赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)とはどんな野菜なのか解説します。普通の玉ねぎとの違いや旬、おすすめレシピなどを紹介します。
赤玉ねぎは、ユリ科ネギ属の1〜2年生草本です。赤紫色をした玉ねぎで、「紫玉ねぎ」や「レッドオニオン」ともいいます。輪切りにした時にリング状に赤い縞模様があります。
玉ねぎの原産地はインド北西部や中央アジア南西部といわれていますが、野生種は発見されていません。歴史は極めて低く、エジプトではピラミッド建設の労働者が食用にしていたという記録が残されています。日本へ伝わったのは比較的最近で、本格的な栽培が始まったのは明治に入ってからといわれています。
玉ねぎは、球の辛味の有無によって甘玉ねぎと辛玉ねぎに大別されます。赤玉ねぎは甘玉ねぎに該当します。赤玉ねぎには複数の品種があります(詳しくは後ほどご紹介します)。
赤玉ねぎは水分と糖分が多く、玉ねぎ特有のツンとした辛味が刺激臭が少ないのが特徴です。したがって生食向きの野菜で、サラダやピクルスなどに適しています。赤玉ねぎを使ったレシピはこの記事の後半でご紹介します。
赤玉ねぎの赤紫色の成分は、アントシアニン系色素によるものです。アントシアニンはポリフェノールの一種で、紫外線やウイルスなどから身を守るために生成される成分です。ブルーベリーやブドウなどのベリー類やナス、紫サツマイモ、赤ジゾなどにも含まれています。赤玉ねぎに含まれているアントシアニンはわずかですが、アントシアニンには抗酸化作用があるといわれています。
玉ねぎの辛みや香り成分は、アリシンという「硫化(りゅうか)アリル」によるものです。玉ねぎを切る時に目がしみたり涙が出るのは、切り口から硫化アリルが揮発するためです。
硫化アリル自体には、体の免疫力を高める作用や、血液をサラサラにして血栓を防止する作用、ビタミンB1の吸収力を高める作用、善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを抑える作用があるといわれてます。
一般的な玉ねぎを「黄玉ねぎ」といいます。赤玉ねぎと黄玉ねぎの大きな違いは下記の通りです。
薄皮の色が異なります。
赤玉ねぎの薄皮は赤紫色に対し、普通の玉ねぎ(黄玉ねぎ)の薄皮は明るい茶色をなしています。
赤玉ねぎの方が、黄玉ねぎよりも水分を多く含みます。
黄玉ねぎが、日持ちをよくするため、収穫後に1ヶ月ほど干されてから出荷されるためです。
黄玉ねぎの方が、玉ねぎ特有の辛みや刺激臭が強いといわれています。
黄玉ねぎは保存性を高めるために収穫後に1ヶ月ほど干されます。赤玉ねぎは、収穫後の乾燥期間が短いのが特徴です。
黄玉ねぎは貯蔵性が高いため、常温保存で2ヶ月ほど保存が可能です。
赤玉ねぎは、黄玉ねぎほど貯蔵性は高くないため、早めに使い切る必要があります。
赤玉ねぎは、通年流通していますが、最も多く出回るのは9月頃です。
品種によって出荷時期に若干の差があり、例えば湘南レッドは6〜8月上旬が出荷時期とされています。
いわゆる赤玉ねぎと呼ばれるものは「アーリレッド」という品種です。赤玉ねぎの代表品種には、アーリレッドの他に湘南レッド、くれない、猩々赤(しょうじょうあか)などがあります。
湘南レッドは、昭和36年に神奈川県の園芸試験場が育成した玉ねぎで、「かながわブランド品」に登録されています。小田原市や大磯町、川崎市などが主要産地で、初夏に出荷されます。辛みが少なく、香りもマイルドで、シャキシャキとした食感が特徴です。その後、収穫期が少し早めの「早生湘南レッド」も育成され、生産されるようになりました。
<その他の品種>
・くれない
香川県の株式会社七宝が開発した品種。他の赤玉ねぎと比較して生育が旺盛で病気に強いため作りやすい品種。300g程度の大玉サイズになる。
・猩々赤
外皮の紫色がとても濃い品種。水分量が多く歯ごたえがよい。甘みが強いため水にさらさなくても食べられる。320g程度の大玉サイズになる。
・甲高ルージュ
