大根がダイエットに不向きだと言われる理由を解説していきます。加熱した場合に大根効果はどう変化するかも紹介します。
生の大根の皮付きの根の可食部100gあたりのエネルギー量は15kcalで、糖質は2.7g(炭水化物から食物繊維を引いた値)です。水分は94.6g、たんぱく質は0.5g、炭水化物は4.1g、脂質は0.1g、食物繊維は1.4gです。
また生の大根の葉の可食部100gあたりのエネルギー量は23kcalで、糖質は1.3gです。水分は90.6g、たんぱく質は2.2g、炭水化物は5.3g、脂質は0.1g、食物繊維は4.0gです。
大根の根は約95%が水分です。その分栄養素は少ないですが、大根はたくさん食べられることから、栄養を摂取することができます。また、大根は葉の方が栄養が豊富です。
出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)
大根は水分量が多く、あまり味がしないので、味付けが濃くなりがちです。
大根の料理別カロリー(100gあたり)
大根サラダ...30kcal
ぶり大根...83kcal
大根ステーキ...117kcal
大根のきんぴら...173kcal
はりはり漬け...142kcal
きんぴらやはりはり漬けは、砂糖やみりんなど甘味料を使うためカロリーが高くなっています。
大根はそもそも栄養価が高い野菜ではありません。そのためダイエット効果のあるビタミン・ミネラル類などの栄養素の含有量が少ないです。そのため、大根自体は低カロリーですが、ダイエット食としてもあまり活躍しません。
例えばダイエット効果のある栄養素にはビタミンB群があります。ビタミンB群は炭水化物、たんぱく質、脂質のいわゆる3大栄養素をエネルギーや体の材料に変えるのをサポートする働きがあります。特にビタミンB1は糖質をエネルギーにするために多量に消費されるビタミンです。使わずに放置されると脂肪として蓄積されてしまう糖質をエネルギーに変えるので、ダイエットを効率的に行う上で大切な栄養素といえます。
大根は腹持ちがよくないので、主食の代わりにはなりません。たとえばカリフラワーであればカリフラワーライスにして主食の代わりになり、ダイエット食としても重宝されています。
しかし大根はカロリーや糖質が低くても水分ばかりでお腹に溜まらないので、たくさん食べてしまったり味付けをしてしまってダイエット効果が期待できません。
大根の根に含まれる消化酵素のアミラーゼが熱に弱いため、加熱することで破壊され効果が薄れてしまいます、栄養を活かすなら生で食べるのがベストです。さらにビタミンCやカリウムも水溶性であるため、茹でることで水に溶け出してしまいます。もし熱を通す場合は、スープなどにして汁ごと食べる方がいいでししょう。
大根の栄養を無駄なく摂るなら、皮ごと生で食べられる「大根おろし」がベストです。農薬の心配があるので皮はよく洗います。辛味成分イソチオシアネートはおろして空気に触れることで活性化します。ただし、15分ほど経つと半減してしまうので、食べる直前におろすのが大切です。
大根は酸化するのも早いです。そのため一人暮らしの人は一気に消費するのは難しく、どうしても切った大根を保存しておく必要があります。そうすると、切り口から酸化をしてしまいます。
特に大根おろしはより酸化が早いので、大根おろしを作り置きしておくとダイエットの効果がなくなってしまいます。1番は切ってすぐにサランラップなどを巻いたあとビニールバッグに入れ、空気に触れないように冷蔵庫で保存するといいでしょう。長期保存はできないので、なるべく早く食べきりましょう。
大根の葉にはβ-カロテンが豊富に含まれています。βカロテンは体内でビタミンAになりますが、体内で吸収されにくいと言われています。このβカロテンの吸収率を油がアップしてくれるので、炒めものなどにして油と一緒に食べることをおすすめします。
さらに、ビタミンKも含まれていますが、同じく脂溶性なので油炒めや良質な油を使ったドレッシングで油と一緒に食べる調理法がいいでしょう。
大根はカロリーが低いからといって「主食をすべて大根に置き換える」「食事全体を大根に置き換える」といった極端なダイエット方法はおすすめできません。
摂取カロリーが抑えられるので、一時的には体重が落ちることが期待できますが、途中で炭水化物をドカ食いしてしまいリバウンドしたり、栄養バランスが崩れて体調を崩してしまう可能性があります。また、食物繊維を摂取しすぎることで下痢になることもあります。
実は、炭水化物もダイエットに必要な栄養素で、適量ではあれば体を動かすエネルギー源になり、脂肪を燃やす役割を担います。
大根の摂取目安量は明確には定められていません。そのため淡色野菜の摂取目安量を基準にするといいでしょう。
大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜は緑色や黄色、赤色など色鮮やかな野菜=β-カロテンが豊富な野菜が分類され、それ以外の野菜が淡色野菜に分類されます。
大根は淡色野菜なのでそれを基準に考えると1日230g以上なのですが、これは他の淡色野菜も含めた目安になります。多くても100g程度が理想的です。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
ダイエットにおすすめの大根の取り入れ方は、食事の前にサラダとして食べることです。ただ、サラダで食べる際のドレッシングのカロリーが高いので、ダイエット中は注意が必要です。
ダイエットで大根をサラダとして食べるのであれば、なるべくノンオイルの低カロリーなものを選びましょう。ドレッシングに含まれる糖類にも注目しましょう。
