じゃがいもを蒸す方法には、一般的に蒸し器を使ったりレンジを使う方法などがありますが、圧力鍋を使って蒸すこともできます。本記事ではじゃがいもを圧力鍋で蒸すメリットや圧力鍋で蒸す方法などを解説します。
圧力鍋とは、圧力を調節できる機能がついている鍋のことです。鍋の中を高温・高圧にすることで、短時間で加熱をし、食材を長時間加熱したときと同じように柔らかくすることができます。
時間がかかる煮物をするときなどに使われることが多い圧力鍋ですが、じゃがいもを蒸すこともできることをご存知でしょうか。
本記事ではじゃがいもを圧力鍋で蒸すことによって、通常の鍋で茹でたり電子レンジで加熱したときと比較してどのようなメリットがあるのか詳しく解説していきます。
圧力鍋は、圧力をかけることにより一気に加熱をするため、通常の鍋で加熱するよりも短時間で蒸し上げることができます。
電子レンジを使って蒸した場合も鍋で茹でるより時短にはなりますが、電子レンジはマグネトロンからレンジ内にマイクロ波を照射して水分子を振動させ食材を温めるという仕組みであるため、どうしても均一に火が通らずにムラがでてしまうというデメリットがあります。
圧力鍋であれば、時短になるだけではなく電子レンジよりも均一に火を通すことが可能です。
圧力鍋でじゃがいもを蒸すと、通常の鍋で茹でたり電子レンジで加熱をするときと比較して中心部はそこまで差はないものの、端の部分は柔らかく仕上がることが実験でわかっています。また、圧力鍋で蒸した方が粘質で口当たりがなめらかだと感じる人が多いようです。
出典:圧力鍋によるじゃがいもの加熱
じゃがいもには様々な品種があります。一般的にスーパーなどで販売されていることが多い品種は「男爵」や「メークイン」です。
男爵は、メークインと比較してでん粉量が多いため粉質で、ザラっとした口当たりが特徴です。加熱するとメークインよりも異なり糖分が少なくたんぱくな味ですが、蒸すことでホクホクとした食感を楽しむことができるので圧力鍋で蒸して食べるのにおすすめです。
その他にも、ベニアカリやアンデスレッドなど男爵のようにでん粉を多く含む品種が比較的圧力鍋で蒸すのに適しています。
メークインが圧力鍋で蒸すに不向きというわけではありません。メークインはでん粉の含有量が少ないため男爵と比較して、もともと粘質で口当たり滑らかなのが特徴です。また、糖分が収穫直後から男爵などその他の品種より多いためほんのりとした甘味が感じることができます。
男爵はデンプン粉の含有量が多く、ホクホクとした食感を楽しめる一方で、煮崩れしやすいため煮込み料理には不向きな品種です。
じゃがいものでん粉は炭水化物の一種で、加熱して水を加えることで糊化(「こか」と読みます。デンプンが水を吸ってのり状になること)して膨らむ性質があります。それにより細胞同士の結びつきが弱まり、煮崩れしてしまいます。そのため、でん粉を多く含む男爵のほうが煮崩れしやすいのです。
圧力鍋で調理をすれば短時間で火を通すことができるので煮崩れも防ぐことができる一方で、加圧して一気に温度を上げていくことで逆に煮崩れしてしまい溶けてしまうことがあるので注意が必要です。
圧力鍋でカレーやシチューなどの煮込み料理を作るのであれば、煮崩れしにくいメークインを使うのが良いでしょう。男爵を使う場合は大きめにカットし煮崩れを予防するなど工夫をすると良いでしょう。
圧力鍋で茹でると通常の鍋で茹でるよりも時短になるのはもちろんのこと、少なめの水で茹でることができるので栄養素の流出を最小限に抑えることができます。
じゃがいもには「畑のりんご」と呼ばれるほど、ビタミンCが含まれています。可食部100gあたりに含まれるビタミンCの量は28mg!そんなビタミンは水溶性なので、水にさらすと断面からどんどん流れ出ていってしまいます。また、水溶性成分はビタミンCだけではありません。体内の余分な塩分を排出し、バランスを調整してくれる「カリウム」も流出してしまいますので、たっぷりの水を入れて茹でると栄養素を無駄にしてしまいます。圧力鍋の場合はだいたい1カップ程度の水の量で茹でることができます。
