じゃがいもは加熱調理して食べることが多い野菜ですが、加熱したのに食べてみたらシャキシャキだった経験がある方は多いのではないでしょうか。本記事ではじゃがいもに火を通してもシャキシャキの原因や対処法、しっかり火が通る加熱方法などを紹介します。
火を通してもじゃがいもがシャキシャキの原因は下記の通りです。
人間に背の高い人と低い人がいるのと同様に、野菜にも個体差があり全てが同じように育つわけではありません。じゃがいもの個体によってはでん粉が上手く生成されず固く育ってしまうこともよくあります。そのため、元々固く火を通しても柔らかくなりにくい個体だったことが原因として考えられます。
これは里芋などじゃがいも以外の野菜にもよくあることです。見た目ではまったく判断ができないので、加熱調理をして初めてわかります。
じゃがいもはキャベツやきゅうりなどのその他の野菜と比較すると、長期保存できる野菜です。そのため、長く冷蔵庫に入れっぱなしにしてしまう方も多いと思いますが、正しく保存できていなかったり長く保存しすぎると鮮度が落ちて、固くなってしまうことがあります。
保存していたじゃがいもが固くなってしまう多くの原因は、乾燥しすぎて水分が抜けてしまうことです。乾燥してしまうと加熱してもシャキシャキになってしまうことがあるので保存方法や保存期間には注意が必要です。
そもそも一瞬で火が通る葉物野菜と比較すると、じゃがいもなどの根菜は実が固いので火が通りにくいです。そのため、中まで火が通っていない状態で加熱をやめてしまうなど加熱時間が短いことが原因でシャキシャキになってしまっていることも考えられます。
火をしっかり通すじゃがいもの加熱方法のポイントについては後述しますので、そちらを参考にしてください。
煮物を作る場合など、じゃがいもに火がしっかりと通っていないタイミングで味付けをしてしまうと、固く仕上がってしまうことがあります。特にレンジ調理をする場合には、調味料とじゃがいもを一緒に入れて加熱してしまいがちです。
実はじゃがいもに火が通っていないうちに調味料を加えてしまうと、浸透圧の関係でじゃがいもから水分が抜けてしまい、加熱しても固く仕上がってしまいます。また、調味料もしっかりと染み込まないので中は味がしないという残念な仕上がりになってしまいます。
<浸透圧とは?>
異なる物質同士の細胞の成分濃度が違うと、成分が薄い方から濃い方へと水が移動して、両方の濃さを揃えようとする力が働く。これを「浸透圧」と言う。例えば野菜を塩で揉むと、野菜の水分に塩が溶け濃い塩水ができ野菜の外側の塩分濃度が高くなるため、濃度を調整しようと浸透圧が働き、野菜の内側から水分が出てくる。
火を通したのに食べてみたらシャキシャキだった場合、食べられるのか不安になりますよね。火を通してもシャキシャキのじゃがいもは食べられるのか解説します。
煮物や炒めものなど加熱調理してから食べることが圧倒的に多い野菜ですが、実は生食することができます。そのため、シャキシャキしていても食べることはできます。
じゃがいもは生食できないと多くの人が思っているのは、じゃがいもにソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれているためであると考えられます。
ソラニンやチャコニンは日光に当たることで生成されます。スーパーなどで販売されているじゃがいもは収穫後日光に当たらないよう保管されており、中毒症状を引き起こす量の天然毒素は含まれていません。そのため、じゃがいもを生で食べても健康上大きな問題は起こらないと言えます。
そもそも、ソラニンやチャコニンは加熱調理をしても分解されません。ソラニンやチャコニンが多く含まれているじゃがいもの場合、加熱をすれば安全に食べられるというわけではないので、加熱調理する場合と生食する場合どちらも、ソラニンやチャコニンが増えているじゃがいもには注意する必要があります。
上述したように、じゃがいもは生で食べることができますが、食べ過ぎてしまうと消化不良を起こし、腹痛などを引き起こしてしまう恐れがあります。
