れんこんは皮ごと食べられる野菜であることをご存知でしょうか。本記事ではれんこんの皮をむくメリットやデメリット、れんこんの下処理方法を詳しく解説します。
れんこんは皮をむくことで白くなるため、料理の見た目がよくなります。
れんこんは、複数の穴が空いていて向こう側が見通せることから「将来の見通しが良い」と縁起を担いだり、種が多いことから子孫繁栄を象徴する食材としておせち料理や慶事料理に使われることが多い野菜です。そういった場合は見た目をより良くするためにも茶色い皮はむいて調理されることが多いです。
私達が普段「れんこん」として食べているのは、蓮(はす)の地下茎が肥大した部分、つまり「根」です。土の中で育っているものを掘り出して出荷されているため、土汚れがついていることも多くあります。
土汚れにはボツリヌス菌など食中毒を起こす原因となる細菌がいる可能性があり、れんこんを食べるときには綺麗に土汚れを落とすことが大切です。特にれんこんを生食する場合には、よりしっかりと土汚れを落とす意味でも皮はむいて食べたほうが良いでしょう。
れんこんなどの根菜は皮に繊維が多く含まれているため、皮をむいて調理したほうが口当たりがよくなるというメリットもあります。大根などとは異なりれんこんの皮は薄いため厚くむく必要はありませんが、少しでも口当たりを良くし、食べやすくしたい場合には皮をむくのが良いでしょう。
れんこんの皮は上述したように繊維が多く含まれているため、皮ごと調理をすると火が通りにくく味も染み込みにくくなってしまいます。そのため、煮物などにする場合は皮をむいたほうが良いです。
れんこんにはポリフェノールが含まれています。特に多く含まれているのはポリフェノールの一種であるタンニンです。タンニンには消炎作用があり、胃炎や喉の傷みなどに効果的なほか、血管の老化を防ぐなどの抗酸化作用に優れています。
れんこんの皮には実の2倍もタンニンが含まれているといわれており、その他にも食物繊維やカリウムなどの栄養素も含まれています。皮をむいて調理すると、皮に含まれているタンニンや食物繊維などを無駄にしてしまうので勿体ないです。
れんこんの皮の部分には風味となる成分や旨味となる成分が含まれていますので、皮をむいてしまうことは風味を落とすことに繋がってしまいます。れんこんがもつ風味を料理に活かしたい、楽しみたい場合は皮ごと調理をするのが良いでしょう。
れんこんの皮は繊維が多く含まれていると上述しましたが、皮に含まれている繊維は料理に歯ごたえを出すため、皮をむくことで食感が損なわれるというデメリットがあります。シャキシャキとした食感を楽しみたい料理に使う場合は、皮ごと調理をするのが良いです。
れんこんの皮をむく場合は、まず軽く洗って表面の泥汚れを落とします。表面の汚れは皮をむけば落とせるのでゴシゴシ洗う必要はありませんが、れんこんの穴に汚れがついてしまっている場合はしっかりと綺麗に洗いましょう。
れんこんの穴の中に入ってしまっている汚れは、割り箸や菜箸などを穴の中に入れてくるくる回すと落とせます。穴が小さいれんこんは、竹串などを使っても良いでしょう。
れんこんは、ピーラーを使い繊維にそって縦に皮を剥くとスムーズにむくことが出来ます。包丁で剥いても良いのですが、包丁を使うと厚く剥きすぎてしまうことが多いです。皮付近にも風味を出す成分や旨味、栄養素が含まれているので、ピーラーを使って薄く均一に剥くのがおすすめです。くぼんでいて皮が剥きずらい部分は、包丁を使って削り取るようにすると良いです。
包丁の背やスプーンを使ってこそげとるようにしても◎「こそげる」とは「素材の表面の不要な部分をごく薄くこすり落とす」という意味で、例えば魚の鱗(うろこ)を落とすことをいいます。こそげることで、風味や旨味を残すことができます。ただし、れんこんを白くして料理の見た目をよくしたい場合はピーラーを使って剥くのが良いです。
れんこんを綺麗に洗い皮をむいたら、好みに合わせてカットします。
れんこんは繊維に沿って切ると歯ごたえが残ります。そのため生食する場合は、繊維に沿って切ったほうがシャキシャキとした食感を楽しむことができます。反対に少しでも柔らかく食べやすくしたい場合は、繊維を断ち切るようにカットすると良いです。
れんこんはタンニンなどのポリフェノールが含まれており、れんこんに含まれている酵素の働きや空気中の酸素に触れることによって酸化し、変色してしまいます。酸化によって変色してしまったれんこんは食べることができますが、見た目が悪くなってしまうため変色を防ぎたい場合は、水または酢水につけると良いです。変色の原因となるポリフェノールは水溶性であるため水につけておくことでアク抜きをすることができ、変色を防ぐことができます。
