一般的な玉ねぎは皮が茶色く実は白いですが、様々なことが要因となり変色することもあります。本記事では玉ねぎの変色について詳しく解説します。
一般的に調理に使われることが多い玉ねぎは、皮が茶色く皮を剥くと白い実が出てきますが、様々なことが原因で色が変化することがあります。
例えば、色が変化する原因としては、
カビ(黒・白・青)
天然色素「ロイコアントシアニン」(紫・ピンク)
栄養素「ケルセチン」(緑)
腐敗(茶・オレンジ色?)
加熱調理(茶)
カットしたあと(ピンク)
品種(赤玉ねぎ・白玉ねぎ)
などが挙げられます。変色すると腐ってしまったのではないかと驚く方も多いかと思いますが、腐敗のみが変色の原因というわけではありません。玉ねぎの色の変化の原因を知っておくと、食べることができるのかそうでないのか判断しやすくなります。
玉ねぎの皮(特に玉ねぎの上部)に炭のような黒い汚れが付いたように変色することがあります。これは汚れではなく黒カビで「黒カビ病」という名前が付いています。玉ねぎの表皮から数層にわたり黒色のカビが発生します。皮に発生した黒カビが、中の白い可食部分に付着することはありますが、中まで侵食することはほとんどありません。
玉ねぎの黒カビの原因は、「アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)」という病原菌です。「クロコウジカビ」とも言います。
黒カビが発生する主な原因は、高温と多湿です。玉ねぎは収穫後、保存性を高めるために貯蔵されますが、貯蔵中の温度や湿度が高い場合に発生しやすいといわれています。
ちなみに玉ねぎに付着する黒カビは、お風呂場やエアコンに発生するものとは菌の種類(クラドスポリウム)が異なります。
玉ねぎのカビは黒だけでなく、白カビや青カビが生えることもあります。
白カビを発生させるタマネギ乾腐病の原因は、「フザリウム オキシスポルム フォルマスペシャーリス セペ(Fusarium oxysporum f.sp. cepae)」という病原菌です。土壌伝染や玉ねぎの傷の部分から侵入します。また、この病原菌は、28度前後の高温で活発に活動する性質を持っています。そのため、玉ねぎの肥大期である真夏に繁殖しやすいです。
青カビの原因はアオカビ属(ペニシリウム属)の病原菌です。アオカビ属(ペニシリウム属)には約300種類以上の菌があり、中にはゴルゴンゾーラなどのチーズの製造に用いられる青カビもあります。アオカビ属(ペニシリウム属)は低温度でも極微量の栄養物に発育しカビ臭を放ちます。青カビは、みかんやレモンなどの柑橘系や食パンなどにも発生します。
白カビや青カビも皮だけであれば取り除けば問題なく食べることができますが、中全体にカビが侵食してしまっていたりその他の異常が見られる場合は破棄しましょう。
皮を剥いたら、中が紫(ピンク)に変色していたということもあります。本来白いはずの玉ねぎの実が、紫色に変色してしまうのは「ロイコアントシアニン」と呼ばれるポリフェノールの一種であり、玉ねぎの天然色素が過剰に増えることが原因です。ロイコアントシアニンは身体に害がある成分ではないので、食べることができます。
玉ねぎは成長する過程で、光合成を行っている葉緑体が過剰な紫外線を浴びるなどのストレスを感じると、葉緑体を守るためにロイコアントシアニンを大量に生成し、紫色に変色してしまうことがあります。成長する過程で起こるものなので、正しく保存していても変色してしまうことがあります。
皮を剥いて切った玉ねぎを炒めるなどの加熱調理をすると、まれにピンクに変色することがあります。玉ねぎが加熱をしたときにピンク色に変色するのは、玉ねぎに含まれているアリシンと呼ばれる成分と油が化学反応を起こすことによるものです。この場合も問題なく食べることができます。
アリシンは玉ねぎのツンとした匂いや辛味成分の一つで、硫化アリルの仲間です。玉ねぎの他にも長ネギやニラ、らっきょうなどにも含まれています。アリシンは収穫後に増えていくので、長い期間保存していた玉ねぎを使うとピンク色になる可能性があります。
切った玉ねぎを調理をすると「酸」と反応しピンク色に変わることがあります。例えば玉ねぎの酢漬けを作るときなどです。
この場合も、腐敗しているわけではないので問題なく食べることができます。
玉ねぎの皮を剥いたときに、中が緑色になっているということは多くあります。これは、玉ねぎが日光にあたり光合成を行うことで葉緑素が作られることが原因です。この緑色の部分には「ケルセチン」と呼ばれる栄養素が多く含まれているといわれています。
