トマトの旬は夏と思っている方は多いと思います。一般的に「旬」とは、食品が一番美味しく食べられる時期を指します。この定義に従うと、トマトの旬は実は夏ではありません!春〜初夏にかけて出回るトマトが一年の中で一番美味しいといわれています。そのため、トマトの旬は春〜初夏です。
トマトは一年中食べることができる野菜です。一年を通していつでもスーパーに並んでいます。そういった意味では、トマトの旬はないとも捉えることができます。
トマトの生長適温は24〜30℃といわれています。四季がある日本でなぜ一年中トマトが栽培できるかというと、ハウス栽培が盛んに行われているためです。ハウス栽培とは、ビニールハウスやガラスハウスなどの施設で野菜や果物を栽培する方法です。天候や害虫などの影響を受けにくいため、一年を通して安定して栽培することが可能です。
トマトの旬は夏と思われている方も多いかもしれませんが、実はトマトが一番美味しい季節は夏ではないのです。トマトは本来暑さに弱く、冷涼で強い日差しを好む野菜です。春に種を播き夏に収穫を迎えるトマトは、生長スピードは早いですが味や栄養価はベストではありません。トマトの夏が旬だというイメージがついているのは、夏に大量に出回るためといえます。
したがって、トマトを美味しく食べられる「味の旬」は実は夏ではなく春〜初夏、大量に収穫される「量の旬」は夏となります。
一般的にいわれる「旬」とは、野菜や果実が全国的に露地栽培でよく収穫され、味が美味しい時期を指します。露地栽培とは、ハウスなどの施設を使わず屋外の畑で栽培する方法のことです。露地栽培で育ったトマトはハウス栽培で育ったトマトよりも太陽をたくさん浴びることができ、甘みや栄養価などが高いです。
トマトの「味の旬」は、実は夏ではなく春〜初夏にかけてです。トマトは実は高温多湿に弱く、涼しく強い日差しがある環境を好みます。春〜初夏は、トマトが育つには最適の季節となり、この時期に出回るトマトは夏のトマトよりもより美味しく食べることができます。
夏のトマトと比べると、実は小ぶりになる傾向がありますが、甘みや旨味、栄養がぎゅっと凝縮されています。
トマトが大量に出荷される「量の旬」は夏です。具体的には7〜8月頃に大量に出荷される傾向があり、この時期のトマトの価格は低くなるのが特徴です。1kgあたりの価格は令和3年7月で321円であったのに対し、11月は512円と、約200円も差があります。
夏に出回るトマトは、北海道や青森県、岩手県、など比較的涼しい場所で栽培されたトマトが多いです。トマトは腐りやすい野菜なので、夏の暑い時期は完熟する前に収穫されることが多いです(スーパーに陳列される頃に完熟するように計算されて収穫されています)。そのため、夏のトマトはやや青臭さが残るのが特徴的です。
出典:東京都中央卸売市場 市場統計情報
トマトには様々な品種がありますが、ここでは主流の品種である「桃太郎」を基準にご紹介します。
新鮮なトマトには下記のような特徴があります。
しっかりと重みがある
赤みが濃い
皮にハリやツヤがある
ヘタが緑色でピンとしている
みずみずしい緑色のもの
トマトのお尻(ヘタの反対側)に白い線がうっすら入っている
持ったときにずっしりと重みがあり、丸みを帯びているトマトは糖度が高いといわれています。また、ヘタが黒いものは出荷からかなり時間が経っている証拠です。収穫時はまだ未熟で青々しく、出荷後に人工的に完熟されている可能性が高いです。
旬のトマトは正しい方法で保存することで、美味しさを長持ちさせることができます。ここでは、トマトの主な保存方法を詳しく解説していきます。
トマトの正しい保存方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
熟していない青いトマトのみ常温で保存します。追熟の最適温度は15〜25℃といわれているため、常温で保存することで成熟が進み、美味しいトマトになります。すでに熟しているトマトを常温保存すると傷みやすくなるため、熟したトマトは通年常温以外で保存するようにしましょう(ただし冬場は常温でも可。)
