ピーマンは生食できる野菜です。本記事ではピーマンを生食するメリットやデメリット、生食するときの注意点などを詳しく解説します。
ピーマンは炒めものにするなど加熱調理をすることが多い野菜ですが、生食することができる野菜です。
野菜には、加熱を推奨されているものもあります。例えば、たけのこやほうれん草はアクが強く、さらに結石を作る原因となったりカルシウムの吸収を阻害するといわれているシュウ酸とよばれる成分が含まれているため茹でてアク抜きをすることが必須となります。
ピーマンはたけのこやほうれん草のように加熱必須の野菜ではありません。
ピーマンにはアルカロイド類に分類される天然毒素が含まれています。
天然毒素といえばじゃがいもに含まれているソラニンやチャコニンが有名です。ソラニンやチャコニンは中毒症状が起こる可能性があるため摂取するのは危険ですが、ピーマンに含まれている天然毒素は体内で分解されます。そのため、大量摂取しなければ摂取しても人体に影響はありません。
アルカロイドは加熱に弱い性質があるので、心配な方は加熱して食べると安心です。
出典:食品安全関係情報詳細(食品安全委員会)
生食で食べるなら、赤ピーマンがおすすめです。赤ピーマンは緑色のピーマンが熟したもので、緑色のピーマンよりも苦味が少ないため、苦味が苦手な方でも食べやすいです。
さらには赤ピーマンに含まれる栄養素は、緑色のピーマンと比べてビタミンCが約2倍、β-カロテンが約3倍、ビタミンEは約5倍にもなります。実は赤ピーマンの方が、一般に流通しているピーマンよりも栄養が豊富なんですね。ただ、ピラジンは減ってしまいます。赤ピーマンには、カプサンチンという赤の色素が含まれています。カロテノイドの一種で、抗酸化作用があり善玉コレステロールを上昇させる働きもあります。
ピーマンを生食するメリットは下記の通りです。
ピーマンにはビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養素が含まれています。また、高温で加熱することによって栄養素の一部が破壊されてしまうこともあります。
そのため、ピーマンに限らず野菜の栄養素を最も無駄にしない食べ方が生食とされています。
ピーマンに含まれている栄養素については後述しますので、そちらを参考にしてください。
ピーマンを生食することで、みずみずしくしっかりとした食感を楽しむことができるのもメリットの一つです。
野菜の細胞壁は、セルロースからできた繊維が重なっており、その間をペクチンが塗り固めて固い壁をつくっています。ピーマンに限らず野菜を加熱すると軟らかくなるのは、固い壁を作っているペクチンが熱によって分解されるためです。
ピーマンを生食するときの歯ごたえは、しっかりと咀嚼することが満足感に繋がり、満腹感を長続きさせるため、ダイエット中の方にもおすすめです。
生食することで水溶性の栄養素を流出させることなく摂取できるメリットがある一方で、ピーマンに含まれているβ-カロテンの吸収率が上がらないデメリットがあります。
β-カロテンは加熱することで吸収率が1.5〜2倍にアップすることがわかっています。これは細胞内で溶解して、吸収されやすくなるためです。ただし、高温での加熱が長いと一部が壊れてしまうので、火を通す時間は短時間がベストです。
ピーマンは苦味があるのが特徴の野菜ですよね。ピーマンは生食するとより苦味を強く感じやすいデメリットがあります。
ピーマンの苦味となっているのは「ピラジン」と「クエルシトリン」という成分です。皮にも含まれていますが、特に種やわたに多く含まれています。
ピーマンの苦味は茹でたり、炒めるなどの加熱調理をすることで軽減されます。苦味が苦手な方や小さなお子様は加熱調理したほうが食べやすいでしょう。
ピーマンは生食するときの注意点は下記の通りです。
野菜を生食するときは、やはり鮮度が大事です。傷みはじめているものは味や風味が悪くなっているため美味しく食べることができませんし、細菌が分布している可能性があり下痢や嘔吐などの症状が出ることもあります。
新鮮なピーマンの特徴は下記の通りです。
鮮やかな緑色で、皮にハリとツヤがある
ヘタのまわりがへこみ、肩が盛りあがっている
底の部分はフカフカせず、つややかで締まっている
ヘタの切り口が新鮮で変色していないもの
袋に入ってる場合は必ずしも確認できるわけではありませんが、上記の点を参考にしてみてください。
また、ピーマンはへたの角の数が多いと栄養素が隅々まで行き渡っており糖度が高いと言われています。そのためピーマンを選ぶ際は、へたが6角以上のものを選ぶと生で食べやすいでしょう。
じゃがいもなどの根菜とは異なり、ピーマンは直接土に面して育っているわけではないのでそこまで汚れているようにはみえません。しかし、生野菜には土壌に由来する細菌が必ずついているといっても過言ではありません。細菌の全てが食中毒に繋がるわけではありませんが、ボツリヌス菌やサルモネラ菌など食中毒の原因となる細菌もあります。
