いんげんには、豆類に特徴的なたんぱく質の他、β-カロテンやビタミンB1・B2・B6・C、カリウム・鉄・亜鉛などのミネラル類、食物繊維などの栄養素が、少量ですがバランスよく含まれます。
「いんげん」は「さやいんげん」の略語として使われています。さやいんげんとは、未熟ないんげん豆を若いサヤごと食べるときにいわれる名称です。若いさやを食べる場合は「さやいんげん」、完熟した豆を食べる場合は「いんげん豆」といいます。
「いんげん」は漢字で「莢隠元」と書きます。英語では「green bean」「string bean」「snap beans」「French bean」などといいます。(「green bean」が最も一般的です)
出典:公益財団法人 日本豆類協会
原産地は中南米(中央アメリカからメキシコ)です。コロンブスのアメリカ大陸発見にともない、ヨーロッパに持ち込まれました。豆ではなく若いさやを食べ始めたのはイタリア人といわれていますが、さやいんげんを料理に熱心に取り入れたのはフランス人です。現在もフランス料理の付け合せに使われることが多いです。
そのため英語圏では「French bean」ともいわれます。その後ヨーロッパ中に広まっていき、さらに北米に広がりました。16世紀末にヨーロッパから江戸時代に明(中国)に伝わり、17世紀に隠元(いんげん)禅師によって日本にもたらされたことから、この名がついたといわれています。
旬は夏(6月〜9月)です。
主な産地は千葉県や福島県、鹿児島県、北海道、沖縄県です。寒冷期には沖縄産やオマーン産のものも出回ります。国内で出回っているいんげんは9割以上が国産です。
栽培方法によって収穫時期をずらすことが可能で、一年に三度収穫できることから「三度豆」「四季豆」などの異名をもちます。
いんげんはつるの有無やサヤの長さ・形などで分類され、数百種類あるといわれます。一般的に流通しているのは「どじょういんげん」といわれる丸サヤ系のものです。
その他にも、
モロッコいんげん
幅広いんげん
紅花いんげん
かんぴょういんげん
カラーいんげん
漆野いんげん
などの種類があります。
いんげんと見た目が似た野菜に「ささげ」がありますが、これらは同じマメ科でも品種群が違います。ささげには、十六ささげや紫ささげなどの種類があります。
いんげんの注目すべき栄養素は下記です。
食品成分表(可食部100gあたり)
エネルギー 23kcal
たんぱく質 1.8g
炭水化物 5.1g
ナトリウム 1mg
カリウム 260mg
カルシウム 48mg
マグネシウム 23mg
ビタミンA(β-カロテン当量)590μg
ビタミンB1 0.06mg
ビタミンB2 0.11mg
ビタミンC 8mg
食物繊維 2.4g
いんげんは92%が水分で、カロリーの低い野菜です。ダイエット中のカサ増し食材としておすすめです。
抗酸化(老化防止)作用があるβ-カロテンや美肌効果のあるビタミンC、糖質・脂質の代謝に欠かせないビタミンB1・B2、腸の働きを整える食物繊維などが含まれています。
β-カロテンの含有量は基準値(100gあたり600μg)以下ですが、トマトやピーマンと同様、一度に食べる量が多いと考えられるため、緑黄色野菜に分類されます。
アミノ酸の一種であるアスパラギン酸はエネルギー代謝にかかわり疲労回復やスタミナ増強に役立ちます。
また、いんげんは人間が体内で合成できず食物から補給しなければならない必須アミノ酸9種類のすべてを含みます。その一つであるリジンは肌や血管を丈夫に保ったり肝機能を高めたりするのに役立つといわれています。
塩分の摂り過ぎを調節する上で重要な役割を果たすカリウムも含まれます。
いんげんのビタミンCは加熱することで失われてしまいますが、β-カロテンは油と一緒に摂ることで吸収力がアップします。いんげんは生では食べませんので、加熱するときは強火で短時間で済ませるように心がけましょう。
鮮やかな緑色
全体的に細くまっすぐで、中の豆の形が出すぎていない
皮にふっくらとハリがあり、さやの先までピンとしていて、しおれていない