じゃがいもの主成分であるでんぷんは、生の状態ではβ−デンプンと言い、β−デンプンは消化されにくい性質を持っています。β−デンプンは、加熱をすると消化されやすいα−デンプンへと変化します。ちなみに、β−デンプンは片栗粉にも使われます。片栗粉を摂りすぎるとお腹を壊してしまうのは、β−デンプンが含まれているからです。
また、じゃがいもには食物繊維も含まれています。加熱したからといって食物繊維が減るわけではありませんが、過剰摂取すると便秘や下痢、腹痛、吐き気の原因となる場合があります。
消化機能が未熟な小さなお子様や高齢者の方、胃が弱い方などはしっかりと火を通して食べた方が安心です。
食べてみてシャキシャキだった場合、食べても問題ないとはいえやはり、美味しくないと感じる方も多いでしょう。加熱後もシャキシャキだった場合は、まず加熱不足を考えて再加熱してみましょう。
例えば、煮物などの煮込み料理の場合はそのまま15分ほど再加熱します。炒めものなどそのまま加熱すると焦げてしまう場合は、耐熱皿に乗せて水を少々ふりかけ、ラップをして600wで1分ほど加熱します。
ただし、加熱しすぎると水分が抜けて反対に固くなってしまうので、様子を見ながら加熱時間を調節することが大切です。
じゃがいもにしっかりと火を通すポイントは下記の通りです。
じゃがいもは収穫してから時間が経ってしまうと、水分が抜けて固くなってしまうことがあります。しっかりと火を通して柔らかい状態で食べたい場合は、新鮮なじゃがいもを選びましょう。
新鮮なじゃがいもの特徴は下記の通りです。
新鮮なじゃがいもには下記の特徴があります。
凸凹が少なくなめらかな形のもの
重みがありふっくらと丸いもの
購入するときはわかりませんが、切ったときに表面がみずみずしく、スが入っていないものが新鮮です。表面が乾燥しているものは加熱しても柔らかくなりにくいので注意しましょう。
じゃがいもの加熱方法は鍋で茹でたり、レンジで加熱するなど様々な方法がありますが、特にシャキシャキに仕上がってしまいやすいのがレンジ加熱です。
電子レンジは、庫内に放出されるマイクロ波によって食材が持つ水分子が熱を持つようにエネルギーを与えて加熱していきます。そのため、水分量の多い食材は温まりやすく水分量の少ない食材は温まりにくいという性質があります。
じゃがいもは水分量が少ない野菜なので、温まりにくく固く仕上がってしまうことがあります。また、レンジで加熱することによって一気に水分が蒸発してしまい、パサパサになってしまったり、場合によっては焦げたり爆発してしまうことがあるので注意が必要です。
さらに、マイクロ波は食材の内部に進むにつれて分子運動を起こしながらもやがてエネルギーをなくして消えてしまうため、じゃがいもを丸ごとレンジで加熱したり、沢山の量を入れているとマイクロ波が奥深く進まず加熱ムラができやすいです。加熱ムラができてしまうと、加熱されて柔らかい部分と加熱されず固いままの部分ができてしまうので、食感が悪くなり、美味しくなくなってしまうことが多いです。
じゃがいもを鍋やレンジで加熱する方法は下記の記事で詳しく解説しています。
固くならないじゃがいもの加熱方法を紹介します。
野菜は水から茹でる場合と、沸騰したお湯から茹でる場合がありますよね。じゃがいもは水から茹でるのが基本です。
じゃがいもを沸騰したお湯から茹でると、火の通り方にムラができ、外側は十分柔らかいのに内側は火が通ってなくて固いといった「加熱ムラ」が発生し、加熱してもシャキシャキに仕上がってしまう原因になりますし、内側まで火が通る頃には、外側がボロボロになってしまいます。
水から茹でればじっくりと内側まで均一に火を通すことができるため、煮崩れしにくいですし、ホクホクに仕上げることができます。水から時間をかけて茹でましょう。
じゃがいもを茹でるときは、蓋はしてもしなくてもどちらでも大丈夫ですが、茹でる時に蓋をするメリットは、やはり熱が逃げづらいという点です。
蓋をして茹でることで、鍋内部の熱を均一に分散させることができるため、茹で汁の中でじゃがいもがムラなく加熱され、外側と内側の茹で加減がより一致します。これにより、加熱ムラなく均一な食感と味わいを楽しむことができます。
