なすが茶色く変色してしまって食べられるのか心配になったことがある方は多いのではないでしょうか。本記事ではなすが茶色く変色してしまう原因や、茶色く変色してしまったなすは食べられるのかどうかなど詳しく解説します。
なすが茶色く変色してしまう原因は下記の通りです。
なすの表面に茶色い傷が入っているのは、栽培中に幹や枝になすの実が擦れてしまったり、出荷時に実が傷ついてしまったことが原因です。人間でいうかさぶたができてしまっている状態です。
また、お尻の部分だけが茶色くなっていることもあります。これは、なすが子孫を残そうと種を守るために実を固くする自然作用による傷です。
どちらの場合も腐敗しているわけではありません。
なすをカットしてみたら、種や種の周りが茶色く変色していた経験がある方も多いのではないでしょうか。これはなすの鮮度が落ちて劣化している状態です。
一般的にスーパーなどで販売されているなすは、熟す前に収穫されています。そのため種は白色をしていて、実も白いので種はあまり目立ちません。しかし、収穫してから時間が経つと種が熟してきて茶色や黒に変色していきます。
見た目は何の異常も見られないのに、カットしてみたら中が茶色く変色している場合があります。これは、低温障害が原因です。
低温障害は冷蔵保存に適さない野菜や果物を冷蔵保存した時に出る障害のことをいいます。冷蔵庫で長期間保存しているなど、冷気に当たると低温障害が起こり変色するほか皮が硬くなり内部の水が抜けて実がしぼんでしまいます。
低温障害は里芋など、なす以外の野菜にもよく起こります。
カットして保存していたなすなど、時間が経って茶色く変色した場合は、酸化が原因です。
なすにはアントシアニンとよばれるポリフェノールの一種が含まれています。アントシアニンは空気中の酸素にふれると茶色→黒と変色していく性質があります。これは、カットしたりんごがどんどん黒くなってくる現象と同じです。
新鮮な状態の鮮やかな紫をしているなすでも、加熱調理をすると茶色く変色してしまうことがあります。これはなすの色素となっているナスニンが抜けてしまったことが原因です。腐敗しているわけではありません。
なすの色素はアントシアニンと呼ばれるポリフェノールの一種で、主要成分となっているのがナスニンです。ナスニンは水溶性の成分であるため、加熱によりなすの水分が蒸発するのと一緒に抜けてしまうことがあります。
なす全体が茶色く変色してしまっている場合は、腐敗していると考えて良いでしょう。腐敗が原因で変色している場合は、異臭がしたり溶け出している部分があるなど変色以外の異変が見られることが多いです。
腐敗しているなすの特徴については後述しますので、そちらも併せて参考にしてください。
なすが茶色く変色してしまう原因はおわかりいただけたかと思います。続いて、茶色く変色したなすは食べることができるのか解説します。
種が茶色く変色していたり、カットしてから時間が経って酸化して茶色く変色したなすは、腐敗しているわけではないので、食べることができます。ただし、鮮度が落ちている状態なので異臭がするなど腐敗のサインが見られないかチェックしてから判断しましょう。
腐敗のサインが見られない場合はそのまま料理をして食べても問題ありませんが、風味や食感が悪くなっていることがあります。気になる場合は変色している部分をカットして調理をすると良いです。
表面に茶色い傷ができていたり、お尻が茶色くなっている場合も腐敗しているわけではないので食べることができます。
ただし、茶色くなってしまっている部分は固いです。そのまま調理をしても良いのですが、食べにくいですし口当たりも悪いため変色している部分はカットして調理しましょう。
加熱して色素が抜けてしまって茶色く変色してしまった場合も、問題なく食べることができます。
料理の見た目は悪くなってしまいますが、腐敗しているわけではないので大丈夫です。新鮮ななすを調理した場合にもよく起こる現象です。
色素が抜けて茶色く変色してしまっても、味や食感が悪くなってしまうことはありません。
腐敗が原因で全体的に茶色く変色してしまっている場合は、当たり前ですが食べることはできません。
腐敗している食材には細菌が繁殖している可能性が高いです。すべての細菌が食中毒を起こす原因になるわけではありませんが、腹痛や嘔吐などの症状が出てしまう可能性があります。細菌の種類によっては加熱をしても死滅しないこともあるので、食べるのはやめましょう。
なすの表面に茶色い傷ができてしまうのは、傷をつけないように丁寧に扱うことで防ぐことができます。ただし、出荷時にすでに傷がついてしまっている場合は防ぐことはできません。購入する際に傷がついていないか表面をチェックすることが大切です。
また、お尻の部分が茶色くなってしまうのも自然作用によるものなので防ぐのは難しいです。家庭菜園でなすを育てているなすの場合は、的確な時期になすを収穫するようにしましょう。
加熱して色素が落ちて茶色く変色してしまうのは、調理前の下処理として色止めをしておくと防げます。
なすの色止めの方法には、
油通しする
酢を入れたお湯で茹でる
などがあります。油通しとは野菜などの具材をさっと油にくぐらせる下処理方法で、中華料理などでよく使われます。油通ししておくことで油でなすがコーティングされるので色素が抜けてしまうのを防ぐことができます。
酢を入れたお湯で茹でる場合の分量は、水1カップに対して酢大さじ1です。酸味は加熱することで飛んでしまうので、酢を入れたお湯で茹でてもなすに酢の味がついてしまうことはありません。
