保存していたブロッコリーが黄色く変色してしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。本記事ではブロッコリーが黄色く変色してしまう原因や対処法などを詳しく解説します。
ブロッコリーを保存していると、本来緑色のはずの部分が黄色っぽくなってくることがあります。時間が経てば自然に起こる現象です。
私達が普段食べているのは、ブロッコリーの「花蕾(からい)」と呼ばれる蕾(つぼみ)です。ブロッコリーは収穫後も生長を続けるため時間がたつと蕾が開き、花の色である黄色に変わっていきます。
ブロッコリーが黄色く変色してしまうと、腐敗したのではないかと思う方も多いと思いますが、腐敗が原因で変色しているわけではありません。
ブロッコリーの蕾が開いて黄色く変色しても腐敗しているわけではないので、食べることができます。
例えば、じゃがいもも収穫後も生長を続けるため芽が生えてくることもありますが、じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれているため食べることはできません。しかし、ブロッコリーの場合は花が咲いても天然毒素などは含まれていないので、人体に害はありません。
ブロッコリーは黄色くなっても食べることはできますが、花を咲かせるために栄養素を使ってしまっているため栄養価は落ちている状態です。
ブロッコリーに限らず栄養価が高いのは、収穫してすぐやしっかり鮮度を保てている状態のときですので、黄色く変色してしまう前に食べたほうが良いです。
店頭に並べられているブロッコリーに黄色く変色している部分がある場合は、収穫してから時間が経っていることが考えられますので、選ばないようにしましょう。
黄色く変色しているブロッコリーは栄養価が落ちているだけではなく、苦味を強く感じたり食感が悪くなっていることが多いです。
ブロッコリーにはシュウ酸やイソチオシアネートなど苦味となる成分が含まれているのですが、収穫してから時間が経ってしまうとより強く苦味を感じやすいです。
また、イソチオシアネートは空気中の酸素に触れて酵素が働き「ジメチルサルファイト(ジメチルスルフィド)」と呼ばれる揮発成分に分解されます。ジメチルサルファイトは「スルフィド」と呼ばれる有機硫黄化合物の一種です。「キャベツが腐った臭い」とも表現される悪臭成分で、消毒臭や硫黄臭(おならの臭い・たくあんの臭い)、潮臭さを人に感じさせるため臭いと感じる人もいます。
ブロッコリーにも様々な品種があります。ブロッコリーは一般的に販売されている緑色の品種の他に紫色の色素であるアントシアニンを多く含む「紫ブロッコリー」がありますが、もともと黄色い品種はありません。
ブロッコリーが突然変異し白くなったものを品種改良して誕生したカリフラワーには、一般的に販売されている白い品種の他にも様々な色の品種があります。
カリフラワーの黄色い品種には「ブロッコフラワー」があります。その名の通りブロッコリーとカリフラワーを合わせた品種です。甘みがあり食味が良いのが特徴です。
写真はオレンジ色の品種である「オレンジカリフラワー」です。白いカリフラワーは日光に当てないように育てているため白い色になるのですが、オレンジカリフラワーは日光に当てて育てるため花蕾(からい)がオレンジ色になります。このオレンジ色はβ-カロテンの色です。白いカリフラワーと比較して甘みが強いという特徴があります。
黄色く変色してしまっても食べられるとはいっても「見た目が気になる」という方は多くいるかと思いますが、残念ながら一度変色してしまったブロッコリーの色は元に戻すことはできません。
そのため、黄色く変色してしまったブロッコリーは色が気にならないような料理に使うと良いです。変色しているのが一部だけで、サラダに使いたいけど見た目を損ねたくないといった場合は変色している部分を取り除いて食べるのも一つの手です。
黄色く変色してしまったブロッコリーは、上述したように生長してしまっていて栄養価が落ちていますし、鮮度が落ちている状態です。そのままにしておくとやがて茶色く変色していき、さらに時間が経つと腐敗していってしまいます。
保存していたブロッコリーが黄色くなってしまっているのを発見した場合は、腐敗しないうちに早めに食べきることが大切です。
見た目の悪さが気になってしまう黄色く変色したブロッコリーのおすすめの調理法を紹介します。
黄色く変色してしまったブロッコリーは揚げ物にするのがおすすめです。素揚げにしても良いですが、衣をつけて天ぷらにしたり、フリッターにすると黄色い色をカバーすることができます。
苦味や臭いが気になる場合は、カレー粉などを一緒に使うとスパイシーな味になるので気になりにくいです。
ブロッコリーは油との相性がよく、油を使って調理することでブロッコリーに含まれているβ-カロテンの吸収率を上げることができるメリットもあります。
黄色く変色してしまったブロッコリーはグラタンにするのもおすすめです。
色も目立たなくなりますし、ホワイトソースの濃い味付けで苦味も気にならなくなるため食べやすくなります。チーズを使うことでまろやかな味わいになるため、小さなお子様でも食べやすいでしょう。
グラタンにはたんぱく質が豊富な鶏肉や卵などを一緒にいれるのがおすすめです。ビタミンCはたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。ご存知の方も多いかと思いますが、コラーゲンには美肌効果が期待されています。ブロッコリー自体にもたんぱく質は含まれますが、鶏肉や卵などと一緒に摂ると、さらに効果アップが見込めます。
また、ビタミンA(β-カロテン)がビタミンCのこのコラーゲンになる作用を助ける働きがあります。ビタミンAとCが含有されているブロッコリーはたんぱく質と一緒に食べるのが大変効果的と言えます。
黄色く変色してしまったハンバーグは細かく刻んでハンバーグのタネに入れても◎細かく刻むことで色の悪さをカバーすることができますし、ハンバーグにすれば食べやすいです。
ハンバーグ以外にも餃子のタネに入れたりすることもできます。細かく刻んでしまえばブロッコリーが苦手な小さなお子様でも存在に気がつくことなく食べることができます。
