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人参がカビ臭いけど食べられる?原因と対処法を解説

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人参がカビ臭いけど食べられる?原因と対処法を解説

人参はセリやセロリなどと同じくセリ科の植物であるため、独特の香りがしますが、カビ臭さを感じる場合はカビが生えている可能性があるので注意が必要です。本記事では人参がかび臭い原因や食べられるのかどうか、正しい保存方法などを詳しく解説します。

人参がカビ臭い原因

カビが生えている

人参がカビ臭いと感じる場合は、カビが生えている可能性があります。

人参には白カビや黒カビが生えることがあります。表面に白いふわふわとしたホコリのようなものがつくのが白カビ、黒く変色するのが黒カビです。白カビや黒カビなどのカビの胞子は目にみえないほど小さいので、カビが生えていないように見えてもカビの胞子が入り込んでいてカビの匂いがすることがあります。

カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。

土臭い(泥臭い)だけ

上述したようにカビの中には泥臭さを感じさせる種類もありますが、カビが生えているのではなく単に土臭い(泥臭い)だけということもあります。

普段私達が食べているのは、人参の「根」です。土の中で成長したものを掘り出して出荷しています。人参の場合は土汚れや泥汚れを落としてから出荷されていることが多いですが、それでも土臭さや泥臭さが残ってしまうこともあり、腐敗のサインが見られなければ食べても問題ありません。土臭い人参は、綺麗に洗ってから調理をするなどの対処法で気になりにくくなります。

酸っぱい臭いは腐敗の可能性

人参から酸っぱい臭いを感じる場合は、腐敗している可能性が高いです。

人参に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がしたりします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。

腐敗が進むと生ゴミのような臭いがすることもあります。あきらかに異臭がすると感じる場合は破棄しましょう。

カビ臭い人参は食べられる?

カビが生えている場合は中を確認

人参がカビ臭い場合は、カビが生えている箇所がないか確認しましょう。

一度カビの生えた食品は、カビを除いてもカビの菌などが内部に入り込んでいる可能性があるため基本的には破棄する必要がありますが、人参のように固い野菜は密度が高いため表面にカビが生えただけで中身に異常が見られなければ、皮を厚めに剥きしっかりと取り除けば食べることができます。

しかし、カビの胞子は目に見えないほど小さいため、カビが生えていない部分にもすでに移ってしまっている可能性もあります。カビは、カビ毒を発生させ、中毒症状を起こすこともありますので、心配な方や小さなお子様、高齢者の方などは食べるのを避けたほうが良いでしょう。

中まで侵食していたら破棄

表面にカビが生えていただけであれば取り除けば食べることができますが、カットしたときに中までカビが侵食しているようであれば食べることはできませんので、破棄しましょう。外側にカビが生えていなくても中もしっかり確認することが大切です。

カビは加熱するとどうなる?

加熱をすればカビが生えていても大丈夫なのではと思う方もいると思いますが、カビの菌は熱湯をかけるなどの加熱処理をしても安全に食べられるということはないので注意しましょう。

実際にはカビの菌も多くは熱に弱いといわれていますが、カビの種類によっては加熱をしても死滅しない場合があります。また、一旦カビが繁殖すると菌が死滅しても「カビ毒」を発生させることがあり、中毒症状を引き起こす可能性もあります。カビ毒は加熱で除去することはできません。

そのため、加熱調理をする場合もしっかりとカビを取り除いておく必要があります。カビ臭いけれどカビが発生している場所が確認できない場合は、心配な方は破棄するのが無難です。

出典:カビとカビ毒についての基礎的な情報(農林水産省)

こんな変色はカビではない!

下記のような特徴がある場合は、カビが生えたのではと思う方も非常に多いのですが、カビではありません。

表面に黒ずみや斑点がある

上述したように、人参には黒カビが生えてしまうことがありますが、黒く変色する原因は黒カビだけではありません。表面の一部に黒ずみがあったり、黒い斑点がある場合は人参に含まれているポリフェノールが酸化して変色することが原因で起こる「黒ずみ症」と呼ばれる生理現象である可能性があります。異臭や溶け出している部分があるなど、腐敗のサインが見られなければ食べることができます。

ポリフェノールとは植物がもつ苦味や渋みとなる化合物の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。黒く変色させているのはアントシアニンであると考えられます。アントシアニンは元々紫色の色素で、酸性になると赤→茶色→黒と変色していく性質があります。

人参にはポリフェノールオキシターゼなどの酵素が含まれており、人参が空気中の酸素に触れることでポリフェノールが酸化し、変色してしまいます。

ポリフェノールには抗酸化作用があり、人体に害がある成分ではありませんので食べても問題ありません。ただし、酸化しているということは鮮度が落ちている状態ですので、早めに食べきるようにしましょう。

表面が緑色に変色している

人参の表面が緑色に変色している場合、一見青カビが生えているようにも見えますが、これはカビではありません。

人参は土に埋まった状態で育っているため、収穫されて日光にあたると葉緑体が生成されて緑色に変色してしまうことがあります。これはじゃがいもにも起こる現象で、緑色になったじゃがいもは、変色した部分にソラニンやチャコニンといった天然毒素が多く含まれているためカットして食べる必要がありますが、人参には天然毒素は含まれておりませんので、食べても問題ありません。