じゃがいもも、日光を浴びると緑色に変色することがあります。じゃがいもの緑色の部分にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれているため、取り除く必要があります。しかし、玉ねぎの場合はじゃがいもとは異なり毒素は含まれていないため取り除く必要はありません。
玉ねぎを切ったら中が茶色く変色している場合は、腐敗している可能性があります。玉ねぎは中から傷んでいくことが多いため、皮がついている状態ではわからなくても皮を剥いて切ってみたら茶色く変色していたということはよくあります。
特に真ん中よりも外側に近い部分が茶色く柔らかくなっていたり、嫌な臭いがする場合は軟腐病(なんぷびょう)と呼ばれる細菌性の病気が原因の可能性が高いので一部分だけであってもすぐに破棄しましょう。
上部だけが茶色く変色している場合は灰色腐敗病、中心のみや一層のみが茶色く変色している場合はベト病、りん片腐敗病の可能性があります。一部分のみが変色している部分は、変色してしまった部分を取り除けば食べることができます。ただし、全体が茶色くなっている場合や軟腐病が疑われる場合は食べることができませんので判断が難しいときは破棄した方が無難です。
皮を剥いて切った玉ねぎを加熱すると茶色く変色します。加熱をした玉ねぎが茶色くなるのは、玉ねぎに含まれている糖分が、「カラメル」とアミノ酸と反応することによってできる「メラノイジン」に変化するためです。カラメルとメラノイジンは褐色であるため、玉ねぎも茶色く変色します。
ちなみに加熱をすることで辛味成分である「アリシン」が弱まるため、甘味を強く感じるようになります。茶色くなるまで加熱した玉ねぎは「飴色玉ねぎ」といわれ、オニオンスープに使ったりハンバーグに使ったりと様々な料理に使われます。
一般的な玉ねぎは皮が茶色で中身が白い「黄玉ねぎ」と呼ばれるものですが、元から色がついている品種の玉ねぎもあります。
例えば、皮が赤紫色をしている「赤玉ねぎ」があります。赤たまねぎは「紫玉ねぎ」や「レッドオニオン」ともいわれます。品種には「アーリーレッド」や「湘南レッド」や「くれない」などがあります。実は紫色と白色の層が交互に重なっています。
白玉ねぎは、春先に「新たまねぎ」として出回る皮も中身も白い玉ねぎです。一般的な玉ねぎよりも辛味が少なく柔らかいのが特徴で「サラダオニオン」とも言われます。品種には「真白」や「あいち白」などがあります。
天然色素による皮を剥いたときの変色は、玉ねぎが成長過程で受けたストレスによるものなので防ぐことは不可能です。ロイコアントシアニンの含有量は皮を剥かないとわかりませんので、生産者側にもわからず購入するときに避けることも残念ながらできません。
また、軟腐病や廃色腐敗病などの病気による変色も成長過程で病原体が入ることによって起こるものなので防ぐことは難しいです。皮を剥いて切ってみたときに病気にかかっていることがわかった場合は、あまりにひどい状態である場合は返金してもらえることもあるようなので、お店に問い合わせてみると良いでしょう。
カビによる変色や栄養素による変色は、正しく保存することである程度防ぐことが可能です。
玉ねぎは、日光を浴びたり、湿度が高い場所で保存することで、カビが増殖しやすくなります。したがって玉ねぎは直射日光が当たらない風通しの多い室温が低い場所(冷暗所)で、ネットで吊るして保存するのが理想的です。冷暗所で保管しておくことでケルセチンが生成されて緑色に変色するのを防ぐことにも繋がります。
ポリ袋に入って売ってる場合は買ってきたらすぐに取り出します。冷蔵・冷凍保存よりも長く保存できます。玉ねぎの薄皮は剥いてしまうと乾燥を進めてしまうので、剥かずに保存します。野菜用ネットがない場合は、洗濯ネットやストッキングでも代用可能です。通気性の悪いビニール袋に入れるのはNGです。
春・秋・冬は基本的に玉ねぎは常温保存しましょう。ただし、室内の湿度が上がる夏場は冷蔵庫の方がよい場合があります。通年玉ねぎは冷蔵室で2週間ほど保存できます。
カットした玉ねぎは常温保存できないので冷蔵保存します。使いかけはラップできっちり包み、ポリ袋に入れて口をしっかり締めます。ラップで包み空気に触れさせないようにすることで変色を防ぐことにも繋がります。ただし、3日ほどしか保存できないのですぐに使うようにしましょう。
