玉ねぎの保存方法として、干して乾燥させるという方法があります。本記事では玉ねぎを干す意味(メリット)や効果、正しい干し方(場所や時間)などを詳しく解説します。
玉ねぎは貯蔵最適温度は0℃で決して寒さに弱い野菜ではありません(むしろ高温に弱いのですがこれはどの野菜でも同じですね)が、水分量が多く湿気にとにかく弱いのが特徴です。
そのため、玉ねぎを干して水分を飛ばした状態で保存をした方が中の水分が腐って玉ねぎ全体の腐敗を進めてしまうことを防ぎ、長期保存することができるというメリットがあります。
玉ねぎを干すとケルセチンと呼ばれる栄養素が増加することがわかっています。ケルセチンは、玉ねぎが日光にあたり光合成を行うことで葉緑素が作られることによって生成され、緑色の部分に多く含まれています。
ケルセチンはビタミンCの働きを助ける成分で、血流の流れを良くして動脈硬化を防いだり、血中LDL(悪玉)コレステロールを低下させる効果があるといわれています。また、血糖値の上昇を抑制する働きがあり、生活習慣病予防に効果があることがわかっています。
じゃがいもも、日光を浴びると緑色に変色することがあります。じゃがいもの緑色の部分にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれているため、取り除く必要があります。しかし、玉ねぎの場合はじゃがいもとは異なり毒素は含まれていないため取り除く必要はありません。
スーパーなどで購入した玉ねぎは、ネットに入れて数珠つなぎのように玉ねぎを吊るします。ネットに入れることで玉ねぎの皮がパラパラと落ちて散らばることを防ぎます。また、数珠つなぎにすることで、玉ねぎ同士が重ならなくなるので湿気が溜まって腐敗してしまうことを防ぐことができます。
数珠つなぎにするときは、ネットに玉ねぎを入れたら一度玉ねぎの上を輪ゴムや紐で一度結びます。そして次の玉ねぎを入れて同じように上を輪ゴムや紐で結ぶという工程を繰り返します。
ネットが自宅にない場合は、みかんのネットやストッキングなどで代用可能です。
収穫されたばかりの葉の部分がついた玉ねぎは、2〜3個程まとめて葉の部分をビニールひもで縛って吊るして干すことができます。
この場合は、1m程にカットしたビニール紐を半分に折ったものを使って、玉ねぎの葉の付け根を横から縛り、ヒモの輪の中にヒモの端を通してギュッとしっかり縛ります。葉の部分は枯れてしおれてきてしまうので、しおれてしまったときに玉ねぎが落ちてしまわないようにヒモの端を玉ねぎの下を通して反対側に出してさらにきつく縛っておきましょう。
ネットを使った場合も紐を使った場合も、干す場所は直射日光の当たらない場所を選ぶことが大切です。
玉ねぎは、多湿の場所はもちろんのこと高温の場所も苦手です。直射日光の当たる場所はカビが生えてしまう原因にもなります。かといってじめじめとした湿度の高い日陰はNGです。風通しがよく湿度が低い直射日光の当たらない場所に干しましょう。
玉ねぎを干して水分を飛ばしておくことで、カビが生えたり水分が腐って腐敗を進めてしまうことがなくなるため、1ヶ月ほど保存することが可能です。
ただし、成長過程でりん片病などの病気にかかっていることもあります。病原体をもっている場合は正しく保存していても腐敗してしまうことがあります。中の一部が腐敗している場合は腐敗している箇所を取り除けば食べることができますが、中身全体に広まってしまっている場合は残念ですが破棄しましょう。
干している途中にカビが生えたり腐敗しているものを発見した場合は、すぐに取り除いてください。そのままにしておくと他の玉ねぎに菌の胞子が飛び腐敗させてしまう可能性があります。
玉ねぎを丸ごと乾燥保存する場合は、基本的には皮は剥かない方が良いです。玉ねぎの厚い皮には中身を紫外線や直射日光から実を守る役割をしています。特に軒先などで乾燥させる場合は皮は剥かずに乾燥させる方が良いでしょう。
