ゴーヤの中で特に豊富な栄養素はビタミンCとカリウムです。また、ゴーヤ特有成分モモルデシンも含まれます。ビタミンCは老化防止、カリウムは食塩の排出、モモルデシンは食欲増進などの効果が期待できます。
「ゴーヤ」は沖縄で使われている呼び名です。ちなみに沖縄県内では「ゴーヤー」の方が一般的です。正式な和名は「ツルレイシ」で、通称「にがうり(苦瓜)」です。
「ツルレイシ」を略して「レイシ」と呼ばれることもありますが、「レイシ」は果実が「ライチ」と呼ばれる植物のことも指すので、混同しないようにしましょう。
ゴーヤは熟す前の未熟果を食べ、独特の苦味があります。
熱帯アジア(南アジア・東南アジア)が原産で、中国を経由して日本に伝わりました。沖縄や南九州では古くから食べられていますが、全国に普及したのは1990年代に入ってからです。
周年出回っていますが、旬は6月〜9月が旬の夏野菜です。
主な産地は沖縄県、鹿児島県、宮崎県、熊本県、群馬県です。国内で出回っているゴーヤの約3割が沖縄産です。
ゴーヤの品種群には、
あばしゴーヤ
白ゴーヤ
なめらかゴーヤ
ミニ
すずめゴーヤ
さつま大長レイシ
などがあります。
白ゴーヤは文字通り、白い色のゴーヤです。サラダゴーヤともいわれ、イボが丸く苦味が少なく生食にも向いています。
食品成分表(可食部100gあたり)
エネルギー 17kcal
水分 94.4g
たんぱく質 1.0g
炭水化物 3.9g
灰分 0.6g
カリウム 260mg
カルシウム 14mg
マグネシウム 14mg
リン 31mg
鉄 0.4mg
亜鉛 0.2mg
マンガン 0.10mg
葉酸 72μg
ビタミンC 76mg
食物繊維総量 2.6g
ゴーヤの特記すべき栄養素について解説していきます。
ゴーヤはビタミンCが特に豊富です。ゴーヤ1本でレモン3個分以上のビタミンCが含まれています。ゴーヤと同程度のビタミンCが含まれる野菜にはピーマンがあります。
ビタミンCの主な働きは、
です。
人間の体内にあるたんぱく質の1/3はコラーゲンであり、そのコラーゲンの生成にビタミンCが関与しています。コラーゲンは細胞と細胞をつなげる役割を果たし、皮膚や血管、筋肉、骨を健康な状態に保ちます。
また、ビタミンCの抗酸化作用は、日焼けやシミの原因になるメラニン色素の生成を抑制します。
さらに、ビタミンCの強い抗酸化作用は老化予防に役立つとされています。
ビタミンCは一度に大量に摂取しても余剰分は体外に排泄されてしまうため、毎食適量を摂取するのが大切です。
ゴーヤにはカリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラル類も含まれます。特にカリウムが豊富です。
カリウムの主な働きは、
です。
カリウムは腎臓で尿中へのナトリウム(食塩)排泄を促進する働きがあります。塩分の摂りすぎによるむくみなどを予防しているとされています。日本の食事は塩分が多い傾向があるのでカリウムの摂取が重視されています。
その他にも、カリウムには筋肉の収縮をゆるめる作用があります。
苦味のもとになっているモモルデシンは20種類以上のアミノ酸からなるゴーヤ特有の成分です。モモルデシンは、胃液の分泌を促し食欲を増進させる働きがあります。胃を刺激する作用があることから食べすぎると腹痛を起こす場合があるので注意が必要です。
モモルデシンには他にも肝機能を高める、血糖値をさげる、体を冷やす、インスリンの分泌を促すなどの効果も期待されています。ゴーヤの苦味成分には、モモルデシン以外にもチャランチンやコロソリン酸があり、これらも血糖値をさげる効果があると報告されています。
ゴーヤの種子に多く含まれているのが共役リノレン酸で、最近の研究では肝臓における脂肪の燃焼に関係しているといわれており、ダイエット効果が期待されています。
また、ゴーヤに含まれるたんぱく質の一種モモジンは、血圧調整や免疫力を高める効果があるといわれています。
全体的に鮮やかな緑色で、黄色く変色したり黒ずんでいない
イボにツヤとハリがあり、しっかりしている
イボが密で、欠けたりつぶれたりしていない
全体的に太く、先の方は尖っている
こぶりのわりに、ずっしりと重みがある
緑色が薄くイボが大きいものは苦味が弱いとされていますが、その分栄養も少なめです。鮮度が落ちるのが早いので、やや固めのものを選ぶのがおすすめです。
ビタミンCは、通常熱に弱く加熱調理に向きません。しかし、ゴーヤは皮が固く厚いため、加熱してもビタミンCが壊れにくく加熱調理が楽しめます。ビタミンCが豊富でかつ加熱しても壊れにくい野菜は他にもじゃがいもがあります。
また、ゴーヤに少量ですが含まれるβ-カロテンは油と一緒に摂ると吸収力があがります。
ただし、ビタミンCやカリウム、モモルデシンは水溶性なので茹でると流れ出てしまいます。加熱時間は短めにし、食感を残すように心がけましょう。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠です。そのため、鶏肉や卵などたんぱく質が豊富な食材と一緒に食べると美肌効果が期待できます。
ゴーヤの苦味成分はほとんどが果皮にあり、わたや種はあまり苦くありません。わたが苦いと勘違いされていることがありますが誤りです。
また、わたの部分には果皮の1.7倍ものビタミンCが含まれています。
口当たりが苦手な場合は取り除くのもOKですが、なるべく使うようにしましょう。
ちなみにスプーンで簡単に取れない固くなったわたは古くなっている証拠です。
栄養学の観点から、効果的な食べ合わせを紹介します。
Fily(フィリー)のレシピは、すべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
ゴーヤ料理といえばゴーヤチャンプルですよね。
ゴーヤチャンプルはたんぱく質が豊富な卵との食べ合わせであり、かつ、油を使った炒め料理です。栄養学の観点からも大変優秀な料理といえます!
