じゃがいもを茹でる際、塩を加えるとより美味しく仕上げることができます。本記事では、じゃがいもを茹でるときのポイントや塩ゆでする方法などを詳しく解説します。
生の状態のじゃがいもはとても固いですよね。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。
塩には、このペクチンの分解を促進する効果があります。塩を加えると浸透圧が上がり、じゃがいもの細胞内の水分が外部に移動しやすくなります。これにより、茹でる過程でじゃがいもの組織が水分を吸い込み、組織が膨潤します。膨潤した組織は柔らかくなるためペクチンが分解されやすくなり、じゃがいもを柔らかく仕上げることができます。
ただし、過剰な塩分はじゃがいもの組織が逆に固くなる原因になるので注意が必要です。
じゃがいもや他の食材を茹でると、水分が多く含まれるために食材が水っぽくなり、味が薄く感じられることがあります。しかし、塩を加えることで防ぐことが可能です。
塩には食材の風味を引き立たせ、味覚を刺激する効果があります。そのため、じゃがいもを塩ゆでにすることで、味が引き締まり、風味もより際立ちます。さらに、じゃがいもの甘みもより感じやすくなります。
ただし、やはり適切な量を守ることは重要です。過剰に塩を加えると塩辛くしてしまうだけでなく、食材の本来の味を隠してしまいます。
じゃがいもを塩茹でする方法は、水に塩を加えて茹でるだけです。
じゃがいもを塩茹でするときの塩の量は水100ccに対して1gで、だいたい1%の塩水になるようにすると良いです。例えば500ccの水で茹でる場合の塩の分量はだいたい5g(小さじ1)となります。
ただし、個々の好みやレシピによっても異なります。そのため様子を見ながら調節すると良いです。
上述したように入れすぎてしまうと逆にじゃがいもが固くなってしまったり、塩味が強すぎてじゃがいもの味が引き立たなくなってしまうので注意しましょう。
塩を入れるタイミングは、基本的には水が沸騰する前です。
鍋に水を入れてじゃがいもを入れた段階で塩を入れておくと、塩が均一に溶けるためじゃがいも全体が柔らかくなりやすくなり、風味も引き立ちやすくなります。
水が沸騰した後に塩を加えることも可能です。
水が沸騰した後に塩を加えることで、塩分がじゃがいもの表面に付着するためじゃがいもの味や風味を引き出す効果があるのと同時に塩味を感じやすくなります。塩茹でした後調理をせずそのまま食べる場合などは沸騰後に塩を加えると良いでしょう。
「塩」と一口にいっても様々な種類がありますが、一般的には精製塩(食卓塩)が使われます。精製塩は粒子が細かく溶けやすく、食材の味を邪魔せず引き立たせるのでじゃがいも以外の野菜を茹でるときにもよく使われます。
その他、海塩や岩塩などでも塩ゆですること自体は可能です。
海塩は海水を蒸発させることで得られる塩です。地域や生産方法によって異なる風味やミネラル成分を持つ場合があります。海塩は自然な風味があり、独特の味わいを与えることができます。
岩塩は岩塩層から採掘される塩で、天然のミネラル成分を含みます。岩塩は粗い結晶の形状をしており、食材に対して少し粗めの塩感を与えるのが特徴です。
味の好みや料理に合わせて選んでも良いでしょう。
じゃがいもを茹でるときは皮を剥いたりカットしておくと調理をするときに便利ですが、丸ごと皮付きのまま茹でたほうが栄養が流出しにくいのでおすすめです。
じゃがいもは「畑のりんご」と呼ばれるほど、ビタミンCが豊富に含まれています。可食部100gあたりに含まれるビタミンCの量は28mg!そんなビタミンは水溶性なので、皮を剥いた状態で茹でるとどんどん流れ出ていってしまいます。また、水溶性成分はビタミンCだけではありません。体内の余分な塩分を排出し、バランスを調整してくれる「カリウム」も流出してしまいます。
皮ごと茹でることで水溶性の栄養素を9割キープできるといわれています。皮付きのままでもカットしてあると断面から栄養素が流出してしまいますので、栄養素を重視するのであれば「丸ごと皮付き」がベストです。
じゃがいもに芽が生えていた場合は、しっかりと取り除きましょう。
じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれており、一定量摂取すると吐き気やおう吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなど症状が出る可能性があります。
ソラニンとチャコニンは、グルコースやガラクトースなどの「糖」と、植物由来の窒素を含んだアルカリ性(塩基性)物質である「アルカロイド」からできているグリコアルカロイド(糖アルカロイド)と呼ばれる成分の一種です。育っていく中で外敵に食べられてしまわないようにソラニンやチャコニンといった有害物質をもつようになったといわれます。
ソラニンやチャコニンは特に芽の根元に多く存在していますので、表面に出ている部分だけではなく根元から身もえぐり取るようにすることが大切です。まだ小さな芽の出始めの部分にもチャコニンやソラニンが含まれています。まだ小さいから大丈夫と思ってしまいがちですが、小さな芽も必ず取り除きましょう。
