玉ねぎの皮は乾燥していても、皮を剥いているとぬるぬるとしていることが多くあります。ぬるぬるしていると腐っているのではと不安になる方も多いかと思いますが腐敗しているわけではありません。本記事では玉ねぎがぬるぬるする原因などを詳しく解説します。
玉ねぎの外皮を剥いたときや、切り口にぬめりがあることがあります。「腐ってしまった」と思う方も多いかと思いますが、腐敗しているわけではありませんので食べても問題ありません。
玉ねぎのぬめりは「粘質物」といわれており、玉ねぎに含まれているセルロースやペクチンなどの水溶性の糖類が水分と混ざってぬめりとなります。粘質物は玉ねぎの甘味成分であり旨味成分でもあります。
粘質物は玉ねぎ以外の野菜にも含まれていて、例えば抽台期花茎(かけい)の急な成長期のねぎでは、青い部分を切ったときにゼリー状の粘質物が見られることがあります。
外皮を剥いた時に出てくるぬるぬるとした薄皮や切り口がぬるぬるする場合は、問題ありませんが全体がブヨブヨになってしまっていたら注意が必要です。
玉ねぎはとても水分量の多い野菜で、水分が腐ってしまうと途端に繊維が壊れて腐敗していきます。触ったときに全体が柔らかくなってしまっている場合は残念ながら腐敗がかなり進行していることが考えられますので、破棄しましょう。
粘質物は成長期に増え、さらに新玉ねぎには水分が多く含まれているため、ぬるぬるすることが多いです。しかし、新玉ねぎの場合も腐敗しているわけではありませんので問題なく食べることができます。
新玉ねぎは、温暖な地域で3~4月頃に出荷される早取りの玉ねぎのことをいいます。一般的に食べられている玉ねぎは、春に収穫された玉ねぎを一度乾燥させて保存性を高めてから出荷されています。一方で新玉ねぎは収穫された後、乾燥させずに出荷されているという違いがあります。水分量が多いだけで栄養素は一般的な玉ねぎと同じです。
出典:農林水産省
玉ねぎのぬめりは、甘味成分であり旨味成分であるため防ぐ必要はありません。上述しているように毒性があるものではありません。また、玉ねぎを甘くするもので料理の味を損ねるものでもありませんので、洗い流したり取り除いたりせずにそのまま食べるのが良いです。
ぬるぬるしていると、包丁で切ろうとしたときに滑ってしまうことがあります。調理しにくい場合は水洗いをしてぬめりを軽く落とすと良いです。
ただし、水に長く浸けていると玉ねぎの辛味成分であるアリシンが流れ出てしまいます。アリシンには血栓を予防する作用があるといわれています。玉ねぎを食べると血がサラサラになるといわれるのはこのためです。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす働きがあります。水に長く浸けていると栄養価が低くなってしまうので注意しましょう。
腐敗によるぬめりは正しく保存することで、ある程度防ぐことができます(とはいえ、保存期間には限界があります)。
玉ねぎは、日光を浴びたり、湿度が高い場所で保存することで、カビが生えたり腐敗が進行しやすくなります。したがって玉ねぎは直射日光が当たらない風通しの多い室温が低い場所(冷暗所)で、ネットで吊るして保存するのが理想的です。
ポリ袋に入って売ってる場合は買ってきたらすぐに取り出します。冷蔵・冷凍保存よりも長く保存できます。玉ねぎの薄皮は剥いてしまうと乾燥を進めてしまうので、剥かずに保存します。野菜用ネットがない場合は、洗濯ネットやストッキングでも代用可能です。通気性の悪いビニール袋に入れるのはNGです。
大量にあるときは新聞紙を敷いたダンボールにまとめて入れて新聞紙をかぶせます。新聞紙が湿ったら取り替えます。新聞紙をかぶせたら通気性が悪くなるのでは?と思うかもしれませんが、かぶせるだけなので通気性は保たれるのと、むしろ新聞紙は水けを吸収するので、こまめに取り替えれば湿度対策になります。
複数の玉ねぎをネットやダンボールなどに保存していて、カビの生えた玉ねぎや腐敗している玉ねぎを見つけた場合は、すぐに取り除きましょう。
春・秋・冬は基本的に玉ねぎは常温保存しましょう。ただし、室内の湿度が上がる夏場は冷蔵庫の方がよい場合があります。通年玉ねぎは冷蔵室で2週間ほど保存できます。
また、カットしたものも常温保存できないので冷蔵保存します。使いかけはラップできっちり包み、ポリ袋に入れて口をしっかり締めます。3日ほどしか保存できないのですぐに使うようにしましょう。