加熱してから冷凍しておくと、使うときがとにかく楽チン。好きな形・大きさにカットした玉ねぎを加熱し冷ましてから、小分けしラップし冷凍用保存袋に入れて冷凍します。スープやカレー、ハンバーグにおすすめです。ハンバーグで使うときは前日に冷蔵室に移して自然解凍しましょう。
新鮮で美味しい玉ねぎの見分け方をご紹介します。
玉ねぎは球型に近いほど良質だといわれています。平らな玉ねぎは熟しすぎているため、傷みが早く長期保存ができません。丸みを帯びているものを選びましょう。
玉ねぎの皮がよく乾燥しているものが新鮮な玉ねぎのサインです。皮に傷などがなくツヤのあるものを選びましょう。
玉ねぎは収穫後に乾燥させてから出荷されます。乾燥させることにより皮が茶色くなり、この茶色い皮のおかげで玉ねぎの水分が守られ、かつ外からの湿気が入り込みにくくなっています。
手に持ったときにずっしりと重みのあるものを選びましょう。軽く感じられる玉ねぎは、中の水分が抜けていたり、中が空洞化している可能性があります。
玉ねぎの上部がぎゅっと締まっているのが新鮮な玉ねぎです。玉ねぎは上部の中心部分から傷み始めることが多いため、玉ねぎを購入する際は上部がしっかりと締まっているものを選びましょう。
玉ねぎは上部の中心部分から傷み始めることが多いため、上部がかたくてしっかりとしたものがよいです。軽く押してみて、へこまないものが新鮮な玉ねぎです。万が一へこむ場合は、すでに腐敗が進んでいる可能性が高いです。
芽が玉ねぎの上から伸びている状態だと、玉ねぎの栄養素がどんどん吸収され味が劣ります。そのため、芽の生えていない玉ねぎの方が美味しく食べることができます。
玉ねぎは、十分に球肥大した後葉が枯れ、自発休眠に入りますが、1〜3ヶ月後には休眠から覚め発根・萌芽が開始します。
仮に芽があっても、芽の部分を取り除けば問題なく食べることができます。
玉ねぎの下部のひげ根の部分にも注目してください。
ひげ根が長く伸びてしまっているものは、栄養が取られているため味が劣っています。なるべくひげ根が生えていないものを選びましょう。
葉付きの玉ねぎ(葉玉ねぎ)の場合、葉の部分が青々としているものを選びましょう。葉が枯れていたり、茶色などに変色しているものは、収穫から時間がかなり経過している可能性が高いです。
最後に、腐った玉ねぎの特徴を解説します。
中身が茶色く変色している
茶色い汁が出ている
皮に黒い炭のようなものがついている
切ったら中身がスカスカ
皮を剥いたときに中身が茶色く変色していたり、茶色い汁が出ていたら残念ですが腐敗がかなり進んでしまっています。食べずに破棄しましょう。
皮に黒や茶色のススのような斑点がある場合は、黒カビが発生してます。皮に生えているカビは、基本的には内部まで侵食することはないので、皮を剥いたら問題なく食べることが可能です。ただし、中には玉ねぎの可食部にまでカビが生えてしまっている場合もあります。カビの範囲が狭い場合は、その部分を取り除けば食べることができますが、広範囲にカビが生えている場合は食べずに処分しましょう。
玉ねぎを切ったら、実が乾燥してスカスカになっていることがあります。この場合は腐っているというわけではありませんが、水分量がかなり減っていて食感や味が劣っていますので、食べずに廃棄する方がよいでしょう。
ブヨブヨしている
全体的に柔らかい
玉ねぎは本来固い野菜ですが、腐敗が進むと実がブヨブヨと柔らかくなってしまいます。玉ねぎは中心部から傷み始めることが多いため、手で軽く触ってみてブヨブヨしていたり、全体的に柔らかさを感じたら腐っている可能性が高いです。玉ねぎ触ったときに、全体が柔らかく凹むぐらいになってしまっていたら食べずに破棄しましょう。
玉ねぎを切ってみて一部のみがブヨブヨしていたり柔らかくなっている場合は、その部分を取り除けば食べることができます。
ガスのような臭い
卵が腐ったような臭い
青臭い
玉ねぎは元々ツンとする強い香りが特徴的ですが、腐敗が進んでいる玉ねぎはさらに臭いが強くなります。ガスのような臭いや、卵が腐った時のような臭いがする場合は、玉ねぎが腐っている可能性が高いです。
また、青臭い場合は、青カビが原因である可能性があります。青カビは玉ねぎの皮や、可食部の外側に発生することが多いです。カビ自体が見えなくてもカビの菌が増殖しはじめていることがあります。
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