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紫やピンクに変色したブロッコリーは食べられる?原因と対処法を解説

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紫やピンクに変色したブロッコリーは食べられる?原因と対処法を解説

ブロッコリーは房の一部が紫色やピンク色になることがあります。このようなブロッコリーは食べても大丈夫なのか、わかりやすく解説していきます。

ブロッコリーが紫色に変色する原因は?食べられる?

アントシアニン

本来緑色の花蕾(ブロッコリーの上の部分)が紫っぽく変色するのは、ブロッコリーに含まれているポリフェノールの含有量が増えたためです。

ポリフェノールとは植物の苦味や渋みの成分となる化合物の総称です。構造の違いによって様々な種類があり、紫色になるのはポリフェノールの一種であるアントシアニンが増えたことが原因です。

アントシアニンは紫色の色素で、例えばぶどうの皮が紫色をしているのもアントシアニンが多く含まれているためです。ブロッコリーの場合は含有量や見え方によってはピンクに見えたり黒っぽく見えることもあります。

食べても問題ない

ブロッコリーが紫色に変色していると、色合い的に天然毒素が含まれているのではないかと心配になる方も多いと思いますが、食べることができます。

紫色の色素であるアントシアニンは抗酸化作用があり、老化や生活習慣病などの原因となる活性酸素の働きを抑える効果があるといわれています。そのため、紫色に変色している部分を食べても人体に害はありません。

紫に変色したブロッコリーは甘い?

ブロッコリーは寒い環境で育つと寒さから身を守るためアントシアニンの含有量が増えることがあります。そのため、冬に栽培されているブロッコリーは紫色に変色していることが多いです。

冬に栽培されたブロッコリーは、寒さで凍ってしまわないよう糖分を蓄えており、夏などの暖かい季節に栽培されたブロッコリーと比較して甘みがあるため、紫色に変色しているブロッコリーは甘いといわれることが多いです。

しかし、紫色に変色している=甘いとは一概には言えません。なぜならアントシアニンの含有量が増える原因となるのは寒さだけではないためです。例えば肥料過多や寒暖差などもストレスの原因となります。元々アントシアニンなどのポリフェノールは苦味や渋みを感じさせる成分であるため、アントシアニンの含有量が増えることによって苦味が強くなっていることもあります。

紫色の品種もある

紫ブロッコリー

ブロッコリーの中には「紫ブロッコリー」と呼ばれる元々紫色をしている品種もあります。紫ブロッコリーが紫色をしているのも、やはり紫色の色素であるアントシアニンが多く含まれているためです。

紫ブロッコリーは冬の寒い季節にだけ手に入れることができるブロッコリーの品種で、あまりスーパーなどには出回っていませんが、寒さに耐えることでアントシアニンが生成されているため一般的に販売されている緑色のブロッコリーよりも甘みがあるのが特徴です。

紫色に変色したブロッコリーの対処法

茹でると緑色に戻る

ブロッコリーを茹でる

ブロッコリーを茹でると、紫色の変色を緑色に戻ることがあります。紫色の色素であるアントシアニンは水溶性であるため、茹でることでアントシアニンが流出し緑色に戻ります。

そもそもブロッコリーはアクがありサラダにする場合なども一度茹でてアク抜きをしてから食べるのが一般的です。そのため、調理をする過程である程色は落ち着きます。

そもそも上述したように食べても人体に害はない成分なので神経質になる必要はないでしょう。

こんなブロッコリーも食べられる

黄色く変色している

黄色く変色したブロッコリー

ブロッコリーを保存していると、本来緑色のはずの部分が黄色っぽくなってくることがあります。この場合は、腐敗しているわけではないので食べることができます。

私達が普段食べているのは、ブロッコリーの「花蕾(からい)」と呼ばれる蕾(つぼみ)です。ブロッコリーは収穫後も生長を続けるため時間がたつと蕾が開き、花の色である黄色に変わってきます。時間が経てば自然に起こることなので、食べても問題はありません。

しかし、花を咲かせるために栄養素を使ってしまっているため栄養価は下がっています。また、苦味が出たり食感が悪くなっていることも多く食べごろの時期を過ぎてしまっている状態であるといえます。そのままにしておくと腐敗していってしまうので、早めに食べきるようにしましょう。

