じゃがいもに芽が生えている場合は、茹でる前に取り除く必要があります。本記事では、じゃがいもの芽の取り方や、じゃがいもを美味しく茹でるポイントなどを詳しく解説しています。また、芽が出ないように保存する方法もご紹介しています。
じゃがいもに芽が生えてしまった場合は、茹でる前に芽を取りましょう。
じゃがいもの芽や芽の根本には天然毒素であるソラニンやチャコニンが含まれており、一定量摂取すると吐き気やおう吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなど症状が出る可能性があります。
ソラニンとチャコニンは、グルコースやガラクトースなどの「糖」と、植物由来の窒素を含んだアルカリ性(塩基性)物質である「アルカロイド」からできているグリコアルカロイド(糖アルカロイド)と呼ばれる成分の一種です。育っていく中で外敵に食べられてしまわないようにソラニンやチャコニンといった有害物質をもつようになったといわれます。
出典:食品中の天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関する情報(農林水産省)
じゃがいもに芽が出てしまったら、芽を取り除くのはもちろんのこと皮を厚めに切っておくと安心です。包丁やピーラーを使ってしっかりと厚めに皮を取り除くことで、30~70%程度毒素が軽減されるとされています。
特に芽の周りなどが緑色に変色している場合は、ソラニンやチャコニンが多く含まれている可能性が高いのでしっかりと厚めに皮をむきましょう。
じゃがいもの芽に含まれるソラニンやチャコニンの毒性は加熱しても残ります。加熱調理をすれば大丈夫ということはないので注意してください。
海外ではじゃがいもの加熱調理によってソラニンやチャコニンが減少したとの報告もあります。しかし、ソラニンやチャコニンの濃度が高いじゃがいもを茹でる・煮るなどの加熱調理をすると、毒素が溶け出します。これにより中毒を発症する可能性は低くなりますが、完全に毒性が消えるわけではありません。また、調理前のじゃがいものソラニンやチャコニンの濃度はそれぞれ異なり、毒素の減り方にもばらつきがあります。高温で揚げたり焼いたりしても6割程度の毒素が残ったという実験結果もありますので、加熱をしても毒性は消えないと思っていたほうがよいです。
出典:じゃがいもの加工調理によるソラニン・チャコニンへの影響(農林水産省)
じゃがいもの芽の取り方を紹介します。
じゃがいもの芽は包丁で取ることができます。
包丁でじゃがいもの芽を取り除くときは、柄に近い角の部分を使います。芽の部分に包丁の角を突き刺したら、じゃがいもを回して掘るように綺麗に取り除きましょう。
包丁を使うのに慣れていない方はピーラーで取るのがおすすめです。
ピーラーを使う場合は、ピーラーの刃の横にある輪っかの部分を使って掘るようにして芽を取り除きます。ピーラーの種類によっては輪っかではなくスコップ状になっていることもあります。この場合も同様に掘るように芽を取り除きます。
ソラニンやチャコニンは特に芽の根元に多く存在していますので、包丁を使う場合もピーラーを使う場合も
表面に出ている部分だけではなく根元から身もえぐり取るようにすることが大切です。
まだ小さな芽の出始めの部分にもチャコニンやソラニンが含まれています。まだ小さいから大丈夫と思ってしまいがちですが、小さな芽も必ず取り除きましょう。
まだ小さな芽は爪楊枝を使ってとることができます。
爪楊枝を使う場合は、芽の周りに爪楊枝を刺してこそぎ取ります。小さな芽の場合は包丁やピーラーを使うと水分が入ってしまって水っぽくなってしまうので爪楊枝を使うのがおすすめです。
小さな芽が生えているのみで緑色に変色している箇所がない場合などは、芽をとったら丸ごと皮付きのまま茹でたほうが栄養が流出しにくいです。
じゃがいもは「畑のりんご」と呼ばれるほど、ビタミンCが豊富に含まれています。可食部100gあたりに含まれるビタミンCの量は28mg!そんなビタミンは水溶性なので、皮を剥いた状態で茹でるとどんどん流れ出ていってしまいます。また、水溶性成分はビタミンCだけではありません。体内の余分な塩分を排出し、バランスを調整してくれる「カリウム」も流出してしまいます。
皮ごと茹でることで水溶性の栄養素を9割キープできるといわれています。皮付きのままでもカットしてあると断面から栄養素が流出してしまいますので、じゃがいもの栄養素を重視するのであれば「丸ごと皮付き」がベストです。
野菜は水から茹でる場合と沸騰したお湯から茹でる場合がありますよね。じゃがいもは水から茹でるのが基本です。
じゃがいもを沸騰したお湯から茹でると火の通り方にムラができて外側は十分柔らかいのに内側は火が通ってなくて固いなどムラがうまれ、内側まで火が通る頃には外側がボロボロになってしまいます。
そのため水から茹でたほうが外側から内側まで均一に火が通るため煮くずれしにくくなります。じゃがいもを茹でるときは必ず水から茹でましょう。
じゃがいもは塩を加えて塩茹でにすると、じゃがいもが柔らかくなりやすいですし、風味が引き立ち甘みも感じやすくなります。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。塩には、このペクチンの分解を促進する効果があります。塩を加えると浸透圧が上がり、じゃがいもの細胞内の水分が外部に移動しやすくなります。これにより、茹でる過程でじゃがいもの組織が水分を吸い込み、組織が膨潤します。膨潤した組織は柔らかくなるためペクチンが分解されやすくなり、じゃがいもを柔らかく仕上げることができます。
また、塩には食材の風味を引き立たせる効果もあります。
ただし、過剰な塩分はじゃがいもの組織が逆に固くなったり、塩味でじゃがいもそのものの風味や味が隠れてしまうので注意が必要です。
