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緑に変色した人参は食べられる?原因と対処法は?

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緑に変色した人参は食べられる?原因と対処法は?

人参が緑色に変色していると、食べられるのか不安になりますよね。本記事では人参が緑色に変色する原因や緑色に変色するのを防ぐ方法などを解説します。

人参が緑色に変色する原因は?食べられる?

日焼け

人参の表面(特に上部)やカットした断面が緑色に変色している場合、「青カビが生えてしまったのでは」と不安になる方も多いと思いますが、これは青カビではありません。

人参が緑色に変色してしまうのは、人参が日光に当たったことで葉緑体が生成されたためです。葉緑体とは、植物が光合成を行うための器官で、葉緑体には葉緑素(クロロフィル)が含まれています。葉緑素は、太陽光に含まれる赤色光と青色光を吸収するため、人の目には緑色に見えます。植物の葉が緑色に見えるのも葉緑体が含まれているためです。

私達が食べているのは人参の根の部分なので土に埋まった状態で生長しているのですが、生長するにつれて土から出てきてしまうと日光に当たるので葉緑体が生成されて緑色になっていってしまいます。これを人参の「日焼け」といったり、「青首」と言ったりします。

食べて問題ない

日光に当たることで葉緑体が増え、表面や断面が緑色に変色してしまった人参は食べることができます。

例えば、じゃがいもも日光に当たって葉緑体が増えることが原因で緑色に変色することがありますが、緑色になったじゃがいもの場合は、緑色の部分にソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれているため厚く皮を剥くなど対策をする必要があります。

人参の場合は日光に当たって緑色になってしまっても、天然毒素などは含まれていないので食べても人体に害はありません。

緑色の品種もある

スーパーなどで販売されている人参は表面も中もオレンジ色のものが一般的ですが、人参には様々な品種があり、緑色のものもあります。

品種名などは不明で、スーパーで販売されていることはほとんどありませんが、まれに自家売所などで販売されていることがあるようです。

人参が緑色に変色するのを防ぐ方法

栽培時はしっかりと土寄せをする

上述したように、人参は日光を浴びることで葉緑体が増えて緑色になってしまいます。そのため、家庭菜園をする場合は、人参に直接日光が当たらないように、しっかりと土寄せをすることが大切です。

また、収穫した人参は長時間太陽の下で放置しておくのも避けましょう。

一度緑色に変色した人参は元に戻らない

一度緑色に変色してしまった人参の色は残念ながら元に戻すことはできません。一度増えてしまった葉緑体の量は減らすことができないためです。特に問題なく食べることができますが、気になる場合は変色している部分はカットして食べると良いでしょう。

腐敗した人参の特徴

緑色に変色している人参は腐敗しているわけではないので食べることができますが、下記の特徴がある人参は腐敗しているため破棄してください。

見た目

腐敗している人参の見た目の特徴は下記の通りです。

人参の表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。人参のように固い野菜は表面のみにカビが生えていて、中まで侵食していなければ皮を厚めに剥けば食べることができますが、全体的にカビが生えてしまっている場合は食べることができません。カビは、カビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があるため、心配な方や高齢者、小さなお子様が食べる場合は破棄するのが無難です。

新鮮な人参の表面はハリがありますが、全体的にシワシワになっているものは乾燥してしまっている状態です。単に乾燥しているだけであれば食べることができますが、溶け出していたり汁が出ていたりする場合は、腐敗してしまっているので食べることはできません。

臭い・味

腐敗している人参の臭いや味の特徴は下記の通りです。

人参は土に埋まった状態で生長しているため土臭さがあったり、人参特有の匂いがする場合がありますが、そこまできつい臭いのする野菜ではありません。

そのため、酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。

人参に限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。

カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

触感

腐敗している人参の触感の特徴は下記の通りです。

  • ぬめりがある

  • ぶにょぶにょしていて形が崩れる

人参は比較的多くのでんぷんを含む野菜であり、でんぷんが雑菌の餌となって細菌が繁殖しぬめりが出てきてしまうことがあります。洗うことで簡単に洗い流せる程度のぬめりであれば、皮を厚めに剥けば食べられることがありますが、触るとぶにょぶにょしていてすぐに形が崩れたり、指で押した跡が残るようであれば腐敗が進んでしまっている状態ですので、破棄しましょう。