白い粉・白い膜がついている

ブロッコリーの表面に白い粉がついていたり、白い膜のようなものがついていることがあります。「白カビが生えている」と思ったり、中には「農薬なのでは」と心配になる方も多いようですが、こちらも食べて大丈夫です。

ブロッコリーの表面についている白い粉のようなものは「ブルーム」と呼ばれる天然分泌物です。雨や露をはじいて病原菌の侵入を防止し身を守るために分泌されているといわれています。

ブルームは天然毒素ではないので食べても人体に害はありませんが、ポリフェノールのような栄養成分ではありませんので、気になる場合は洗い流して食べると良いでしょう。ブルームは水洗いすれば簡単に落とすことができます。

茎に黒い斑点

ブロッコリーの茎に黒い斑点が出ている場合も、一見黒カビが生えているように見えますが、黒カビが生えていたり腐敗しているわけではないので食べることができます。

ブロッコリーの茎に黒い斑点ができるのは「ゴマ症」と呼ばれる生理現象です。

ブロッコリーは寒暖差が激しいなど生育中にストレスがかかるとポリフェノール類の色素が蓄積され、表面に黒い点として現れます。ゴマ症は白菜やキャベツなど、ブロッコリー以外の野菜にも起こります。

黒い斑点の正体はポリフェノールなので食べても人体に害はありませんが、気になる場合は斑点が出ている部分を切り取って食べると良いです。

食べても問題ないとはいえ、黒い斑点が出ているブロッコリーはストレスを受けて育っている印なので購入する際は黒い斑点が出ていないものを選ぶのが良いです。

茎に空洞がある

ブロッコリーの茎に空洞ができている場合も、腐敗しているわけではないので食べることができます。

茎に空洞ができてしまう主な原因は、肥料過多や降雨量が多いことによる急激な生長です。急激に生長してしまうと窒素過多やホウ素の欠乏し、空洞化してしまうといわれています。

茎に空洞があっても食べることができますが、空洞化している部分は食感が悪かったり味が落ちていることもあるので気になる場合は茎を食べずに花蕾のみを食べるか、空洞化している部分をカットして食べると良いです。

腐ったブロッコリーの特徴

ブロッコリーが紫色に変色している場合は問題なく食べることができますが、下記のような特徴があるブロッコリーは腐敗しているので食べることができません。

見た目

腐敗したブロッコリーの見た目の特徴は下記の通りです。

ブロッコリーの葉や芯にフワフワとしたホコリのようなものがついている場合は白カビ、黒く変色している箇所がある場合は黒カビが生えています。じゃがいものような根菜は表面のみにカビが生えていて中まで侵食していなければ、変色している箇所を取り除けば食べることができるといわれていますが、カビはカビ毒を発生させ下痢や嘔吐などの中毒症状を起こすこともあるため注意が必要です。

ブロッコリーは変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒くなっていたり茶色くなっている場合は腐敗している可能性が高いです。腐敗がすすむと溶け出している箇所があることもあります。このような場合は破棄しましょう。

臭い・味

腐ったブロッコリーの臭いや味の特徴は下記の通りです。

  • 酸っぱい匂い・味

  • 生ゴミのような臭い

  • カビ臭い

酸っぱい臭いや生ゴミの臭い、カビ臭いなどあきらかに普段感じないような臭いがするときは腐敗しています。

ブロッコリーに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。

また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は、見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

触感

腐ったブロッコリーの触感の特徴は下記の通りです。

  • 柔らかい

  • ぬめりがある

ブロッコリーを触ったときにグニュッとした感触があったり全体的に柔らかくなってしまっている場合は、腐敗が進み溶け出してしまっている状態です。また、表面がぬめぬめしている場合は雑菌が繁殖している可能性が高いです。新鮮なブロッコリーにはぬめりがでることはありませんので、ぬめりが出ているブロッコリーは破棄しましょう。

ブロッコリーの正しい保存方法

ブロッコリーが紫色になってしまうのは生育環境の問題であることが多いため防ぐことはできませんが、正しく保存することでカビが生えてしまったり、傷んで変色してしまうことを防ぐことができます。

正しく保存することは鮮度を保つことに繋がり、より長く美味しく食べることができるのでブロッコリーを購入したら正しく保存するようにしましょう。ご紹介している内容をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください

1日なら常温保存可

ブロッコリーは暑さや乾燥に弱い野菜であるため、基本的に常温保存はおすすめしませんが、冬ならば冷暗所で1日程度保存可能です。その場合は新聞紙などで包むようにするとよいでしょう。常温保存はすぐに黄色くなってしまうこともあるので注意しましょう。

冷蔵保存

生を丸ごと(10〜12日)

ブロッコリーを冷蔵保存する際は根元を水に挿して立てて保存する

すぐに使うなら、冷蔵保存がベストです。ブロッコリーは正しく保存すれば、10〜12日程度冷蔵保存が可能です!

