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玉ねぎを水にさらす理由は?時間や切り方は?栄養は変化する?

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玉ねぎを水にさらす理由は?時間や切り方は?栄養は変化する?

レシピなどで「玉ねぎを水にさらす」という工程が入っていることがよくありますよね。本記事では玉ねぎを水にさらす理由や玉ねぎを水にさらす方法などを詳しく解説します。

玉ねぎを水にさらす理由

辛味を抜く

玉ねぎと言えばツンとする辛味があるのが特徴の野菜ですが、辛くて食べられない・苦手という方も多いのではないでしょうか。玉ねぎの辛味は水にさらすことで軽減することができます。

玉ねぎの辛味の正体は、「硫化アリル」と呼ばれる成分です。鼻にツンとくる独特の香りも硫化アリルによるものです。硫化アリルは玉ねぎと同じく辛味のある長ネギやニラ、らっきょうにも含まれています。

硫化アリルは水溶性の成分であるため、玉ねぎの皮を剥きカットして水にさらしておくと辛味成分が流出し、辛味が苦手な方でも食べやすくなります。

変色を抑える

カットした玉ねぎはポリフェノールなどが空気に触れることで酸化し、変色してしまうことがあります。これはレタスの芯やカットしたりんごが変色していくのと同じ原理であり腐敗しているわけではありませんが、やはり見た目が悪くなってしまいます。一度変色してしまった玉ねぎは元の色に戻すことができないので、サラダやマリネを作るときなど、見た目を損ないたくないとき酸化による変色を防ぐ目的で水にさらすことがあります。

食感をよくする

玉ねぎを水にさらし、玉ねぎが水分を吸収することによりシャキシャキとした食感にすることができます。そのため、サラダにする場合など食感を損ないたくないときに水にさらすことも多いです。

玉ねぎのツンとした独特の匂いも硫化アリルによるものなので、水にさらしてから調理することで匂いも軽減されて玉ねぎの旨味が引き立ちます。

玉ねぎを水にさらすデメリット

栄養が流出する

玉ねぎを水にさらして辛味を抜くと辛味が苦手な方や小さなお子様は食べやすくなりますが、玉ねぎの栄養価が下がってしまうというデメリットがあります。

辛味成分である硫化アリルは、様々な効果・効能が期待できる成分です。例えば、硫化アリルの一種である「アリシン」には、血栓を予防する作用があると言われています。玉ねぎを食べると血がサラサラになると言われるのはこのためです。また、血液中の悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きがある他、動脈硬化を遅くして心臓血管障害や脳血管障害を予防すると言われています。

また、ある種の硫化アリルは胃の中に住み着いているピロリ菌を殺す作用も期待できます。さらには、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防したり血圧を下げて高血圧を防ぐ効果があると言われています。

水にさらすことでビタミンCなどの水溶性の栄養素も硫化アリルと一緒に流出してしまうため、栄養価を下げたくない方は水にさらさずに食べるのが良いでしょう。

新玉ねぎは基本的に水にさらす必要なし

新玉ねぎは、一般的に食べられている玉ねぎよりも水分量が多く、硫化アリルの含有量は少ないため生で食べても匂いや辛味が比較的弱く、口当たりがよいです。そのため新玉ねぎであれば辛味を抜かなくても食べやすいです。

ただし、新玉ねぎは辛味が少ないといえど個体差があり、同じ農園で育てられたものでも辛味が強いものもあります。辛味を強く感じる場合は一般的な玉ねぎと同じように辛味を抜くと食べやすくなります。

新玉ねぎは、温暖な地域で3~4月頃に出荷される早取りの玉ねぎのことを言います。一般的に食べられている玉ねぎは、春に収穫された玉ねぎを一度乾燥させて保存性を高めてから出荷されています。一方で新玉ねぎは収穫された後、乾燥させずに出荷されているという違いがあります。一般的な玉ねぎとは異なり茶色いパリパリとした茶色い皮がついていないので見た目でも判別することができます。

玉ねぎの水さらしの正しい方法

切り方

繊維を断ち切るようにカット

玉ねぎの繊維を断ち切るようにカット

硫化アリルは、揮発性の高い成分です。そのため、玉ねぎの繊維を断ち切るようにして切る(繊維に直角に切る)ことで揮発し辛味を軽減することができます。

まず繊維に沿って半分に切ったら、切った玉ねぎを90度傾けて玉ねぎの繊維が横になるように置いてから切ります。素早く切ると細胞が壊れ辛味が出やすいと言われているため、ゆっくり切るようにしましょう。

繊維を断ち切ることで食感も柔らかくなります。シャキシャキの食感を残したい場合は繊維に沿ってカットすると良いですが、辛味は残りやすくなります。

スライサーで薄くカット

玉ねぎをスライサーで薄くカット

また、玉ねぎを切る時に、できるだけ薄くスライスする方が硫化アリルが揮発しやすくなります。薄くスライスすると硫化アリルが残ったとしても、体積が小さいぶん辛味を感じにくくなるというメリットがあります。

スライサーを使うのがおすすめです。玉ねぎを切ったときに涙が出るのは硫化アリルが目や鼻を刺激するためであり、薄くスライスすることで硫化アリルが気化しやすいということは涙が出やすくなるということです。そのため、包丁でカットするよりもスライサーで素早くカットした方が涙予防になります。

