じゃがいもを茹でるときに水から茹でるべきかお湯から茹でるべきが迷ったことはありませんか?本記事ではじゃがいもを水から茹でる方法などを紹介します。
野菜は水から茹でる場合と、沸騰したお湯から茹でる場合がありますよね。じゃがいもは水から茹でるのが基本です。
じゃがいもを沸騰したお湯から茹でると、火の通り方にムラができ、外側は十分柔らかいのに内側は火が通ってなくて固いといった「加熱ムラ」が発生してしまいます。内側まで火が通る頃には、外側がボロボロになってしまいます。
水から茹でればじっくりと内側まで均一に火を通すことができるため、煮崩れしにくいですし、ホクホクに仕上げることができます。
基本的にじゃがいもは水から茹でますが、沸騰したお湯から茹でることもできます。
前述した通り、特に大きいじゃがいもは加熱ムラができてしまうのでお湯から茹でるのに向きませんが、小粒のものやカットしたものはお湯から茹でることができます。
お湯から茹でると、茹で上がりに違いができます。お湯から茹でた場合は、じゃがいものデンプンが固まり膜になるため、ホクホクというよりねちょっとした口当たりになります。
ホクホクとした食感が特徴の男爵は水から茹でて、ねっとりとした食感が特徴のメークインはお湯から茹でることで、本来の舌触りをより楽しむことができます。ぜひお試しください。
じゃがいもを水から茹でるときの水の量は、じゃがいもが隠れる程度です。だいたい、じゃがいもの量に対して2倍の量の水が必要になります。例えば、500gのじゃがいもを茹でる場合、水の量は約1リットルです。
水の量が少ないと均一に火が通らなくなってしまうので、注意しましょう。
また、じゃがいもを茹でる際には、鍋の大きさも大切です。じゃがいもが鍋に密集していると均一に加熱されにくくなるため、一度に沢山茹でるときは、広めでじゃがいもが広がるような大きさのものを選ぶと良いです。
じゃがいもの茹で時間は、じゃがいもの大きさや皮付きかカットしているかなどの条件によって異なります。本記事では、水から茹でて水が沸騰してから茹で上がるまでの時間を「茹で時間」とします(水から茹で、湯が沸騰するまでの時間は含みません)。
小・Sサイズ(58g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は15〜20分程です。
じゃがいもは大きければ大きいほど火が通るのに時間がかかるため、小サイズが最も早く茹で上がります。新じゃがは小サイズのものが多いため、じゃがいも小サイズの茹で時間を目安に茹でると良いです。
中・Mサイズ(92g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は20分〜25分程です。20分ほど加熱後に竹串を通してスッと通らなければ、1分ずつ茹で時間を追加して調節してください。
大・Lサイズ(157g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は30分程です。
やはり大きいサイズは最も時間がかかります。時間がかかるため大サイズのじゃがいもの茹でる時間を短縮したい場合は、カットしてから茹でると良いです。ただし、時間は短縮できてもカットすることにより栄養素は流れ出てしまいます。
じゃがいもを茹でるときは皮を剥いたりカットしておくと調理をするときに便利ですが、丸ごと皮付きのまま茹でる方が、じゃがいもの栄養が流出しにくいのでおすすめです。
じゃがいもは「畑のりんご」と呼ばれるほど、ビタミンCが豊富に含まれています。可食部100gあたりに含まれるビタミンCの量は28mg!そんなビタミンは水溶性なので、皮を剥いた状態で茹でるとどんどん流れ出ていってしまいます。また、水溶性成分はビタミンCだけではありません。体内の余分な塩分を排出し、バランスを調整してくれる「カリウム」も流出してしまいます。
皮ごと茹でることで水溶性の栄養素を9割キープできるといわれています。皮付きのままでもカットしてあると断面から栄養素が流出してしまいますので、栄養素を重視するのであれば「丸ごと皮付き」がベストです。
じゃがいもに芽が生えていた場合は、しっかりと取り除きましょう。
じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれており、一定量摂取すると吐き気やおう吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなど症状が出る可能性があります。
ソラニンとチャコニンは、グルコースやガラクトースなどの「糖」と、植物由来の窒素を含んだアルカリ性(塩基性)物質である「アルカロイド」からできているグリコアルカロイド(糖アルカロイド)と呼ばれる成分の一種です。育っていく中で外敵に食べられてしまわないようにソラニンやチャコニンといった有害物質をもつようになったといわれます。
ソラニンやチャコニンは特に芽の根元に多く存在していますので、表面に出ている部分だけではなく根元から身もえぐり取るようにすることが大切です。まだ小さな芽の出始めの部分にもチャコニンやソラニンが含まれています。まだ小さいから大丈夫と思ってしまいがちですが、小さな芽も必ず取り除きましょう。
出典:食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報(農林水産省)
塩を加えて塩茹でにすると、じゃがいもが柔らかくなりやすいですし、風味が引き立ち甘みも感じやすくなります。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。塩には、このペクチンの分解を促進する効果があります。塩を加えると浸透圧が上がり、じゃがいもの細胞内の水分が外部に移動しやすくなります。これにより、茹でる過程でじゃがいもの組織が水分を吸い込み、組織が膨潤します。膨潤した組織は柔らかくなるためペクチンが分解されやすくなり、じゃがいもを柔らかく仕上げることができます。
また、塩には食材の風味を引き立たせ、味覚を刺激する効果もあります。
ただし、過剰な塩分はじゃがいもの組織が逆に固くなったり、塩味でじゃがいもそのものの風味や味が隠れてしまうので注意が必要です。
じゃがいもは茹でる以外にも、蒸したりレンジを使って加熱することも可能です。
じゃがいもは蒸しても美味しく食べることができます。蒸せば水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができますし、味が薄くなってしまうこともありません。
じゃがいも丸ごと皮つきのまま蒸す場合は、よく洗った後に切り込みを入れます。鍋に水を入れて沸騰させたら、じゃがいもを入れた蒸し器を入れて蓋をします。
蒸し時間はじゃがいもの大きさにもよりますが、だいたい20分程です。竹串がすっと通るようになったら完了です。
また、圧力鍋を使うとよりスピーディー(約10分)に火を通すことができます。
じゃがいもはレンジで加熱すると時短になります。また、茹でるのとは異なりビタミンCなどの水溶性の栄養素の流出を防ぐことができます。
じゃがいもを丸ごとレンジで加熱する場合は、綺麗に洗い、芽を取ったら1個ずつラップに包みます。このときじゃがいもの皮に切り込みを入れておくと加熱後皮が剥きやすくなりますが、切り込みを入れなくても剥くことができるのでそのままラップに包んでも大丈夫です。
複数個のじゃがいもをまとめてラップに包んでしまうと、熱が均一に伝わらなくなってしまうのでNGです。必ず1個ずつ包み、加熱も1個ずつ行うのがおすすめです。
ラップで包んだら、1個につき600Wで3分を目安に竹串がすっと通るようになるまで加熱します。
【レンチンするとじゃがいもがパサパサになる?】
じゃがいもをレンジで加熱すると、パサパサになってしまうことがあります。
これは電子レンジが食材の水分を蒸発させてしまうためです。じゃがいもは元々水分量が少ない野菜であり、さらに火が通りづらいため長時間加熱をすることで水分が飛んでしまいパサパサになってしまいます。
湿らしたキッチンペーパーで包んでからラップすると、水分が飛んでパサパサになってしまうことを防ぎ、柔らかい仕上がりにすることができます。
カットをしてから加熱することも可能ですが、切り口から水分が飛んでしまうためパサパサになることを防ぎたい場合はカットより丸ごとがおすすめです。
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