常温で保存し、トマトを追熟させる場合は、1つずつ新聞紙にくるみ、ヘタの部分を下にしてカゴに入れ、冷暗所に置いておきます。ヘタの部分を下にすることで、トマトが乾燥するのを防げます。
熟したトマトは通年冷蔵保存します。熟したトマトは、トマト同士がくっつくとその部分から痛みやすくなります。さらに、トマトに含まれるビタミンCが15%も失われてしまうことも!(常温で1週間保存した場合)
しかし、保存最適温度(8〜10℃)以下の冷蔵庫で保存すると低温障害を起こしてしまうので、冷蔵保存する場合は低温になりすぎない野菜室で保存します。
1つずつ丸ごとペーパーで包み、ヘタを下にしてポリ袋に入れて軽く口を閉じ、野菜室で保存します。
トマトの冷蔵の保存期間は2週間が目安です。
切ったトマトはラップをして、そのままチャック付きビニール袋に入れて、野菜室で保管します。切ったトマトは傷みが早いので数日以内に使い切るようにしましょう。
トマトの冷凍の保存期間は1ヶ月が目安です。
トマトの皮むきが必要なレシピに使う時や、カットする時間がない時、用途が決まっていない時などはトマトを丸ごと冷凍するとよいです。
ヘタを取って、丸ごと冷凍用のチャック付きビニール袋に入れます。冷凍庫で約1ヶ月保存できます。
丸ごと冷凍したトマトを解凍する方法には自然解凍、水に入れて解凍、電子レンジで解凍などがあります。また、凍ったまま使用することもあります。
自然解凍する場合は、凍ったトマトを5分ほど室温に戻します。しかし、水と一緒にトマトの汁も抜けてしまい味が劣ってしまうのでおすすめしません。
トマトの皮を剥く場合は、水にさらして解凍するのがおすすめです。トマトのお尻の方(ヘタの反対側)に十字に切れ目を入れ、水に30秒〜1分ほど浸けます。その後手で皮を剥きます。
電子レンジで解凍する場合は、耐熱皿にトマトをのせてそのまま解凍します。
皮を剥いたトマトはソースやスープなどに、皮つきのトマトはすりおろしてドレッシングなどにおすすめです。
ざく切りにして冷凍すると、料理をする時にすぐに使えて便利です。
トマトを水洗いし水けをしっかり取ります。好みの大きさにカットし、冷凍用のチャック付きビニール袋に入れて保存します。冷凍庫で1ヶ月保存できます。
トマトがなるべく重ならないように入れると、使いたい分だけ手で折れるので取り出しやすくなります。
上述の通り、冷凍トマトは解凍しても生食には適さないので、加熱して食べるのがおすすめです。解凍しすぎると旨味成分や甘み成分、栄養などが流れ出るため、冷凍のカットトマトは凍ったまま加熱料理に加えましょう。
なお、トマトソースを作って冷凍することも可能です。
トマトソースのレシピはこちら
トマトは乾燥させて保存するのもおすすめです。トマトの乾燥保存期間の目安は常温保存で1ヶ月です。
乾燥トマトは、お味噌汁の具やサラダのトッピングとしてお使いいただけます。凝縮した旨みと、いつもと違う食感が楽しめます。
乾燥方法は、天日干し、オーブン、電子レンジの3通りがあります。いずれの方法も、輪切りにしたトマトを使用することで、均一に水分を蒸発させることが可能です。一番おすすめの乾燥方法は天日干し。天日干しすることで、抗酸化作用を持つリコピンの量が4倍になるといわれています。
旬の時期の野菜は他の時期と比べて栄養価が数倍増加することがあります(もはや違う野菜といえます)。トマトの場合、トマトに含まれるリコピンやβ−カロテン(ビタミンA)、ビタミンCが特に増加します。これらの栄養素の特徴について詳しく解説していきます。
トマトの栄養素の中でも注目してもらいたいのは「リコピン」という栄養素です。多くの人が耳にしたことであろうリコピンですが、実はトマトの赤色の成分なのです。トマトが熟すにつれてリコピン(と、カロテン)が増加し、緑色素のクロロフィルが消失するため赤色になります。リコピンはトマトのほかにも、スイカや金時人参、柿にも含まれています。
リコピンは20〜25℃の晴天時によく生成されます。10℃以下の低温や30℃以上の高温の環境下ではリコピンの生成がうまくいかず、トマトは赤くならずに黄色くなってしまいます。