ピーマンに限らず、野菜を生食する場合はしっかりと洗って細菌を落としておくことが大切です。洗って汚れを落とすことは、農薬を落とすことにも繋がります。
上記で紹介したようにピーマンの種には天然毒素が含まれています。過剰摂取してしまうと腹痛などの症状が出てしまうことがあるので食べ過ぎには注意しましょう。
ピーマンの1日の摂取目安量は明確に定まっていませんが、厚生労働省が発表している野菜の摂取目安量を参考にすることができます。
緑黄色野菜を基準にすると大人の野菜の摂取目安量は1日あたり350g以上と設定されており、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜は230g以上です。
緑黄色野菜とは、原則として可食部100g中に600μg以上のβ-カロテンが含まれている野菜を指します。600μg未満の野菜は淡色野菜です。600μg未満でも、食べる量や回数が多いと緑黄色野菜に分類されます。
ピーマンは緑黄色野菜に分類されるので、他の野菜と合わせて120g以上を目安にするということになります。他の緑黄色野菜も食べることを考慮すると、ピーマンの1日あたりの摂取量は50g程度が妥当といえます。ピーマンは1個あたり約35gなので1〜2個です。
出典:厚生労働省|健康日本21(第二次)
上述したように、苦味成分は種やわたに多く含まれています。そのため、種やわたも食べることができますが、苦味が気になる場合は取って食べると良いです。
ピーマンの種・わたの取り方は様々あります。その一つが、ピーマンを半分にカットしてから手で取る方法です。その他のピーマンの種・わたの取り方についてはこちらの記事で紹介しているので参考にしてください。
ピーマンの苦味成分は細胞の中に含まれています。そのため、カットして細胞が壊れることで苦味を強く感じるようになります。
苦味を抑えたい場合は、繊維に沿って縦にカットしましょう。繊維に沿ってカットすることで苦味が弱くなります。反対に苦味が好きな方は、繊維を断ち切るように横にカットすると良いでしょう。
苦味成分であるピラジンは水溶性の成分です。そのため、カットした後に水にさらしておくことで苦味を軽減することができます。このとき、塩水にするとピーマンの緑色の色素である「クロロフィル」の分解を抑えるため、加熱調理しても色が綺麗になります。
特に横にカットして使いたいときは、繊維を断ち切っているぶん苦味を感じやすいので水にさらしてから使うと良いです。
ただし、ピーマンにはビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素も多く含まれています。水にさらすことでこれらの栄養素も流出してしまいます。栄養素の流出を最小限に抑えるためにも、長くさらしすぎないようにしましょう。
生のピーマンのおすすめの食べ方を紹介します。
新鮮なピーマンは綺麗に洗って丸かじりしても美味しく食べることができます。丸かじりするときは、冷水につけてからにすると、苦味を軽減できるだけではなくパリパリっとした食感を楽しめます。
丸かじりすると苦味が強い種やわたも一緒に食べることになるので、少しでも苦味を軽減したい場合は半分にカットして種とわたをとって食べると良いでしょう。
野菜の生食といえばやはりサラダですよね。生のピーマンは他の野菜と一緒にサラダにして食べるとしっかりと栄養を摂取することができるのでおすすめです。
ピーマンに含まれているβカロテンは体内でビタミンAになりますが、体内で吸収されにくいと言われています。このβカロテンの吸収率を上げてくれるのは上述したように油です。そのため、サラダにしてマヨネーズやドレッシングをかけて食べるのがおすすめです。苦味も軽減されて食べやすくなります。
生のピーマンは和え物にしても美味しく食べることができます。醤油などの調味料と鰹節を混ぜ合わせて和風にしても良いですし、クリームチーズと和えたりすることもできます。クリームチーズと合わせることで苦味がまろやかになり、小さなお子様でも食べやすいと人気があります。
ごま油と塩で味付けをしてナムルにしても美味しいです。お酒のおつまみにもピッタリの一品です。
ピーマンは生のままスムージーにすることもできます。
本来スムージーは冷凍した野菜や果物をミキサーに入れて作りますが、現代では作り方も多様化してきており、原料となる野菜や果物を冷凍せずに生のまま氷や水と一緒にミキサーに入れて撹拌したり、氷を入れずに撹拌して作ることもあります。
バナナなど甘みのある果物などと一緒にスムージーにすると苦味が軽減されて飲みやすくなるのでおすすめです。栄養満点なので朝ごはんなどの置き換えにも良いでしょう。