丸ごと吊るして干す場所がないという場合は、皮を剥いてからスライスして天日干しすることもできます。
干している玉ねぎに直接雨が当たってしまう場合は、雨の当たらない場所に移しましょう。
雨に濡れたことが原因でカビが生えてしまったり、腐敗してしまう可能性があります。特に梅雨の季節は湿度が高く腐敗しやすいので注意が必要です。玉ねぎは濡れることに弱く、栽培中も雨量が多い季節などはカビが生えてしまったり病気になってしまうことが多いです。
雨が直接当たらない場合は、そのままでも大丈夫です。
上述したように玉ねぎは、高温に弱い野菜です。真夏のように気温が高い季節は、常温で乾燥保存するよりも冷蔵庫で保管したほうが長持ちすることがあります。
一方で玉ねぎの貯蔵最適温度は0℃で低温には強い野菜ですので、湿度に気をつければ真冬でも乾燥保存することができます。
一般的な玉ねぎとは異なり、新玉ねぎは乾燥保存には向いていません。
新玉ねぎは、温暖な地域で3~4月頃に出荷される早取りの玉ねぎのことをいいます。一般的に食べられている玉ねぎは、春に収穫された玉ねぎを一度乾燥させて保存性を高めてから出荷されています。一方で新玉ねぎは収穫された後、乾燥させずに出荷されているという違いがあります。
新玉ねぎの場合は乾燥させてしまうと逆に痛みやすくなってしまいます。新玉ねぎも湿度が多い場所に弱いという点では一般的な玉ねぎと共通していますが水分量が多く常温保存だと痛みやすいため冷蔵庫の野菜室などで保存するのが適しています。
乾燥させた玉ねぎには基本的に虫はよってこないとされていますが、ゴキブリは玉ねぎの辛味成分であるアリシンのツンとした匂いに引き寄せられてたかってしまうことがあります、玉ねぎの匂いにたかるゴキブリの習性を利用して、ゴキブリ駆除に使うホウ酸団子の材料として玉ねぎが使われているほどです。
室内に干しているとよってきてしまうことがあるので、外に干しておくのが良いでしょう。
玉ねぎをまるごと吊るして干す場所がないという場合などは、皮を剥いてからスライスして天日干しすることができ、栄養価が高まる、甘みが増す、噛みごたえが増す(いつもとは違う食感が楽しめる)、かさが減るのでたくさん食べられる(その分栄養が取れる)などのメリットがあります。きんぴらや味噌汁の具にピッタリです。
薄くスライスしてから天日干しする場合は、スライスした後にキッチンペーパーで水けをとって、重ならないようにザルに並べます。2〜3日天日干し、水分が飛んだら1週間〜2週間程度保存することができます。
天日干しできない方はオーブンで乾燥させる方法もあります。スライスした玉ねぎをクッキングシートを敷いた天板の上に並べて、100〜110℃の低温で20〜30分ゆっくり加熱します。乾燥が足りなければさらに加熱します。
レンジで乾燥させることも可能です。レンジを使う場合は、スライスした玉ねぎをキッチンペーパーを敷いた耐熱皿の上に並べて、600Wで5〜8分程度加熱します。
玉ねぎの正しい保存方法について解説します。
玉ねぎが大量にあるときは、新聞紙を敷いたダンボールにまとめて入れて新聞紙をかぶせます。新聞紙が湿ったら取り替えます。新聞紙をかぶせたら通気性が悪くなるのでは?と思うかもしれませんが、かぶせるだけなので通気性は保たれるのと、むしろ新聞紙は水けを吸収するので、こまめに取り替えれば湿度対策になります。上述したように、一つでもカビの生えた玉ねぎや腐敗している玉ねぎを見つけた場合は、すぐに取り除きましょう。
春・秋・冬は常温保存がおすすめですが、室内の湿度が上がる夏場は冷蔵庫の方がよい場合があります。夏に玉ねぎを冷蔵保存する場合は玉ねぎを紙袋に入れ、上から新聞紙を被せて冷蔵室または野菜室で保存します。
皮を剥いたりカットした野菜も常温保存することはできないため、冷蔵保存しましょう。