リコピンは抗酸化作用のある栄養素です。リコピンの抗酸化作用は同じ抗酸化作用を持つベータカロテンの2倍以上、ビタミンEの100倍以上と言われています。肌や血管の老化を防いだり、動脈硬化などを予防する効果が高いことがわかっています。
トマトの皮には、全体の約40%ものリコピンが含まれているといわれています。口当たりをよくするために皮を剥いて調理する方も多いと思いますが、大変もったいない!皮はそのままで食べるほうが栄養的には◎です。
ちなみに、トマトに含まれるリコピンは常温保存することで最大60%もアップします。
トマトにはビタミンCも豊富に含まれます。旬の時期、ビタミンCの含有量は特に多くなります。貯蔵によって減ることも少ないです。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するのに必要不可欠な栄養素です。身体を作っているたんぱく質の30%がコラーゲンで、細胞と細胞を繋ぐ接着剤のような役割を果たしており、皮膚や血管、筋肉、骨などを丈夫にします。また、ビタミンCはシミのもとになるメラニン色素の生成を抑えたり、肌に弾力やハリをもたらすため、美肌づくりにも重要な栄養素です。
さらに、ビタミンCの抗酸化力はトップクラスですので、細胞を酸化から守り老化や生活習慣病の予防にもなります。白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。
また抗ストレスビタミンと言われているように、ストレス時に副腎に働きかけてアドレナリンの分泌を促す作用もあり、ストレスを撃退します。
トマトにはβ-カロテンが豊富に含まれています。旬の時期、β-カロテンの含有量は特に多くなります。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換される成分のうちのひとつで、その中でも最も活性が高いのが特徴です。β-カロテンには強い抗酸化作用があり、体内に発生した活性酸素を除去します。活性酸素は本来ウイルスと闘うなど健康維持に大切ですが、増えすぎると害を及ぼし、老化の促進や、動脈硬化やガンの進行などに繋がります。活性酸素はストレスや紫外線、不規則な生活習慣や加工食品、また喫煙などによって増加しすぎると言われています。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目もあり、夜盲症の予防や視力低下の抑制があります。そのため、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぎ感染症を予防する効果が大きく、免疫力を高めます。また皮膚の健康維持に関与していることから、美肌効果もあります。皮膚の新陳代謝が高まることで、乾燥肌やニキビ肌の改善が考えられます。
トマトのリコピンは加熱することで細胞壁が壊れ吸収率がアップします。サラダで食べるよりも、炒めたりスープ、煮込み料理にして食べた方がリコピンは2〜3倍吸収することがわかっています。
また、加熱することでトマトに含まれるうま味成分であるグアニル酸が増加するので、うま味もアップします。
トマトに多く含まれるリコピンとβ-カロテンは油に溶けやすい性質を持ちます。油で調理すると吸収率がアップします。オリーブオイルなどの酸化しにくい油で炒めるのがおすすめです。
またサラダで食べる場合でも、オリーブオイルやドレッシングをかけることでリコピンの吸収率が上がります。
リコピン摂取で考えると、イタリア料理はとても理にかなっています。カプレーゼなどはまさに!トマトにオリーブオイルを合わせていますよね。他にもパスタやピザなどもオイルを使い、加熱もしているのでリコピンを思う存分摂取することができます。
トマトを切ると、中のゼリー部分はとても切りづらく、つぶれて流れて出てしまうことがありますよね。しかし、このゼリー部分にはトマト全体の80%のアミノ酸が詰まっています。そのためゼリー部分がなくなるとうま味がぐんと減ってしまいます。包丁をしっかりと研ぎ、種を無駄にしないようにしましょう。
