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じゃがいもを食べ過ぎるとどうなる?どのくらいが適量?

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じゃがいもを食べ過ぎるとどうなる?どのくらいが適量?

通年手に入り、和洋様々な料理に使えるじゃがいもですが、食べ過ぎには注意が必要です。じゃがいもを食べ過ぎた場合のリスクについて分かりやすく解説していきます。

じゃがいもの食べ過ぎに注意

カロリー・糖質

じゃがいもと他の野菜のカロリー・糖質を比較した表

じゃがいもは、野菜の中ではエネルギー量(カロリー)が高く、食べ過ぎると肥満の原因になります。じゃがいも(皮なし・生)のカロリーは59kcalです。糖質は8.4g(炭水化物から食物繊維を引いた値)なので、野菜の中では高くなっています。糖類はほとんどがでんぷんで、ブドウ糖、果糖およびショ糖がほぼ等量ずつ含まれています。
調理法によって、カロリーはさらに上がり、皮つきフライドポテトだと100gあたりカロリーは153kcal、糖質は22.1gです。

出典:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)

GI値

じゃがいものGI値は66で高いのが特徴です。フライドポテトは70、マッシュポテトにすると83まで上がります。

GIとは、グライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食後の血糖値の上昇度を表す値です。食品の炭水化物を50g摂取した際の血糖値の上昇度合いを、ブドウ糖(グルコース)を100とした場合の相対値で表します。55以下を低GI、56〜69を中GI、70以上を高GIと分類し、GI値が高ければ高いほど血糖値が急上昇します。急激な血糖値の上昇は、体に負担をかけるため、緩やかな上昇が理想的です。

他の野菜は、

  • ほうれん草:15

  • ピーマン:26

  • トマト:30

  • ごぼう:45

  • かぼちゃ:65

  • にんじん:80

です。比較してもじゃがいもは高いことがわかります。

ソラニン

芽が出たじゃがいも

じゃがいもの芽緑色になった皮にはソラニンやチャコニンという毒素が含まれています。大量に摂ると下痢、腹痛、吐き気、めまいなどの症状が現れます。そのため芽は取り除き、緑の皮は厚めに剥いてから調理しましょう。

また、じゃがいもを揚げたり炒めたり焼いたりするとじゃがいもに含まれる糖とアミノ酸の一部が反応してアクリルアミドという有害物質ができます。冷蔵保存するとじゃがいもの糖の濃度は高くなるため、冷蔵保存したじゃがいもを揚げたり炒めたりするとアクリルアミドのできる量が増える可能性があります。煮る、蒸す、茹でるなど水を使った調理ではアクリルアミドができにくいと言われています。

出典:ジャガイモによる食中毒を予防するために(農林水産省)

栄養バランス

じゃがいもの食べ過ぎは肥満以外にも栄養が偏ることが懸念されます。じゃがいもはビタミンCは豊富ですが、β-カロテン(ビタミンA)やビタミンD、E、Kなどの脂溶性ビタミンがあまり含まれません。また、ビタミンB群もあまり多くありません。

βカロテンは体内で必要量だけビタミンAに変換され、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進して健康を保ちます。人参やピーマン、かぼちゃに多く含まれています。

ビタミンDは骨の形成を助け、ビタミンB12は赤血球の中のヘモグロビンの生成を助ける働きがあります。ビタミンDは肉類や卵に、ビタミンB12はレバーや牡蠣、あさりやしじみなどの魚介類、海苔をはじめとする藻類に多く含まれています。

栄養が偏らないよう様々な食材を積極的に摂取し、バランスの良い食事を心がけましょう。

出典:農林水産省|食事バランスガイド

食物繊維

じゃがいもには食物繊維が含まれています。食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、じゃがいもにはそのどちらも含まれています。

不溶性食物繊維は摂りすぎると大腸を刺激しすぎてしまい、大腸の収縮が強くなって起こる痙攣性便秘の原因になります。

水溶性食物繊維は摂りすぎると軟便や下痢に可能性があります。また、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素の吸収も妨げてしまうことになりますので注意しましょう。

どのくらい摂取すると過剰摂取になるかの明確な数値はありませんが、摂取目標量については後述しています。

出典:

カリウム

じゃがいもは「カリウムの王様」と呼ばれるほど、カリウムが豊富な野菜です。カリウムはミネラルの一種で、ナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。

カリウムは普通の食事で摂りすぎることはあまり考えられませんが、腎機能が低下している方がカリウムの多い生野菜や果物、いも類、海藻類などを過剰摂取したり、腎機能に問題ない方でもサプリメントで摂りすぎた場合は「高カリウム血症」という症状になる恐れがあります。