通常冷凍保存は保存期間を伸ばすために行いますが、玉ねぎの場合は常温保存の方が長く保存できてしまいます。しかし、保存場所に困ったときやすぐに調理で使えるようにしたい場合はやはり冷凍保存が便利です。1点注意を上げるならば、冷凍した玉ねぎはみずみずしさが失われてしまうので、サラダや和え物には向きません。加熱調理に基本的に使うようにしましょう。
玉ねぎを冷凍保存する場合は、
カットして生のまま冷凍する
カットして加熱調理してから冷凍する
丸ごと冷凍する
などの方法があります。
カットして生のまま冷凍する場合は、薄切りやくし形切り、みじん切りなど使うときを想定して好きな大きさに切り、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。サラダや和え物には向きませんので、凍ったまま煮物や炒め物などに使います。冷凍した玉ねぎは組織が壊れていて火の通りがよくなるので、飴色玉ねぎをたった5分でつくることができます。油も使う必要がないのでカロリーカットにも。ぜひお試しください。
加熱調理してから冷凍する場合は、好きな形・大きさにカットした玉ねぎを加熱し冷ましてから、小分けしラップし冷凍用保存袋に入れて冷凍します。スープやカレー、ハンバーグにおすすめです。ハンバーグで使うときは前日に冷蔵室に移して自然解凍しましょう。これだと使うときがとにかく楽チンです。
丸ごと冷凍する場合は、上下の端を切り落とし、さらに1cmほど十字に切り込みを入れます。そしてラップをし冷凍用保存袋に入れます。丸ごと冷凍玉ねぎは丸ごと頂きます。スープに丸ごと入れたり、丸ごとレンジ蒸しにしてオリーブオイルと塩をかけて食べると美味。丸ごと冷凍した玉ねぎは特に柔らかい食感になるので、それを活かして食べましょう。
新玉ねぎ以外は一定期間貯蔵されてから出荷されるので、収穫したての新鮮な玉ねぎが店頭に並ぶことはありませんが、長く保存したい場合は傷んでいない状態の良い玉ねぎを選んで購入することが大切です。
ここでは新鮮で美味しい玉ねぎの見分け方をご紹介します。
玉ねぎは球型に近いほど良質だといわれています。平らな玉ねぎは熟しすぎているため、傷みが早く長期保存ができません。丸みを帯びているものを選びましょう。
玉ねぎの皮がよく乾燥しているものが新鮮な玉ねぎのサインです。皮に傷などがなくツヤのあるものを選びましょう。
玉ねぎは収穫後に乾燥させてから出荷されます。乾燥させることにより皮が茶色くなり、この茶色い皮のおかげで玉ねぎの水分が守られ、かつ外からの湿気が入り込みにくくなっています。
手に持ったときにずっしりと重みのあるものを選びましょう。軽く感じられる玉ねぎは、中の水分が抜けていたり、中が空洞化している可能性があります。
玉ねぎの上部がぎゅっと締まっているのが新鮮な玉ねぎです。玉ねぎは上部の中心部分から傷み始めることが多いため、玉ねぎを購入する際は上部がしっかりと締まっているものを選びましょう。
玉ねぎは上部の中心部分から傷み始めることが多いため、上部がかたくてしっかりとしたものがよいです。軽く押してみて、へこまないものが新鮮な玉ねぎです。万が一へこむ場合は、すでに腐敗が進んでいる可能性が高いです。
芽が玉ねぎの上から伸びている状態だと、玉ねぎの栄養素がどんどん吸収され味が劣ります。そのため、芽の生えていない玉ねぎの方が美味しく食べることができます。
玉ねぎは、十分に球肥大した後葉が枯れ、自発休眠に入りますが、1〜3ヶ月後には休眠から覚め発根・萌芽が開始します。
仮に芽があっても、芽の部分を取り除けば問題なく食べることができます。
玉ねぎの下部のひげ根の部分にも注目してください。
ひげ根が長く伸びてしまっているものは、栄養が取られているため味が劣っています。なるべくひげ根が生えていないものを選びましょう。
葉付きの玉ねぎ(葉玉ねぎ)の場合、葉の部分が青々としているものを選びましょう。葉が枯れていたり、茶色などに変色しているものは、収穫から時間がかなり経過している可能性が高いです。
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