じゃがいもを茹でたときに泡が出てきて驚いたことがある方も多いのではないでしょうか。本記事ではじゃがいもを茹でたときに出てくる泡の正体について紹介します。
じゃがいもを茹でたときに、白い泡が出てくることがあります。これは、じゃがいものでん粉であると考えられます。
でん粉(デンプン)は、植物の根・茎・種子などに蓄えられている多糖類です。取り出して精製し、乾燥させると白い無味無臭の粉末になります。水を加えて加熱すると糊状になる性質があります。じゃがいもはでんぷんを多く含む野菜の一つで、じゃがいものでんぷんは「馬鈴薯澱粉(ばれいしょでんぷん)」と呼ばれ、片栗粉の原料などに使われています。
じゃがいものでん粉は片栗粉の原料など幅広く使われていることからもわかるように身体に害のある成分ではありません。そのため、じゃがいもを茹でたときに泡が出てきてもそのまま食べて大丈夫です。
ただし、じゃがいもから出てきたでんぷんによって、じゃがいも同士がくっついてしまって料理によっては使いにくくなってしまったりすることもあります。そのため必ずしも落としたほうが良いわけではありませんが、料理によっては予め水にさらしてでんぷんを落としておいたほうが使いやすいでしょう。
じゃがいもを茹でて泡が出てきたときに、アクだと思って取り除く方も多いようです。
アク(灰汁)とは、苦味やエグみを感じさせ料理の味を落とす成分の総称です。アクが強い野菜は料理の味を損ねてしまわないようアク抜きをします。
じゃがいもにもアクはあります。じゃがいものアクとなる成分はポリフェノールです。ポリフェノールとは苦味やエグみを感じさせる成分の総称で、構造の違いによって様々な種類があります。じゃがいものアクとなるのはクロロゲン酸です。
そうはいっても、それほど含有量は多くないためじゃがいもはそこまで苦味を感じる野菜ではありません。そのため、ほうれん草やたけのこなどのようにアク抜きを必須とする野菜ではありません。
白い泡が出てくるとアクとなる成分も出てきている状態ではありますが、必ずしも取り除く必要はないでしょう。上述したようにじゃがいもがくっつくのを防ぎたい場合などは、予め水にさらしてでんぷんを落としておくと良いでしょう。同時にアク抜きをすることもできます。
じゃがいもを茹でるときは皮を剥いたりカットしておくと調理をするときに便利ですが、丸ごと皮付きのまま茹でたほうが栄養が流出しにくいのでおすすめです。
じゃがいもは「畑のりんご」と呼ばれるほど、ビタミンCが豊富に含まれています。可食部100gあたりに含まれるビタミンCの量は28mg!そんなビタミンは水溶性なので、皮を剥いた状態で茹でるとどんどん流れ出ていってしまいます。また、水溶性成分はビタミンCだけではありません。体内の余分な塩分を排出し、バランスを調整してくれる「カリウム」も流出してしまいます。
皮ごと茹でることで水溶性の栄養素を9割キープできるといわれています。皮付きのままでもカットしてあると断面から栄養素が流出してしまいますので、じゃがいもの栄養素を重視するのであれば「丸ごと皮付き」がベストです。
じゃがいもに芽が生えていた場合は、しっかりと取り除きましょう。
じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれており、一定量摂取すると吐き気やおう吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなど症状が出る可能性があります。
ソラニンとチャコニンは、グルコースやガラクトースなどの「糖」と、植物由来の窒素を含んだアルカリ性(塩基性)物質である「アルカロイド」からできているグリコアルカロイド(糖アルカロイド)と呼ばれる成分の一種です。育っていく中で外敵に食べられてしまわないようにソラニンやチャコニンといった有害物質をもつようになったといわれます。
ソラニンやチャコニンは特に芽の根元に多く存在していますので、表面に出ている部分だけではなく根元から身もえぐり取るようにすることが大切です。まだ小さな芽の出始めの部分にもチャコニンやソラニンが含まれています。まだ小さいから大丈夫と思ってしまいがちですが、小さな芽も必ず取り除きましょう。
出典:食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報(農林水産省)
野菜は水から茹でる場合と沸騰したお湯から茹でる場合がありますよね。じゃがいもは水から茹でるのが基本です。
じゃがいもを沸騰したお湯から茹でると火の通り方にムラができて外側は十分柔らかいのに内側は火が通ってなくて固いなどムラがうまれ、内側まで火が通る頃には外側がボロボロになってしまいます。
そのため水から茹でたほうが外側から内側まで均一に火が通るため煮くずれしにくくなります。じゃがいもを茹でるときは必ず水から茹でましょう。
じゃがいもの茹で時間は、じゃがいもの大きさや皮付きかカットしているかなどの条件によって異なります。本記事では、じゃがいもを水から茹でて、水が沸騰してから茹で上がるまでの時間を「茹で時間」とします(湯が沸騰するまでの時間は含みません)。
