人参を切ったら穴が空いていて驚いた経験がある方は多いのではないでしょうか。本記事では人参に穴が空く理由や対処法などを解説します。
人参をカットしてみたら複数の穴が空いていて驚いた経験がある方は多いのではないでしょうか。カットしたときに穴が空いている状態を「スが入る」といいます。
「ス」は漢字では「鬆」と表記します。「鬆」には「あらい。ゆるい」という意味があり、骨がスカスカになりもろくなってしまう病気「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」などにも使われています。
スが入る現象は人参以外にも、だいこんやかぶ、ごぼうなど様々な野菜に起こります。
人参は大根やごぼうなどとは異なり、スが入ると大きめの穴がいくつも空いてしまうので驚いたことがある方も多いかと思います。一見腐敗しているのではないかと心配になってしまいますが、腐敗しているわけではないので食べることができます。
ただし、鮮度が落ちているためスが入っていない人参と比較して味も食感も落ちている状態ですので早めに食べきるようにすることが大切です。鮮度が落ちた状態でそのままにしてしまうと腐敗していってしまいます。
万が一、スが入っているだけではなく異臭がするなど腐敗のサインが見られる場合は食べることができないのでその場合は残念ですが破棄してください。腐敗している人参の特徴は後述しますのでそちらを参考にしてください。
人参にスが入ってしまう原因としては、下記の2点が挙げられます。原因を知っておくことで人参にスが入ってしまうことを防ぐことができるので、紹介します。
人参にスが入ってしまう原因として、まず収穫が遅れてしまったことが考えられます。
人参に限らず根菜は、適切な収穫時期を過ぎてしまうと大きくなりすぎて中に亀裂が入り隙間ができてスカスカになったり穴が空いてしまいます。そのため、太い方がよく育っているように見えても育ち過ぎていることもあるので注意が必要です。
スーパーなどで販売されている人参の場合は収穫時期を過ぎて収穫されている人参が並ぶことはほとんどありませんが、家庭菜園で人参を栽培する場合は適切な時期に収穫するようにしましょう。
人参は収穫後も生長するため収穫が遅れてスが入っている場合、そのまま生長を続けるととう立ちしてしまうことがあります。とう立ちとは、植物が花を咲かせるために芯の部分から茎を伸ばす現象のことをいいます。とう立ちした人参は、花を咲かせるために根の栄養がどんどん吸い上げられている状態ですので、中心部が白くなっていきます。さらに中心部は固くなってしまいます。とう立ちがそこまで進んでいなければ食べられないこともないのですが、とう立ちが進んでしまうと固くて食べられなくなってしまいます。
人参にスが入ってしまうもう一つの理由は、水分不足です。
購入した人参を長く保存していると、人参に含まれている水分がなくなってしまい穴が空いてしまうことがあります。特に葉が付いた状態で販売されている人参の場合は、人参の葉がついた状態で保存してしまうと葉に水分や養分を吸収されてしまうため穴が空いてしまいます。
また、上述したように人参は収穫後も生長を続けているため、葉が付いていない状態でも芽が出てきます。芽が出てしまうと、やはり人参の水分や栄養素が吸収されてしまうため穴が空く原因になります。
水分不足にならないようにするには、正しく保存しておくことが大切です。人参の正しい保存方法については後述しますのでそちらを参考にしてください。
スが入ってしまった人参をどうすれば良いのか困ったことがある方は多いのではないでしょうか。続いてスが入った人参の対処法を紹介します。
水分不足が原因でスが入ってしまっている場合、柔らかくなってふにゃふにゃになっていることもあります。人参に限らず、野菜にピンとした張りと固さがあるの繊維にしっかりと水分が含まれているためです。そのため繊維から水分が抜けてしまうとふにゃふにゃになってしまいます。
ふにゃふにゃになってしまった人参は、水につけておくことで水分を吸い再び張りのある人参に戻ります。
ボウルなどに水を入れて人参全体を水につけるか、水を入れたコップにヘタの部分をつけておくと、1日〜2日ほどでハリが戻ります。人参全体を水につけて長時間おいてしまうと水溶性の栄養素が流出してしまうため、栄養価を下げたくない場合はヘタの部分のみをつけておくのがおすすめです。
スが入ってしまった人参は食べられるといっても見た目が悪いです。気になる場合は穴の空いてしまった部分をカットして食べると良いでしょう。
例えば輪切りにしてしまうと、穴の空いている部分が目立ってしまいます。スが入ってしまった人参の見た目は気持ちが悪いと感じる人が多いので、穴の空いた部分は目立たないようカットして使うと良いです。