圧力鍋を使ってじゃがいもを蒸すときは蒸しすのこを使いますが、蒸しすのこがない場合は少量の水を入れて茹でると良いです。じゃがいもを蒸し茹でする方法はこちらの記事でご紹介していますので参考にしてください。
まず、じゃがいもを綺麗に洗います。蒸すことで簡単に皮は剥けるようになるため皮は剥かなくて大丈夫ですが、泥汚れなどが残っていると加熱をした際に土臭くなってしまいます。
あまり汚れていない場合は軽く水洗いするだけで大丈夫です。土汚れがひどい場合は流水にさらしながらたわしや硬めのスポンジでこすると綺麗に落とすことができます。
じゃがいもを綺麗に洗い、芽があれば取り除きましょう。じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれており、そのまま食べてしまうと中毒症状を起こす可能性があります。
カットせずに蒸すこともできますが、じゃがいものサイズが200gを超える場合は半分にカットしておくと良いです。カットした場合はじゃがいもを水にさらすと変色を防ぐことができます。
ただし、上述したようにじゃがいもに含まれている栄養素が流出してしまいますので長時間さらさないように注意しましょう。
じゃがいも洗ったら圧力鍋に2cm程水を入れます。水を入れたら蒸しすのこをひいて、その上にじゃがいもを並べていきます。付属の蒸し器があればそれでもOKです。
鍋にじゃがいもを入れたら、強火にかけて加圧していきます。圧がかかった状態になったら弱火にして、10分程加圧します。Sサイズのじゃがいもであれば6〜8分の加圧でOK。
圧力鍋のメーカーによって加圧時間は異なりますので、取扱説明書の指示に従って加圧しましょう。
加圧したら火を止めて、圧が下がるまで放置します。圧が下がったらコンロから下ろし、粗熱がとれるまで置いて冷まします。
皮を剥く場合は、粗熱がとれたら皮を剥いていきます。完全に冷めてしまうと皮がひっついて上手く剥けなくなってしまうので注意してください。蒸したじゃがいもは包丁やピーラーを使わず手で剥くことができます。ポイントは、皮がシワシワになっている部分から剥き始めることです。皮を両方の親指で左右に引っ張ると簡単に切れ目が入ります。熱いと感じる場合は、キッチンペーパーを使うと良いです。やけどに注意しながら行いましょう。
圧力鍋によってはスチーム機能が付いているものがあります。圧力によって加熱するのではなく、文字通りスチーム(蒸気)によって蒸す機能です。圧力鍋のスチーム機能を使ってじゃがいもを蒸す場合は、圧力をかけて蒸す時よりも時間はかかります。詳しくは圧力鍋の取扱説明書などで確認してください。
fissler(フィスラー)は、ドイツの調理器具を扱う会社で、創業175年を超える老舗です。簡単な操作で使えるので、初心者の方にもおすすめ。IH対応で、人数に合わせて鍋の大きさが選べます。
圧力鍋を使ったおすすめじゃがいもレシピ(食べ方)を最後に紹介します。
圧力鍋で蒸したじゃがいもは、そのままバターを乗せてじゃがバターにして食べることができます。じゃがいもそのものの美味しさを堪能したい方におすすめです。
時短目的で電子レンジを使うと均一に火が通らず、固いところや柔らかいところがあったりして食べにくかったり、縮んだり水分が完全に飛んでしまいボソボソになってしまったりすることがありますが、圧力鍋であれば均一に火が通るので簡単に美味しく仕上げることができます。
圧力鍋を使って蒸したじゃがいもは、ポテトサラダにするのにもぴったりです。じゃがいもを蒸す際に、にんじんなどその他の火を通しておきたい食材を一緒にいれて蒸しておくと、蒸し上がったときにそのまま一緒に混ぜ込むだけで簡単にポテトサラダを作ることができます。
