カレーや肉じゃが、味噌汁など様々な料理に大活躍な玉ねぎですが、どんな栄養が含まれているのでしょうか?本記事では玉ねぎの栄養と効能について解説していきます。
玉ねぎは、他の野菜と比べるとビタミンはほとんど含まれず、ミネラルも豊富ではありません。
しかし、アリシンやケルセチンなど、体に良い成分はしっかりと含まれています。特にアリシンは様々な効果があり、生活習慣病予防にも効果が期待できます。ただ、他の野菜と比べて玉ねぎに豊富に含まれるこのアリシンやケルセチン、グルタチオンの含有量は日本食品標準成分表などに記載されておらず、明確には分かりません。
アリシンは匂いや辛味成分のひとつで、硫化アリルの仲間です。玉ねぎやにんにくに多く含まれる成分です。
アリシンは糖の代謝を促し、エネルギーを生み出すビタミンB1と結びついてその効果を持続させる働きがあります。また、ビタミンB1と協力して血糖値とコレステロール値の上昇を抑え、生活習慣病予防の効果が期待されています。さらに、アリシンには抗酸化作用があるので、その点でも生活習慣病予防に役立つとされています。
また強い殺菌力による風邪予防や、アリシンの香りによる食欲増進と消化吸収上昇の効果も期待できます。その他にも血液が固まりやすくなるのを防ぐため、血栓ができにくくなります。
ケルセチンはポリフェノールの一種で、お茶や野菜に多く含まれており、黄色くてやや苦味があります。
ケルセチンは活性酸素によるダメージを防ぎ、赤血球の働きを活発にさせて、血流を改善します。活性酸素が赤血球にダメージを与えると、自由に変形できる柔軟性を失い、細い血管を通りにくくなり、正常に流れなくなります。
また、ケルセチンの働きにより、血中コレステロールと悪玉コレステロールが低くなることも分かっています。血糖値上昇を抑制する効果もあることから、高脂血症や糖尿病など生活習慣病予防の効果も期待できます。
玉ねぎに含まれる糖類は、ブドウ糖と果糖が多く、ショ糖が少し含まれています。ブドウ糖と果糖はほぼ同量です。
ブドウ糖とは自然界で最も多く存在する単糖類で、動植物が活動するためのエネルギーです。また、脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質であり欠かせない糖質です。ショ糖とはサトウキビなど様々な植物によって合成される二糖類で、ショ糖を主体とした工業的製品を総称して「砂糖」と呼ばれています。果糖とはフルーツや根菜に多く含まれている糖の一種です。
他の野菜よりもやや糖質が多ですが、芋類などに比べると少ないです。
玉ねぎのカリウムは、他の野菜と比較すると多いわけではありませんが、玉ねぎに含まれるミネラルの中では多いです。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
カルシウムは主に乳製品や、魚介、海藻に含まれており、野菜の中ではモロヘイヤや小松菜に豊富に含まれています。玉ねぎにも少量ですが含まれています。
体内の99%のカルシウムは貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料となります。骨の代謝に関わり骨の健康を保っています。
残りの1%は機能カルシウムとして、血液や筋肉、細胞内などに存在し、大切な情報の伝達を行っています。それによって筋肉のなめらかな動きをサポートしたり、精神を安定させたりします。
カルシウムが不足すると、骨が弱くなったりこむら返りを起こすことがあります。特に野菜などのカルシウムは吸収率が低いため、ビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
三大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質を指します。野菜には少ないたんぱく質や炭水化物(糖質)が主成分です。また人参は約90%が水分でできています。
生の玉ねぎ可食部100gあたり
エネルギー...33kcal
水分...90.1g
たんぱく質...1.0g
炭水化物...8.4g
脂質...0.1g
食物繊維...1.5g
です。糖質は6.9gです(炭水化物から食物繊維を引いた値)。
それぞれ可食部100gあたり
ほうれん草:カロリー18kcal、糖質0.3g
大根:カロリー15kcal、糖質2.8g
トマト:カロリー20kcal、糖質3.7g
ピーマン:カロリー22kcal、糖質1.3g
