じゃがいもの実が全体的に黒くなってしまっている場合は腐っている可能性が高いですが、一部のみが黒くなっている場合は、その部分を除けば問題なく食べることができることがほとんどです。今回は、じゃがいもの中が黒くなってしまう原因や、切った後に黒く変色するのを防ぐ方法などを詳しく解説します。黒い部分を覗いて形がいびつになってしまったじゃがいもも美味しく食べられるレシピも合わせてご紹介します。
じゃがいもを切ったら、中身が黒く変色していまっていることがあります。結論からいうと、中が黒くても食べられる場合とそうでない場合があります。
明らかに異臭がしたり、ブヨブヨしていたりする場合は、じゃがいもが腐っている証拠ですので、食べずに廃棄する方がよいでしょう。
中身の一部のみが黒く変色してしまっている場合は、その部分を取り除けば問題なく食べられることが多いです。
腐ったじゃがいもの見分け方は、この記事の後半でご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
じゃがいもには様々な品種があります。その中に、皮が黒い「黒じゃがいも」という品種があります。
腐っているわけでも、病気なわけでもなく、皮が元々黒色です。果肉はオレンジに近い黄色で、他の普通のじゃがいもと同じように、ポテトサラダや煮物などで美味しくいただけます。
スーパーなどで見かけることは少ないですが、機会があればぜひ試してみてください。
じゃがいもの中が黒くなる原因は、生理障害か病気です。まず、じゃがいもに起きやすい生理現象を解説します。
外からの見た目には問題がなくても、じゃがいもを切った時にじゃがいもの中心が空洞になっていたり亀裂が入っていて、その部分が黒く変色していることがあります。これは菌などによる病気ではなく「中心空洞症」という生理現障害です。
中心空洞症の原因は、いもの急激な肥大によって中心部へのでんぷんなどの成長に必要な栄養素の供給が不十分な時に起こります。いもが急激に肥大する主な原因は、肥料過多や肥大時の気温、降水量、広すぎる株間などが考えられます。男爵いもなどの品種で生じやすい生理障害ですが、メークインやキタアカリなどの品種では少ない傾向にあります。
じゃがいもの生産地でセンサーによる選別が行われるため、中心空洞症になっているじゃがいもが出荷されることは多くはないのですが、稀に見分けがつかずそのまま流通してしまう場合があります。
病気にかかっているわけではありませんので、空洞や亀裂部分を取り除けば、中心空洞症のじゃがいもは食べても問題ありません。
じゃがいもを切った時に、じゃがいもの中心部に小円形または不整形に黒く変色していることがあります。変色した部分は水分を失っている状態となり、ゴムのような弾力があります。空洞になっていたり、亀裂が入っていることもあります。切ったじゃがいもを空気にさらしていると、切断面が次第に変色することもあります。
これは「黒色心腐病(こくしょくしんぐされびょう)」という生理障害です。細菌や害虫などによって生じる病気ではなく、高温状態に置かれたじゃがいもの酸素不足によって生じます。じゃがいもは、温度が高くなると活発に呼吸をします。元々、じゃがいもの内部には酸素が不足しているため、呼吸量が増えることにより酸素不足となり、内部の細菌が死滅してしまいます。酵素作用は破壊されないため、チロシナーゼが活動してチロシンがメラニン化されることによって黒く変色してしまうのです。
黒色心腐病が発生しやすい品種には、男爵いもや農林1号、ユキシロなどがあります。反対にトヨシロやワセシロなどの品種では発生が少ないです。
病気ではありませんが黒く変色している部分は避ける方がよいので、しっかりと取り除いてから調理しましょう。
黒色心腐病と同じように、じゃがいもの中心部が茶色く変色してしまっていることがあります。これは「褐色心腐病(かっしょくしんぐされびょう)」という生理障害です。
褐色心腐病の主な原因は水分不足による細胞の枯死です。じゃがいもの栽培中(肥大期)に地温が高くなることにより土壌が乾燥し、それにより水分不足となります。水分不足に陥ると細胞が枯死し、変色してしまいます。褐色心腐病はメークインや紅丸などの品種で発生しやすく、男爵いもやトヨシロ、ワセシロなどでは少ないです。
褐色心腐病の場合、変色している部分を食べても害はありませんが、心配な方は切り落として使用しましょう。
じゃがいもを切ってそのまま放置しておくと、切り口が変色します。時間が経つにつれて、ピンク→赤→茶→紫→黒と色が変化していきます。これは酸化による生理現象であり、病気ではありません。
これは、じゃがいもを切ることでアミノ酸の一種であるチロシンが空気に触れ、チロシナーゼによってチロシンが酸化され、褐色のメラニン色素が生成されるためです。また、じゃがいもの中のポリフェノール物質が、ポリフェノラーゼなどの酵素によって酸化されるのも、褐色に変わる原因となります。
