人参にはカビが生えてしまうことがあります。カビが生えた人参は食べることができるのか心配になりますよね。本記事では人参にカビが生えてしまったときの対処法や人参に生えるカビの種類などを詳しく解説します。
人参の表面にフワフワとした白いホコリのようなものがついている場合や黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合はカビが生えている可能性が高いです。カビが生えてしまったら、カビが生えている部分を切って破棄し中身を確認してください。
下記のような異常が見られる場合は食べられませんので、破棄しましょう。
カビが広範囲に広がっている
柔らかくなって溶け出している
変色している
本来の人参はオレンジ色をしています。切ってみて中身全体にカビが侵食していたり、全体的に変色している、柔らかくなって溶け出している場合は腐敗してしまっています。
一度カビの生えた食品は、カビを除いてもカビの菌などが内部に入り込んでいる可能性があるため基本的には破棄する必要がありますが、人参のように固い野菜は密度が高いため表面にカビが生えただけで中身に上記のような異常が見られなければ、皮を厚めに剥きしっかりと取り除けば食べることができます。
「少し傷んでいても加熱すれば大丈夫でしょ」と考える方も多いかと思いますが、カビの菌は熱湯をかけるなどの加熱処理をしても安全に食べられるということはないので注意しましょう。
実際にはカビの菌も多くは熱に弱いといわれていますが、カビの種類によっては加熱をしても死滅しない場合があります。また、一旦カビが繁殖すると菌が死滅しても「カビ毒」を発生させることがあり、中毒症状を引き起こす可能性もあります。カビ毒は加熱で除去することはできません。
表面のみであれば皮を剥けば取り除くことで対処可能ですが、中身までカビが侵食している場合などは破棄してください。また、カビの胞子は目に見えないほど小さいため、目視では確認できなくても中まで侵食している可能性も0ではありません。心配な方や小さなお子様、高齢者が食べる場合は破棄するのが無難です。
出典:カビとカビ毒についての基礎的な情報(農林水産省)
白カビは白くふわふわとしたほこりのようなカビで、食品にできるカビで最も身近な種類です。普段は空気中に舞っていて、繁殖できる場所を見つけるとどんどん増えていきます。
人参の表面全体はもちろんのこと、水分が溜まりやすいヘタの部分にも生えやすいです。上述したように中身まで白カビが侵食している場合を除き、表面のみに白カビが生えている場合は少量であれば水洗いをすればさっと落とすことができ、皮を厚めに切って調理をすれば食べることができます。
黒カビは、クラドスポリウム属の病原菌で、170種以上いるといわれています。その中でも代表的な黒カビは、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスとクラドスポリウム・スフェロスパーマムです。黒カビも空気中に舞っていて、繁殖できる場所を見つけると一気に増えていきます。多湿の場所を好み、食べ物以外でもお風呂のサッシやエアコンの内部などに多く見られます。
人参が黒く変色するのは黒カビだけが原因ではありませんので判断が難しいですが、表面のみで中に異変が見られなければ食べることができますので、腐敗のサインが見られないかしっかりチェックするようにしましょう。ただし、黒カビは白カビとは異なり洗っても落とすことができません。黒カビ自体に毒性はありませんが、胞子が体内に入ることで気管支ぜんそくや鼻炎といったアレルギー症状が現れる場合がありますので心配な方は破棄するのが無難です。
カビが生えてしまう原因の一つは温度です。カビは20~30℃の温度で繁殖しやすくなります。人参は涼しい季節であれば常温保存することができますが、夏場などの気温が高い季節や冬場でも温度が高い室内で常温保存すると、カビが繁殖してしまう原因となりますので注意しましょう。
カビは湿度70%以上で繁殖しやすくなります。
日本は比較的湿度が高い気候で、特に梅雨の時期などは食べ物の保存には十分に注意が必要です。多湿な環境に人参を放置しておくと、カビが生えてしまいます。ただし、人参は乾燥に弱い野菜で乾燥してしまうと水分が飛んでしなしなになってしまいます。人参を保存するときは、乾燥させないよう湿度を保ちつつカビが生えないよう対策をすることが必要です。
例えば人参は、ビニールの袋に入って販売されていることも多いですが、そのまま冷蔵庫に入れてしまうと湿度がこもりカビが生えてしまうので注意しましょう。
上述したように、人参には黒カビが生えてしまうことがありますが、黒く変色する原因は黒カビだけではありません。表面の一部に黒ずみや、黒い斑点がある場合は人参に含まれているポリフェノールが酸化したことが原因で変色している可能性もあります。異臭や溶け出している箇所があるなど腐敗のサインが見られなければ、食べることができます。
