保存していた人参から水分が抜けて柔らかくなった経験がある方は多いのではないでしょうか。水分が抜けて柔らかくなってしまった人参は、腐敗のサインが見られなければ食べることができます。本記事では柔らかくなってしまった人参を復活させる方法や、おすすめの調理法などを解説します。
新鮮な人参には張りがあり固いですが、保存しているとふにゃふにゃに柔らかくなってしまうことがあります。これは人参に含まれている水分が抜けてしまっている状態で、腐敗のサインが見られなければ食べることができます。
人参が固く張りがあるのは、人参の繊維が水分をしっかりと蓄えているためです。人参は収穫した後乾燥してしまうと繊維から水分が抜けて柔らかくなってしまいます。
ちなみにそのまま放置してしまうと中に空洞ができてスカスカになってしまうことがあります。この状態を「スが入る」といいます。「ス」は漢字で「鬆」と表記します。「鬆」には「あらい。ゆるい」という意味があり、骨がスカスカになりもろくなってしまう病気「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」などにも使われています。水分が抜けてしまうだけではなく、人参が育ちすぎてしまうこともスが入る原因となります。
冷凍保存していた人参が、ふにゃふにゃになってしまうことがあります。冷凍していた人参が柔らかくなってしまうのも原理は同じです。人参の繊維に蓄えられていた水分が凍り結晶化したものが、解凍することにより溶け出すことで水分が抜けて柔らかくなり、ふにゃふにゃとした柔らかい食感になってしまいます。また、水分が抜けた繊維だけが残り筋っぽっさが残ってしまうこともあります。
乾燥して水分が抜けて柔らかくなっていたり、冷凍保存することで食感が柔らかくなってしまうのは、腐敗しているわけではないので食べても問題ありません。
しかし、腐敗が進んでいることが原因で柔らかくなってしまっていることもあります。腐敗してしまっている人参は、当たり前ですが食べることができませんので残念ですが破棄しましょう。
腐敗が原因で柔らかくなってしまっている人参は、異臭がするなど腐敗のサインが見られることが多いので腐敗していないかきちんとチェックしてから判断するようにしてください。腐敗している人参のサインについては後述します。
腐敗しているわけではなく、単に水分が抜けて柔らかくなってしまった人参は復活させることができます。人手間かかりますが、シャキシャキとした食感を戻したいときにおすすめです。
柔らかくなってしまった人参は、ボウルなどの容器などに貯めた水に1日〜2日つけておきます。水につけておくことで人参が水分を吸うため、みずみずしさが復活します。
暖かい季節は常温におかず、冷蔵庫に入れておきましょう。水は何度か変えて清潔な状態を保つことも大切です。
ヘタの部分だけを水につけておく方法もあります。スペースがない場合などは、コップに入れた水にヘタの部分をつけて冷蔵庫に入れると良いです。ただし、人参全体を水につけるよりもみずみずしさが戻るまでに時間がかかります。
水につけておくことで固い状態に戻るため食感を良くすることができますが、水溶性の栄養素が流出してしまうというデメリットがあります。
人参に含まれている水溶性の栄養素には水溶性の食物繊維やカリウムなどがあります。栄養価を下げたくない方は人参の水分が抜けてしまわないよう正しく保存しておくことが大切です。人参の正しい保存方法は下記で紹介しますのでぜひ参考にしてください。
人参は冬場ならば常温保存することができます。一本ずつ新聞紙に包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーでもOKです。暑さ・湿気を嫌うので、温度が低く一定に保たれており、直射日光が当たらず、風通しがよい冷暗所で保存するようにしましょう。
土に浅く埋める方法もあります。通常の常温保存よりも長持ちします。
立てて保存するのもポイントです。野菜は育った状態に同じように保存するとストレスがかからず、長く保存できます。
キッチンペーパーが湿気ったら、こまめに替えるようにしましょう。
人参は夏場は必ず冷蔵保存します。冬場でも2〜3週間保存したい場合は冷蔵庫の野菜室にいれましょう。このときもキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて、立てて保存します。買ってきた袋のまま冷蔵するのは厳禁です!
