉ねぎが腐っている場合は見た目や臭いなどで気づくことがほとんどです。上述したように中から腐敗が進んでいくことが多いので、問題ないように見えて腐っていることに気づかずに万が一食べてしまった場合、酸味を感じることが多いようです。
味が少しでも変だなと思ったときは、それ以上食べるのをやめて処分するようにしましょう。腐敗した玉ねぎを食べてしまって万が一下痢や嘔吐の症状が出た場合は速やかに病院へ行き受診してください。
玉ねぎの上部から芽が出ている場合は、必ずしも腐っているというわけではありません。芽に毒性があるわけではありませんので食べること自体は可能ですが、心配な方は取り除いてから食べましょう。
ただし、芽が伸びすぎていると、実の水分や栄養が吸い取られ可食部がしわしわになったりスカスカになってしまうことが多いです。可食部が味や食感が悪くなってしまうだけではなく、栄養価が落ちている状態ですので、この場合は無理に食べようとせず処分する方がよいでしょう。
玉ねぎの外皮を剥いたときや、切り口にぬめりがあることがあります。「腐ってしまった」と思う方も多いかと思いますが、腐敗しているわけではありませんので食べても問題ありません。
玉ねぎのぬめりは「粘質物」と言われており、玉ねぎに含まれているセルロースやペクチンなどの水溶性の糖類が水分と混ざってぬめりとなります。粘質物は玉ねぎの甘味成分であり旨味成分でもあります。
粘質物は玉ねぎ以外の野菜にも含まれていて、例えば抽台期花茎(かけい)の急な成長期のねぎでは、青い部分を切ったときにゼリー状の粘質物が見られることがあります。
玉ねぎを切った時に白い汁が出る場合も、腐っているわけではありません。白い汁の正体は、玉ねぎに多く含まれる辛味成分の硫化アリルです。白い汁が出ることは、その玉ねぎが新鮮であることを示しています。
硫化アリルとは?
玉ねぎを切ったときに涙が出る原因はこの硫化アリル類によるものです。
硫化アリルの一種は血栓を予防する作用があります。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす働きがあります。動脈硬化を遅くして、心臓血管障害や脳血管障害を予防すると考えられています。
また、ある種の硫化アリルは胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す作用も期待できるといわれています。さらには、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり、血圧を下げて高血圧を防ぐ働きも知られています。
新鮮な玉ねぎの皮は茶色でツヤがあります。皮がボロボロになっていても、腐っているというわけではありませんので、普通に食べることができます。
ただし、皮がボロボロになってしまっている場合は、中身の水分が蒸発し乾燥している場合があります。乾燥してスカスカになった玉ねぎは、食感や味が劣っている可能性があるので注意しましょう。
玉ねぎは湿度に弱い野菜で、玉ねぎの保存性を高めるために、収穫後にしばらく乾燥させてから出荷されます。湿度が高い環境で保存すると、玉ねぎが傷みやすくなります。
また、湿度が高いと食中毒の原因となる細菌が増殖しやすく、腐っていなくても食中毒を引き起こす可能性があります。
腐敗や食中毒を防ぐためには、湿度が低い環境で保存することが重要になります。
直射日光も玉ねぎが腐る原因の一つです。日光が直射当たることで、玉ねぎの温度が上がり腐りやすくなります。特に玉ねぎは固い皮で包まれているため、可食部の水分が外に蒸発しきれず、腐敗が進みやすいです。
なお、収穫後すぐに出荷される新玉ねぎは、普通の玉ねぎと比較すると傷みやすいため、直射日光はNGです。必ず冷蔵保存で保存しましょう。保存方法はこの後詳しくご紹介します。
出典:農林水産省
常温保存で保存した場合の玉ねぎの賞味期限は2ヶ月です。
玉ねぎは直射日光が当たらない風通しの多い室温が低い場所(冷暗所)で、ネットで吊るして保存するのが理想的です。ポリ袋に入って売ってる場合は買ってきたらすぐに取り出します。冷蔵・冷凍保存よりも長く保存できます。玉ねぎの薄皮は剥いてしまうと乾燥を進めてしまうので、剥かずに保存します。野菜用ネットがない場合は、洗濯ネットやストッキングでも代用可能です。通気性の悪いビニール袋に入れるのはNGです。
大量にあるときは新聞紙を敷いたダンボールにまとめて入れて新聞紙をかぶせます。新聞紙が湿ったら取り替えます。新聞紙をかぶせたら通気性が悪くなるのでは?と思うかもしれませんが、かぶせるだけなので通気性は保たれるのと、むしろ新聞紙は水けを吸収するので、こまめに取り替えれば湿度対策になります。
冷蔵保存で保存した場合の玉ねぎの賞味期限は2週間です。
春・秋・冬は基本的に常温保存しましょう。ただし、室内の湿度が上がる夏場は冷蔵庫の方がよい場合があります。通年玉ねぎは冷蔵室で2週間ほど保存できます。通年玉ねぎであってもカットしたものは常温保存できないので冷蔵保存します。使いかけはラップできっちり包み、ポリ袋に入れて口をしっかり締めます。3日ほどしか保存できないのですぐに使うようにしましょう。