本来緑色の部分(花蕾)が紫っぽく変色しているブロッコリーを見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。一見傷んでいるようにも見えますが、これはブロッコリーに含まれているポリフェノールの含有量が増えたためであり、腐敗しているわけではないので食べることができます。
ポリフェノールとは植物の苦味や渋みの成分となる化合物の総称です。構造の違いによって様々な種類があり、紫色になるのはポリフェノールの一種であるアントシアニンが増えたことが原因です。
アントシアニンは紫色の色素で、例えばぶどうの皮が紫色をしているのもアントシアニンが多く含まれているためです。ブロッコリーの場合は含有量や見え方によってはピンクに見えたり黒く見えることもあります。
ブロッコリーは特に気温が低いとアントシアニンが生成されやすくなり、冬に販売されているブロッコリーは紫がかっていることが多いです。冬のブロッコリーは寒さから身を守るため糖分を沢山蓄えているため甘いのが特徴です。紫色になっている=甘いというわけではありませんが、冬に販売されているブロッコリーが紫色に変色しているのは寒さや乾燥に耐えようとした証拠であり、良い状態であるといえるようです。
毒々しい色合いに驚いてしまう方も多いと思いますが、アントシアニンには抗酸化作用があり人体に害がある成分ではありません。また、アントシアニンは水溶性であるため茹でると落ちる事が多いです。見た目が気になる方は茹でて食べると良いでしょう。
ブロッコリーの茎に黒い斑点が出ている場合は、一見黒カビが生えているように見えますが、黒カビが生えていたり腐敗しているわけではないので食べることができます。
ブロッコリーの茎に黒い斑点ができるのは「ゴマ症」と呼ばれる生理現象です。
ブロッコリーは寒暖差が激しいなど生育中にストレスがかかるとポリフェノール類の色素が蓄積され、表面に黒い点として現れます。ゴマ症は白菜やキャベツなど、ブロッコリー以外の野菜にも起こります。
黒い斑点の正体はポリフェノールなので食べても人体に害はありませんが、気になる場合は斑点が出ている部分を切り取って食べると良いです。
食べても問題ないとはいえ、黒い斑点が出ているブロッコリーはストレスを受けて育っている印なので購入する際は黒い斑点が出ていないものを選ぶのが良いです。
ブロッコリーは茹でると黒っぽくなったり茶色っぽくなってしまうことがあります。ブロッコリーを茹でたときに黒っぽくなったり茶色っぽくなったりするのは、茹でたことによりブロッコリーの色素が落ちてしまうためです。
ブロッコリーに限らず植物の緑色は日光を浴びたときに生成される葉緑体の中に「クロロフィル」と呼ばれる緑色の色素が含まれているためです。クロロフィルは長時間加熱されることで分子内のマグネシウムがはずれて褐色の「フェオフィチン」というものになります。そのため色があせて黒っぽく見えたり茶色っぽく見えてしまうのです。
腐敗やブロッコリーが病気にかかっていることが原因ではありませんので、食べても問題ありません。
黄色く変色したブロッコリーは腐敗しているわけではないので食べることができますが、下記の特徴があるブロッコリーは腐敗しているので食べることができません。黄色く変色している以外にも腐敗しているサインが見られる場合は残念ですが破棄しましょう。
腐敗したブロッコリーの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
溶け出している
ブロッコリーの葉や芯にフワフワとしたホコリのようなものがついている場合は白カビ、黒く変色している箇所がある場合は黒カビが生えています。じゃがいものような根菜は表面のみにカビが生えていて中まで侵食していなければ、変色している箇所を取り除けば食べることができるといわれていますが、カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状を起こすこともあるため注意が必要です。
ブロッコリーは変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒くなっていたり茶色くなっている場合は腐敗している可能性が高いです。腐敗がすすむと溶け出している箇所があることもあります。このような場合は破棄しましょう。
腐ったブロッコリーの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい匂い・味
生ゴミのような臭い
カビ臭い
酸っぱい臭いや生ゴミの臭い、カビ臭いなどあきらかに普段感じないような臭いがするときは腐敗しています。
ブロッコリーに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。
また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は、見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
腐ったブロッコリーの触感の特徴は下記の通りです。
柔らかい
ぬめりがある
ブロッコリーを触ったときにグニュッとした感触があったり全体的に柔らかくなってしまっている場合は、腐敗が進み溶け出してしまっている状態です。また、表面がぬめぬめしている場合は雑菌が繁殖している可能性が高いです。新鮮なブロッコリーにはぬめりがでることはありませんので、ぬめりが出ているブロッコリーは破棄しましょう。
ブロッコリーは正しく保存することで黄色く変色してしまうのを防ぐことができます。正しく保存することは変色を防ぐだけではなくより長く美味しく食べることにも繋がるので、ブロッコリーを購入したら正しく保存しておくことが大切です。ご紹介している内容をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
ブロッコリーは暑さや乾燥に弱い野菜であるため、基本的に常温保存はおすすめしませんが、冬ならば冷暗所で1日程度保存可能です。その場合は新聞紙などで包むようにするとよいでしょう。常温保存はすぐに黄色くなってしまうこともあるので注意しましょう。
すぐに使うなら、冷蔵保存がベストです。ブロッコリーは正しく保存すれば、10〜12日程度冷蔵保存が可能です!