ブロッコリーをみずみずしく鮮度を保って冷蔵保存するには、茎の根元を切りグラスなどに挿し、茎の根元が数cm浸かる程度の水を入れ、ポリ袋をかぶせて輪ゴムで留めるのがベスト。冷蔵室でも構いませんが、野菜室の方が湿度が高くベターです。

水に浸けるというひと手間を加えることで、本当にみずみずしく長持ちさせることができます!湿らせたキッチンペーパーでブロッコリーを包みジッパー付きポリ袋に入れて保存する方法もありますが、水につける方が鮮度が保たれます。ブロッコリーの花蕾は90%が水分で、収穫後は土からの水分の吸収は止まり、蒸散しているので、この方法によってみずみずしい食感を保つことができます。

ブロッコリーは他の野菜を劣化されるエチレンガスを放出するので、冷蔵庫内の他の野菜を守るためにもブロッコリーは密閉して保存することが重要です。

茹でて(2〜3日)

茹でたブロッコリーはキッチンペーパーを敷いた保存容器に入れて冷蔵保存する

塩茹でしたブロッコリーが余ってしまった場合は、保存容器で2〜3日、冷蔵保存することも可能です。ブロッコリーから水が出てベチャベチャとした食感になってしまうのを避けるため、保存容器に乾いたキッチンペーパーを敷き、ブロッコリーを立てて(房の部分を上にして)敷き詰めます。

生のまま冷蔵保存しているブロッコリーに比べて、茹でたブロッコリーの冷蔵保存は傷みが早いので、2〜3日を目安になるべく早く食べ切るようにしましょう。

冷凍保存

長期保存するならば冷凍保存がおすすめです。ブロッコリーの冷凍保存の期間の目安は約1ヶ月です。

ブロッコリーを冷凍保存するとき、茹でるか、生か、どっちがよいか迷う方が多いと思います。どちらにもメリット・デメリットがあります。

直接冷凍する方法を「ダイレクトフリージング」、冷凍する前に茹でることを「ブランチング」といいます。

茹でて(1ヶ月)

ブロッコリーを冷凍する時は茹でて小房に分けて冷凍用保存袋に入れる

小房に分けたブロッコリーを硬めに塩茹でし、自然に冷まし水けをしっかり切ったら、ジッパー付きポリ袋に入れ空気をしっかり抜き保存。茎も小さめに切っていれましょう。

家庭用冷凍庫では基本的にブランチングするのがおすすめです。家庭用の冷凍庫では、野菜を急激に冷やすことができないのでダイレクトフリージングに向きません。ブランチングしないと、変色し、風味が落ち、食感が損なわれてしまいます。

生のまま(1ヶ月)

ブロッコリーは生のまま小房に分けて冷凍用保存袋に入れて冷凍することも可能

生の場合も小房に分けたブロッコリーをジッパー付きポリ袋に入れ、空気をしっかり抜いて保存します。

ダイレクトフリージングでは栄養素が逃げずらい(特に水溶性のビタミンC)、茹でる面倒が省ける、解凍したときに柔らかい食感にならない(サラダなどに向く)というメリットがあります。

冷凍ブロッコリーの解凍方法

冷凍したブロッコリーを解凍する方法は様々です。サラダに使うならば前日に冷蔵室に移動させ自然解凍させます。炒め物や煮込み料理など加熱する場合は冷凍した状態のまま使うことができます。また、冷凍したブロッコリーは電子レンジで解凍したり、蒸して解凍することもできます

冷蔵保存や冷凍保存の他にも酢やオリーブオイルに漬けて保存する漬け保存や、天日干しやオーブンやレンジで水分を飛ばして保存する乾燥保存をすることもできます。