ポリフェノールとは植物がもつ苦味や渋みとなる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。黒く変色させているのはアントシアニンであると考えられます。アントシアニンは元々紫色の色素で、酸性になると赤→茶色→黒と変色していく性質があります。
人参にはポリフェノールオキシターゼなどの酵素が含まれており、人参が空気中の酸素に触れることでポリフェノールが酸化し、変色してしまいます。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、人体に害がある成分ではありませんので食べても問題ありません。ただし、酸化しているということは鮮度が落ちている状態ですので、早めに食べきるようにしましょう。
人参の表面が緑色に変色している場合、一見青カビが生えているようにも見えますが、これは青カビではありません。
人参は土に埋まった状態で育っているため、収穫されて日光にあたると葉緑体が生成されて緑色に変色してしまうことがあります。これはじゃがいもにも起こる現象で、緑色になったじゃがいもは、変色した部分にソラニンやチャコニンといった天然毒素が多く含まれているためカットして食べる必要がありますが、人参には天然毒素は含まれておりませんので、食べても問題ありません。
ただし、緑色に変色している部分は固く、青臭さを強く感じることがありますので、気になる場合は変色している部分をカットして調理すると良いです。
カットしたときに人参の芯が白くなっていることがあります。白カビが生えているのではと心配になったことがある方も多いと思いますが、これは白カビではありませんし腐敗しているわけではないので食べることができます。
人参の芯が白くなってしまうのは、人参が生育する段階でミネラルなどの栄養素が外側に回ってしまうことが原因で起こる生理現象です。食べても人体に害はないので問題なく食べることができます。
また、芯が白くなってしまう原因には「とう立ち」もあります。とう立ちとは、植物が花を咲かせるために芯の部分から茎を伸ばす現象のことをいいます。とう立ちして芯が白くなってしまった人参は、花を咲かせるために根の栄養がどんどん吸い上げられている状態ですので、中心部が白くなっていきます。さらに中心部は固くなってしまいます。とう立ちがそこまで進んでいなければ食べられないこともないのですが、とう立ちが進んでいるものは固くて食べられないので残念ですが破棄しましょう。
腐敗している人参の見た目の特徴は下記の通りです。
溶け出している
汁が出ている
新鮮な人参の表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは乾燥してしまっている状態です。単に乾燥しているだけであれば食べることができますが、溶け出していたり汁が出ていたりする場合は、腐敗してしまっているので食べることはできません。
酸っぱい臭い・味
生ゴミ臭
普段私達が食べているのは、人参の根の部分です。土に埋まった状態で育っているものを掘り起こして出荷されるため、泥臭さを感じることがあります。また、野菜特有の青臭さもありますが、そこまできつい臭いのする野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
人参に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
ぬめりがある
ぶにょぶにょしていて形が崩れる
人参は比較的多くのでんぷんを含む野菜であり、でんぷんが雑菌の餌となって細菌が繁殖しぬめりが出てきてしまうことがあります。洗うことで簡単に洗い流せる程度のぬめりであれば、皮を厚めに剥けば食べられることがありますが、触るとぶにょぶにょしていてすぐに形が崩れたり、指で押した跡が残るようであれば腐敗が進んでしまっている状態ですので、破棄しましょう。
人参は冬場ならば常温保存することができます。一本ずつ新聞紙に包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーでもOKです。暑さ・湿気を嫌うので、温度が低く一定に保たれており、直射日光が当たらず、風通しがよい冷暗所で保存するようにしましょう。
土に浅く埋める方法もあります。通常の常温保存よりも長持ちします。
立てて保存するのもポイントです。野菜は育った状態に同じように保存するとストレスがかからず、長く保存できます。
キッチンペーパーが湿気ったら、こまめに替えるようにしましょう。
人参は夏場は必ず冷蔵保存します。冬場でも2〜3週間保存したい場合は冷蔵庫の野菜室にいれましょう。このときもキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて、立てて保存します。買ってきた袋のまま冷蔵するのは厳禁です!