また、多くのじゃがいもを茹でる場合は茹で時間が必然的に長くなります。その場合、蓋をしていないと茹で汁がどんどん蒸発してしまいます。これも均一に火が通らない原因になるので、加熱してシャキシャキになってしまうのを防ぎたい場合は蓋をして茹でると良いでしょう。
じゃがいもの茹で時間はじゃがいもの大きさや皮付きかカットしているかなどの条件によって異なります。本記事では、水から茹でて、水が沸騰してから茹で上がるまでの時間を「茹で時間」とします(湯が沸騰するまでの時間は含みません)。
小・Sサイズ(58g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は15〜20分程です。
じゃがいもは大きければ大きいほど火が通るのに時間がかかるため、小サイズが最も早く茹で上がります。新じゃがは小サイズのものが多いため、じゃがいも小サイズの茹で時間を目安に茹でると良いです。
中・Mサイズ(92g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は20分〜25分程です。20分ほど加熱後に竹串を通してスッと通らなければ、1分ずつ茹で時間を追加して調節してください。
大・Lサイズ(157g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は30分程です。
やはり大きいサイズは最も時間がかかります。時間がかかるため大サイズのじゃがいもの茹でる時間を短縮したい場合は、カットしてから茹でると良いです。ただし、時間は短縮できてもカットすることにより栄養素は流れ出てしまいます。
上述したように、レンジ加熱は加熱ムラができやすいですが、茹でるのとは異なり水溶性の栄養素が流出しないメリットがあります。じゃがいもにはビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も豊富に含まれているので、栄養素を無駄にしたくない場合はレンジで加熱するのが良いでしょう。
また、鍋で茹でるよりも時短になるのがメリットです。
切り込みは入れなくても大丈夫ですが、加熱ムラを防ぎたい場合やじゃがいもをレンジで加熱することで爆発するのが心配な方は、じゃがいもを洗ったら十字に切り込みを入れておきましょう。
十字に切り込みを入れておくことで火が通りやすくなります。
じゃがいもを綺麗に洗い、芽をとって十字に切り込みを入れたら濡れた状態で1個ずつラップに包みます。
濡れた状態でラップに包んで加熱することで、蒸気でしっかりと加熱することができるので柔らかく仕上がります。
複数個のじゃがいもをまとめてラップに包んでしまうと、熱が均一に伝わらなくなってしまうのでNGです。必ず1個ずつ包み、加熱も1個ずつ行うのが良いです。
洗ったじゃがいもを、湿らしたキッチンペーパーで包んでからラップをしても良いです。湿らしたキッチンペーパーで包むことで水分が蒸発してしまって固くなってしまうのを防ぐことができます。
また、パサパサになってしまうのを防ぐことができるのでホクホクとした食感に仕上げることができるメリットもあります。
加熱しすぎないことも重要です。じゃがいもは火が通りにくい野菜なので加熱しすぎてしまいがちですが、加熱のしすぎは水分が蒸発してしまい、固くなってしまったり爆発する原因になります。
加熱時間の目安は、じゃがいも1個(皮つき、約150g)につき600Wで3分程度です。竹串などを刺してみて硬いようであれば20秒ずつ追加で加熱していき、竹串などがすっと通るようになれば加熱完了です。
2個加熱する場合の加熱時間は5〜6分を目安にし、3分経過した時点で一度裏返し1個のときと同様に様子を見ながら追加で加熱していきます。
500Wなら、じゃがいも1個(皮つき、約150g)3分半〜6分を目安に様子を見ながら火が通るまで追加で加熱していきます。
じゃがいもの大きさや電子レンジのワット数、皮付きか剥いた状態か、丸ごとかカットしているかなど、条件によって若干ではありますが加熱時間が変わってくるので、はじめから長めに加熱せず短めに加熱して、少しずつ様子を見ながら追加で加熱していくのが良いでしょう。