塩もみすることで、ビタミンCは30%ほど失われてしまいますが、苦味が和らぎます。
ゴーヤチャンプルのレシピはこちら
ゴーヤと豚肉の組み合わせは夏バテに最適です。
上述の通りゴーヤの特有成分モモルデシンは食欲を促進する効果があり、豚肉に含まれるビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるのをサポートします。
ゴーヤの肉巻きのレシピはこちら
ゴーヤをわたごと味わうのにおすすめのレシピです。ゴーヤの美味しさをシンプルに味わうひと品です。ゴーヤはひき肉と混ざると苦味もあまり気になりません。
ゴーヤのハンバーグのレシピはこちら
その他のわたごと使うゴーヤのレシピには下記があります。
ゴーヤのわたを取り除く場合は、わただけで天ぷらにするのがおすすめです。食品ロス削減にもつながります。
ゴーヤのわたの天ぷらのレシピはこちら
ゴーヤは常温で保存することが可能です。その場合は、1本まるごと新聞紙に包み、冷暗所(直射日光があたらず、室温が0℃〜15℃に保たれている場所)で保存しましょう。夏野菜は乾燥に弱いので、新聞紙に包むのが効果的です。保存期間の目安は3〜4日です。
1週間ほどもたせたい場合は、冷蔵庫の野菜室で保存します。ゴーヤはわたから悪くなるので、縦半分に切り、わたと種をスプーンで取り除きましょう。水分をふきとり、一切れずつキッチンペーパーをかぶせ、ラップでしっかり包みます。ジッパー付きポリ袋でもよいですが、しっかり空気を抜くようにしましょう。
乾燥に極度に弱い葉物野菜などはキッチンペーパーを湿らせてからかぶせることがありますが、ゴーヤはそこまでする必要ありません。果皮に水分がたくさん付いていると、かえって傷みやすくなります。
ゴーヤはコップなどに立てて保存すると長持ちします。野菜は育ったときと同じ状態で保存するのがよく、横にすると元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が悪くなります。
1ヶ月ほど保存したい場合は、冷凍しましょう。冷凍保存には直接冷凍する(ダイレクトフリージング)と、茹でてから冷凍する(ブランチング)の2つの方法があります。家庭用冷凍庫では急速凍結(瞬間冷凍)ができないため、直接冷凍すると、味や食感が悪くなり、変色もします。茹でることでそれらを防ぐことができます。
ゴーヤもさっと茹でるか、塩もみし、縦半分に切り薄切りにしてから冷凍しましょう。ゴーヤの場合は茹でる、または塩もみすることで苦味を抑えることもできます。ただし、ビタミンCやモモルデシンなどは水溶性なので、下茹ですることで30〜40%ほどが失われてしまいます。
電子レンジや流水で解凍するのではなく、凍ったまま使うのがベストです。余計なダメージを与えず、美味しくいただけます。そのため、冷凍する前にカットしておくようにしましょう。
ゴーヤは調理してから冷蔵保存することもできます。その場合は、粗熱を取り保存容器に入れてから冷蔵庫へ入れましょう。保存期間の目安は2~3日ほどです。
ゴーヤの作り置きにおすすめなレシピは下記になります。
※上述した保存期間はあくまでも目安です。野菜の状態や気温、湿度、冷蔵庫の利用頻度などによって、腐敗の速さは変化しますので、早めに食べることを心がけましょう。
板木利隆(2008)『からだにおいしい 野菜の便利帳』高橋書店
白鳥早奈英(2009)『もっとからだにおいしい 野菜の便利帳』高橋書店
板木利隆(2016)『新・野菜の便利帳 おいしい編』高橋書店
名取貴光(2016)『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店
猪俣慶子(2012)『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版
主婦の友社(2011)『野菜まるごと大図鑑―知る!食べる!育てる』
講談社(2013)『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』
吉田企世子(2016)『旬の野菜の栄養事典』エクスナレッジ
池上文雄, 加藤光敏, 河野博, 三浦理代, 山本謙治(2018)『NHK出版 からだのための食材大全』NHK出版
徳江千代子(2015)『もっとおいしく、ながーく安心 食品の保存テク』朝日新聞出版
徳江千代子(2016)『昔ながらの知恵で簡単ストック! 食品保存の便利帳』宝島社
島本美由紀(2015)『ひと目でわかる! 食品保存事典 簡単! 長持ち! 節約!』講談社
島本美由紀(2019)『野菜保存のアイデア帖』パイインターナショナル
沼津りえ(2020)『食材保存大全』主婦の友社
食のスタジオ(2018)『おいしさ長持ち! 食品保存の便利BOOK』西東社
落合敏(2014)『新しい実践栄養学』主婦の友インフォス情報社
足立香代子(2015)『決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典』西東社
飯田薫子, 寺本あい (2019)『一生役立つ きちんとわかる栄養学』西東社
吉田企世子, 松田早苗(2021)『正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学』高橋書店
白鳥早奈英(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス
新出真理(2021)『かしこく摂って健康になる くらしに役立つ栄養学』ナツメ社
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