玉ねぎは丸ごと冷凍も可能!丸ごと冷凍するときは上下の端を切り落とし、さらに1cmほど十字に切り込みを入れます。そしてラップをし冷凍用保存袋に入れます。丸ごと冷凍玉ねぎは丸ごと頂きます。スープに丸ごと入れたり、丸ごとレンジ蒸しにしてオリーブオイルと塩をかけて食べると美味。丸ごと冷凍した玉ねぎは特に柔らかい食感になるので、それを活かして食べましょう。
また、薄切りやくし形切り、みじん切りなど使うときを想定して好きな大きさに切り、冷凍用保存袋に入れて冷凍しておいたり、玉ねぎを炒めて飴色玉ねぎにした状態で冷凍保存しておくこともできます。
玉ねぎの表面に白や青っぽいフワフワしたものがついている場合は、白カビや青カビが生えている可能性が高いです。
白カビを発生させるタマネギ乾腐病の原因は、「フザリウム オキシスポルム フォルマスペシャーリス セペ(Fusarium oxysporum f.sp. cepae)」という病原菌です。土壌伝染や玉ねぎの傷の部分から侵入します。また、この病原菌は、28度前後の高温で活発に活動する性質を持っています。そのため、玉ねぎの肥大期である真夏に繁殖しやすいです。
青カビの原因はアオカビ属(ペニシリウム属)の病原菌です。アオカビ属(ペニシリウム属)には約300種類以上の菌があり、中にはゴルゴンゾーラなどのチーズの製造に用いられる青カビもあります。アオカビ属(ペニシリウム属)は低温度でも極微量の栄養物に発育しカビ臭を放ちます。青カビは、みかんやレモンなどの柑橘系や食パンなどにも発生します。
白カビや青カビは、皮だけであれば取り除けば問題なく食べることができますが、中全体にカビが侵食してしまっていたりその他の異常がみられる場合は破棄しましょう。
玉ねぎの皮(特に玉ねぎの上部)に炭のような黒い汚れが付いていることがあります。これは汚れではなく黒カビで「黒カビ病」という名前が付いています。玉ねぎの表皮から数層にわたり黒色のカビが発生します。皮に発生した黒カビが、中の白い可食部分に付着することはありますが、中まで侵食することはほとんどありません。
玉ねぎの黒カビの原因は、「アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)」という病原菌です。「クロコウジカビ」ともいいます。
黒カビが発生する主な原因は、高温と多湿です。玉ねぎは収穫後、保存性を高めるために貯蔵されますが、貯蔵中の温度や湿度が高い場合に発生しやすいといわれています。
ちなみに玉ねぎに付着する黒カビは、お風呂場やエアコンに発生するものとは菌の種類(クラドスポリウム)が異なります。
出典:石川県農林総合研究センター農業試験場
玉ねぎの皮を剥いてカットしたときに、重なっている層の一部のみが茶色く変色している場合は病気に感染している可能性があります。
りん片腐敗病は、育っていく過程で強風や機械的に生じた傷やアザミウマなどの害虫の食害痕などの傷口から細菌が侵入することによって発症し、たまねぎの中間葉が枯死する症状がみられ切ると実の一部が腐敗していることが多いです。また低温高湿でも発症しやすいため冷蔵庫で保管していることで発症することもあります。
茶色く変色してしまっている部分は腐敗しているのでしっかりと取り除いてから食べましょう。
ただし、変色の範囲が広い場合は破棄してください
玉ねぎは本来固い野菜ですが、腐敗が進むと実がブヨブヨと柔らかくなってしまいます。玉ねぎは上部の中心部から傷み始めることが多いため、手で軽く触ってみて柔らかさを感じたら腐っている可能性が高いです。
玉ねぎを切ってみて一部のみがブヨブヨと柔らかくなっている場合は、その部分を取り除けば食べることができます。
玉ねぎ全体が柔らかく凹むような玉ねぎを食べるのは避けましょう。
玉ねぎの上部から芽が伸びすぎてしまっている場合は、可食部がしわしわになっていて味や栄養が劣っていることがあります。あまりにも芽が伸びている場合は食べずに、処分するとよいでしょう。
玉ねぎの芽自体は、じゃがいもの芽のようにソラニンやチャコニンといった毒性のある成分を含んでるわけではありませんので多少伸びている程度であればそのまま使うことができますが、心配な方は取り除いてから食べましょう。
玉ねぎから茶色い汁が出ている場合、かなり腐敗が進んでいます。食べずに廃棄しましょう。高温多湿の場所で保存していたことや、病気が進行してしまったことが原因で腐敗が進むと茶色い汁が出てきてしまうことがあります。
柔らかくなるなどの変化がなくても、カットしたときに茶色い汁が出てくるということもあります。鮮度がかなり落ちている状態ですので全体的に腐敗している様子が見られない場合でも破棄するほうが良いでしょう。
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