玉ねぎを空気にさらす理由をご存知でしょうか。玉ねぎの辛味を軽減する方法としては水にさらすことが多いと思いますが、空気にさらすだけでも軽減することができます。本記事では玉ねぎを空気にさらす方法や空気にさらす時の注意点などを詳しく解説します。
玉ねぎといえばツンとする辛味があるのが特徴の野菜ですが、辛くて食べられない・苦手という方も多いのではないでしょうか。玉ねぎの辛味は空気にさらすことで軽減することができます。
玉ねぎの辛味の正体は、「硫化アリル」と呼ばれる成分です。鼻にツンとくる独特の香りも硫化アリルによるものです。硫化アリルは玉ねぎと同じく辛味のある長ネギやニラ、らっきょうにも含まれています。
硫化アリルは揮発性の高い成分であるため、玉ねぎの皮を剥きカットして空気にさらしておくだけで揮発し、辛味が苦手な方でも食べやすくなります。
玉ねぎの辛味成分である硫化アリルは水溶性であるため、水にさらすことでも辛味を軽減することができますが、水にさらすと硫化アリル以外のビタミンCなど水溶性のビタミンも一緒に流出してしまうというデメリットがあります。そのため、できるだけ栄養価は下げたくないけど辛味は抑えたいという方には空気にさらす方法がおすすめです。
硫化アリルは、上述したように揮発性の高い成分です。そのため、玉ねぎの繊維を断ち切るようにして切る(繊維に直角に切る)ことで揮発し辛味を軽減することができます。
まず繊維に沿って半分に切ったら、切った玉ねぎを90度傾けて玉ねぎの繊維が横になるように置いてから切ります。素早く切ると細胞が壊れ辛味が出やすいといわれているため、ゆっくり切るようにしましょう。
繊維を断ち切ることで食感も柔らかくなります。シャキシャキとした食感を残したい場合は繊維に沿って切るほうが良いですが、辛味は空気にさらしても残りやすいです。好みに合わせて選びましょう。
玉ねぎを切る時に、できるだけ薄くスライスする方が硫化アリルが揮発しやすくなります。薄くスライスすると硫化アリルが残ったとしても、体積が小さいぶん辛味を感じにくくなるというメリットがあります。
包丁でカットしにくい場合は、スライサーなどを使うのもおすすめです。
玉ねぎの皮を剥いてカットしたら、ザルやボウル、タッパーなどの容器にできるだけ重ならないように並べて、ラップや蓋をせずにそのまま10分〜15分ほど置いておきます。
時間はあくまでも目安です。切り方や厚さなどにもよるので、ときどき味を見て調節すると良いでしょう。途中で空気にふれる面を変えると、辛味成分がより飛びやすくなります。
空気にさらして硫化アリルを揮発させた後、冷蔵庫に入れると玉ねぎの甘味がアップするため辛味を感じにくくなります。
玉ねぎをボウルなどに入れてラップをして1時間ほど冷蔵に入れておいても辛味成分を軽減することができます。常温に置いておくよりも時間がかかりますが、空気にさらすよりもしっかりと辛味が抜け、さらに甘味が増します。
玉ねぎを空気にさらすと辛味を軽減することができますが、水にさらすほど完全に辛味がなくなるというわけではありません。そのため、より辛味をなくして食べやすくしたいという方や小さなお子様が食べる場合には水にさらして辛味を抜いたほうが良いでしょう。
そもそも硫化アリルには、様々な効果・効能が期待できる成分です。例えば、硫化アリルの一種である「アリシン」には、血栓を予防する作用があるといわれています。玉ねぎを食べると血がサラサラになるといわれるのはこのためです。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがある他、動脈硬化を遅くして心臓血管障害や脳血管障害を予防するといわれています。
また、ある種の硫化アリルは胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す作用も期待できます。さらには、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり血圧を下げて高血圧を防ぐ効果があるといわれています。
辛味が完全になくなっていなくても食べられる、できるだけ栄養は残したいという方は空気にさらすのが良いです。
水にさらしすぎると栄養素が流出してしまうのと同じように、空気にさらしすぎると揮発性の高い栄養素は失われてしまいますので栄養価が下がってしまいます。上述したように常温で10分〜15分、冷蔵庫で1時間程を目安に様子を見ながら、さらしすぎないようにしましょう。
玉ねぎを空気にさらしておくと玉ねぎの匂いが部屋に充満します。辛味だけではなく玉ねぎの匂いが苦手という方は、換気扇を回しておくなどの対策をしておくと良いです。
冷蔵庫に入れる際は、ニオイ移りしやすい食材の近くに置かないようにしましょう。
新玉ねぎは、一般的に食べられている玉ねぎよりも水分量が多く、硫化アリルの含有量は少ないため生で食べても匂いや辛味が比較的弱く、口当たりがよいです。そのため新玉ねぎであれば辛味を抜かなくても食べやすいです。ただし、新玉ねぎは辛味が少ないといえど個体差があり、同じ農園で育てられたものでも辛味が強いものもあります。辛味を強く感じる場合は一般的な玉ねぎと同じように空気にさらすと良いでしょう。
新玉ねぎは、温暖な地域で3~4月頃に出荷される早取りの玉ねぎのことをいいます。一般的に食べられている玉ねぎは、春に収穫された玉ねぎを一度乾燥させて保存性を高めてから出荷されています。一方で新玉ねぎは収穫された後、乾燥させずに出荷されているという違いがあります。一般的な玉ねぎとは異なり茶色いパリパリとした茶色い皮がついていないので見た目でも判別することができます。
硫化アリルは熱によっても揮発し、辛味が軽減され甘味を強く感じるようになります。そのため、加熱調理をする際は空気にさらさなくとも辛味が軽減されます。
加熱をした玉ねぎの辛味が軽減され甘味を増すのは、これまで辛味の元である硫化アリルとよばれる成分が、「プロピルメルカプタン」と呼ばれる成分に変化するためといわれてきました。しかし、最近の研究結果でこのことは否定されています。加熱によって玉ねぎの甘みが増すのは下記の3の理由が考えられます。
辛味成分である硫化アリルの揮発によって、甘みを強く感じる
水分の蒸発によって、糖濃度が上昇する
加熱による組織の破壊や軟化により甘味を強く感じる。
さっと炒めるだけの場合など、調理法によっては加熱をしても辛味が残ることもあります。そういった場合は予め空気にさらして辛味を抜いておいても良いでしょう
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