玉ねぎは様々な調理法で食べることができる万能野菜ですが、生で食べた方が栄養を無駄なく摂取できることをご存知でしょうか。本記事では玉ねぎを生で食べるメリットやデメリットなどを詳しく解説します。
玉ねぎを生で食べるメリットはズバリ栄養を無駄なく摂れる点です。
玉ねぎは加熱をすると辛味が軽減され甘味が出て食べやすくなるため、加熱調理をして食べるという方も多いと思いますが、これは玉ねぎの辛味成分である「硫化アリル」と呼ばれる成分が揮発してしまうためです。
硫化アリルは、様々な効果・効能が期待できる成分です。例えば、硫化アリルの一種である「アリシン」には、血栓を予防する作用があると言われています。玉ねぎを食べると血がサラサラになるといわれるのはこのためです。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがある他、動脈硬化を遅くして心臓血管障害や脳血管障害を予防すると言われています。
また、ある種の硫化アリルは胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す作用も期待できます。さらには、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり血圧を下げて高血圧を防ぐ効果があると言われています。
そのため加熱した方が食べやすくはなりますが、栄養を重視するのであれば生で食べた方が良いです。
玉ねぎは水分が多い野菜で生の状態で食べるとみずみずしくシャキシャキとした食感を楽しむことができます。食感が楽しめる玉ねぎは、サラダの具材やマリネにするのにぴったりです。
シャキシャキとした食感を楽しみたい方は、玉ねぎの繊維に沿ってカットするとよりシャキシャキとした食感になります。ちなみに生で食べるときのシャキシャキとした食感が苦手という方は、繊維を断ち切るように切るとシャキシャキとした食感が軽減されます。
反対に加熱をすると玉ねぎに含まれている水分が蒸発や、組織の破壊により食感が柔らかくなります。
玉ねぎに含まれている硫化アリルは、殺菌作用が強く刺激も強いです。そのため食べすぎると胃壁や腸内を刺激してしまい、胃痛や下痢などの症状が出ることがあります。特に胃腸が弱っているときや消化機能が未熟な小さなお子様、高齢者の方などは摂取量を控えた方がいいでしょう。
参考文献:お茶の水女子大学大学院教授 飯田薫子・関東学院大学准教授 寺本あい 監修(2019)『一生役立つきちんとわかる栄養学』西東社
玉ねぎの匂いも辛味成分である硫化アリルによるものです。
硫化アリルは摂取すると完全に分解されるまでに約16時間かかると言われています。飲み込んだ後でも胃から匂いが上ってくるため食後に歯を磨いても解消されず、いつまでも口に残っているような感じがしてしまいます。
ちなみに硫化アリルは長ネギやにんにく、らっきょうなどにも含まれている成分で、これらを食べた後に次の日まで臭うことがあるのはこのためです。
生の玉ねぎは硫化アリルの辛味が強いため、玉ねぎの甘味を感じにくいです。そのため、辛味が苦手な方や小さなお子様にとっては食べにくさを感じる原因となります。
ちなみに、加熱をした玉ねぎが甘味を増すのはこれまで辛味の元である硫化アリルと呼ばれる成分が、「プロピルメルカプタン」と呼ばれる成分に変化するためといわれてきました。しかし、最近の研究結果でこのことは否定されています。加熱によって玉ねぎの甘みが増すのは下記の3つの理由が考えられます。
辛味成分である硫化アリルの揮発によって、甘みを強く感じる
水分の蒸発によって、糖濃度が上昇する
加熱による組織の破壊や軟化により甘味を強く感じる
生で玉ねぎを食べるときの辛味を抑えたいときには、新玉ねぎや紫玉ねぎを使って調理をするのも一つの手です。
新玉ねぎは、一般的に食べられている玉ねぎよりも水分量が多く、硫化アリルの含有量は少ないため生で食べても匂いや辛味が比較的弱く、口当たりがよいです。そのため一般的な玉ねぎは苦手でも新玉ねぎの方が生で食べやすいという方は多くいます。ただし、新玉ねぎは辛味が少ないといえど個体差があり、同じ農園で育てられた新玉ねぎでも辛味が強いものもあります。辛味が強い場合は一般的な玉ねぎと同じように辛味を抜いてから食べると良いでしょう。
新玉ねぎは、温暖な地域で3~4月頃に出荷される早取りの玉ねぎのことを言います。一般的に食べられている玉ねぎは、春に収穫された玉ねぎを一度乾燥させて保存性を高めてから出荷されています。一方で新玉ねぎは収穫された後、乾燥させずに出荷されているという違いがあります。一般的な玉ねぎとは異なり茶色いパリパリとした茶色い皮がついていないので見た目でも判別することができます。
紫玉ねぎ(赤玉ねぎ)も一般的な玉ねぎと比べて苦みや辛み、刺激臭が少ない品種です。水分量も多いため、みずみずしい食感を楽しむこともできます。一般的な玉ねぎとは異なり紫色をしているのが特徴です。
玉ねぎの辛味成分である硫化アリルは、水溶性の成分です。そのため、玉ねぎの皮を剥きカットして水にさらしておくと辛味成分が流出するため、辛味を抑えることができます。
水にさらす場合は、カットした玉ねぎをボウルに入れ、玉ねぎが浸るぐらいの水を入れたら5分〜10分程浸けておきます。玉ねぎを水にさらしておくことでシャキっとした食感にすることができるというメリットもあります。
水にさらしておくだけでも効果的ですが、水に酢を加えても良いです。酢水の場合は、水300mlに対して酢を小さじ1杯入れます。酢を加えることで硫化アリルが溶けるだけでなく、酢の酸味が加わり辛みを和らげることができます。