出典:食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報(農林水産省)
野菜は水から茹でる場合と沸騰したお湯から茹でる場合がありますよね。じゃがいもは水から茹でるのが基本です。
じゃがいもを沸騰したお湯から茹でると火の通り方にムラができて外側は十分柔らかいのに内側は火が通ってなくて固いなどムラがうまれ、内側まで火が通る頃には外側がボロボロになってしまいます。
そのため水から茹でたほうが外側から内側まで均一に火が通るため煮くずれしにくくなります。じゃがいもを茹でるときは必ず水から茹でましょう。
じゃがいもの茹で時間は、じゃがいもの大きさや皮付きかカットしているかなどの条件によって異なります。上述の通り、じゃがいもは水から茹でるのが基本です。本記事では、沸騰してから茹で上がるまでの時間を「茹で時間」とします(水から茹で、湯が沸騰するまでの時間は含みません)。
小・Sサイズ(58g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は15〜20分程です。
じゃがいもは大きければ大きいほど火が通るのに時間がかかるため、小サイズが最も早く茹で上がります。新じゃがは小サイズのものが多いため、じゃがいも小サイズの茹で時間を目安に茹でると良いです。
中・Mサイズ(92g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は20分〜25分程です。20分ほど加熱後に竹串を通してスッと通らなければ、1分ずつ茹で時間を追加して調節してください。
大・Lサイズ(157g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は30分程です。
やはり大きいサイズは最も時間がかかります。時間がかかるため大サイズのじゃがいもの茹でる時間を短縮したい場合は、カットしてから茹でると良いです。ただし、時間は短縮できてもカットすることにより栄養素は流れ出てしまいます。
じゃがいもは茹でる以外にも、蒸したりレンジを使って加熱することも可能です。
じゃがいもは蒸しても美味しく食べることができます。蒸せば水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができますし、味が薄くなってしまうこともありません。
じゃがいも丸ごと皮つきのまま蒸す場合は、よく洗った後に切り込みを入れます。鍋に水を入れて沸騰させたら、じゃがいもを入れた蒸し器を入れて蓋をします。
蒸し時間はじゃがいもの大きさにもよりますが、だいたい20分程です。竹串がすっと通るようになったら完了です。
圧力鍋を使うと、よりスピーディー(約10分程)に火を通すことができます。
じゃがいもはレンジで加熱すると時短になります。また、茹でるのとは異なりビタミンCなどの水溶性の栄養素の流出を防ぐことができます。
じゃがいもを丸ごとレンジで加熱する場合は、綺麗に洗い、芽を取ったら1個ずつラップに包みます。このときじゃがいもの皮に切り込みを入れておくと加熱後皮が剥きやすくなりますが、切り込みを入れなくても剥くことができるのでそのままラップに包んでも大丈夫です。
複数個のじゃがいもをまとめてラップに包んでしまうと、熱が均一に伝わらなくなってしまうのでNGです。必ず1個ずつ包み、加熱も1個ずつ行うのがおすすめです。
ラップで包んだら、1個につき600Wで3分を目安に竹串がすっと通るようになるまで加熱します。
じゃがいものレンジでの蒸し方はこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【レンチンするとじゃがいもがパサパサになる?】
じゃがいもをレンジで加熱すると、パサパサになってしまうことがあります。
これは電子レンジが食材の水分を蒸発させてしまうためです。じゃがいもは元々水分量が少ない野菜であり、さらに火が通りづらいため長時間加熱をすることで水分が飛んでしまいパサパサになってしまいます。
湿らしたキッチンペーパーで包んでからラップすると、水分が飛んでパサパサになってしまうことを防ぎ、柔らかい仕上がりにすることができます。
カットをしてから加熱することも可能ですが、切り口から水分が飛んでしまうためパサパサになることを防ぎたい場合はカットより丸ごとがおすすめです。
Most Popular
大根は中身が茶色に変色しても食べられる?原因と対処法を解説
食品事典
中が茶色いじゃがいもは食べられる?空洞や輪になってる場合は?
食品事典
麻婆豆腐が辛い時に甘くする方法。おすすめの調味料や食品は?
食品事典
ハンバーグが固くなる原因と柔らかく作るコツを徹底解説
食品事典
スカスカなかぶは食べてOK?スが入る原因は?
食品事典
トマト缶は一缶でトマト何個分?サイズ別に解説
食品事典
冬におすすめの天ぷら具材36品。冬野菜や冬が旬の魚介類を紹介
食品事典
冷凍したじゃがいもが黒っぽく変色...食べてOK?原因と対処法を解説
食品事典
里芋は生で食べられる?生食のメリットと注意点を解説。
食品事典
エリンギが水っぽい...食べられる?濡れてる原因と対処法は?
食品事典