小・Sサイズ(58g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は15〜20分程です。
じゃがいもは大きければ大きいほど火が通るのに時間がかかるため、小サイズが最も早く茹で上がります。新じゃがは小サイズのものが多いため、じゃがいも小サイズの茹で時間を目安に茹でると良いです。
中・Mサイズ(92g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は20分〜25分程です。20分ほど加熱後に竹串を通してスッと通らなければ、1分ずつ茹で時間を追加して調節してください。
大・Lサイズ(157g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は30分程です。
やはり大きいサイズは最も時間がかかります。時間がかかるため大サイズのじゃがいもの茹でる時間を短縮したい場合は、カットしてから茹でると良いです。ただし、時間は短縮できてもカットすることにより栄養素は流れ出てしまいます。
じゃがいもを鍋で茹でる場合は、綺麗に洗って芽をとったら鍋にいれてじゃがいもがかぶるぐらいの水をいれます。水をいれたら、加熱します。
加熱時間は上述した通りです。大きさによっても異なるので、様子をみながら加熱していきましょう。
水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットはありますが、じゃがいも全体を水に浸かるようにしっかり茹でることで、均一に火を通すことができるので、しっかりと茹でて柔らかくしたいときにおすすめです。
また、茹で汁にはじゃがいもから溶け出したでんぷんや風味成分が含まれているので、ソースやスープのベースとして活用することができます。
じゃがいもはフライパンを使って蒸し茹ですることもできます。蒸し器がなくても手軽に加熱することができますし、水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができます。
中サイズ(70〜120g)のじゃがいもをフライパンで蒸し茹でする場合の茹で時間は15分程です。フライパンを使ってじゃがいもを蒸し茹でする方法は下記の通りです。
水の量が少ないと加熱途中で水分がすべて蒸発してしまう可能性があるので、しっかりと加えるようにしましょう。蒸し茹でにする場合も、竹串を通してかたさを確認し、かたければ柔らかくなるまで加熱時間を追加していきます。
じゃがいもは蒸しても美味しく食べることができます。蒸せば水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができますし、味が薄くなってしまうこともありません。
じゃがいも丸ごと皮つきのまま蒸す場合は、よく洗った後に切り込みを入れます。鍋に水を入れて沸騰させたら、じゃがいもを入れた蒸し器を入れて蓋をします。
蒸し時間はじゃがいもの大きさにもよりますが、だいたい20分程です。竹串がすっと通るようになったら完了です。
圧力鍋を使うと、よりスピーディー(約10分程)で火が通るので◎。
じゃがいもはレンジで加熱すると時短になります。また、茹でるのとは異なりビタミンCなどの水溶性の栄養素の流出を防ぐことができます。
じゃがいもを丸ごとレンジで加熱する場合は、綺麗に洗い、芽を取ったら1個ずつラップに包みます。このときじゃがいもの皮に切り込みを入れておくと加熱後皮が剥きやすくなりますが、切り込みを入れなくても剥くことができるのでそのままラップに包んでも大丈夫です。
複数個のじゃがいもをまとめてラップに包んでしまうと、熱が均一に伝わらなくなってしまうのでNGです。必ず1個ずつ包み、加熱も1個ずつ行うのがおすすめです。
ラップで包んだら、1個につき600Wで3分を目安に竹串がすっと通るようになるまで加熱します。
じゃがいものレンジでの蒸し方はこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【レンチンするとじゃがいもがパサパサになる?】
じゃがいもをレンジで加熱すると、パサパサになってしまうことがあります。
これは電子レンジが食材の水分を蒸発させてしまうためです。じゃがいもは元々水分量が少ない野菜であり、さらに火が通りづらいため長時間加熱をすることで水分が飛んでしまいパサパサになってしまいます。
湿らしたキッチンペーパーで包んでからラップすると、水分が飛んでパサパサになってしまうことを防ぎ、柔らかい仕上がりにすることができます。
カットをしてから加熱することも可能ですが、切り口から水分が飛んでしまうためパサパサになることを防ぎたい場合はカットより丸ごとがおすすめです。
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