じゃがいも:カロリー59kcal、糖質8.4g
さつまいも:カロリー127kcal、糖質30.3g
です。
野菜の中で玉ねぎの糖質はやや高めであることがわかります。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
アリシンは細かく刻んで細胞を壊さないと活性化しません。そのため、みじん切りやすりおろしをした方がいいです。また活性化に時間がかかるのでみじん切りにしたあと10分ほど放置しましょう。
水にさらすとアリシンも水溶性ビタミンも流れ出てしまうので注意です。スープや煮物のときもいきなり茹でずに、まず油で軽く1分ほど炒めるとアリシンの流出を防ぐことができます。
野菜や果物の皮には内部を守るために、ポリフェノールが多く含まれています。
玉ねぎの場合は、ポリフェノールのケルセチンはもちろん、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分が全体の9割が皮に含まれています。
玉ねぎの皮は外側の茶色い表皮だけでなく、少し色がついているからと2枚目まで剥いてしまうとカルシウムは98%、マグネシウムは87%がさようならしてしまうため、剥くのは外側の茶色い表皮だけにしましょう。
玉ねぎの芯には、リンとカリウムが全体の3割含まれています。なので捨てずに芯まで食べましょう。ただし、苦味と辛味が強いので、生より加熱料理がおすすめです。炒めものやスープなどにすると食べやすいので、ぜひ調理してみてください。
玉ねぎで風邪予防をするなら、なるべく生で食べるようにしましょう。殺菌効果のある硫化アリルは熱に弱いので、加熱してしまうと効果が減少してしまいます。みじん切りにして、ビネガーやオイルに漬けておくと、食べやすさがアップするのでおすすめです。
あめ色になるまで炒めた玉ねぎは甘みが増しますよね。これは硫化アリル類が長時間加熱されることで「プロピルメルカプタン」という糖分に変化するためです。砂糖の50倍の甘さでローカロリーという点は嬉しく、多くの洋風料理の基本食材として使われているわけですが、硫化アリル類としての効果効能はほとんど失われてしまいます。そのため、硫化アリルを無駄なく摂りたいならば、サラダなど玉ねぎを生で頂くのがおすすめです。
玉ねぎを水にさらすと、硫化アリルが流れ出てしまい、栄養素として摂取できなくなります。硫化アリルは揮発性物質なので、切ってからバットに広げ、15分ほど置いておくと辛味が抑えられます。玉ねぎの辛みをとる場合は、水ではなく空気にさらしましょう。
栄養素は水溶性と脂溶性に分けられます。水溶性の栄養素はその名の通り水に溶ける性質を持っています。そのため、煮たり茹でたり、また水洗いをすることで栄養素が溶け出してしまいます。
水溶性の栄養素には、まずビタミンだとビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸など)とビタミンCがあります。せっかくじゃがいもにはビタミンCが豊富なのに溶け出してしまうのはもったいないですよね。また、ミネラルのカリウムも水溶性です。
そのため、玉ねぎはみそ汁やスープなど煮汁ごと食べられる料理がおすすめです。また、お鍋やシチューなどもいいですよね。
ケルセチンは脂溶性の栄養素です。溶けるため、油と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。油で炒めたりドレッシングなどを使うと良いです。
ワインのポリフェノールのレスベラトールと、玉ねぎの硫化アリルとケルセチンは高い抗酸化作用があります。ダブルの抗酸化作用で、老化予防が期待できます。ぜひ玉ねぎはワイン漬けにしてみてください。
当たり前ですが、購入する際に新鮮な玉ねぎを選べば、長く保存することができます。
表面の黄色い皮がしっかりと乾燥しツヤのあるもの
頭部が小さくぎゅっとつまっているもの
丸くて硬く重みがあるもの
玉ねぎは頭部から傷むので、しっかりしたものがおすすめです。新玉ねぎは水分量が多いのでカビが表面に付着していないかチェックしましょう。
詳しくは、おいしくて新鮮な玉ねぎの選び方・見分け方についてはこちらをご覧ください。
玉ねぎの可食部分は、栄養をためた葉が重なったものです。外側の皮は、収穫後に葉が乾燥して、内側の葉を守っています。
たまねぎの表面を濡らしておくと◎。ただ、目に染みる成分は硫化アリルなので、洗い流さないようにしましょう。身体に良い成分なので目に染みるのは我慢!
