大根を保存していたら、ふにゃふにゃ・ぶよぶよになってしまったという経験がある方は多いのではないでしょうか。腐ってしまったのではと驚いてしまいますよね。本記事では大根が柔らかくなる原因や対処法などを解説します。
大根が柔らかくなってしまう理由の一つは大根に含まれている水分が蒸発してしまうことです。大根はもともと水分を多く含む野菜で、新鮮な状態だとみずみずしくシャキっとしていますが、鮮度が落ちて水分が抜けてしまうと柔らかくふにゃふにゃになってしまいます。
保存中によくおきる現象で、腐敗しているわけではないので食べることができます。ただし、大根本来のシャキシャキとした食感は失われている状態です。
特に冷凍保存では、大根に含まれている水分が凍って結晶ができることで繊維が破壊され、解凍する際に水分が流れ出てしまうため、柔らかくなってしまいます。そのため、冷凍した大根も生食には向きません。
また、葉がついた状態の大根を購入した場合、葉をつけっぱなしで保存していると葉が根(実)の水分や養分を吸い取ってしまい柔らかくなってしまいます。
腐敗が進んだ大根は、軽く触っただけで崩れてしまうほど柔らかくなります。
上述したように保存中に水分が蒸発して柔らかくなっている場合は食べることができますが、腐敗が原因で柔らかくなっている場合は残念ですが食べることはできません。
大根の一部だけが柔らかくなっている場合、その部分を取り除いて食べるのも可能です。全体的に柔らかくなってしまっていて、かつ実が溶けるほどブヨブヨになってしまっている場合は、食べずに廃棄するようにしましょう。
大根は上部・中部・下部と3つにわけられ、それぞれ水分量が違うため固さが異なります。また、辛味成分の含有量も違うので、辛さも異なります。
最も水分量が多く辛みが少ないのは、葉に一番近い上部です。そのため、みずみずしくシャキシャキとした食感を楽しめるだけではなく甘味が強く食べやすいため、サラダなど生で食べるときに使われることが多いです。
中部は辛味成分の含有量は上部と下部の中間量で、最もやわらかいのが特徴です。大根らしい味わいと食感を楽しむことができます。
下部は最も水分量が少なく硬く、辛味成分を最も多く含みます。大根おろしにして薬味として使われることが多いです。
大根の部位別の栄養素や味、食感の違いなどは下記の記事でご紹介しています。参考にしてください。
一般的にスーパーなどで販売されている大根の多くは「青首大根」と呼ばれる、葉に近い部分が青(緑)になっているのが特徴の大根です。大根にはその他にも様々な品種があり、固さや辛味成分の含有量もそれぞれ異なります。
例えば、元々柔らかい品種には「源助大根」や「聖護院大根」などがあります。どちらも青首大根よりも丸くずんぐりした形をしているのが特徴です。
次のような特徴がある大根は腐敗している可能性が大なので、食べずに破棄するようにしましょう。
新鮮な大根は全体的に白色をなしていますが、腐敗が進むと茶色っぽい色に変色してきます。
部分的に茶色く変色している場合は、赤芯症や黒芯症などが起きている可能性があります。「症」という名がついていますが、厳密には生理現象であり、病気ではありません。湿度や温度が高いことが原因で起こる生理現象で、大根の根の中心部分が茶色っぽく変色します。この場合、変色の部分を取り除けば食べることは可能です。
また、大根が茶色く変色してしまう原因に、色素成分のポリフェノールが関係していることもあります。大根に含まれているポリフェノールが酸化すると茶色く変色することがあります。酸化している=鮮度が落ちてる状態ですので、腐っているわけではありませんが、味や食感が落ちてることがありますので、酸化する前にできるだけ早く食べるようにしましょう。
新鮮な大根の葉は鮮やかな緑色をしていますが、腐り始めると黄色く変色します。大根の葉は収穫されると土からの栄養が摂取できなくなるため、緑色を維持することができず黄色に変色してしまいます。
また、大根の葉が黄色くなっている場合、「べと病」や「黒腐病」という病気にかかっている可能性もあります。べと病は水はけや風通しが悪い環境で育った大根に発生しやすい病気で、葉に黄色や黄緑色の斑点が出ます。斑点部分の葉裏には、灰色のカビが発生します。黒腐病は、土壌汚染や種子伝染が主な原因で、葉の一部が黄色く変色します。
病気にかかった大根は、出荷時に選別され市場には出回らないことがほとんどですが、もしも葉が変色しているものがある場合は、その部分を取り除いてから調理するか、食べずに廃棄する方が安全といえます。
白の綿のようなものがカビや黒カビが生えている場合、腐っている可能性大です。特にカットした断面や皮に生えることが多いです。