ブロッコリーをみずみずしく鮮度を保って冷蔵保存するには、茎の根元を切りグラスなどに挿し、茎の根元が数cm浸かる程度の水を入れ、ポリ袋をかぶせて輪ゴムで留めるのがベスト。冷蔵室でも構いませんが、野菜室の方が湿度が高くベターです。
水に浸けるというひと手間を加えることで、本当にみずみずしく長持ちさせることができます!湿らせたキッチンペーパーでブロッコリーを包みジッパー付きポリ袋に入れて保存する方法もありますが、水につける方が鮮度が保たれます。ブロッコリーの花蕾は90%が水分で、収穫後は土からの水分の吸収は止まり、蒸散しているので、この方法によってみずみずしい食感を保つことができます。
ブロッコリーは他の野菜を劣化されるエチレンガスを放出するので、冷蔵庫内の他の野菜を守るためにもブロッコリーは密閉して保存することが重要です。
塩茹でしたブロッコリーが余ってしまった場合は、保存容器で2〜3日、冷蔵保存することも可能です。ブロッコリーから水が出てベチャベチャとした食感になってしまうのを避けるため、保存容器に乾いたキッチンペーパーを敷き、ブロッコリーを立てて(房の部分を上にして)敷き詰めます。
生のまま冷蔵保存しているブロッコリーに比べて、茹でたブロッコリーの冷蔵保存は傷みが早いので、2〜3日を目安になるべく早く食べ切るようにしましょう。
長期保存するならば冷凍保存がおすすめです。ブロッコリーの冷凍保存の期間の目安は約1ヶ月です。
ブロッコリーを冷凍保存するとき、茹でるか、生か、どっちがよいか迷う方が多いと思います。どちらにもメリット・デメリットがあります。
直接冷凍する方法を「ダイレクトフリージング」、冷凍する前に茹でることを「ブランチング」といいます。
小房に分けたブロッコリーを硬めに塩茹でし、自然に冷まし水けをしっかり切ったら、ジッパー付きポリ袋に入れ空気をしっかり抜き保存。茎も小さめに切っていれましょう。
家庭用冷凍庫では基本的にブランチングするのがおすすめです。家庭用の冷凍庫では、野菜を急激に冷やすことができないのでダイレクトフリージングに向きません。ブランチングしないと、変色し、風味が落ち、食感が損なわれてしまいます。
生の場合も小房に分けたブロッコリーをジッパー付きポリ袋に入れ、空気をしっかり抜いて保存します。
ダイレクトフリージングでは栄養素が逃げずらい(特に水溶性のビタミンC)、茹でる面倒が省ける、解凍したときに柔らかい食感にならない(サラダなどに向く)というメリットがあります。
冷凍したブロッコリーを解凍する方法は様々です。サラダに使うならば前日に冷蔵室に移動させ自然解凍させます。炒め物や煮込み料理など加熱する場合は冷凍した状態のまま使うことができます。また、冷凍したブロッコリーは電子レンジで解凍したり、蒸して解凍することもできます。
冷蔵保存や冷凍保存の他にも酢やオリーブオイルに漬けて保存する漬け保存や、天日干しやオーブンやレンジで水分を飛ばして保存する乾燥保存をすることもできます。
当たり前ですが、購入の際に新鮮なブロッコリーを選んだ方が、保存の日持ちがよくなります。下記が新鮮なブロッコリーの特徴です。
花蕾の中央部が盛り上がっている
花蕾の色が濃い緑色で、花芽が硬くつまっている
株の切り口がみずみずしい
茎に空洞がない
ブロッコリーは肥料過多などが原因により急激に生長すると茎に空洞ができることがあります。茎に空洞ができても食べることはできますが、生長しすぎているものは水っぽく、鮮度の落ちが早いので注意です。あまりに大きな空洞があるものは傷みがかなり進んでいるので食べないようにしましょう。
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