じゃがいもに粘り気が出ているのが気になったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではじゃがいもに粘り気が出る原因や粘り気があるじゃがいもを調理するときのポイントを紹介します。
じゃがいもに粘り気が出る原因は下記の通りです。
じゃがいもの粘り気の正体は、じゃがいもに含まれているでん粉です。
でん粉は、植物が光合成で生成したエネルギーを蓄えるために使用する多糖類で、植物の根や茎、種子に主に存在します。特にじゃがいもはデンプンを大量に含む野菜として知られています。このじゃがいものデンプンは、「馬鈴薯澱粉(ばれいしょでんぷん)」とも呼ばれています。
でん粉は水分と熱を加えると糊状になる性質があり、これが料理時のじゃがいもの特徴的な粘り気の元となります。
じゃがいものでん粉は沈殿させて取り出し、乾燥させて粉状にすると片栗粉となります。この片栗粉は、独特の透明感と強い粘り気をもたらすため、アジア料理において特に重宝される食材となっています。
食材から粘り気が出ると、腐敗してしまったのではと心配になる方も多いと思いますが、上述したようにじゃがいもの場合はでん粉によって粘り気が出る野菜なので、腐敗しているわけではありません。問題なく食べることができます。
ただし、水にさらしたり加熱していない状態で粘り気が出ていたり、糸を引くような場合は腐敗している可能性があります。その場合は食べられないので残念ですが破棄しましょう。
腐敗している場合は異臭がしたり、溶け出しているなどの異変が見られることも多いです。腐敗しているじゃがいもの特徴については後述しますのでそちらを参考にしてください。
「じゃがいも」と一口にいっても様々な品種がありますよね。実は粘り気の出方は品種によっても異なります。
一般的にスーパーなどで販売されていることが多いじゃがいもの品種は「男爵(だんしゃく)」と「メークイン」です。男爵は球形で表面は芽のくぼみが深く凹凸が多いのが特徴です。一方メークインは俵(たわら)のような楕円形で少し曲がり気味であることが多いです。表面は芽のくぼみが浅く凹凸が少ないためつるつるとしています。
男爵とメークインを比較するとメークインのほうが粘り気がでて、ねっとりとした口当たり・食感になります。これは、でん粉の含有量の違いによるものです。
男爵はでん粉含有量が高く、その特性上、加熱すると糊化し、ホクホクとした食感が得られます。一方、メークインはでん粉含有量が男爵より少ないものの、より水分を含む特性を持ちます。
でん粉が糊化する際には水分と熱が必要となり、メークインのように水分を多く含む品種はでん粉がより早く糊化しやすく、その結果として料理において粘りが出やすいという特性を持ちます。つまり、でん粉の含有量だけでなく、じゃがいもの水分含有量も粘りの出方に影響を与えるのです。
粘り気があるじゃがいもを調理するときのポイントを紹介します。
上述したように、じゃがいもの粘り気の正体はでん粉であり、人体に害を与える成分ではありません。そのため、そのまま調理をして食べても問題はありません。
でん粉は炭水化物の一種で、私たちの体がエネルギーを生成するために必要な栄養素です。それだけではなく、じゃがいもは冷えるとでん粉の一部が「レジスタントスターチ」と呼ばれる成分に変化することもあります。レジスタントスターチは、善玉菌のエサになるため、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす効果があると言われています。
粘り気が強いじゃがいものデメリットといえば、ポテトサラダやコロッケ、マッシュポテトなど潰して使う料理に使うと舌触りが悪くなってしまうという点です。ホクホクとした食感が好まれるような料理では粘り気は好まれないのです。
じゃがいもの粘り気の元になっているでん粉は、じゃがいもの細胞内に入っています。じゃがいもの細胞はペクチンという物質で結合されています。加熱によってこのペクチンが水溶化し、流動性を持つようになります。野菜を加熱すると柔らかくなるのは、加熱することでペクチンが水溶化するためです。
ペクチンに流動性があるうちは、細胞を崩すことなくじゃがいもを潰すことができるので、粘り気を抑えることができます。しかし、冷めるとペクチンの流動性が失われ、細胞同士が離れにくくなります。その結果、強く押すと細胞が壊れ、粘りが出てしまいます。
そのため、じゃがいもは「熱いうちに潰す」ことが大切です。特にメークインなど粘り気が出やすいじゃがいもを調理するときには重要なので、覚えておきましょう。
例えばフライドポテトにしたいときなどは、粘り気が出てしまうとじゃがいも同士がくっついてしまって上手く揚げられないことがあります。そういった場合は、じゃがいもを調理をする際に予め水にさらしてでん粉を落としておくことをおすすめします。
また、粘り気の原因であるでん粉は煮崩れの原因にもなります。そのため、煮物やポトフ、味噌汁にするときなども水にさらしておくと煮崩れを防止することができます。
でん粉自体は水には溶けませんが、水にさらすことで水の中に沈みます。でん粉は水に沈殿することから「殿粉(デンプン)」という名称がつきました。
ただし、水にさらしすぎてしまうと水溶性の栄養素であるビタミンCやカリウムなどが流出してしまいます。栄養の流出を最小限に抑えるためにも長時間水にさらしすぎないように注意しましょう。
粘り気のあるじゃがいもにおすすめの調理法を紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
粘り気があるじゃがいもはハッシュドポテトを作るのに適しています。
ハッシュドポテトとは、細かくカットしたじゃがいもをまとめて油で揚げるフライドポテトの一種です。
ハッシュドポテトの場合は、粘りがあったほうが細かくカットしたじゃがいもがしっかり一つにまとまります。粘りがないとバラバラになってしまって上手く揚げられないので、粘り気が強いじゃがいもにぴったりの調理法であるといえます。
ハッシュドポテトのレシピはこちら
ガレットは「円く焼いた料理」という意味のフランス料理です。
じゃがいものガレットは、細切りにしたじゃがいもを丸く並べてフライパンで焼きます。焼き上がったガレットは、じゃがいもの甘みが引き立ち、外側はカリッと焼けて、内側はふんわりとした食感に仕上がります。
ガレットの場合も細切りにしたじゃがいも同士がくっついていないと、バラバラになってしまって上手く焼き上げることができません。そのため、粘り気のあるじゃがいもを使ったほうが使いやすいです。
じゃがいものガレットのレシピはこちら
粘り気があるじゃがいもは、煮崩れしにくいので煮物料理にもピッタリです。ただし、でん粉そのものは煮崩れする原因となる成分なので、調理前に水にさらしておくのが良いでしょう。
肉じゃがなどの煮物料理はもちろんのこと、カレーやシチューなどの煮込み料理にもおすすめです。煮崩れしてしまうと口当たりがザラっとしてしまいますし、食べごたえもなくなってしまいますよね。
そのため、長時間加熱するような料理には粘り気が強いメークインなどを使うのがおすすめです。
肉じゃがのレシピはこちら
粘り気が強いじゃがいもは、細かくカットしても崩れにくいのが特徴です。そのため、炒めものなどの調理にも向いています。
炒めものにする場合は、じゃがいもに豊富に含まれているビタミンCと相乗効果が期待できる栄養素、タンパク質や鉄、ビタミンEが含まれている食材を一緒に調理するのがおすすめです。
じゃがいもと鶏ひき肉の酢しょうゆ炒めのレシピはこちら
上記で紹介したように、じゃがいもに粘り気があっても腐敗しているわけではありません。しかし、下記のような特徴があるじゃがいもは腐敗しているので、残念ですが破棄しましょう。
茶色の汁が出ている
触るとブヨブヨで柔らかい
酸っぱい臭いがする
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