ちなみに、玉ねぎに含まれる硫化アリルは冷えると発揮されなくなるので、涙が出にくくなるというメリットがあります。また、繊維を断つように切ると辛味成分が出てしまうので、涙は出やすいですが、甘味が増します。
冷凍保存で保存した場合の玉ねぎの賞味期限は1ヶ月です。
通常冷凍保存は保存期間を伸ばすために行いますが、玉ねぎの場合は常温保存の方が長く保存できてしまいます。しかし、保存場所に困ったときやすぐに調理で使えるようにしたい場合はやはり冷凍保存が便利です。1点注意を上げるならば、冷凍した玉ねぎはみずみずしさが失われてしまうので、サラダや和え物には向きません。加熱調理に基本的に使うようにしましょう。
薄切りやくし形切り、みじん切りなど使うときを想定して好きな大きさに切り、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。サラダや和え物には向きませんので、凍ったまま煮物や炒め物などに使います。
また、冷凍した玉ねぎは組織が壊れていて火の通りがよくなるので、飴色玉ねぎをたった5分で作ることができます。油も使う必要がないのでカロリーカットにも。ぜひお試しください。
加熱してから冷凍する方法もあります。これだと使うときがとにかく楽チン。好きな形・大きさにカットした玉ねぎを加熱し冷ましてから、小分けしラップし冷凍用保存袋に入れて冷凍します。スープやカレー、ハンバーグにおすすめです。ハンバーグで使うときは前日に冷蔵室に移して自然解凍しましょう。
玉ねぎは丸ごと冷凍も可能!丸ごと冷凍するときは上下の端を切り落とし、さらに1cmほど十字に切り込みを入れます。そしてラップをし冷凍用保存袋に入れます。丸ごと冷凍玉ねぎは丸ごと頂きます。スープに丸ごと入れたり、丸ごとレンジ蒸しにしてオリーブオイルと塩をかけて食べると美味。丸ごと冷凍した玉ねぎは特に柔らかい食感になるので、それを活かして食べましょう。
乾燥保存で保存した場合の玉ねぎの賞味期限は1ヶ月です。
通常の野菜は干すことで保存期間が伸びますが、玉ねぎには当てはまりません。しかし、栄養価が高まる、甘みが増す、噛みごたえが増す(いつもとは違う食感が楽しめる)、かさが減るのでたくさん食べられる(その分栄養が取れる)などのメリットがあります。密閉容器に入れて常温で1ヶ月ほど保存できます。
乾燥方法一番おすすめなのは天日干しです。天日干しすることでビタミンDが増加します。玉ねぎは皮を剥き、薄くスライスし、キッチンペーパーで水けをとって、重ならないようにザルに並べます。2〜3日天日干しします。
天日干しできない方はオーブンで乾燥させる方法も。スライスした玉ねぎをクッキングシートを敷いたた天板の上に並べて、100〜110℃の低温で20〜30分ゆっくり加熱します。乾燥が足りなければさらに加熱します。
レンジで乾燥させる方法はもっと簡単です。スライスした玉ねぎをキッチンペーパーを敷いた耐熱皿の上に並べて、600Wで5〜8分程度加熱します。
漬け保存で保存した場合の玉ねぎの賞味期限は2週間です。
野菜は塩や味噌、油などに漬けて保存することもできます。玉ねぎも例外ではありません。漬けることで、食材を酸素から遮断し酸化を防ぎ、微生物の繁殖も防ぎます。大量消費にもおすすめです。玉ねぎの漬物はどれも冷蔵で2週間ほど保存できます。
おすすめの保存方法は、酢漬けとオイル漬けです。
酢漬けにする場合は、玉ねぎを薄くスライスしたら塩をかけてよくもみ、しんなりしたら水けを絞ります。密閉容器に入れて、酢150ml・塩小さじ1・てんさい糖大さじ1で作った漬けだれを注ぎます。玉ねぎは水にさらしてしまうと辛味成分と一緒に水溶性のビタミンまで流れてしまうので、そのまま漬け込みます。
オイル漬けにする場合は、薄くスライスした玉ねぎの水けをキッチンペーパーで拭き取り、密閉容器に入れて、100mlのオリーブオイルと小さじ1弱の塩で作る漬けだれを注ぎます。
最後に、玉ねぎが腐る前に大量消費できるレシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
玉ねぎの甘さが美味しい一品です。副菜やおつまみとしてお楽しみください。
たっぷり玉ねぎポテトサラダのレシピはこちら
酢玉ねぎは1日たって、味が馴染んだら食べごろです。
酢玉ねぎのレシピはこちら
簡単につくれる玉ねぎスープです。玉ねぎは加熱すると目がしみる元である硫化アリル類が糖に変化して甘みが増します。
ゴロッと玉ねぎスープのレシピはこちら
玉ねぎの甘みがおいしい玉ねぎ丼のレシピです。食材は玉ねぎだけ。シンプルですが満足感のある一品です。
玉ねぎ丼のレシピはこちら
腐った玉ねぎを誤って食べてしまうと、腹痛は吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、発熱、胃痛などの症状を起こす可能性があります。
玉ねぎを食べた後に上記のような症状が出てしまった場合は、水分を多く摂り、必要に応じて病院で診てもらいましょう。
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