人参の正しい保存方法

人参は、ポリフェノールが酸化することにより茶色や黒に変色してしまったり、カビが生えてしまうこともあります。人参を変色させないためには、正しい保存方法で保存することが大切です。ここからは人参の正しい保存方法を紹介します。

常温保存

人参をキッチンペーパーに包み立てて常温保存

人参は冬場ならば常温保存することができます。一本ずつ新聞紙に包みます。新聞紙がない場合は、キッチンペーパーでもOKです。暑さ・湿気を嫌うので、温度が低く一定に保たれており、直射日光が当たらず、風通しがよい冷暗所で保存するようにしましょう。

土に浅く埋める方法もあります。通常の常温保存よりも長持ちします。

立てて保存するのもポイントです。野菜は育った状態に同じように保存するとストレスがかからず、長く保存できます。

キッチンペーパーが湿気ったら、こまめに替えるようにしましょう。

冷蔵保存

人参をキッチンペーパーで包みポリ袋に入れ立てて冷蔵保存

人参は夏場は必ず冷蔵保存します。冬場でも2〜3週間保存したい場合は冷蔵庫の野菜室にいれましょう。このときもキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて、立てて保存します。買ってきた袋のまま冷蔵するのは厳禁です!

2週間以上保存したい場合は、ヘタの部分は切ると長持ちします。にんじんのヘタの近くに生長点があり、保存期間が長くなると葉を生やそうと根の栄養分を消費してしまうためです。すぐ食べる場合はわざわざカットする必要ありません。かえって酸化が進みます。

カットした人参はラップできっちり包み、ポリ袋に入れて冷蔵保存できますが、切った野菜は傷みが早いので数日以内に使い切るようにしましょう。前述した通り、半分だけ保存する場合は先の方を保存用にします(へたの方を先に食べます)。

冷凍保存

人参は冷凍保存することもできますが、丸ごと冷凍してしまうと使うときに不便なので、必ずカットしてから冷凍しましょう。

生のまま冷凍

人参をカットして生のままジッパー付きポリ袋に入れて冷凍

人参は生のまま冷凍してもOKです。使い勝手いいように、お好みでカットをしましょう。写真はいちょう切りと細切りです。切った後にキッチンペーパーで水けをしっかり拭き取って、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて、空気をしっかり抜き、冷凍庫へ。

茹でてから冷凍

人参をカットして茹でてからジッパー付きポリ袋に入れて冷凍

冷凍する前に茹でることをブランチングといいます。ブランチングすると使うときに火の通りが早くて使い勝手がよい、以外に、変色しにくい、食感が悪くなりにくい、風味が落ちにくい、というメリットがあります。家庭用の冷凍庫は温度が急速冷凍ができませんので、ダイレクトフリージング(茹でずに冷凍)は向きません。時間がある方はなるべくブランチングするようにしましょう。

調理するときに使う切り方にします。写真では輪切りにしています。

冷凍するときは硬めに下茹でします。竹串を強く刺してやっと刺さるくらいが目安です。解凍方法ですが、基本的に冷凍したまま調理に使ってOKです。冷凍した人参は直接料理に使うと水が出るので、炒め物などで水けを嫌う料理の場合は、前日に冷蔵庫に移し自然解凍しましょう。お急ぎの場合は電子レンジを使って解凍する方法もあります。

その他にも、人参を天日干したりオーブンで水分を飛ばしてから乾燥保存したり、味噌や酢などに漬けて漬け保存することもできます。詳しい人参の保存方法についてはこちらの記事を参考にしてください。