また、種も切らないように注意しましょう。種はトマトのおしりからのびる放射線状の白線上にあるので、トマトを切るときは白線を避けて切りましょう。
実は、トマトの皮には栄養が多く詰まっています。トマトと言えばの栄養素であるリコピン(全体の40%も!)やβ-カロテンが多く含まれています。正確に言うと、野菜や果物は皮のすぐ下の部分に栄養が詰まっていることが多く、剥いてしまうとその部分も一緒に取れてしまうことから皮ごと食べることが良いとされています。
またトマトの皮には不溶性食物繊維も多く含まれています。食物繊維を摂りたい人は皮ごとしっかり食べるといいでしょう。ただ、皮には農薬や見た目を良くするワックスが付いていることが多いので、無農薬のものを買ったり食べる前にしっかり洗ったりと、皮ごと食べる際は対策が必要です。
トマトの残留農薬について、また洗い方については下記の記事をご覧ください。
リコピンは抗酸化力が強いビタミンEを一緒に摂ると抗酸化力がアップします。同じ効果を持つ別々の栄養素を一緒に摂取すると、その効果がアップするんですよね。それを相加効果と言います。
ビタミンEを豊富に含む食材にはアボカド、南瓜、アーモンドなどがあります。
トマトにはビタミンPの一種であるケルセチンが比較的多く含まれ、ビタミンCの働きを助ける効果があるといわれています。ビタミンCにはシミやシワを防ぎ免疫を高める効果がある栄養素です。
柑橘系の果物、いも類などのビタミンCが多く含まれている食材と組み合わせると効果的です。逆もまた然りでトマトもビタミンCを多く含むのでタマネギやブロッコリーなどケルセチンを多く含む食材と合わせるとより効果を発揮します。
トマトの食物繊維と、イカや牡蠣、あさりなどのタウリンには、コレステロールを下げる効能があるため、一緒に摂取することでより効果がアップします。
食物繊維は、コレステロールを吸着して体外に排出することで、血中のコレステロール値を低下させます。タウリンは、血中の悪玉(LDL)コレステロールを大きく低下させ、さらには善玉(HDL)コレステロールを増やします。全体の総コレステロールは低下します。またタウリンには血圧を下げる効果もあります。
旬のトマトを使ったおすすめのレシピをご紹介します。副菜や主菜、さらにはデザートなど幅広く活用することができます。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
フレッシュなトマトを使ったナムルです。甘いトマトとごま油の相性が抜群です。とても簡単に作れます。
こちらのレシピでは生姜を使っています。生姜の辛み成分であるジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンには、新陳代謝を上げる作用が期待できます。
そのまま食べてもよいですが、冷やすとさらに美味しくいただけます。
トマトのナムルのレシピはこちら
たっぷりのトマトでさっぱり味に仕上げました。豚肉は揚げずに、フライパンで焦げ目が付くまで焼きました。ごはんとよく合います。
てんさい糖を使うことで、まろやかな甘さに仕上がり、コクも増します。
トマトの酢豚のレシピはこちら
チーズとトマトが相性抜群です。このレシピでは植物性チーズを使っています。にんにくがアクセント。
完熟トマトを使うのがおすすめです。
トマトドリアのレシピはこちら
具材はキャベツとトマトだけのシンプルレシピです。トマトの甘みと酸味がつまった一品をぜひお楽しみください。
こちらのレシピではカットトマトを使用していますが、旬のトマトで作るとよりトマトの甘みや旨味がでて美味しくいただけます。
トマトスープのレシピはこちら
トマトでデザートまで作ることができます。りんごやメープルシロップの甘さでトマトの酸味が和らぎます。
食事後のデザートや朝食としてもおすすめ一品です。
トマトスムージーのレシピはこちら
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