また、表面に切り込みを入れて火が早く通るようにするなど、加熱時間を短くする工夫をしておくことも変色防止に繋がります。
劣化や酸化、低温障害、腐敗が原因で茶色く変色してしまうのは、正しく保存することである程度防ぐことができます。
正しく保存することで鮮度を保つことができるので、変色を防ぐだけではなく、より長く美味しく食べることができます。なすに限ったことではありませんが、購入をしたら正しく保存しましょう。
ここでは、なすの正しい保存方法を詳しく解説していきます。
気温が10℃前後で直射日光が避けられ風通しのよい部屋(冷暗所)ならば、常温でも1週間ほど保存することができます。夏場や冬場の暖房を使用している環境なら1〜2日です。
新聞紙に包むことで皮が乾燥するのを防ぎます。新聞紙がない場合はキッチンペーパーでもOKです。
また、立てて保存するのもポイントです。野菜は育ったときと同じ状態で保存することでストレスがかからず、栄養を損なわずに済みます。
表面に水けがついている場合はしっかり拭き取り、1個ずつラップで包んでから冷蔵用保存袋にいれて野菜室へ。数日で種は黒くなってしまいますが、味に変化はありません。1週間ほど経っても、皮にはしわがよらず、つややかです。ラップで包むひと手間で鮮度が全くちがいます!
なすを保存するときはへたを切り落とさないようにしましょう。へたを切ってしまうと水分を失いやすくなります。
ラップで包む余裕がないときは、厚手の冷蔵用保存袋に入れて保存するだけでも、買ってきた袋でそのまま冷蔵するのとは鮮度に大きな違いが生まれます。2〜3日で食べきるならば、ラップなしでもOKです。
冷凍保存する場合は、乱切りや厚めの輪切りなど調理しやすいサイズにカットしましょう。丸ごと冷凍することも可能です。
なすはポリフェノールによる褐変が起こりやすいので、気になる方は水に10分ほどさらすか、塩をかけて10分ほど置くことで防ぐことができます。体に悪いわけではないので、そこまで気にしすぎる必要はありません。
乱切りや厚めの輪切りなど食べやすいサイズに切って、オリーブオイルで炒めて粗熱を取ります。その後に冷凍用保存袋に入れて空気を抜き、密閉して冷凍庫へ。
野菜は加熱することで水分が抜けるので、風味や食感が悪くなる原因である氷の結晶が冷凍の過程で発生しにくくなるためです。油で加熱調理をすれば変色の心配もいりません。
そのまま加熱調理に使うことができます。使い方は生のなすと基本的に同じです。煮浸しや揚げ浸しなど味を染み込ませる料理が特におすすめです。麻婆なすやカレーの具にしても◎。
おひたしにしたい場合は、前日に冷蔵庫に移して常温解凍か、流水解凍を。
なすは常温・冷蔵・冷凍保存の他にも、天日干しなどで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、塩漬けやからし漬けにする漬け保存が可能です。なすの保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
茶色く変色したなすは腐敗しているとは限りませんが、下記のような特徴がある場合は腐敗しています。
腐ったなすの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的にシワシワ
溶け出している
表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。ヘタの部分はとくにカビが生えやすく、ヘタのみであれば切り落せば食べられることもありますが、全体的にカビが生えてしまっている場合は破棄しましょう。カビは、カビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。
新鮮ななすの表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは水分が抜けて乾燥してしまっている状態です。少し水分が抜けてしまった程度であれば問題ありませんが、完全に抜けてシワシワになっていたり、溶け出している場合は腐敗しています。
腐ったなすの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミ臭
カビ臭い
なすは青臭さがある野菜ですが、そこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
なすに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったなすの触感の特徴は下記の通りです。
ぶにょぶにょに柔らかくなっている
全体的にぬめりがある
糸をひいている
新鮮ななすには張りがあり、ある程度硬さがありますが、腐敗が進んでいるとぶにょぶにょとした柔らかい触感になります。また、全体的にぬめりが出ていたり糸をひく場合も腐敗が進んでしまっている状態なので、残念ですが破棄しましょう。
当たり前ですが、新鮮ななすの方が、保存期間が長くなります。新鮮ななすは下記の特徴があります。
ガクの紫色が濃く、トゲが鋭く尖っている
ヘタの切り口が白い
ガクと実の間が白〜薄紫〜紫に変化している
実の紫色が濃く、ハリ・ツヤがある
手にしたときに軽いものは中身がスカスカになっている可能性が高いので注意しましょう。また、ヘタの大きさに対して実が小さいものは未熟です。傷やシワがあるものも避けましょう。
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