2週間以上保存したい場合は、ヘタの部分は切ると長持ちします。にんじんのヘタの近くに生長点があり、保存期間が長くなると葉を生やそうと根の栄養分を消費してしまうためです。すぐ食べる場合はわざわざカットする必要ありません。かえって酸化が進みます。
カットした人参はラップできっちり包み、ポリ袋に入れて冷蔵保存できますが、切った野菜は傷みが早いので数日以内に使い切るようにしましょう。前述した通り、半分だけ保存する場合は先の方を保存用にします(へたの方を先に食べます)。
人参は冷凍保存することもできますが、丸ごと冷凍してしまうと使うときに不便なので、必ずカットしてから冷凍しましょう。
人参は生のまま冷凍してもOKです。使い勝手いいように、お好みでカットをしましょう。写真はいちょう切りと細切りです。切った後にキッチンペーパーで水けをしっかり拭き取って、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜き、冷凍庫へ。
冷凍する前に茹でることをブランチングといいます。ブランチングすると使うときに火の通りが早くて使い勝手がよい、以外に、変色しにくい、食感が悪くなりにくい、風味が落ちにくい、というメリットがあります。家庭用の冷凍庫は温度が急速冷凍ができませんので、ダイレクトフリージング(茹でずに冷凍)は向きません。時間がある方はなるべくブランチングするようにしましょう。
調理するときに使う切り方にします。写真では輪切りにしています。
冷凍するときは硬めに下茹でします。竹串を強く刺してやっと刺さるくらいが目安です。解凍方法ですが、基本的に冷凍したまま調理に使ってOKです。冷凍した人参は直接料理に使うと水が出るので、炒め物などで水けを嫌う料理の場合は、前日に冷蔵庫に移し自然解凍しましょう。お急ぎの場合は電子レンジを使って解凍する方法もあります。
その他にも、人参を天日干したりオーブンで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、味噌や酢などに漬けて漬け保存することもできます。詳しい人参の保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
最後に人参の大量消費におすすめのレシピを紹介します。
より詳しいレシピはこちらの記事をご覧ください。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
人参と卵で作る沖縄の家庭料理の人参しりしりです。
人参には、卵に含まれるたんぱく質がコラーゲンになるのに必要な栄養素であるビタミンCが含まれています。コラーゲンには美肌効果が期待できます。
ちなみに「しりしり」は人参をすりおろす際の音を表現する沖縄の方言といわれています。
人参しりしりのレシピはこちら
ツナと人参をトマトジュースで煮込んだ一品です。
こちらのレシピでは塩分が入っていない無塩トマトジュースを使用しています。 ツナの油はしっかりと切りましょう。
ツナと人参のトマト煮のレシピはこちら
人参の甘みが際立つかき揚げです。塩をふってシンプルな味付けでお楽しみください。
揚げ油には発煙が高いオリーブオイルを使用しています。
人参を入れたら、触らずに2〜3分揚げましょう。
人参かき揚げのレシピはこちら
すりおろした人参の甘みが美味しい人参ごはんです。
このレシピでは昆布を使用しています。昆布にはカルシウムやカリウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれています。また、食物繊維(水溶性食物繊維)も豊富なので、腸内環境改善の作用も期待できます。
人参ごはんのレシピはこちら
人参の栄養がたっぷり摂れるカレースープです。
鍋の中でブレンダーにかけると手早くポタージュが出来上がります。
人参カレーポタージュのレシピはこちら
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