そこでサラダに一番おすすめなのは、クセがない(熱に弱いのでサラダにおすすめな)えごま油です。オメガ3が豊富に含まれていてダイエットに効果的です。オメガ3の効能には血液の中性脂肪の合成を抑えコレステロールを減少する働きがあり、最近では、代謝を上げて脂肪の燃焼効率をアップするという研究も進んでいます。また心臓発作予防やうつ予防の効果があると言われています。それに塩をちょっとプラスすれば、おいしくサラダをいただけます。
大根にはアミラーゼ(ジアスターゼとも)という消化酵素が含まれます。アミラーゼは体内でそのまま吸収できないデンプンを糖に分解する働きがあります。
アミラーゼの値が高い人はデンプンを素早く糖に分解することで、甘みをすぐに感じ食べる量が減り、血糖値の上昇を抑えるインスリンの分泌量が少なくなる傾向があります。インスリンは「肥満ホルモン」とも呼ばれ、分泌量が多いと脂肪がつきやすくなります。要するにアミラーゼをしっかりと摂取していると、脂肪がつきづらくなるということです。
また、ダイエッターに関わらず、すぐに胃もたれしてしまう人は、すりおろした大根を食事の前に食べるのがおすすめです。
大根に含まれる食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり、便のカサを増やし、適度な水分を保つことで、便秘の予防・改善、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは痩せやすい身体づくりに大切だといわれています。
また、便秘の予防・改善はコレステロールのコントロールにもつながります。さらに血糖値の急激な上昇を抑えてくれる効果もあるため、ダイエットや糖尿病の予防にもつながります。他にも免疫やうつ病、脳とも関連があることが近年の研究で明らかになってきています。
また、食物繊維はお腹の中で膨らむため満足感が高く、先に食べることで他の食事の食べ過ぎを抑えることができます。
イソチオシアネートは大根を始めとするアブラナ科の野菜に含まれている辛み成分です。抗酸化作用が強く、活性酸素を除去して代謝を高めてくれるので、デトックス効果があります。さらに抗酸化作用が強いとアンチエイジングも期待できるので、ダイエット効果だけでなく美容効果も期待できます。
カリウムは体内で総量の98%が細胞内液に存在し、細胞外液にあるナトリウム(塩分)とお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持し、どちらか一方の水分量が多くならないように、バランスを調整しています。カリウムには利尿作用があり、塩分を摂り過ぎたときに、排泄する働きがあります。そのため、むくみ予防に繋がります。
カリウムは主に野菜に含まれています。糖質制限ダイエットやケトジェニックダイエットではおかずの食べる量が増え、塩分の摂取量が多くなります。そのため、野菜もしっかり食べるのが大切です。
また、カリウムには筋肉の収縮を調整する作用もあり、心臓機能や筋肉機能を正常に保つことができます。ダイエット中に筋トレを行う人には大変重要な栄養素です。
ビタミンCは主に大根の葉に含まれています。
ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。このコラーゲンですが、肌に弾力を与えるだけでなく、丈夫な骨を形成したり、丈夫な腱や筋肉をつくったり、関節の動きをよくしたり働きもあります。ビタミンCとたんぱく質を一緒に摂取すると筋肉量が増え、代謝が上がり、痩せやすい身体になります。
また、コレステロール値を下げる作用もあります。
さらに、ビタミンCはストレスを感じると大量に消費されます。そのため、ダイエットでストレスを感じる方は積極的に摂取したい栄養素です。ビタミンCが不足すると肌荒れが起きるだけでなく、貧血や倦怠感など体調不良も引き起こすことがあるので注意しましょう。
カルシウムは骨を丈夫にするイメージが強いですが、実はダイエットや美容にも役立つ栄養素の一つです。カルシウムは脂肪の合成を抑え、分解を促進するといわれています。逆に、カルシウム不足になると脂肪が蓄積しやすくなり痩せにくい身体になります。さらに、筋肉をスムーズに動かす作用もありますので、代謝が促進されます。ダイエットの効率をアップさせるために、カルシウムの摂取が重要です。
最後に、ダイエットにおすすめの大根レシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
生の大根のシャキシャキ食感を楽しめるひと品です。
きのこに含まれるビタミンDは脂溶性なので、油と合わせることで吸収率がアップします。ビタミンDには、カルシウムの吸収をサポートする働きなどがあります。
このレシピでは、えのきとしめじのなめたけを使用しています。なめたけは購入している方が多いと思いますが、自宅で簡単に作ることができます。
なめたけの大根サラダのレシピはこちら
中までほくほくで美味しい大根ステーキ。ごま油で風味アップ。
このレシピでは砂糖の代わりにメープルシロップを使用しています。メープルシロップはカロリーが白砂糖の2/3と低く、GI値(食後の血糖値の上がりやすさを示す数値)も73と白砂糖(GI値100)より低いのが特徴です
大根は柔らかくなるまで下茹でしましょう。
大根ステーキのレシピはこちら
大根の甘みと鶏肉のだしがマッチしたひと品です。鍋に入れて煮込むだけの簡単さが魅力です。
大根に含まれるビタミンCは、鶏肉に含まれるたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。コラーゲンには美肌効果が期待できます。
ローリエを加えることで風味良く仕上がります。
チキンと大根の塩ポトフのレシピはこちら
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