シリコンスチーマーなどレンジで使える蒸し器を使ってレンジで加熱すれば、マイクロ波でじゃがいもを温めるのではなく、水蒸気でじゃがいもを温めることができるのでしっかり柔らかくすることができますし、爆発する心配なく加熱可能です。
レンジで使える蒸し器は100円均一などでも販売されているので、手軽に購入することができます。
電子レンジで加熱するだけで美味しいゆで野菜ができる二重構造になっています。じゃがいもの加熱時間の目安は約2分30秒です。じゃがいもだけでなく、大根や人参、かぼちゃ、ブロッコリーなど様々な野菜を蒸すことができます。
炒めものにするじゃがいもの場合は、シャキシャキとしたじゃがいもでも食感がアクセントになって美味しいのですが、しっかりと火を通したい方も多いでしょう。固くならないじゃがいもの炒め方を紹介します。
炒めものをする場合もじゃがいもは、生の状態のまま炒めてしまうと火が通りにくく、シャキシャキとした食感になってしまいがちです。
そのため、じゃがいものホクホク感を出したい場合は、予め茹でておいたり、レンジで加熱しておくと良いです。茹で時間やレンジでの加熱時間は、上記で紹介したよりも短めで大丈夫です。
下茹で時間が長すぎると炒めたときに加熱されすぎて固くなってしまうことがあるので、ちょっと固さが残っているぐらいでちょうど良いでしょう。
炒めものにしたい場合など、じゃがいもをカットしてからレンジで加熱する場合は、大きさはできるだけ均等になるようにしましょう。大きさにムラがあると、加熱ムラができやすくなってしまって固い部分ができてしまいます。
細かくカットしすぎると焦げてしまうので、程よい大きさで均等にカットするのがポイントです。
炒めものをする場合も、味付けをするときはしっかりとじゃがいもに火が通ってからが基本です。
さっと炒めてさっと味付けをしてしまいがちですが、上述したように浸透圧で水分が抜けて固くなってしまうので、味付けはじゃがいもにしっかりと火が通ってからにしましょう。
炒め時間の目安はカット方法にもよりますが、下茹でをしておけば3分〜4分です。下茹でなしで炒める場合は、長めに加熱する必要があります。
厚めにカットしている場合は、竹串などを刺してすっと通るまでしっかりと加熱しましょう。加熱時間を長くすると焦げてしまいやすいので、火が通りやすいように小さめにカットするのをおすすめします。
じゃがいもは正しく保存できていないと、鮮度が落ちてしまい固くなってしまうことがあります。じゃがいもに限らず長く美味しく食べるためには、正しく保存しておくことが大切です。
じゃがいもの正しい保存方法についてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
じゃがいもは、基本的に常温(冷暗所)で保存します。ただし湿度と光に弱いので、直射日光が当たる場所や多湿な環境での保存は避けましょう。じゃがいもの発芽を防ぐために、りんごを一緒に保存すると◎。りんごから放出されるエチレンガスが発芽を抑えてくれます。
基本的には常温保存がおすすめですが、暑い夏の保存や冬場でも長く保存したい場合、またカットや調理したじゃがいもを保存したい場合などは冷蔵や冷凍保存がおすすめです。
じゃがいもをまるごと冷蔵する場合は1個ずつキッチンペーパーに包みポリ袋に入れて野菜室へ。キッチンペーパーで包むことで寒さからじゃがいもを守り、余分な水分を吸い取ってくれます。
カットしたじゃがいもは傷みが早いので、水に浸けて保存します。カットしたじゃがいもは傷みが早いのでなるべく早めに食べきるようにしましょう。
じゃがいもを冷凍するなら下茹でしたものがおすすめ。生のままのじゃがいもは解凍後ブヨブヨとした食感に変わってしまうためです。下茹でして粗熱を取ったら、冷凍用保存袋に入れて保存します。マッシュポテトにして冷凍するのが最もおすすめです。
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