2013年に発表された比較的新しい品種。以前は「ルージュ玉ねぎ」という名前で販売されていた秋まき用の赤玉ねぎ。300g程度の大玉サイズになる。
新鮮な赤玉ねぎの見分け方は下記の通りです。
薄皮の赤紫色が鮮やかなもの
上部の根の部分が細く締まっていて、根が長すぎないもの
芽が生えていないもの
ずっしりと重みを感じるもの
皮に張りがなく、赤玉ねぎの上部がやわらかすぎるものは、傷んでいる可能性があります。芽が生えているものも食べることは可能ですが、収穫から時間が経っており、栄養や風味が落ちてしまっています。
赤玉ねぎの主な生産地は北海道や佐賀県、兵庫県、静岡県、佐賀県、神奈川県などです。
輸入品は中国や米国、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ産であることが多いです。
苗から育てる場合と、種から育てる場合があります。
種から育てる場合は、土の表面を平らにならし、種をばらまきするか。5mm間隔に条まきし、種が見えなくなる程度薄く土を被せます。たっぷりと水やりをし、乾燥すると発芽しにくくなるため、新聞紙やワラなどを被せるとよいです。発芽したら新聞紙やワラを取り除き、株間1〜2cmに間引きします。20cm(太さ6〜8mm)程度の苗に成長したら、定植させます。
苗から育てる場合や、種から育てた苗を定植させる場合は、幅75cmの畝を作り、土に深さ2〜3cm穴を株間10〜12cmほどあけて掘ります。茎の白い部分が見えるように真っ直ぐ植えます。玉ねぎ用のマルチを使用すると便利です。
栄養が取られてしまうので、雑草が生えてきたらしっかりと抜き取りましょう。水切れを起こすと充分に生育しないため、土が乾燥したらたっぷりと水を与えます。
収穫後はしばらく乾燥させる必要があるため、晴天が2〜3日続く日に収穫を行います。全体の約8割り程度の茎が倒れたら引き抜いて収穫します。収穫後は、畑に並べて1〜3日間乾燥させます。赤玉ねぎは長期保存ができないため、収穫後は1ヶ月以内に食べきることを推奨します。
紫玉ねぎには、玉ねぎに入っていないアントシアニンという成分が入っています。アントシアニンはポリフェノールの一種で紫色の主成分になっている色素です。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、動脈硬化や老化予防、生活習慣病やがんの予防にも効果が期待できます。なんと色々な野菜の抽出物で発がん物質の抑制効果を検証した際になすの抑制効果がトップクラスであったという報告もあります。さらにはコレステロール値を下げる働きもあると言われています。心臓を守る作用や、病気に伴う血管新生(新しく血管ができること)を抑える効果などの研究も進められており、一定の効果があると報告されています。
アントシアニンには、目の網膜にあるロドプシンの再結合の作用があるため、眼精疲労の回復効果もあります。また、肝臓の働きを活性化する効果もあります。
ビタミンB6はたんぱく質の代謝や再合成に関わり、エネルギーや筋肉、血液などを作るときに必要な栄養素です。健康な皮膚や髪、爪、血液、粘膜を作っています。そのためたんぱく質を多く摂る人ほど必要な栄養素となっています。特に食事をしていないときや、運動していて肝臓や筋肉からエネルギー補給をするときに働きます。肝臓や筋肉でアミノ酸やグリコーゲンをエネルギーに変えるのですが、ここでビタミンB6がスイッチのような形で作用するため、ビタミンB6が不足すると運動時や睡眠中などにエネルギーが補充しづらくなります。
また、アミノ酸の代謝を促し、アドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質の合成を助けます。さらには血中のホモシステイン値を防ぎ、認知症のリスクを軽減します。
他にも、免疫機能を正常に保ちアレルギー症状を緩和する効果や月経前症候群を軽減する効果もあると言われています。
ビタミンB2と一緒に摂取すると効果アップが期待できます。