病気ではありませんので、変色部分を食べても害はありませんが、心配な場合は切り落としてから食べましょう。
じゃがいもを茹でたら、じゃがいもの内部が黒くなってしまうことがあります。「水煮黒変」ということもあります。じゃがいもの品種や茹で具合などによって赤や紫っぽく見えることもあります。
これは、調理器具などより溶け出した鉄とフェノール化合物との反応によるものであり、腐っているわけではありません。
病気ではありませんので、そのまま食べても問題ありません。
病気になったじゃがいもが市場に出回るのは極めて稀ですが、家庭農園で無農薬で育てた場合などには注意する必要があります。
じゃがいもを切った時に、輪状に黒く変色していることがあります。これは、じゃがいもやわさびなどによく起こる「輪腐病(わぐされびょう)」という病気です。クラビバクター・ミシガネンシス・セペドニカスという細菌によって引き起こされます。可食部である塊茎(かいけい)だけでなく、茎や葉、根茎に発生します。
輪腐病では、維管束部が腐ります。維管束とは、根から吸い上げられた水分や栄養分が通る道管(どうかん)と、葉で作られた栄養分が通る師管(しかん)が集まって束になっているところを指します。
じゃがいもは双子葉類(最初に生えてくる葉っぱの枚数が2枚の植物)に分類され、双子葉類の維管束は輪のように並んでいるため、輪状に変色するのです。
第二次世界大戦後、アメリカから輸入されたじゃがいもによって、1950〜54年にかけて全国各地で大発生したといわれています。近年では、種芋の厳密な検査を行っているため、発生することは少なくなっています。
変色した部分は食べるのを避けるべきですが、それ以外の部分は食べても問題ありません。
じゃがいもを切ったときに、じゃがいもの上部の内部が黒く変色していることがあります。黒あし病菌という細菌によって引き起こされる病気です。
黒あし病に罹っているじゃがいもの根元の部分(茎基部)から黒変・腐敗が始まるため、「黒あし病」という名が付きました。可食部である塊茎に伝染し、腐敗が生じます。腐敗した部分は空気に触れると黒く変色します。
黒あし病は、栽培時に発見され処理されることがほとんどです。万が一購入したじゃがいもが黒あし病である場合は、黒く変色した部分を取り除けば食べることができます。
じゃがいもを切ったときに、内部に濃淡のある縞模様が生じる場合があります。これは「ゼブラチップ病」というじゃがいもの病気です。切ったじゃがいもを油で揚げた時にまだら模様が顕著化することから「ゼブラチップ」という名が付けられました。
ゼブラチップ病の原因はバクテリアです。昆虫の一種であるシリッドが媒介するリベリバクター(Liberibacter)というバクテリアによって引き起こされます。シリッドは、トマトやピーマン類にも病気をもたらします。
ゼブラチップ病であるじゃがいもは食べても害はないといわれています。
じゃがいもを切ってしばらくすると変色してしまう現象は、下記の方法で防ぐことが可能です。切ってそのまま放置するのではなく、何かしらの対策を取ることで、じゃがいもが黒く変色するのを防ぐことができ、料理の見た目もよくなります。
じゃがいもを切った後に、水や薄い食塩水にさらすことで黒く変色することを防ぐことができます。
切り口が空気と遮断され、水溶性であるチロシナーゼが切り口から溶け出して変色を防ぐことが可能です。
切ったじゃがいもは傷みが早いので、長期保存には向いていません。なるべく早めに使い切りましょう。
酢を混ぜた水にじゃがいもをつけることでも、じゃがいもの変色を防ぐことができます。
酸性にすることで、酵素の働きを抑えることができ、茹でた後に黒く変色してしまう「水煮黒変」も防ぐことができるといわれています。
じゃがいもが浸かるくらい水をいれたボウルに酢小さじ1杯程度の割合で酢水を作ります。切ったじゃがいもを10分程度つけるだけでOKです。
じゃがいもの変色を防ぐためには、冷凍保存もおすすめです。そのまま冷凍するのではなく、マッシュポテトとして冷凍すると、食感や味がそこまで劣ることはありません。
皮を剥いてひと口サイズに切って熱湯で15分ほど茹で、潰してマッシュポテトを作ります。しっかり粗熱をとってから、小分けにし平たくラップに包み、冷凍用ジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜いて冷凍します。ポリ袋に入れる前に金属トレイに乗せて急速冷凍すると、食感が損なわれにくくなります。ハムなど他の食材を入れると日持ちしなくなるので、混ぜないようにしましょう。
冷凍マッシュポテトは前日に冷蔵庫に移して自然解凍か、電子レンジで加熱して解凍します。電子レンジを使うとホクホクとした食感になります。ポテトサラダやポタージュ、コロッケなどに使えます。
じゃがいもが下記のような状態になっている場合は、腐っている可能性が高いです。腐敗が進んでしまっている場合は、食べずに廃棄しましょう。