しかし、水にさらすと硫化アリルだけではなくビタミンCなどの水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうというデメリットもあります。水にさらして辛味を抑える場合は、長い時間さらしすぎないように注意しましょう。
硫化アリルは揮発性の高い成分であるため、空気にさらしておくだけでも辛味を軽減させることができます。
空気にさらすときは、カットした玉ねぎをバットなどに並べて15分ほど置いておきます。またはラップをして冷蔵庫に1時間ほど入れておいても辛味が抜けます。
水にさらすよりも硫化アリル以外の水溶性の栄養素を残すことができるため、最も栄養素の流出を最小限に抑えられる方法であると言えます。
レンジで玉ねぎを加熱することでも硫化アリルは揮発するため辛味を軽減することができます。
レンジを使う場合は、耐熱皿の上にカットした玉ねぎを広げ、ラップをせずに600Wで30秒程加熱します。30秒でまだ食べられないほど辛味が残っている場合は、好みの辛さになるまで10秒ずつ追加で加熱をしてください。
レンジで辛味を抜く方法には、水や熱湯にさらすよりも栄養素を残せるという点があげられます。また、耐熱皿に乗せて加熱するだけなので手軽ですし、時短にもなります。
デメリットは、レンジで加熱をすることにより食感が柔らかくなってしまうことです。食感を残したい方はやはり水にさらすなどの方法が良いでしょう。
玉ねぎの繊維を断ち切るようにして切る(繊維に直角に切る)ことで揮発し辛味を軽減することができます。
まず繊維に沿って半分に切ったら、切った玉ねぎを90度傾けて玉ねぎの繊維が横になるように置いてから切ります。素早く切ると細胞が壊れ辛味が出やすいと言われているため、ゆっくり切るようにしましょう。
繊維を断ち切ることで食感も柔らかくなります。シャキシャキの食感を残したい場合は繊維に沿ってカットすると良いですが、辛味は残りやすくなります。
玉ねぎを切る時に、できるだけ薄くスライスする方が硫化アリルが揮発しやすくなります。薄くスライスすると硫化アリルが残ったとしても、体積が小さいぶん辛味を感じにくくなるというメリットがあります。
スライサーを使うのがおすすめです。玉ねぎを切ったときに涙が出るのは硫化アリルが目や鼻を刺激するためであり、薄くスライスすることで硫化アリルが気化しやすいということは涙が出やすくなるということです。そのため、包丁でカットするよりもスライサーで素早くカットした方が涙予防になります。
当たり前ですが、玉ねぎのカスが歯についたままだと口臭の原因になります。玉ねぎを食べた後は歯間ブラシなどを使って、綺麗にケアをしておくことが大切です。
ただし、上述したように硫化アリルの匂いは完全に消滅するまでに時間がかかるため、歯に玉ねぎのカスが残っていなくても胃から匂いが上ってきます。そのため歯磨きをしただけでは根本的な解決にはなりません。
科学的根拠は不明であるものの、一般的に牛乳や緑茶を飲んだりりんごを食べると硫化アリルによる口臭や体臭を軽減することができるといわれています。にんにくなどの硫化アリルが含まれる口臭対策にもなるので覚えておくと良いでしょう。
玉ねぎを生で食べる際に、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品とタンパク質が硫化アリルと結合し匂いを抑えるとされています。特に食べる前に牛乳を飲んでおくと、胃腸への刺激を緩和させてくれることが期待できるため、硫化アリルによる胃痛や腹痛を防ぐことにも繋がります。
緑茶には消臭効果があるカテキンが含まれているため、硫化アリルが含まれる食材を食べたときの匂いを軽減する効果があると言われています。
コーヒーに含まれているフラボノイドには、腸内で発生したアンモニアなどの腸内腐敗産物に複合的に働きかけ血中への吸収を妨げる効果があることが研究でわかっています。
食後にはりんごなどのポリフェノールを多く含む果物を食べると良いとされています。
ポリフェノールは硫化アリルを分解して全身にまわるのを抑制する効果があると言われています。生の玉ねぎを摂取してから硫化アリルが全身にまわるまで1時間程かかると言われているため、生の玉ねぎを食べたら食後1時間以内にりんごなどのポリフェノールを多く含む果物などを食べておくと良いでしょう。
最後に、玉ねぎを生のまま食べるおすすめのレシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
酢玉ねぎは1日経って、味が馴染んだら食べ頃です。
悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やす硫化アリル類が酢に溶け出すので、漬け汁も利用しましょう。
酢玉ねぎを使ったアレンジレシピには、酢玉ねぎのポテトサラダや焼き鮭の玉ねぎマリネがあります。
酢玉ねぎのレシピはこちら
具材たっぷりで満足度の高い一品です。副菜やおつまみとしてお楽しみください。
このレシピでは、豆乳マヨネーズ(卵不使用)を使用しています。従来のマヨネーズと比べるとあっさりとした味わいです。
じゃがいもは小さく切って茹でることで時短になります。
ポテトサラダのレシピはこちら
玉ねぎの甘みが全体に広がり、コクのあるひと皿。クセになるおいしさです。
玉ねぎに含まれるビタミンCは、鶏肉に含まれるたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。コラーゲンには美肌効果が期待できます。
ししとうは切り目を入れることで破裂を防ぎます。
ささみの玉ねぎソースのレシピはこちら
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