細かく刻むか、すりおろして食べるのがおすすめです。細かく刻んだりすりおろすことで食感の悪さをカバーすることができます。
スが入ってしまった人参は味が落ち食感も悪くなっているため、サラダにするなど生食には不向きです。スが悪くなってしまった人参は加熱調理をして食べましょう。
人参といえばβ-カロテンが多く含まれているのが特徴で、人参のオレンジ色はβ-カロテンの色です。β-カロテンは加熱すると細胞内で溶解するため、吸収率が1.5〜2倍にアップすることがわかっています。スが入った人参を加熱調理することは、食感や味の悪さをカバーするだけではなくβ-カロテンを無駄なく摂取することができる大きなメリットもあります。
スが入った人参でも美味しく食べられるおすすめのレシピをご紹介します。
Filyのレシピはすべて小麦粉、乳製品、白砂糖不使用です。
スが入ってしまった人参は細かく刻んでハンバーグやお好み焼きに入れるのがおすすめです。人参をハンバーグやお好み焼きに入れるのはあまり一般的ではないかもしれませんが、刻んだ玉ねぎと一緒にタネに混ぜ込んで焼くと、肉の旨味と、にんじんの甘味がマッチしたひと味わいに仕上がります。
すりおろした人参を入れてもOKです。人参に含まれているβ-カロテンは、細かくするほど増えます。大きく切った人参よりもすりおろした方がβ-カロテンの吸収率もアップするため、人参を皮つきのまますりおろしてタネに加えるのが良いでしょう。
人参おろしのお好み焼きのレシピはこちらでご紹介してます。またFilyではすりおろした人参を入れたチキンハンバーグのレシピもご紹介していますので、参考にしてください。
スが入ってしまい食感が悪くなった人参は、スープにすると柔らかくなるため食べやすくなります。スープにする場合もスが入ってしまった人参は火が通りにくいため細かくカットして加えるのが良いです。
スープにすれば、茹でることで流出してしまう栄養素もそのまま摂取することができるのでメリットもあります。人参に含まれている水溶性の栄養素にはビタミンCやカリウムなどがあります。これらの栄養素をしっかりと摂取するにはスープがおすすめです。
ひよこ豆のスープのレシピはこちらでご紹介しています。
カレーやシチューといえば人参は定番の具材ですよね。カレーの具材にする場合は大きめにカットするので食感の悪さが気になりそうですが、カレーやシチューはしっかりと煮込む料理なので食感の悪さは気になりにくいです。また、スが入った人参は味が落ちていますが、カレーやシチューは味が濃いので味の悪さをカバーしてくれます。
スープと同じように水溶性の栄養素も摂取できるのも嬉しい点です。
米粉のビーフカレーのレシピはこちらでご紹介しています。
スが入っているだけであれば、腐敗しているわけではないので食べることができますが、下記の特徴がある人参は腐敗しています。
腐敗している人参の見た目の特徴は下記の通りです。
全体的にシワシワ
溶け出している
汁が出ている
人参の表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。人参のように固い野菜は表面のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ皮を厚めに剥けば食べることができますが、全体的にカビが生えてしまっている場合は食べることができません。カビは、カビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があるため、心配な方や高齢者、小さなお子様が食べる場合は破棄するのが無難です。
新鮮な人参の表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは乾燥してしまっている状態です。単に乾燥しているだけであれば食べることができますが、溶け出していたり汁が出ていたりする場合は、腐敗してしまっているので食べることはできません。
腐敗している人参の臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
生ゴミ臭
普段私達が食べているのは、人参の根の部分です。土に埋まった状態で育っているものを掘り起こして出荷されるため、泥臭さを感じることがあります。また、野菜特有の青臭さもありますが、そこまできつい臭いのする野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