レタスなど切り口が茶色くなることを褐変と言います。これはポリフェノールが酸化したもので、害はないが、一部の抗酸化作用は失われてしまいます。しかし、これを玉ねぎが防止してくれます。
切ったレタスを冷蔵庫で保存するとき、すりおろしたたまねぎの近くに置くと効果的なのでぜひやってみてください。
玉ねぎをアメ色にするのって大変ですよね。でも実は、玉ねぎを飴色にする裏技があるんです。みじん切りか薄切りにしてラップに包んで一度冷凍します。冷凍することで細胞壁が壊れ、水分や辛味成分が早く飛び出し、それを炒めると10分でアメ色になるんです。ぜひ試してみてください。
玉ねぎの皮には身の30倍もケルセチンが含まれています。直接食べなくとも、だしの代わりに煮物やスープに入れるといいでしょう。
また、身は皮を剥いて1週間日光に当てるとケルセチンが4倍に増加するので、玉ねぎは日光浴させましょう。
天日干しすることで辛味も気にならなくなります。玉ねぎの風味が苦手な方は乾燥させるのもおすすめです。
玉ねぎは、繊維を断ち切るように切ることで、辛みを抑えることができます。
先端から縦方向に繊維が通っていますの、その繊維を断ち切るように垂直にカットするといいでしょう。上述したように空気にさらすだけでも辛みがおさえられるので、玉ねぎの辛みが苦手な方は、繊維を断ち切るように薄くスライスし、空気にさらしておきましょう。
普段捨ててしまう玉ねぎの皮にも栄養があることはご存知でしたか?玉ねぎの皮にはケルセチンが多く含まれています。しかし、玉ねぎの皮はそのままでは食べることができませんので、煮立たせてお茶として飲むといいですよ。
玉ねぎの皮のお茶の作り方は、
とっても簡単で、栄養を無駄なく摂取することができます。皮を剥いたらとっておきましょう。
玉ねぎに含まれるアリシンはビタミンB1の吸収率をアップさせます。ビタミンB1は炭水化物がエネルギーになるのをサポートする働きがあり、疲労回復や太りにくい体づくりに効果が期待できます。ビタミンB1が特に豊富な食品には豚肉があります。
生姜焼き定食は、ごはん(炭水化物)と豚肉(ビタミンB1)と玉ねぎ(アリシン)が含まれるので、栄養面でも理にかなっていて、最高のスタミナ料理と言えます。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠です。ご存知の方も多いかと思いますが、コラーゲンには美肌効果が期待されています。玉ねぎにも少量ですがビタミンCが含まれていますので、効果が期待できます。
玉ねぎにはビタミン類があまり含まれていません。そのため、抗酸化作用の強いビタミンAやビタミンE、他にもビタミンB群が豊富な食材と合わせるといいでしょう。また、野菜の多くはビタミンDやビタミンB12が含まれていません。栄養バランスを考えて食事をするようにしましょう。
ビタミンA(β-カロテン)は人参やかぼちゃ、ビタミンDは肉類や卵、ビタミンB12はレバーや牡蠣などに豊富に含まれています。
玉ねぎは直射日光が当たらない風通しの多い室温が低い場所(冷暗所)で、ネットで吊るして保存するのが理想的です。ポリ袋に入って売ってる場合は買ってきたらすぐに取り出します。冷蔵・冷凍保存よりも長く保存できます。玉ねぎの薄皮は剥いてしまうと乾燥を進めてしまうので、剥かずに保存します。野菜用ネットがない場合は、洗濯ネットやストッキングでも代用可能です。通気性の悪いビニール袋に入れるのはNGです。