2週間以上保存したい場合は、ヘタの部分は切ると長持ちします。にんじんのヘタの近くに生長点があり、保存期間が長くなると葉を生やそうと根の栄養分を消費してしまうためです。すぐ食べる場合はわざわざカットする必要ありません。かえって酸化が進みます。
カットした人参はラップできっちり包み、ポリ袋にいれて冷蔵保存でできますが、切った野菜は傷みが早いので数日以内に使い切るようにしましょう。前述した通り、半分だけ保存する場合は先の方を保存用にします(へたの方を先に食べます)。
人参は冷凍保存することもできますが、丸ごと冷凍してしまうと使うときに不便なので、必ずカットしてから冷凍しましょう。
人参は生のまま冷凍してもOKです。使い勝手いいように、お好みでカットをしましょう。写真はいちょう切りと細切りです。切った後にキッチンペーパーで水けをしっかり拭き取って、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜き、冷凍庫へ。
冷凍する前に茹でることをブランチングといいます。ブランチングすると使うときに火の通りが早くて使い勝手がよい、以外に、変色しにくい、食感が悪くなりにくい、風味が落ちにくい、というメリットがあります。家庭用の冷凍庫は温度が急速冷凍ができませんので、ダイレクトフリージング(茹でずに冷凍)は向きません。時間がある方はなるべくブランチングするようにしましょう。
調理するときに使う切り方にします。写真では輪切りにしています。
冷凍するときは硬めに下茹でします。竹串を強く刺してやっと刺さるくらいが目安です。解凍方法ですが、基本的に冷凍したまま調理に使ってOKです。冷凍した人参は直接料理に使うと水が出るので、炒め物などで水けを嫌う料理の場合は、前日に冷蔵庫に移し自然解凍しましょう。お急ぎの場合は電子レンジを使って解凍する方法もあります。
その他にも、人参を天日干したりオーブンで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、味噌や酢などに漬けて漬け保存することもできます。詳しい人参の保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
単に水分が抜けて柔らかくなってしまった人参は腐敗しているわけではないので食べることができますが、下記の特徴がある人参は腐敗しているため破棄するようにしましょう。
腐敗している人参の見た目の特徴は下記の通りです。
溶け出している
汁が出ている
人参の表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。人参のように固い野菜は表面のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ皮を厚めに剥けば食べることができますが、全体的にカビが生えてしまっている場合は食べることができません。カビは、カビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があるため、心配な方や高齢者、小さなお子様が食べる場合は破棄するのが無難です。
水分が抜けて全体的にシワシワになっているだけではなく、溶け出していたり汁が出ていたりする場合も腐敗してしまっているので破棄しましょう。
腐敗している人参の臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミ臭
普段私達が食べているのは、人参の根の部分です。土に埋まった状態で育っているものを掘り起こして出荷されるため、泥臭さを感じることがあります。また、野菜特有の青臭さもありますが、そこまできつい臭いのする野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
人参に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐敗している人参の感触の特徴は下記の通りです。
ぬめりがある
ぶにょぶにょしていて形が崩れる
人参は比較的多くのでんぷんを含む野菜であり、でんぷんが雑菌の餌となって細菌が繁殖しぬめりが出てきてしまうことがあります。洗うことで簡単に洗い流せる程度のぬめりであれば、皮を厚めに剥けば食べられることがありますが、触るとぶにょぶにょしていてすぐに形が崩れたり、指で押した跡が残るようであれば腐敗が進んでしまっている状態ですので、破棄しましょう。
人参はサラダにして食べることも多いですが、柔らかくなってしまった人参はシャキシャキとした食感が損なわれているため、しっかりと加熱調理をして食べると良いです。
柔らかくなっている人参は、火が通りやすく味も染み込みやすい状態となっているため、煮物にするのがおすすめです。醤油などの調味料を使って味付けをすることで、味の悪さもカバーすることができます。
味噌汁やスープなどの汁物にしても、柔らかくなってしまった人参の食感の悪さが気にならなくなります。汁物であれば、水溶性の栄養素も汁ごと一緒に摂取することができるメリットもあります。
柔らかくなった人参はすりおろして使っても食感の悪さをカバーすることができます。
また、人参に含まれているβ-カロテンは、細かくするほど増えます。大きく切った人参よりもすりおろした方がβ-カロテンの吸収率もアップするため、人参を皮つきのまますりおろすといいでしょう。
すりおろした人参はポタージュや、野菜スープやドレッシングにできます。また、オムレツやハンバーグに混ぜてもおいしいですよ。人参嫌いな子供にもおすすめです。
最後に、柔らかくなった人参を使うのにおすすめのレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
カレーのスパイスが効いた人参の煮物です。冷めても美味しく食べられるので、お弁当のおかずにもおすすめです。
柔らかくなってしまった人参は火が通りやすいので、煮物にして美味しく食べることができます。
人参のカレー煮のレシピはこちら
ひよこ豆と野菜を煮込んだスープです。
柔らかくなった人参を小さく切ってスープにすれば、美味しく食べることができます。人参の水溶性の栄養素も汁ごと摂取できるのも◎。
ひよこ豆のスープのレシピはこちら
すりおろした人参をたっぷり使ったオムレツです。
柔らかくなってしまった人参はすりおろすことで食感の悪さが目立たなくなります。人参の甘さも引き立つので◎
人参おろしのスパニッシュオムレツのレシピはこちら
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