人参に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐敗している人参の触感の特徴は下記の通りです。
ぬめりがある
ぶにょぶにょしていて形が崩れる
人参は比較的多くのでんぷんを含む野菜であり、でんぷんが雑菌の餌となって細菌が繁殖しぬめりが出てきてしまうことがあります。洗うことで簡単に洗い流せる程度のぬめりであれば、皮を厚めに剥けば食べられることがありますが、触るとぶにょぶにょしていてすぐに形が崩れたり、指で押した後が残るようであれば腐敗が進んでしまっている状態ですので、破棄しましょう。
人参を購入するときは、できるだけスが入っていない新鮮なものを選びたいですよね。当たり前ですが、新鮮な人参を選び購入した方が、保存したときも日持ちします。人参を選ぶ際の注目すべきポイントは下記です。
なめらかな肌のもの、でこぼこのない
肩がはっている
ひげ根の少ないもの
ひげ根の跡の間隔が均一で真っ直ぐに並んでいる
オレンジ色が濃い
根の先まで太い
また、人参の旬は秋〜冬です。冬場の人参の方が糖度が高く実も柔らかいのが特徴。生で食べる場合は旬の時期に販売されている人参にしましょう。
新鮮な人参を購入しても正しい保存方法で保存しないと、人参から水分が抜けてスが入ってしまいます。鮮度を保ち長く美味しく食べるためにも、人参を購入したら正しい保存方法で保存しましょう。
人参は冬場ならば常温保存することができます。一本ずつ新聞紙に包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーでもOKです。暑さ・湿気を嫌うので、温度が低く一定に保たれており、直射日光が当たらず、風通しがよい冷暗所で保存するようにしましょう。
土に浅く埋める方法もあります。通常の常温保存よりも長持ちします。
立てて保存するのもポイントです。野菜は育った状態に同じように保存するとストレスがかからず、長く保存できます。
キッチンペーパーが湿気ったら、こまめに替えるようにしましょう。
人参は夏場は必ず冷蔵保存します。冬場でも2〜3週間保存したい場合は冷蔵庫の野菜室に入れましょう。このときもキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて、立てて保存します。買ってきた袋のまま冷蔵するのは厳禁です!
2週間以上保存したい場合は、ヘタの部分は切ると長持ちします。にんじんのヘタの近くに生長点があり、保存期間が長くなると葉を生やそうと根の栄養分を消費してしまうためです。すぐ食べる場合はわざわざカットする必要ありません。かえって酸化が進みます。
カットした人参はラップできっちり包み、ポリ袋に入れて冷蔵保存できますが、切った野菜は傷みが早いので数日以内に使い切るようにしましょう。前述した通り、半分だけ保存する場合は先の方を保存用にします(へたの方を先に食べます)。
人参は冷凍保存することもできますが、丸ごと冷凍してしまうと使うときに不便なので、必ずカットしてから冷凍しましょう。
人参は生のまま冷凍してもOKです。使い勝手いいように、お好みでカットをしましょう。写真はいちょう切りと細切りです。切った後にキッチンペーパーで水けをしっかり拭き取って、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜き、冷凍庫へ。
冷凍する前に茹でることをブランチングといいます。ブランチングすると使うときに火の通りが早くて使い勝手がよい、以外に、変色しにくい、食感が悪くなりにくい、風味が落ちにくい、というメリットがあります。家庭用の冷凍庫は温度が急速冷凍ができませんので、ダイレクトフリージング(茹でずに冷凍)は向きません。時間がある方はなるべくブランチングするようにしましょう。
調理するときに使う切り方にします。写真では輪切りにしています。
冷凍するときは硬めに下茹でします。竹串を強く刺してやっと刺さるくらいが目安です。解凍方法ですが、基本的に冷凍したまま調理に使ってOKです。冷凍した人参は直接料理に使うと水が出るので、炒め物などで水けを嫌う料理の場合は、前日に冷蔵庫に移し自然解凍しましょう。お急ぎの場合は電子レンジを使って解凍する方法もあります。
その他にも、人参を天日干したりオーブンで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、味噌や酢などに漬けて漬け保存することもできます。詳しい人参の保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
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