塩や醤油、味噌を頻繁に使う日本人は塩分を摂りすぎる傾向があり、塩分に含まれるナトリウムの摂取量が多くなるため、腎機能に問題がなければカリウムを食材から積極的に摂ることが推奨されます。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス

ビタミンC

じゃがいもは「畑のりんご」と言われるほど、ビタミンCが豊富に含まれています。ただ、ビタミンCは多く摂取しても体内に蓄積されないため、食品からビタミンCを摂取する場合は摂りすぎの心配はほとんどありません。

しかし、サプリなどによるビタミンCの過剰摂取は注意が必要です。ビタミンCは過剰摂取すると下痢や便秘、腹痛などを引き起こすことがあります。これは消化器官に不調をきたすためです。もし肝臓機能に障害がある場合は尿路結石のリスクが高まるとも言われています。

ただし、ビタミンCは摂取後2〜3時間で排泄されるため、毎食補うことをおすすめします。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス

じゃがいもの1日の摂取目安量

テーブルに並んだじゃがいも

じゃがいもの摂取目安量は決まっていませんが、野菜の摂取目安量などから推し量ることができます。

淡色野菜を基準にして

大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。

緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。

じゃがいもは淡色野菜に分類されるので、他の淡色野菜と合わせて、230gを目安にするとよいでしょう。メジャーな淡色野菜には玉ねぎ、キャベツ、レタス、大根、れんこん、カリフラワー、セロリ、ごぼうなどがあります。じゃがいもは1個で100〜150gあるので、1日1個くらいが適量でしょう。

出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)

カロリー/糖質

1日のエネルギー量の摂取目安は成人女性で1400〜2000kcal、成人男性で2000〜2400kcalです。

じゃがいもは100gあたり76kcalです。じゃがいもだけで1日分のカロリーを摂るなら1800〜3100g食べても問題ない計算になりますが、栄養バランスが悪いので推奨されません。他の食材のカロリーを考慮しながら、1日の摂取目安量を決めるといいでしょう。ただし、じゃがいもは調理するとカロリーがアップする点には注意しましょう。

ちなみにごはんの糖質はお茶碗一杯分(100g)でカロリー156kcal/糖質35.6gです。ミルクチョコレート(100g)はカロリー550kcal/糖質59.3gです。

出典:農林水産省|食事バランスガイド

じゃがいもの栄養と効能

ビタミンC

意外かもしれませんが、じゃがいもは「畑のりんご」と言われるほど、ビタミンCが豊富に含まれています。

ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミの元であるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。

そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせません。

カリウム

じゃがいもは「カリウムの王様」と呼ばれるほど、カリウムが豊富な野菜です。

カリウムはミネラルの一種です。

カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。

その他、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。

パントテン酸(ビタミンB5)

パントテン酸は肉や魚介などの動物性食品から、野菜やきのこなどの植物性食品まで、様々な食品に含まれます。野菜の中では比較的じゃがいもにも多く含まれています。

三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)の代謝に働く補酵素コエンザイムAの成分となり、エネルギーの代謝をサポートする役割を担います。

さらに、副腎の働きを強化し、抗ストレスホルモンと呼ばれる副腎皮質のホルモンの分泌を高める作用もあります。また、皮膚や髪の健康に関わる他、免疫力も高めます。

ビタミンB6

ビタミンB6は肉や魚に豊富で、特に生魚に豊富です。野菜の中では比較的じゃがいもにも多く含まれます。
ビタミンB6はたんぱく質を分解する補酵素としての役割を担います。血液の元となる赤血球や神経伝達物質セロトニンの合成にも働きます。

また、免疫機能を正常に保つ役割も担います。

じゃがいもにはビタミンB1やナイアシン(ビタミンB3)などのビタミンB郡も含まれますが、少量となっています。

食物繊維

食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」があります。食物繊維と糖質を足したものが炭水化物です。

じゃがいもにはどちらも含まれますが、不溶性食物繊維の方が多いです。近年(2018年)の計測方法の変更により、じゃがいもの食物繊維の含有量は大幅にアップしています。

不溶性食物繊維は水に溶けずに水分を吸収すると膨らみます。その結果、腸が刺激されて、ぜん動運動が盛んになります。また、便のかさも増します。これらの働きによって、スムーズな排便が促されます。腸内環境も整います。

水溶性食物繊維は、水に溶けることで食べたものの粘稠性を高めます。それによって食べたものの腸への移動がゆっくりになるため、血糖値の上昇がゆるやかになります。また、水溶性食物繊維は、腸でのコレステロールの吸収を抑え、体外に排出する役割もあります。

参考文献:栄養学博士 白鳥早奈英 監修(2021)『最新改訂版 知っておきたい栄養学』学研プラス