ただし、緑色に変色している部分は固く、青臭さを強く感じることがありますので、気になる場合は変色している部分をカットして調理すると良いです。

カットした中心が白い

カットしたときに人参の芯が白くなっていることがあります。白カビが生えているのではと心配になったことがある方も多いと思いますが、これは白カビではありませんし腐敗しているわけではないので食べることができます。

人参の芯が白くなってしまうのは、人参が生育する段階でミネラルなどの栄養素が外側に回ってしまうことが原因で起こる生理現象です。食べても人体に害はないので問題なく食べることができます。

また、芯が白くなってしまう原因には「とう立ち」もあります。とう立ちとは、植物が花を咲かせるために芯の部分から茎を伸ばす現象のことをいいます。とう立ちして芯が白くなってしまった人参は、花を咲かせるために根の栄養がどんどん吸い上げられている状態ですので、中心部が白くなっていきます。さらに中心部は固くなってしまいます。とう立ちがそこまで進んでいなければ食べられないこともないのですが、とう立ちが進んでいるものは固くて食べられないので残念ですが破棄しましょう。

カビ臭い以外で注意すべき人参の特徴

見た目

腐敗している人参の見た目の特徴は下記の通りです。

新鮮な人参の表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは乾燥してしまっている状態です。単に乾燥しているだけであれば食べることができますが、溶け出していたり汁が出ていたりする場合は、腐敗してしまっているので食べることはできません。

臭い・味

  • 酸っぱい匂い・味

  • 生ゴミ臭

人参に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。

感触

  • ぬめりがある

  • ぶにょぶにょしていて形が崩れる

人参は比較的多くのでんぷんを含む野菜であり、でんぷんが雑菌の餌となって細菌が繁殖しぬめりが出てきてしまうことがあります。洗うことで簡単に洗い流せる程度のぬめりであれば、皮を厚めに剥けば食べられることがありますが、触るとぶにょぶにょしていてすぐに形が崩れたり、指で押した跡が残るようであれば腐敗が進んでしまっている状態ですので、破棄しましょう。

カビを生やさない人参の保存方法

常温保存

人参をキッチンペーパーに包み立てて常温保存

人参は冬場ならば常温保存することができます。一本ずつ新聞紙に包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーでもOKです。暑さ・湿気を嫌うので、温度が低く一定に保たれており、直射日光が当たらず、風通しがよい冷暗所で保存するようにしましょう。

土に浅く埋める方法もあります。通常の常温保存よりも長持ちします。

立てて保存するのもポイントです。野菜は育った状態に同じように保存するとストレスがかからず、長く保存できます。

キッチンペーパーが湿気ったら、こまめに替えるようにしましょう。

冷蔵保存

人参をキッチンペーパーで包みポリ袋に入れ立てて冷蔵保存

人参は夏場は必ず冷蔵保存します。冬場でも2〜3週間保存したい場合は冷蔵庫の野菜室にいれましょう。このときもキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて、立てて保存します。買ってきた袋のまま冷蔵するのは厳禁です!

2週間以上保存したい場合は、ヘタの部分は切ると長持ちします。にんじんのヘタの近くに生長点があり、保存期間が長くなると葉を生やそうと根の栄養分を消費してしまうためです。すぐ食べる場合はわざわざカットする必要ありません。かえって酸化が進みます。

カットした人参はラップできっちり包み、ポリ袋にいれて冷蔵保存でできますが、切った野菜は傷みが早いので数日以内に使い切るようにしましょう。前述した通り、半分だけ保存する場合は先の方を保存用にします(へたの方を先に食べます)。

冷凍保存

人参は冷凍保存することもできますが、丸ごと冷凍してしまうと使うときに不便なので、必ずカットしてから冷凍しましょう。

生のまま冷凍

人参をカットして生のままジッパー付きポリ袋に入れて冷凍

人参は生のまま冷凍してもOKです。使い勝手いいように、お好みでカットをしましょう。写真はいちょう切りと細切りです。切った後にキッチンペーパーで水けをしっかり拭き取って、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜き、冷凍庫へ。

茹でてから冷凍

人参をカットして茹でてからジッパー付きポリ袋に入れて冷凍

冷凍する前に茹でることをブランチングといいます。ブランチングすると使うときに火の通りが早くて使い勝手がよい、以外に、変色しにくい、食感が悪くなりにくい、風味が落ちにくい、というメリットがあります。家庭用の冷凍庫は温度が急速冷凍ができませんので、ダイレクトフリージング(茹でずに冷凍)は向きません。時間がある方はなるべくブランチングするようにしましょう。

調理するときに使う切り方にします。写真では輪切りにしています。

冷凍するときは硬めに下茹でします。竹串を強く刺してやっと刺さるくらいが目安です。解凍方法ですが、基本的に冷凍したまま調理に使ってOKです。冷凍した人参は直接料理に使うと水が出るので、炒め物などで水けを嫌う料理の場合は、前日に冷蔵庫に移し自然解凍しましょう。お急ぎの場合は電子レンジを使って解凍する方法もあります。

その他にも、人参を天日干したりオーブンで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、味噌や酢などに漬けて漬け保存することもできます。詳しい人参の保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。