じゃがいもの表面に白い粉の塊のようなものが付いている場合は、カビである可能性が高いです。ただし、カビを除けば、そのじゃがいもを食べることは可能です。
水洗いしてカビをしっかり洗い流し、カビが生えている部分を切って破棄します。他の部分に異常がないことを確認しましょう。
カビが広範囲に広がっていたり、実がブヨブヨしたり、悪臭がする場合は、廃棄しましょう。
腐っているというわけではありませんが、じゃがいもから芽が大量に生えている場合、食べるのは避けるべきです。
じゃがいもの芽やその周辺には、有毒物質である「ソラニン」や「チャコニン」が含まれています。ソラニンは、水にほとんど不溶で、加熱によっても分解されにくいです。そのまま食べると中毒を起こし、腹痛やめまいなどを引き起こす可能性があり、また苦味もあるため、調理の際にはきれいに取り除く必要があります。
芽が生えているところは、皮を厚く切って根元から取り除きましょう。
ちなみに、ソラニンはトマトなどにも含まれています。
じゃがいもの皮の一部が緑色に変色している場合、その部分には上記でご紹介した有毒物質「ソラニン」や「チャコニン」が多く含まれています。
緑の部分を厚く剥いて料理に使用しましょう。
じゃがいも全体が緑色に変色してしまっている場合は、有毒物質が大量に含まれている恐れがありますので、食べずに廃棄することをおすすめします。
じゃがいもから茶色い液体が出ている場合は、全体的に腐っている可能性が非常に高いです。
中身に問題がなく、表面のみ茶色い液体がついているのであれば、ビニール袋に入れたまま保管していたなど密閉された状態で保管していたことにより湿気で水滴がつき、じゃがいもについていた泥汚れと合わさって茶色い汁が出ているように見えるということが考えられます。
しかし、じゃがいもの中身から茶色い液体がにじみでているようであれば、腐敗しているので食べるのは避け、すぐに廃棄しましょう。
本来じゃがいもはほぼ無臭に近いです。明らかに異臭がする場合は、細菌が入ってしまい腐敗してしまった状態である可能性が高いため、食べるのはやめて処分しましょう。
一見、異常が見えないように見えるじゃがいもでもレンジで温めたり加熱をすると酸っぱい匂いを感じることがあります。見た目で判別できない場合は、皮を剥きカットしたじゃがいもを一度レンジで温めて匂いを確認しておくと安心です。
じゃがいもがブヨブヨしている場合、じゃがいもの水分が抜けてしまっている状態です。あまりにぶよぶよしていたり、中身がネバネバしているなどの異常が見られる場合は腐敗し始めているので食べずに処分しましょう。
じゃがいもは、芽が出はじめると芋から芽に栄養を送るため柔らかくなってぶよぶよとしてきます。この場合は生理現象であり腐っているわけではないので、食感は悪くなりますがソラニンやチャコニンが含まれている芽を取り除くなど適切な処理をして調理すれば食べても大丈夫です。しかし、腐敗が始まっている可能性もあるので心配な方は処分することをおすすめします。
じゃがいもを食べた時に、苦味やえぐみ、舌のしびれを感じるようであれば、ただちに食べるのをやめましょう。
このような味がするのは、じゃがいもに含まれる「ポテトグリコアルカロイド」という成分が原因といわれています。ポテトグリコアルカロイドは天然毒素の一種で、食べた時に舌がピリピリしたり、苦味などを感じます。酸っぱい味がする場合も腐っている可能性が大なので、食べないようにしましょう。
最後に、じゃがいもを大量に消費できるおすすめのレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
中身が黒くなってしまったじゃがいもでも、それ以外の部分を細切りすることで美味しい一品が作れます。表面はカリカリ、中はもっちりの食感がおいしい!塩とオリーブオイルだけで作るシンプルレシピです。
じゃがいものガレットのレシピはこちら
じゃがいもとベーコンで作る揚げない春巻きです。揚げずにオリーブオイルで焼き上げた春巻きです。メインディッシュやおつまみとしてお楽しみください。
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甘塩鮭の塩けを活かして、あっさり味の煮ものに仕上げました。程よく香るガーリックが鮭とよく合います。
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じゃがいもの煮ころがしのレシピをご紹介します。簡単に作れて満足感の高い一品です。もう一品ほしいときにどうぞ。
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ブロッコリーをなめらかなポタージュ風に仕上げました。やさしい味わいの豆乳仕立てがよく合います。
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