葉酸はほうれん草の葉っぱから発見されたビタミンB群のひとつで、ビタミンB12と一緒に正常な赤血球をつくるのに必要な栄養素で「造血ビタミン」とも言われています。赤血球は約4ヶ月で生まれ変わり体内では常に新しい赤血球が作られています。
また、たんぱく質や核酸の合成を助け、細胞の新生や増殖に深く関わっています。細胞分裂が活発な胎児期に必須の栄養素で、特に妊婦の方は葉酸を十分に摂ることでおなかの赤ちゃんの発達異常を防ぐ効果があるといわれています。葉酸は水に溶けやすく、熱や光にも弱い性質があるので、茹でたり水洗いすることで含有量が減ってしまいます。そのため葉酸が含まれた野菜や果実は加熱せずに生野菜サラダや生搾りジュースで効率よく摂ることをおすすめします。
カリウムは98%が細胞内液に存在し、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節など、様々な効果があります。腎臓でナトリウムが再吸収されるのを抑制し排泄を促進する働きがあるため、血圧を正常に保ちます。また心臓や筋肉を動かし、熱中症やむくみの予防、また不要な老廃物を体外へ出す働きもあります。
またカリウムは水に溶けやすい性質がありますが、ごぼうなどの根菜類は比較的損失が少なくなっています。ただ葉菜類は茹でると50%以上が失われてしまうのでスープなどにして汁ごと食べることがおすすめです。ただしナトリウムを摂りすぎないよう薄味にしましょう。
ケルセチンはポリフェノールの一種で、野菜に多く含まれている成分です。
ケルセチンは活性酸素によるダメージを防ぎ、赤血球の働きを活発にさせて、血流を改善します。活性酸素が赤血球にダメージを与えると、自由に変形できる柔軟性を失い、細い血管を通りにくくなり、正常に流れなくなります。そうすると動脈硬化が発生したり悪化したりすると考えられています。
また、血中コレステロールと悪玉コレステロールが低くなることも分かっています。血糖値上昇を抑制する効果もあることから、高脂血症や糖尿病など生活習慣病予防の効果も期待できます。
上記でもご紹介しましたが、赤玉ねぎは普通の玉ねぎ(黄玉ねぎ)と比べて辛みや刺激臭が少ないため、生食に適しているといわれています。水分量も多いため、みずみずしい食感を楽しむこともできます。
辛みや香りの成分である硫化アリルは、スライスした赤玉ねぎを水にさらすと溶け出しますが、硫化アリルと一緒に他の栄養素も流れ出てしまいます。そのため、水にさらす時間は手短にするとよいでしょう。また、切った赤玉ねぎを20〜30分ほど空気にさらしておくだけでも辛みや香りは抜けていきます。
赤玉ねぎはサラダやマリネ、ピクルスなどにおすすめです。これらのレシピはこの記事の後半でご紹介します。
赤玉ねぎは生でそのまま食べるのがおすすめですが、加熱しても食べることは可能です。ただし、赤玉ねぎに含まれるアントシアニンは熱に弱いといわれており、加熱することで鮮やかな色が抜けてしまい見た目が悪くなってしまいます。
辛み成分である硫化アリルは熱に弱く、加熱することで揮発・分解しやすいです。玉ねぎを炒めると甘みが増すのはこのためです。辛味み成分が分解され、もともと玉ねぎがもっている甘み成分を感じやすくなるのです。
赤玉ねぎと加熱して食べる場合、色移りが気にならないカレーなどにおすすめです。実際、インドでは赤玉ねぎが主流で、カレーにもよく使用されているそうです。
赤玉ねぎだけに限らず、玉ねぎを切る際に涙が出るのは、硫化アリルが気化するためということは冒頭でもお伝えしました。涙を流さずに赤玉ねぎを切る方法がいくつかあります。
調理の前に赤玉ねぎを冷蔵庫で冷やすことで、硫化アリルが気化しにくくなります。また、電子レンジで20秒ほど加熱することで硫化アリルが分解されます(ただし、味が少し落ちてしまいます)。切れ味のよい包丁を使ったり、換気扇を回しながら切ることでも、涙が出にくくなります。
玉ねぎを横向きにして繊維を断ち切るように包丁を入れると、硫化アリルが抜けるので、辛みが収まります。
赤玉ねぎの鮮やかな色を構成してるアントシアニン系の色素は、酸と合わせるとより色が鮮やかになりますので、レモン汁やドレッシングなどと和えるとよいです。
