じゃがいもを茹でる際、じゃがいもに含まれる栄養素には変化があるのでしょうか?本記事ではじゃがいもに含まれる栄養素についてや、栄養素を無駄にしないおすすめ茹で方を詳しくご紹介しています。
じゃがいもはビタミンCが特に豊富で、りんごの9倍以上です。フランスでは「畑のりんご」と呼ばれます。しかも、じゃがいものビタミンCはデンプンに守られているので加熱に強いのが特徴。
また、じゃがいもはカリウムも豊富で別名「カリウムの王様」です。その他にも、たんぱく質の再合成に関わるビタミンB6や、整腸作用がある食物繊維、体内の塩分量を調整するカリウムなどを含みます。
じゃがいもに含まれている栄養素については、こちらの記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
じゃがいもには、水溶性の栄養素が多く含まれています。例えば、じゃがいもに含まれている水溶性の栄養素には上記で紹介したビタミンCはやカリウム、水溶性の食物繊維などがあります。
これらの栄養素は、茹でるのはもちろんのこと水につけておくだけでも流出してしまいます。じゃがいもに限らず水溶性の栄養素を多く含む野菜は、茹でることで栄養価が下がってしまうので、栄養価を下げたくない方は茹でる以外の調理をするか、汁ごといただける味噌汁などにするのがおすすめです。
ビタミンCは水溶性の栄養素なので、茹でることで流出してしまうと紹介しましたが、じゃがいもはよく「ビタミンCが失われにくい野菜」といわれます。その理由はデンプンにあります。
じゃがいものビタミンCは、じゃがいもに豊富に含まれるデンプンに守られていて、水にふれにくい構造になっています。そのため茹でてもビタミンCが残りやすいといわれています。
しかし、調理法を誤ると多くのビタミンCが流失してしまうので注意が必要です。
じゃがいもは「丸ごと皮ごと」で茹でれば9割のビタミンをキープできるというデータがあります。
じゃがいものデンプンや不溶性食物繊維は皮に多く含まれています。そのため、皮を剥かずに茹でるのがビタミンCを守るために大切です。
皮の近くには抗酸化作用のあるポリフェノールの一種クロロゲン酸や、むくみ予防の効果があるカリウム、貧血予防の効果がある鉄分なども多く含まれている、というメリットがあります。ただし、皮ごと食べるデメリットもあるので注意しましょう。
また、切れば切るほど、水にふれる表面積が大きくなるので、なるべく丸ごと、カットする場合も大きく切るのが、水溶性の栄養素を守るために重要です。スライスしてから茹でると、なんとカリウムとマグネシウムに関しては8割減、ミネラル全体でも6割減という研究結果もあります。
茹でるときはじゃがいもの投入のタイミングもポイントになります。じゃがいもは水から茹でるのが重要!
