じゃがいもには様々な品種があります。その一つにメークインがあります。この記事では、メークインを茹でる際のポイントや茹で方などを詳しく解説してます。
「じゃがいも」と一口でいっても、様々な品種があります。一般的にスーパーなどで販売されていることが多いじゃがいもの品種はメークインと男爵(だんしゃく)です。
メークインの見た目は、俵(たわら)のような楕円形で少し曲がり気味であることが多いです。表面は芽のくぼみが浅く凹凸が少ないためつるつるとしているのが特徴です。
メークインは元々イギリスが原産の品種で、大正時代にアメリカを経由して日本にやってきたといわれています。現在では日本国内生産量第二位で、日常生活でも一般的に食べられている品種です。
ちなみに、男爵は球形で表面は芽のくぼみが深く凹凸が多いのが特徴です。
男爵は高知県出身の川田龍吉男爵が1908年に海外から取り寄せたアメリカ原産の「アイリッシュ・コブラー(Irish Cobbler)」という品種を試験栽培し、これを普及させたものです。男爵が広めたじゃがいもということに由来して「男爵薯(だんしゃくいも)」と呼ばれるようになったといわれています。現在日本では最も生産量の多いじゃがいもの品種が男爵です。
メークインと男爵の違いについては、こちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。
じゃがいもは茹でて食べることが多い野菜ですよね。じゃがいもには様々な品種があるとお伝えしましたが、どの品種でも基本的に茹で方は変わりません。
そのため、基本的なじゃがいもの茹で方を覚えておけば、メークインを美味しく茹でることができます。じゃがいもを茹でるときのポイントやじゃがいもの基本的な茹で方は後述します。
野菜を茹でるときには茹で時間が重要です。
じゃがいもは品種によってそれぞれ異なる特徴をもちますが、品種が異なるからといって茹で時間が大幅に変わるということはありません。茹で時間に大きく関係するのは品種よりも大きさです。
そのため、メークインの茹で時間も基本的なじゃがいもの茹で時間を目安にして茹でれば大丈夫です。
じゃがいもは品種によって茹で方や茹で時間が変わってしまうことはありませんが、仕上がりに違いはでます。
メークインは男爵などのじゃがいもと比較してでんぷんの含有量が少ないため、ホクホクというよりは粘質で口当たり滑らかに仕上がるのが特徴です。また、糖分が収穫直後から他の品種より多いためほんのりとした甘味が感じられ、この甘味は低温で貯蔵することで更に増します。
口当たり滑らかな特徴を活かすなら、茹でたメークインはマッシュにするのがおすすめです。また、しっかりとしていて長時間加熱をしても煮崩れしないため煮込み料理に適しています。
じゃがいもを茹でるときは皮を剥いたりカットしておくと調理をするときに便利ですが、丸ごと皮付きのまま茹でたほうが栄養が流出しにくいのでおすすめです。
じゃがいもは「畑のりんご」と呼ばれるほど、ビタミンCが豊富に含まれています。可食部100gあたりに含まれるビタミンCの量は28mg!そんなビタミンは水溶性なので、皮を剥いた状態で茹でるとどんどん流れ出ていってしまいます。また、水溶性成分はビタミンCだけではありません。体内の余分な塩分を排出し、バランスを調整してくれる「カリウム」も流出してしまいます。
皮ごと茹でることで水溶性の栄養素を9割キープできるといわれています。皮付きのままでもカットしてあると断面から栄養素が流出してしまいますので、栄養素を重視するのであれば「丸ごと皮付き」がベストです。
じゃがいもに芽が生えていた場合は、しっかりと取り除きましょう。
じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれており、一定量摂取すると吐き気やおう吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなど症状が出る可能性があります。
ソラニンとチャコニンは、グルコースやガラクトースなどの「糖」と、植物由来の窒素を含んだアルカリ性(塩基性)物質である「アルカロイド」からできているグリコアルカロイド(糖アルカロイド)と呼ばれる成分の一種です。育っていく中で外敵に食べられてしまわないようにソラニンやチャコニンといった有害物質をもつようになったといわれます。
ソラニンやチャコニンは特に芽の根元に多く存在していますので、表面に出ている部分だけではなく根元から身もえぐり取るようにすることが大切です。まだ小さな芽の出始めの部分にもチャコニンやソラニンが含まれています。まだ小さいから大丈夫と思ってしまいがちですが、小さな芽も必ず取り除きましょう。
出典:食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報(農林水産省)
野菜は水から茹でる場合と沸騰したお湯から茹でる場合がありますよね。じゃがいもは水から茹でるのが基本です。
じゃがいもを沸騰したお湯から茹でると火の通り方にムラができて外側は十分柔らかいのに内側は火が通ってなくて固いなどムラがうまれ、内側まで火が通る頃には外側がボロボロになってしまいます。
そのため水から茹でたほうが外側から内側まで均一に火が通るため煮くずれしにくくなります。じゃがいもを茹でるときは必ず水から茹でましょう。
塩を加えて塩茹でにすると、じゃがいもが柔らかくなりやすいですし、風味が引き立ち甘みも感じやすくなるのでおすすめです。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。塩には、このペクチンの分解を促進する効果があります。塩を加えると浸透圧が上がり、じゃがいもの細胞内の水分が外部に移動しやすくなります。これにより、茹でる過程でじゃがいもの組織が水分を吸い込み、組織が膨潤します。膨潤した組織は柔らかくなるためペクチンが分解されやすくなり、じゃがいもを柔らかく仕上げることができます。