上記でご紹介したように、硫化アリルにはビタミンB1の吸収力を高める作用がありますので、ビタミンB1が豊富に含まれているカリフラワーや大豆、ごまなどと一緒に食べるとよいでしょう。
紫玉ねぎのレシピを紹介します。Filyのレシピはすべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
彩りが美しく食卓に華を添えるひと品です。時間が経つと濃い紫色に。みずみずしい紫玉ねぎを一番美味しく食べられるレシピの一つです。
紫玉ねぎのマリネのレシピはこちら
紫玉ねぎのポテサラでは、紫玉ねぎのみずみずしいシャキシャキ感と、ポテトのホクホク感のコントラストが楽しめます。
紫玉ねぎとポテトのサラダのレシピはこちら
みずみずしい紫玉ねぎと豆乳マヨで仕上げた、さっぱり味のツナマヨです。
紫玉ねぎのツナマヨサラダのレシピはこちら
紫玉ねぎとグレープフルーツが好相性。爽やかなサラダレシピです。
紫玉ねぎとグレープフルーツのサラダのレシピはこちら
紫玉ねぎとたっぷりのレモン汁で作る爽やかなワカモレ。タコスやブリトーの具としてお召し上がりください。そのままサラダとして食べても◎
ワカモレのレシピはこちら
赤玉ねぎは、新玉ねぎと同様に長期貯蔵に向きません。
新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存して早めに消費しましょう。カットした使いかけのものは、ラップできっちり包んで冷蔵庫へ。冷蔵保存の期間の目安は2〜3日です。
また、スライスしてマリネにすれば、長めに保存することができます。マリネにしたものはそのままサラダや料理の付け合わせなどに使えて便利です。マリネにしても長くとも4〜5日では食べ切るようにしましょう。
最後に、玉ねぎの種類と特徴を詳しく解説します。
一般的な玉ねぎを「黄玉ねぎ」といいます。薄皮が明るい茶色をしており、辛みが強いのが特徴です。
春播き栽培(9月どり)と秋播き栽培(3〜6月どり)があり、保存性を高めるために収穫後1ヶ月ほど干して、皮を乾燥させて出荷します。
新玉ねぎは、3〜5月の春に出回る玉ねぎのことを指します。辛みが少なく、生食にも向いています。
春に収穫された玉ねぎを、乾燥させずに出荷します。そのため水分を多く含みみずみずしいですが、長期保存には向いていません。
白玉ねぎは、辛みを抑えるように品種改良されたもので春先に出回る玉ねぎです。辛みが少なくみずみずしい食感が特徴で、生食に適しています。
水分量が多いため、赤玉ねぎや新玉ねぎと同様に、貯蔵性は低いです。
玉ねぎの球が完全に膨らむ前に、葉ごと収穫された玉ねぎを「葉玉ねぎ」といいます。
葉ごと食べられるため、βカロテンやビタミンCを多く摂取することが可能です。玉ねぎの部分はやわらかく甘みがあります。
赤玉ねぎや新玉ねぎ、白玉ねぎと同様に貯蔵性が低いため、早めに使い切る必要があります。
別名「ペコロス」とも呼ばれます。黄玉ねぎを密植して直径3〜4cmほどで収穫したものです。
煮崩れしにくいので、丸ごとシチューやピクルスなどに使います。
赤い小玉ねぎもあります。
サラダ玉ねぎは、7月下旬〜8月下旬のみに出荷される期間限定の玉ねぎです。黄玉ねぎに比べて水分が多く、辛みが少ないため、生食に適しています。
サラダに最適なことから「サラダ玉ねぎ(略してサラタマ)」と名付けられました。
小玉ねぎよりも小さい、直径1〜2cmほどの小粒の玉ねぎです。
皮が白いのが「パールオニオン」、赤いのが「ルビーオニオン」といわれています。パールオニオンは辛みが強く、ルビーオニオンは辛みが弱いです。そのため、パールオニオンは加熱調理の香り付けに、ルビーオニオンは生食に適しています。
エシャロットは小型玉ねぎの一種で、フランス料理によく使われます。炒めても黄玉ねぎほど甘みが出ないのが特徴です。
似た野菜に「エシャレット」がありますが、これは生食用に軟白栽培された「らっきょう」のことを指します。
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