変色を防ぐという点では水でも十分効果がありますが、酢水につけると酵素の働きを抑えることができるのでより変色防止の効果が高まります。また、れんこんに含まれているフラボノイド色素は酸性で無色になる性質があるため、れんこんを白くし見た目が綺麗になります。
さらに、酢水にはれんこんをシャキシャキとした食感に仕上げる効果があり、シャキシャキとした食感に仕上がります。野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。ペクチンはpH5以上およびpH3以下で急速に軟化し、pHが下がると分解されにくくなることがわかっています。私達が普段使っている水道水のpHは7なので、酢を入れてpHを下げることでペクチンの分解を抑え食感を保つことができます。
サラダにするときなどシャキシャキとした食感を楽しみたい場合は、酢水にさらすのがおすすめです。
皮をむかずに食べる場合は、表面の汚れはしっかりと綺麗に落とします。上述したように土にはボツリヌス菌などの細菌が分布している可能性があります。
れんこんの表面についている泥汚れは、スポンジなどで優しくこすり洗いをして落とします。くぼんでいる部分など落としにくい場所は、丸めたアルミホイルで軽く削るようにすると良いです。
上述したようにれんこんの穴の中にも汚れがついていることがあるので、割り箸などを使ってきちんと綺麗に洗いましょう。
表面の汚れをしっかりと落とし綺麗にしたら、料理や好みに合わせてカットします。
皮付きの場合は、薄くスライスするのがおすすめです。薄くスライスすれば口当たりの悪さも気になりにくいですし、固くて食べにくいということもなく、れんこんの風味や旨味を楽しむことができます。
皮をむかずに調理をする場合も、ポリフェノールが酸化することにより変色してしまうので、気になる場合は水または酢水につけておくと良いです。水や酢水につけておくことで、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットがあるので、炒めものにする場合などはカットしたら時間をおかずに調理をしてしまったほうが、栄養素の流出を最小限に抑えることができます。
皮をむいて食べる場合、皮ごと食べる場合、どちらも美味しく食べるためにはやはり新鮮なれんこんを選ぶことが大切です。鮮度が落ちているれんこんは、味も落ちています。
新鮮なれんこんには下記のような特徴があります。スーパーで購入する際の参考にしてください。
形がふっくらと丸くまっすぐ
外皮がみずみずしいツヤがある
色ムラや傷がない
ずっしりと重みがある
穴のサイズが揃っている(穴が小さいものが尚良)
穴が黒ずんでいない
淡い黄色がかった薄茶色をしている(真っ白なものは漂白されている可能性大)
下記のような特徴があるれんこんは腐っている可能性があります。その場合は食べずに廃棄するようにしましょう。
腐ったれんこんの見た目の特徴は下記の通りです。
カビが生えている
全体的に変色している
れんこんに白いフワフワとしたホコリのようなものがついている場合は白カビ、黒く変色している場合は黒カビが生えています。表面だけに生えていて中まで侵食していない場合は食べることができるといわれていますが、カビはカビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状が起こる可能性があります。心配な方や高齢者、小さなお子様が食べる場合は破棄するのが無難です。
新鮮なれんこんは淡い黄色がかった薄茶色をしています。変色しているからといって必ずしも腐敗しているとは限りませんが、全体的に黒色や茶色に変色してしまっている場合は腐敗している可能性が高いので注意が必要です。
腐っているれんこんの臭いや味の特徴は下記の通りです。
酸っぱい臭い・味
生ゴミのような臭い
カビ臭い
れんこんは土に埋まった状態で育ち、掘り起こして収穫するため多少の泥臭さはあるものの、そこまできつい臭いのする野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。
れんこんに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。
カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。
やわらかい
ぬめりがある
新鮮なれんこんはハリがあって固いですが、腐敗が進むと柔らかくなっていきます。これは、れんこんの水分が抜けてしまったことや、上述した通りバクテリアが活動することで形が崩れはじめていることが原因であると考えられます。手で押したときに簡単にヘコむなど、柔らかくなってしまっている場合は注意が必要です。