カビの範囲が大根の一部だけの場合は、その部分を取り除けば食べることは可能ですが、カビの胞子は目に見えないほど小さいため、カビが生えていない部分にもすでに移ってしまっている可能性もあります。カビは、カビ毒を発生させ、中毒症状を起こすこともありますので心配な方や小さなお子様、高齢者の方などは食べるのを避けたほうが良いでしょう。
腐敗が進んだ大根は、軽く触っただけで根(実)が崩れてしまうほどブヨブヨになっています。
柔らかいからといって必ずしも腐っているというわけではありません。収穫から時間が経って鮮度が落ちた大根も柔らかくなりますが、味や食感が落ちているだけで食べること自体は可能です。
大根を全体的に触ってみて、かたさに問題がないかをチェックしましょう。大根の一部だけが柔らかくなっている場合、その部分を取り除いて食べるのも可能です。全体的に柔らかくなってしまっていて、かつ実が溶けるほどブヨブヨになってしまっている場合は、食べずに廃棄するようにしましょう。
大根が腐ると、ネバネバとしたヌメリが出始めます。これは新鮮な大根にはない症状です。
手で触るとぬるぬるとしていたり、表面には異常がないように見えてもカットしたときに切り口がぬるぬるとしている場合は腐敗がすすみ、中が腐ってしまっていることが多いです。
ヌメリが出てきた大根は、残念ですが食べずに処分する方がベターです。
腐敗がかなり進むと、大根から汁が出るようになります。
もともと大根は水分を多く含む野菜です。新鮮なうちはその水分が自ら外に出ることはありませんが、腐っている大根は中から汁が出て実も溶け出してしまいます。
このような大根は食べずに処分しましょう。
大根は元々そこまで臭いがきつくない野菜ですが、腐敗が進むと酸っぱい臭いがし始めます。腐敗具合によってはカビや生ゴミのような悪臭を放つことも。
見た目には問題がなくても、明らかにいつもと違う臭いがする場合は腐っている可能性が高いです。食べずに処分するようにしましょう。
味に異変を感じたら直ちに食べるのを止め、すべて廃棄するようにしましょう。
腐敗が原因ではなく、水分不足が原因でしなびて柔らかくなってしまった大根は復活させることができます。
やり方は簡単で、大根を皮がついたまま適当な大きさに輪切りにしてボウルに入れたら水をはって2~3時間おいておくだけです。大根が水を吸ってどんどん水分量が減っていくので、減ったらその都度水を追加してください。
煮物にする場合や切り干し大根にするときなどは、あえて復活させなくても良いですが、サラダなど生で食べるときにはひと手間かかりますが、一度水に浸けて復活させたほうがみずみずしくシャキシャキした食感を楽しむことができるのでおすすめです。
大根を使って煮物などをするときには下茹でをしてから調理をすることが多いですが、柔らかくなっている大根は下茹でをしなくてもそのまま使うことができます。
大根を下茹でをする理由の一つは、大根を柔らかくして味が染み込みやすくするためです。野菜は細胞膜と呼ばれる固い膜に覆われています。元々大根が固いのも細胞膜があるためです。主成分はペクチンと呼ばれる成分で、ペクチンには加熱すると溶ける性質があります。そのため下茹でをしておくことで柔らかくなり、おでんや煮物などを作る際にしっかりと味が染み込ませることができます。柔らかい大根は、下茹でせずにそのまま使っても味が染み込みやすい状態です。
ただし、大根を下茹でする理由は大根を柔らかくするだけではありません。アクを抜くという理由もあります。アクとは、一般的に苦味やえぐみ、渋みなど味を損ねる成分の総称です。下茹でをしてアクを取り除くことで大根そのものの旨味が引き立ち、えぐみや渋みがなくなるので料理全体の味をよくすることができます。
大根はそれほどアクが強い野菜ではなためアクを抜かなくても食べることができますが、少しでも料理の味を良くしたいという方は下茹でをしたほうが良いでしょう。
上述したように柔らかくなってしまった大根は、本来のシャキシャキとした食感が失われている状態で味も落ちていますので、生食よりも加熱調理をするのがおすすめです。
例えばふろふき大根や煮物、おでんにすると、味も染み込みやすいため悪くなってしまった味もカバーすることができます。
柔らかくなってしまった大根は、漬物にするのも良いでしょう。例えば大根を原料に作る「たくあん」は製造過程で水分を抜く工程があります。野菜を漬物にするときには食材に塩を揉み込んで水分を抜き柔らかくするので、柔らかくなってしまった大根にぴったりの料理であるといえます。
最後に大根の正しい保存方法を解説します。
丸ごと1本であれば常温での保存が可能です。常温で大根を保存した場合の保存期間目安は約1〜2ヶ月です。