水に5〜10分程さらす

玉ねぎを水にさらす

カットした玉ねぎをボウルに入れ、玉ねぎが浸るぐらいの水を入れたら5分〜10分程浸けておきます。長くさらしていた方が辛味は抜けますが、栄養価も下がってしまうのでさらしすぎないようにしましょう。

玉ねぎを水にさらしておくことでシャキっとした食感にすることができるというメリットもあります。

水にさらしておくだけでも効果的ですが、水に酢を加えても良いです。酢水の場合は、水300mlに対して酢を小さじ1杯入れます。酢を加えることで硫化アリルが溶けるだけでなく、酢の酸味が加わり辛みを和らげることができます。酢を入れすぎてしまうと玉ねぎがお酢の味が強くなってしまいます。少量であれば気にならない程度ですが、入れすぎには注意しましょう。サラダやマリネにするのであればお酢の味がついてしまっていても気になりません。

ざるにあげて水けを切る

玉ねぎをザルにあげる

玉ねぎを5分〜10分水につけたら、ざるにあげて軽く水けを切ります。サラダなどに使う場合、水気を切っておかないと水っぽくなってしまいます。

水さらし以外の玉ねぎの辛味の抜き方

水にさらす以外にも玉ねぎの辛味を抜く方法があります。

空気にさらす

玉ねぎを空気にさらす

上述したように硫化アリルは揮発性の高い成分であるため、空気にさらしておくだけでも辛味を軽減させることができます。

空気にさらすときは、カットした玉ねぎをバットなどに並べて15分ほど置いておきます。またはラップをして冷蔵庫に1時間ほど入れておいても辛味が抜けます。

水にさらすよりも硫化アリル以外の水溶性の栄養素を残すことができるため、最も栄養素の流出を最小限に抑えられる方法であると言えます。

熱湯でさらし氷水で冷やす

玉ねぎを氷水で冷やす

硫化アリルは加熱することによっても揮発するため、熱湯にさらすことでも辛味を抑えることができます。

熱湯でさらすときは、熱湯をボウルに注ぎカットした玉ねぎを1分程さらした後、すぐに氷水で冷します。熱湯にさらすことでしんなりとしてしまいますが、氷水で冷やすことでシャキとした食感に戻すことができます。水や酢水にさらすよりも短時間で辛味を抜けるというメリットがあります。

デメリットはやはりその他の水溶性の栄養素も一緒に流出してしまうという点です。また、熱湯に長くさらし続けてしまうと食感が柔らかくなってしまうので、サラダなどに使う場合に物足りなくなってしまいます。

レンジ

玉ねぎを耐熱皿に広げる

レンジで玉ねぎを加熱することでも硫化アリルは揮発するため辛味を軽減することができます。

レンジを使う場合は、耐熱皿の上にカットした玉ねぎを広げ、ラップをせずに600Wで30秒程加熱します。30秒でまだ食べられないほど辛味が残っている場合は、好みの辛さになるまで10秒ずつ追加で加熱をしてください。

レンジで辛味を抜く方法には、水や熱湯にさらすよりも栄養素を残せるという点があげられます。また、耐熱皿に乗せて加熱するだけなので手軽ですし、時短にもなります。

デメリットは、レンジで加熱をすることにより食感が柔らかくなってしまうことです。食感を残したい方はやはり水にさらすなどの方法が良いでしょう。

塩もみ

玉ねぎを塩もみする

玉ねぎを塩もみすることで玉ねぎの水分が出て、それと同時に硫化アリルも流れ出るので辛味を抑えることができます。

塩もみするときは、スライス玉ねぎをザルに入れて、塩を適量(小さじ1杯程度)を振ってよく揉み込み、10分ほど放置します。その後しっかりと水洗いをし水けをキッチンペーパーで取ります。

デメリットとしては多少塩気が残ることと、水分が出ることでシャキシャキとした食感が損なわれるという点です。気になる場合は水にさらすと食感がある程度戻ります。ただし、上述したように水に漬けると硫化アリル以外の栄養素も流出してしまいますので注意が必要です。

<塩もみすると水分が出るのはなぜ?>

異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」という。玉ねぎを塩でもむと、玉ねぎの水分に塩が溶け濃い塩水ができ玉ねぎの外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、玉ねぎの内側から水分が出てくる。

砂糖もみ

「塩もみ」ではなく「砂糖もみ」をすることでも、玉ねぎの辛味を軽減することができます。

塩もみする時と同じように、スライスした玉ねぎに適量の砂糖をまぶして揉み込み、10分ほど放置します。その後、水洗いをして水けを取ります。

塩もみするよりも味がまろやかになると言われています。

熱い料理の上に乗せる

ラーメンやちゃんぽんなどの麺類のトッピングやチャーハンの薬味として入れる場合など、熱い料理の上に乗せたり混ぜ込む場合は、水にさらしたりしなくてもある程度の辛味は抜けます。

メリットとしては、適度な辛味を残しシャキシャキとした食感も損なわれないという点です。また、栄養素の流出も最小限に抑えることができます。さらに水にさらすなどの下処理をしなくても良いので時短になります。

デメリットとしてはやはり辛味が完全に抜けるわけではないという点です。そのため完全に辛味を抜きたいという方には不向きです。玉ねぎの辛味や香り、食感は残したいけれど少し辛味を抑えたいという方にはおすすめです。