また、塩には食材の風味を引き立たせる効果もあります。
ただし、過剰な塩分はじゃがいもの組織が逆に固くなったり、塩味でじゃがいもそのものの風味や味が隠れてしまうので注意が必要です。
じゃがいもの茹で時間はじゃがいもの大きさや皮付きかカットしているかなどの条件によって異なります。本記事では、水から茹でて、水が沸騰してから茹で上がるまでの時間を「茹で時間」とします(湯が沸騰するまでの時間は含みません)。
小・Sサイズ(58g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は15〜20分程です。
じゃがいもは大きければ大きいほど火が通るのに時間がかかるため、小サイズが最も早く茹で上がります。新じゃがは小サイズのものが多いため、じゃがいも小サイズの茹で時間を目安に茹でると良いです。
中・Mサイズ(92g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は20分〜25分程です。20分ほど加熱後に竹串を通してスッと通らなければ、1分ずつ茹で時間を追加して調節してください。
大・Lサイズ(157g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は30分程です。
やはり大きいサイズは最も時間がかかります。時間がかかるため大サイズのじゃがいもの茹でる時間を短縮したい場合は、カットしてから茹でると良いです。ただし、時間は短縮できてもカットすることにより栄養素は流れ出てしまいます。
じゃがいもを鍋で茹でる場合は、綺麗に洗って芽をとったら鍋にいれてじゃがいもがかぶるぐらいの水をいれます。水をいれたら、加熱します。
加熱時間は上述した通りです。大きさによっても異なるので、様子をみながら加熱していきましょう。
水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットはありますが、じゃがいも全体を水に浸かるようにしっかり茹でることで、均一に火を通すことができるので、しっかりと茹でて柔らかくしたいときにおすすめです。また、茹で汁にはじゃがいもから溶け出したでんぷんや風味成分が含まれているので、ソースやスープのベースとして活用することができます。
じゃがいもはフライパンを使って蒸し茹ですることもできます。蒸し器がなくても手軽に加熱することができますし、水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができます。
中サイズ(70〜120g)のじゃがいもをフライパンで蒸し茹でする場合の茹で時間は15分程です。フライパンを使ってじゃがいもを蒸し茹でする方法は下記の通りです。
水の量が少ないと加熱途中で水分がすべて蒸発してしまう可能性があるので、しっかりと加えるようにしましょう。蒸し茹でにする場合も、竹串を通してかたさを確認し、かたければ柔らかくなるまで加熱時間を追加していきます。
じゃがいもは茹でる以外にも、蒸したりレンジを使って加熱することも可能です。
じゃがいもは蒸しても美味しく食べることができます。蒸せば水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができますし、味が薄くなってしまうこともありません。
じゃがいも丸ごと皮つきのまま蒸す場合は、よく洗った後に切り込みを入れます。鍋に水を入れて沸騰させたら、じゃがいもを入れた蒸し器を入れて蓋をします。
蒸し時間はじゃがいもの大きさにもよりますが、だいたい20分程です。竹串がすっと通るようになったら完了です。
圧力鍋を使うと、よりスピーディー(約10分程)で火が通るので◎。
じゃがいもはレンジで加熱すると時短になります。また、茹でるのとは異なりビタミンCなどの水溶性の栄養素の流出を防ぐことができます。
じゃがいもを丸ごとレンジで加熱する場合は、綺麗に洗い、芽を取ったら1個ずつラップに包みます。このときじゃがいもの皮に切り込みを入れておくと加熱後皮が剥きやすくなりますが、切り込みを入れなくても剥くことができるのでそのままラップに包んでも大丈夫です。
複数個のじゃがいもをまとめてラップに包んでしまうと、熱が均一に伝わらなくなってしまうのでNGです。必ず1個ずつ包み、加熱も1個ずつ行うのがおすすめです。
ラップで包んだら、1個につき600Wで3分を目安に竹串がすっと通るようになるまで加熱します。
じゃがいものレンジでの蒸し方はこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【レンチンするとじゃがいもがパサパサになる?】
じゃがいもをレンジで加熱すると、パサパサになってしまうことがあります。
これは電子レンジが食材の水分を蒸発させてしまうためです。じゃがいもは元々水分量が少ない野菜であり、さらに火が通りづらいため長時間加熱をすることで水分が飛んでしまいパサパサになってしまいます。
湿らしたキッチンペーパーで包んでからラップすると、水分が飛んでパサパサになってしまうことを防ぎ、柔らかい仕上がりにすることができます。
カットをしてから加熱することも可能ですが、切り口から水分が飛んでしまうためパサパサになることを防ぎたい場合はカットより丸ごとがおすすめです。
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