れんこんには粘りを出す成分が元々含まれていますが、皮を剥いたり調理をしていないのにも関わらず表面にぬめりを感じる場合は、腐敗している可能性が高いです。ぬめりが出るほど腐敗が進んでいるれんこんは、変色や異臭などの腐敗のサインが見られることも多いですので、よくチェックしてから腐敗しているようであれば破棄しましょう。
れんこんの表面が赤茶色になっていたり、黒ずみや斑点があることがあります。この場合は腐敗しているわけではないの食べても問題ありません。ただ、見た目は悪くなってしまうのでこの場合は皮は剥いて調理をするのが良いでしょう。
れんこんの表面が赤茶色になっているものは「赤シブ」とよばれます。ポリフェノールに含まれているタンニンは、鉄分とくっつくことで酸化鉄になる性質があります。鉄分を多く含む土壌で育っていると、土壌の鉄分とタンニンが結合し酸化鉄となり、空気に触れて酸化することで赤く変色します。れんこんの表面が赤くなっていることがありますが、これもタンニンと鉄が反応してできた酸化鉄が表面についたことが原因で、これは「赤シブ」と呼ばれます。収穫する前に葉を取り(カラ刈り)、酸素が供給され酸化による変色を防止する対策をしていますが、完全には防げないため赤くなってしまうことがあります。
れんこんの表面にできている黒ずみや黒い斑点は「黒シブ」とよばれるものです。黒シブは、台風などの強風で茎が倒されたものなどに表れることが多いです。また、れんこんは水の力で周りの泥をほぐしながら掘り上げることが多いのですが、水が直接れんこんに当たってしまったり、手で探るときに触ってしまうなど、れんこんの表面が擦れてしまうことも黒シブができる原因といわれています。さらに、れんこんに含まれているタンニンなどのポリフェノールが空気に触れて酸化することも黒シブの原因となります。
れんこんの皮を剥いて使用したレシピをご紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
蓮梨汁(れんかじゅ)とは、れんこんと梨をジュースにしたものです。
れんこんには整腸作用や風邪予防の作用が、梨には喉の炎症を抑える作用などが期待できるため、風邪を引いてしまった際や免疫力を高めたい場合におすすめです。
レモン汁を加えることで飲みやすく、美味しく仕上がります。
蓮梨汁のレシピはこちら
次に、れんこんを皮ごと使用しているおすすめレシピをご紹介します。皮にも栄養があるので、Filyではほとんどレシピでれんこんを皮ごと使っています。
レモンでさっぱりと仕上げたれんこんとベビーリーフのサラダです。
このレシピではオメガ3が豊富に含まれているえごま油を使用しています。オメガ3は血流改善やコレステロール値の低下、アレルギー抑制など幅広い効果が期待されています。クセがないので使いやすいのですが、熱には弱いので加熱料理には☓。
れんこんは白くシャキシャキと仕上げるために、たっぷりの酢水に10分ほどさらしましょう。
れんこんとベビーリーフのレモンサラダのレシピはこちら
すりおろしたれんこんで作るポタージュスープです。とろっとした食感をお楽しみください。
このレシピでは、牛乳の代わりに豆乳(無調整)を使用しています。
豆乳は焦げやすいので、よく混ぜましょう。
れんこんポタージュのレシピはこちら
厚めに切ったれんこんの食感が◎。ご飯が進むひと品です。
このレシピでは、小麦粉の代わりに米粉を使用しています。
甘辛れんこんのレシピはこちら
れんこんの歯ごたえが美味しい肉だんごのレシピです。
れんこんに含まれるビタミンCは、鶏肉に含まれるたんぱく質がコラーゲンになるのに必要不可欠な栄養素です。コラーゲンには美肌効果が期待できます。
手に油をつけて丸めるときれいに仕上がります。油に落としてから最初の2分間は触らずに揚げましょう。
れんこん肉だんごのレシピはこちら
れんこんをピザの生地代わりにした、ヘルシーなれんこんピザです。
ピーマンは非常に栄養価の高い野菜で、β-カロテンやビタミンC・U、ピラジンなどを含みます。タミンPは熱に弱いビタミンCを守ってくれる作用があります。そのため、本来熱に弱いビタミンCですが、ピーマンのビタミンCは熱に強くなっています。
れんこんがくっついたら、上下を返してしっかり押さえつけましょう。
れんこんピザのレシピはこちら
れんこんの食感と鮭の香ばしさがクセになるひと品です。
鮭に含まれるアスタキサンチンは、抗酸化作用(アンチエイジング)や抗炎症作用が期待できる成分です。
鮭の下ごしらえはしっかり行いましょう。鮭に塩をふることで余分な水分が出ますので、キッチンペーパーで丁寧に水けとともに鮭の臭みを取りましょう。
鮭とれんこんの玄米ご飯のレシピはこちら
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