大量にあるときは新聞紙をひいたダンボールにまとめて入れて新聞紙をかぶせます。新聞紙が湿ったら取り替えます。新聞紙をかぶせたら通気性が悪くなるのでは?と思うかもしれませんが、かぶせるだけなので通気性は保たれるのと、むしろ新聞紙は水けを吸収するので、こまめに取り替えれば湿度対策になります。
玉ねぎは冷蔵保存が必須です。薄皮を剥かず丸ごと冷蔵室で保存します。玉ねぎの保存期間は1週間ほど。玉ねぎを冷蔵保存する際は、一つずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて軽く口を締めます。キッチンペーパーで寒さから守ります。キッチンペーパーが湿ったら、取り替えるようにします。ポリ袋の口は完全に締めず、通気性を保つようにします。湿度が高い野菜室は避け、通常の冷蔵室で保存しましょう。
通年玉ねぎであってもカットしたものは常温保存できないので冷蔵保存します。使いかけはラップできっちり包み、ポリ袋に入れて口をしっかり締めます。3日ほどしか保存できないのですぐに使うようにしましょう。
最初から半分だけ使って残りを保存したい場合は、皮付きのまま切りましょう。皮付きで保存した方が乾燥しづらくみずみずしさがキープできます。
薄切りやくし形切り、みじん切りなど使うときを想定して好きな大きさに切り、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。サラダや和え物には向きませんので、凍ったまま煮物や炒め物などに使います。
また、冷凍した玉ねぎは組織が壊れていて火の通りがよくなるので、飴色玉ねぎをたった5分でつくることができます。油も使う必要がないのでカロリーカットにも。ぜひお試しください。
加熱してから冷凍する方法もあります。これだと使うときがとにかく楽チン。好きな形・大きさにカットした玉ねぎを加熱し冷ましてから、小分けしラップし冷凍用保存袋に入れて冷凍します。スープやカレー、ハンバーグにおすすめです。ハンバーグで使うときは前日に冷蔵室に移して自然解凍しましょう。
玉ねぎは丸ごと冷凍も可能!丸ごと冷凍するときは上下の端を切り落とし、さらに1cmほど十字に切り込みを入れます。そしてラップをし冷凍用保存袋に入れます。丸ごと冷凍玉ねぎは丸ごと頂きます。スープに丸ごと入れたり、丸ごとレンジ蒸しにしてオリーブオイルと塩を加えて食べると美味。丸ごと冷凍した玉ねぎは特に柔らかい食感になるので、それを活かして食べましょう。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
たっぷり玉ねぎで作る生姜焼きです。玉ねぎに含まれるアリシンは、豚肉に含まれるビタミンB1の働きを高めます。ビタミンB1は糖質がエネルギーになるのを助けます。ご飯(糖質)と生姜焼き(ビタミンB1+アリシン)の組み合わせは、スタミナアップに最適です。
豚肉と玉ねぎの生姜焼きのレシピはこちら
見た目もかわいい芽キャベツをトマトで煮込んだひと品。玉ねぎに含まれるビタミンCと、トマトに含まれるリコピンはどちらも抗酸化作用があり、相加効果が見込めます。
芽キャベツと玉ねぎのトマト煮のレシピはこちら
酢玉ねぎは1日たって、味が馴染んだら食べ頃です。加熱に弱い硫化アリルを汁ごとたっぷり頂けます。酢玉ねぎはアレンジ料理にも便利です。
酢玉ねぎのレシピはこちら
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