水から茹でることで、ペクチンという食物繊維の一種が水中の無機イオンと結合して不溶化し、細胞内のでんぷんの吸水を防ぎます。でんぷんは加熱して水を加えると糊化(「こか」と読みます。のり状になることを指します)して、膨張し、細胞同士の結びつきが弱まってしまいます。
水から茹ででんぷんの吸水を防ぎ、結果として膨張を防ぐことができれば、細胞が壊れないので、ビタミンCの流失を最小限に留めることができます。
沸騰したお湯にじゃがいもを投下すると、でんぷんを糖に変換させるアミラーゼが失活してしまうので、甘みも弱くなってしまいます。また、いきなり熱湯に投下すると、じゃがいもの中心に火が通るまでに外側のボロボロになってしまうというデメリットもあります。
じゃがいもは水から茹でることで、栄養、甘み、煮崩れ予防(食感と見栄え)の3つもメリットがあります。
じゃがいもは火が通りにくいため、ついつい長く茹でてしまいがちです。しかし、長く茹でれば茹でるだけどんどん水溶性の栄養素は流出してしまいます。
じゃがいもの茹で時間の目安は下記の通りです。
じゃがいもの茹でる時間はじゃがいもの大きさや皮付きかカットしているかなどの条件によって異なります。本記事では、じゃがいもを水から茹でて、水が沸騰してから茹で上がるまでの時間を「茹で時間」とします(湯が沸騰するまでの時間は含みません)。
小・Sサイズ(58g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は15〜20分程です。
じゃがいもは大きければ大きいほど火が通るのに時間がかかるため、小サイズが最も早く茹で上がります。新じゃがは小サイズのものが多いため、じゃがいも小サイズの茹で時間を目安に茹でると良いです。
中・Mサイズ(92g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は20分〜25分程です。20分ほど加熱後に竹串を通してスッと通らなければ、1分ずつ茹で時間を追加して調節してください。
大・Lサイズ(157g)のじゃがいもを皮付きのまま水から茹でる場合の茹で時間は30分程です。
やはり大きいサイズは最も時間がかかります。時間がかかるため大サイズのじゃがいもの茹でる時間を短縮したい場合は、カットしてから茹でると良いです。ただし、時間は短縮できてもカットすることにより栄養素は流れ出てしまいます。
じゃがいもの栄養を無駄にすることなく摂取するのであれば、茹でる以外の方法で加熱するのがおすすめです。
じゃがいもは蒸しても美味しく食べることができます。蒸せば水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができますし、味が薄くなってしまうこともありません。
じゃがいも丸ごと皮つきのまま蒸す場合は、よく洗った後に切り込みを入れます。鍋に水を入れて沸騰させたら、じゃがいもを入れた蒸し器を入れて蓋をします。
蒸し時間はじゃがいもの大きさにもよりますが、だいたい20分程です。竹串がすっと通るようになったら完了です。
圧力鍋を使うとよりスピーディー(約10分程)で火が通るのでおすすめです。
じゃがいもはフライパンを使って蒸し茹ですることもできます。蒸し器がなくても手軽に加熱することができますし、水溶性の栄養素の流出を最小限に抑えることができます。
フライパンを使ってじゃがいもを蒸し茹でする方法は下記の通りです。
水の量が少ないと加熱途中で水分がすべて蒸発してしまう可能性があるので、しっかりと加えるようにしましょう。蒸し茹でにする場合も、竹串を通してかたさを確認し、かたければ柔らかくなるまで加熱時間を追加していきます。
じゃがいもはレンジで加熱することもできます。茹でるのとは異なりビタミンCなどの水溶性の栄養素を防ぐことが可能です。
じゃがいもを丸ごとレンジで加熱する場合は、綺麗に洗い、芽を取ったら1個ずつラップに包みます。このときじゃがいもの皮に切り込みを入れておくと加熱後皮が剥きやすくなりますが、切り込みを入れなくても剥くことができるのでそのままラップに包んでも大丈夫です。
複数個のじゃがいもをまとめてラップに包んでしまうと、熱が均一に伝わらなくなってしまうのでNGです。必ず1個ずつ包み、加熱も1個ずつ行うのがおすすめです。
ラップで包んだら、1個につき600Wで3分を目安に竹串がすっと通るようになるまで加熱します。
【レンチンするとじゃがいもがパサパサになる?】
じゃがいもをレンジで加熱すると、パサパサになってしまうことがあります。
これは電子レンジが食材の水分を蒸発させてしまうためです。じゃがいもは元々水分量が少ない野菜であり、さらに火が通りづらいため長時間加熱をすることで水分が飛んでしまいパサパサになってしまいます。
湿らしたキッチンペーパーで包んでからラップすると、水分が飛んでパサパサになってしまうことを防ぎ、柔らかい仕上がりにすることができます。
カットをしてから加熱することも可能ですが、切り口から水分が飛んでしまうためパサパサになることを防ぎたい場合はカットより丸ごとがおすすめです。
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