じゃがいもの茹で時間は、じゃがいもの大きさや皮付きかカットしているかなどの条件によって異なります。本記事では、水から茹でて、水が沸騰してから茹で上がるまでの時間を「茹で時間」とします(湯が沸騰するまでの時間は含みません)。
小・Sサイズ(58g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は15〜20分程です。
じゃがいもは大きければ大きいほど火が通るのに時間がかかるため、小サイズが最も早く茹で上がります。新じゃがは小サイズのものが多いため、じゃがいも小サイズの茹で時間を目安に茹でると良いです。
中・Mサイズ(92g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は20分〜25分程です。20分ほど加熱後に竹串を通してスッと通らなければ、1分ずつ茹で時間を追加して調節してください。
大・Lサイズ(157g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は30分程です。
やはり大きいサイズは最も時間がかかります。時間がかかるため大サイズのじゃがいもの茹でる時間を短縮したい場合は、カットしてから茹でると良いです。ただし、時間は短縮できてもカットすることにより栄養素は流れ出てしまいます。
じゃがいもを鍋で茹でる場合は、綺麗に洗って芽をとったら鍋にいれてじゃがいもがかぶるぐらいの水をいれます。水をいれたら、加熱します。
加熱時間は上述した通りです。大きさによっても異なるので、様子をみながら加熱していきましょう。
水溶性の栄養素が流出してしまうデメリットはありますが、じゃがいも全体を水に浸かるようにしっかり茹でることで、均一に火を通すことができるので、しっかりと茹でて柔らかくしたいときにおすすめです。また、茹で汁にはじゃがいもから溶け出したでんぷんや風味成分が含まれているので、ソースやスープのベースとして活用することができます。
じゃがいもはフライパンを使って蒸し茹ですることもできます。蒸し器がなくても手軽に加熱することができますし、水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができます。
中サイズ(70〜120g)のじゃがいもをフライパンで蒸し茹でする場合の茹で時間は15分程です。フライパンを使ってじゃがいもを蒸し茹でする方法は下記の通りです。
水の量が少ないと加熱途中で水分がすべて蒸発してしまう可能性があるので、しっかりと加えるようにしましょう。蒸し茹でにする場合も、竹串を通してかたさを確認し、かたければ柔らかくなるまで加熱時間を追加していきます。
じゃがいもの芽が出ない、正しい保存方法をご紹介します。
下記でご紹介している保存方法の詳しい手順はこちらの記事でご紹介していますので、参考にしてください。
じゃがいもは最も保存しやすい野菜の一つです。基本的に冷暗所で常温保存が推奨され、3ヶ月程保存することができます。上述したように、高温多湿の場所や明るい場所は芽が出やすくなる他、カビを繁殖させるなど腐敗をすすめる原因となりますので避けましょう。
じゃがいもは水分が多い野菜ですが、貯蔵において低温に弱いわけではありません(低温で保存できないわけではありません)。しかし、0〜5℃の温度で保存すると、でんぷんが糖化し、ホクホクとした食感が損なわれてしまいます。そのため、冷蔵・冷凍保存にはあまり向かず、常温保存をおすすめしている次第です。ちなみに、じゃがいもを20℃の環境に1週間ほど放置しておけば、糖化したでんぷんは8割ほど元に戻ります。
じゃがいもを多く購入した場合は、新聞紙を下に敷いたダンボール等にまとめて入れて、上から新聞紙をかぶせます。
じゃがいもの数がそこまで多くない場合や、ダンボールや新聞紙がない場合は、紙袋に入れましょう。
じゃがいもはそこまで乾燥に弱いわけではないので、一つずつ新聞紙(またはキッチンペーパー)に包まなくても、長く保存できます。特に数が多いときは面倒なのでまとめて保湿。直射日光が当たらず風通しのよい涼しい場所なら、秋・冬は3ヶ月、夏場でも1ヶ月は常温保存が可能です。
ビタミンが多く「大地のりんご」ともいわれるじゃがいもですが、りんごと一緒に常温保存するのがおすすめです。りんごから放出されるエチレンガスは果実の熟成を進めますが、じゃがいもの発芽を抑える効果があります。じゃがいもは暖かく明るい場所で発芽が進むので、繰り返しになりますが、冷暗所で保存するのが大切!
前述した通り基本的には常温保存がおすすめなじゃがいもですが、下記の場合は冷蔵保存がおすすめです。
夏場に1ヶ月よりも長く保存したい(夏も安心して保存したい)
冬場であっても3ヶ月より長く保存したい
じゃがいもは正しく冷蔵すれば半年ほど保存することができます。また、じゃがいもは低温保存すると、収穫直後では少なかった糖分(0.1〜0.5%)が、増加(0.5〜2.5%)します。
丸ごとじゃがいもを冷蔵保存する場合は、一つずつキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れて軽く口を締め、野菜室に入れます。キッチンペーパーに包むことで寒さからじゃがいもを守ることができます。ポリ袋に入れることで乾燥しすぎることを防ぎながら、口は軽く締めることで通気性を保ちます。1週間に1度はキッチンペーパーが湿っていないか確認し、湿っている場合は新しいものに取り替えましょう。野菜室は温度・湿度ともに冷蔵室より高いので、じゃがいもに適しています。冷蔵保存でもりんごを一緒に入れると発芽を抑える効果があります。
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