きゅうりやハムなどを入れる場合は、後から混ぜ合わせましょう。
圧力鍋を使って蒸したじゃがいもを使ってコロッケを作ることもできます。
コロッケを作る際はじゃがいもを加熱して潰す他に、成形し油で揚げるなど調理工程が多くあるので時間がかかりますが、圧力鍋を使えばじゃがいもの加熱に時間がかからないため、大幅に調理時間を短縮することができます。
また、圧力鍋を使って蒸したじゃがいもを使うと、じゃがいものホクホクとした食感を最大限に活かすことができます。
圧力鍋を使えば時間がかかる肉じゃがなどの煮物料理も簡単に作ることができます。
圧力鍋を使ってじゃがいもの煮物料理を作る場合は、皮を剥いて適度な大きさに切り圧力鍋で他の具材と一緒に炒めてから煮込んでいきます。
上述したように短時間で火を通すことができるため、男爵などの煮崩れしやすい品種も使いやすいです。ただし、加圧し一気に温度を上げて火を通すことで逆に煮崩れしてしまうこともあります。圧力鍋を使って煮物を作るときは大きめのサイズにカットしておくと煮崩れを防ぐことができます。
圧力鍋を使えば、ポトフなどのスープも短時間で作ることができます。スープにすればビタミンCなど水溶性で流出してしまいやすい栄養素もしっかりと摂取することができます。
ビシソワーズを作ることもできます。ビシソワーズを作る場合はミキサーが必要となりますが、あらかじめ圧力鍋でじゃがいもを加熱して柔らかくしておくことで時短になりますし、よりなめらかな口当たりになります。
圧力鍋で蒸したじゃがいもは冷蔵保存だと2日〜3日しかもちません。そのため、すぐに使い切れない場合は冷凍保存がおすすめです。
じゃがいもは生のまま冷凍することも可能ですが、冷凍障害が起きて味や食感が悪くなってしまうことがあるので、食感や味を悪くしたり変色を防ぐために一度加熱してから冷凍するのがおすすめです。
冷凍する前に茹でたり蒸気をあてたりと必要最低限の加熱処理を行うことを「ブランチング」と言います。じゃがいも以外の野菜でも使える方法で、加熱して野菜の持っている酵素を不活性化させることにより変色を防いだり、組織を軟化させることにより冷凍によって組織が破壊され食感を損なわれるのを防ぐことができます。また、食品表面に付着している微生物の殺菌にもなります。
蒸したじゃがいもの粗熱が取れたら、保存用袋に入れてしっかり密閉して冷凍しましょう。
冷凍したじゃがいもを使うときは、前解凍してしまうと食感が悪くなってしまうため、解凍せずにそのまま炒めものにするなど加熱調理するのがおすすめです。
出典:冷凍食品Q&A冷凍食品の基礎知識(日本冷凍食品協会)
一度蒸したじゃがいもを冷凍するときは、マッシュにしてからがおすすめです。マッシュにして冷凍する場合も1ヶ月保存可能です。
解凍されると食感が悪くなってしまいがちなじゃがいもも、予めマッシュにしておけば食感も悪さが気にならなくなります。
マッシュにして冷凍するときは、温かいうちに潰してマッシュポテトを作ります。しっかり粗熱をとってから、小分けにし平たくラップに包み、冷凍用ジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜いて冷凍します。
マッシュしてから冷凍したじゃがいもはそのままでは使えないので、冷蔵庫に移して自然解凍します。冷蔵庫に移して低温でゆっくり解凍することで、水分が出すぎて食感や味が悪くなってしまうことを防げます。時間はかかってしまうので、使う日の前日に冷蔵庫に移しておくと良いでしょう。
早く解凍したい場合はレンジ解凍しても大丈夫です。電子レンジを使うとホクホクとした食感になります。しかし、加熱しすぎてしまうとボソボソになってしまうので注意してください。様子を見ながら加熱することが大切です。
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