大根の葉は切り落としておきます。葉元から1cmほど根を含めて切り落とし、切り落とした葉は別の方法で保存します。葉を切り落としたら、乾燥防止のために切り口(根の部分)にラップをします。全体を新聞紙で包んで、段ボールなどに入れ立てて直射日光の当たらない冷暗所で保存します。
上述したように大根の葉をつけたままで保存してしまうと、葉が根の水分と養分を吸ってしまい柔らかくなってしまいます。
大根に限らず野菜全体にいえることなのですが、育った環境と同じように保存することで、ストレスを感じることなく鮮度を保って保存することが可能になります。
カットした大根は常温保存はNG。下記でご紹介する、常温以外の方法で保存するようにしましょう。
ちなみに、切り落とした大根の葉にも栄養素がたくさん含まれていますので、捨てずに根とは別々に保存して調理に使いましょう。大根の葉の保存方法についてはこちらの記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
丸ごと1本でも室温が高ければ常温ではなく冷蔵保存がおすすめです。また、カットした大根は季節問わず常に冷蔵で保存します。
大根丸ごと1本を冷蔵で保存する場合も、常温保存時と同じように、葉を切り落とし、切り口にラップをします。大根全体を新聞紙で包み、野菜室で保存します。できれば立てて保存するのがベストです。
丸ごと1本を冷蔵保存する場合、約2週間ほど保存することができます。
丸ごと1本の大根をカットしてから保存することも可能です。また、使いかけの大根や、カットされた状態で購入した大根もこの方法で冷蔵保存します。
大根を切り分ける際は、部位ごとに味や食感が異なるため、3等分(頭・中間・先端)にカットするのがおすすめです。カットしたら全体をラップもしくはキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて口を閉じ、野菜室で立てて保存します。
カットした大根は、傷みが早いので、約1週間ほどを目安に食べきるようにしましょう。また、キッチンペーパーが湿ってきたら都度取り替えるようにしましょう。そのままにしておくとカビが生える原因となるので注意してください。
料理に合わせて乱切りやいちょう切りなどお好みの大きさにカットしてから冷蔵することも可能です。
カットした大根は冷蔵用保存袋に入れて冷蔵庫で保存します。2〜3日を目安に使い切るようにしましょう。
大根は冷凍で保存することもできます。冷凍保存期間の目安は約1ヶ月です。丸ごと1本冷凍するのは大きすぎるので、カットしてから保存するようにしましょう。
カットして生のまま冷凍するのもOKですが、解凍後の食感が変わりやすいので、すりおろしたり茹でたり、下味をつけてから保存するのがおすすめです。すりおろしたり茹でたりして冷凍しておくことで、大根が柔らかくなってしまうのも防ぐことができます。
大根の土などの汚れを落とし、皮つきのまますりおろします。軽く水けをきって冷凍用保存袋に平らになるように入れて冷凍庫へ。水分が多いので、急速冷凍機能を使って短時間で凍らせるのがポイントです。急速冷凍機能がない場合は、金属トレイを使って冷凍しましょう。
保存袋以外に、製氷器やアルミカップに入れて冷凍するのも◎です。すりおろしにすれば、解凍後の食感が変わりにくいです。大根おろしとして食べる場合は、前日に冷蔵庫にうつして自然解凍しましょう。
冷凍する前に茹でたり蒸気にあてて加熱処理することを「ブランチング」といいますが、野菜はブランチングすることで変色しづらく、食感も悪くなりづらいというメリットがあります。生のまま冷凍するよりも、食感がスカスカになりづらいです。
大根の皮を剥いて薄めのいちょう切りにし、固めに茹でます。粗熱が摂れたら冷凍用保存袋に入れて急速冷凍。剥いた皮は別に冷凍保存し、調理に使用しましょう(皮の冷凍保存方法はこのあとご紹介します)。
すでに火が通っているので、調理時間が短くて済みます。凍ったまま調理に使用してOKです。
冷凍する前に塩と砂糖をふっておくと、大根が筋っぽくならず、解凍後に味が染み込みやすくなります。
大根の皮を剥いてお好みの大きさ(細きりや輪切りなど)にし、冷凍用保存袋にいれます。そこに塩と砂糖をそれぞれ少々ふって袋ごともんでなじませます。空気を抜いて密封し冷凍庫で保存します。
凍ったまま料理に使用しましょう。
だしで煮てから冷凍するのもおすすめです。
1cmほどの輪切りにし鍋に入れ、ひたひたになるくらいのだし汁を加えます。そこに昆布1枚(5cmほど)を入れ15〜20分ほど煮ます。粗熱が取れたら、だし汁ごと保存袋に入れ冷凍します。
煮てから冷凍した大根は、凍ったままおでんや煮物などに加えて味を染み込ませましょう。なお、炒めてから冷凍するのもOKです。
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