さやを曲げたときにポキッと折れるものは新鮮です。鮮度が下がってくると皮はかたくなり、種が成長し栄養価も下がります。
スジとヘタを取り除きましょう。品種改良が進み、スジやヘタが最初からないものも多いです。
茹でる前に塩で板ずりすることで、うぶ毛がとれて食感がよくなり、茹でた後の色も鮮やかになります。和え物などにする際、味のしみこみもよくなります。青臭さも軽減されます。
一方で、あえてそのまま茹でることで、いんげんのもつ風味を活かすことも可能です。
いんげんは固めに茹でても、クタッとなるまで茹でても美味しい野菜です。お好みの固さで調理しましょう。
栄養学の観点からいんげんとの効果的な食べ合わせを紹介します。
Fily(フィリー)のレシピは、すべて小麦粉・乳製品・白砂糖不使用です。
いんげんの自然な甘みと食感が美味しい一品です。削り節をたっぷり使っています。
いんげんに含まれるβ-カロテンは油と一緒に食べると吸収がよくなりますので、素揚げにピッタリ。
いんげんの素揚げのレシピはこちらです。
その他にもいんげんと油を一緒に摂れるレシピには、かぼちゃといんげんのガーリックオイル和えなどがあります。
歯ごたえが美味しいいんげんのそぼろ煮です。豚ひき肉でお手軽に作れます。しょうががアクセントになります。
いんげんのビタミンCは、豚肉のたんぱく質がコラーゲンになるの助けます。コラーゲンは細胞と細胞がくっつける作用があり、美肌効果が期待できます。また、豚肉のビタミンB1は疲労回復も期待できます。
いんげんのそぼろ炒めのレシピはこちらです。
いんげんがクタクタになるまで煮込んでいます。野菜のうまみがつまった一品です。
いんげんのビタミンCとトマトのリコピンはともに美肌効果が期待できます。
いんげんのトマト煮のレシピはこちらです。
いんげんとトマトのサラダもおすすめです。
いんげんとくるみの食感が美味しい一品です。あと一品ほしいときにおすすめです。
いんげんに含まれるβ-カロテンとくるみに含まれるビタミンEはともに抗酸化作用があり、一緒に食べることでさらに効力アップ。
いんげんのくるみ和えのレシピはこちら。
ごまにもビタミンEが豊富に含まれるため、いんげんとミニトマトのごま酢和えもおすすめです。
当たり前ですが、購入した日のうちに食べ切るのがベストです。
いんげんは常温だと劣化が進んでしまうので、冷蔵庫の野菜室で保存します。向きをそろえてジッパー付きポリ袋に入れるか、ラップでしっかり包みましょう。夏野菜は寒さと乾燥に弱いため、キッチンペーパーにくるんでからラップまたはポリ袋を使うと効果的です。乾燥に極度に弱い葉物野菜は湿らせたキッチンペーパーで包むことがありますが、いんげんはそこまでする必要ありません。水分が付いているとかえって野菜が痛みやすくなってしまうので注意です。冷蔵の期間の目安は1週間です。
野菜は育ったときと同じ状態で保存すると長持ちします。いんげんもコップなどに入れて立てて保存するとよいでしょう。横にすると元の状態に戻ろうとして余計なエネルギーを消費し、味が落ちます。
すぐに使い切れないときは、冷凍保存することも可能です。冷凍保存には直接冷凍する(ダイレクトフリージング)と、茹でてから冷凍する(ブランチング)の2つの方法があります。家庭用冷凍庫では急速凍結(瞬間冷凍)ができないため、直接冷凍すると、味や食感が悪くなり、変色もします。茹でてから冷凍することでそれらを防ぐことができます。
いんげんは新鮮なうちに固めに塩茹でし、水けをしっかり取り除いてから、ジッパー付きポリ袋に向きを揃えて入れて冷凍しましょう。ただし、ビタミンCなどの栄養素は水溶性なので、下茹ですることで30%ほど失われてしまうといわれています。
解凍方法には自然解凍・電子レンジ・流水などがありますが、凍ったまま調理に使うのが、野菜に与えるダメージが少なく一番おいしくいただけます。いんげんは凍った状態でも簡単に折れるので、切ってから冷凍保存する必要はありません。冷凍の期間の目安は1ヶ月です。
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