ピーマンは栄養価は抜群で、抗酸化作用のあるビタミンCの含有量の多さは特筆モノです。ビタミンCの量は、なんとトマトの4倍。抗酸化3大ビタミンであるビタミンA・C・E(ビタミンエース)を含み、さらに、コレステロール値の改善の効能があるビタミンPや、塩分を体の外に排出するカリウムなども含まれます。
ピーマンに含まれるβ-カロテンは100gあたり400μgで、緑黄色野菜の基準である600μgに満たないのですが、一度に食べる量が多いことから緑黄色野菜とみなされます。
β-カロテンは体内で必要量がビタミンAに変換されます。皮膚や喉など全身の粘膜を健康に保ち、体外からのウィルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をアップします。また、抗酸化作用もあるので、アンチエイジング効果や生活習慣病の予防効果が期待できます。
変換されたビタミンAは、皮膚や目、口、喉、内臓などの粘膜や細胞の代謝を促進する働きがあります。視力を正常に保つ役目や視力低下の抑制効果、他にも皮膚の健康維持に関与していることから乾燥肌やニキビ肌の改善など美肌効果も期待できます。
ピーマンはビタミンCがとても豊富で、なんとレモンよりも多く含まれており、トマトの約4倍ものビタミンCが含まれています。
ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。
そのほか、ビタミンCには白血球を活性化させて免疫力を高める作用もあります。抗ストレスホルモンの合成にも欠かせない栄養素です。
ビタミンEは強力な抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを抑え、老化の予防をしてくれます。ビタミンEは血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑える働きがあり、酸化によって進行してしまう動脈硬化の予防に役立ちます。
さらにビタミンEは末梢血管の拡張させる働きがあるため、血行促進に繋がります。また副腎や卵巣の性ホルモンの分泌の調整にもビタミンEは関与しているので、生殖機能の維持にも役立ちます。
カリウムはミネラルの一種です。
カリウムはナトリウム(食塩)と協力し細胞の浸透圧を維持しています。体内に十分なカリウムがあると、余分な食塩を排出して血圧を正常に保ちます。しかし、カリウム不足や塩分の過剰摂取が続く、むくみなどの原因になります。
そのほか、腎臓の老廃物の排出を助けたり、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。
鉄分はミネラル成分のひとつです。体に必要な栄養素で、成人のからだには約3〜5gの鉄が存在しています。ピーマンには100gあたり0.4mgの鉄分が含まれています。
鉄は大きく分けて2種類あります。ひとつは機能鉄といって赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を運びます。
もうひとつは貯蔵鉄といって肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられており、機能鉄が不足すると体内に放出されます。また、酵素の構成成分で、エネルギー代謝を助ける働きがあります。
上述したようにピーマンを生食するときには、鮮度が大切です。ここではピーマンの鮮度を保つことができる正しい保存方法を紹介します。
ピーマンは常温保存することも可能です。保存期間の目安は1週間ですが、すぐに食べないならば冷蔵保存がおすすめです。また、夏場は必ず冷蔵保存するようにしましょう。
常温保存する場合は、直射日光が当たらず低い室温に保たれた冷暗所に新聞紙かキッチンペーパーで包んで、なるべく立てて保存しましょう。一つずつ丁寧に包みましょう。新聞紙やキッチンペーパーによって乾燥から守ります。
カットしたピーマンの常温保存は不可です。カットしたら、常温保存は避けこの後ご紹介する冷蔵方法で保存するようにしましょう。
ピーマンは保存する場合は野菜室での冷蔵保存がベストです。風味や食感をあまり損なうことなく、それなりの長さ保存することができます。冷蔵ピーマンの保存の期間の目安は約3週間です。
ピーマンはできれば丸ごと冷蔵保存がおすすめ。野菜が傷みにくいです。キッチンペーパーに一つづつ包み、ポリ袋に入れます。ピーマンは夏野菜なのでキッチンペーパーを包むことで冷えすぎるのを防ぎます。ポリ袋はやや口を開けておくか、フォークで穴を空けるなどし密閉をさけ通気性を高めるようにするのがポイントです。湿気やガスが貯まるのを防ぎます。
購入時の袋でそのまま保存するのはおすすめしません。取り出してキッチンペーパーで一つずつ水けを拭き取るようにしましょう。
カットしたピーマンを冷蔵保存することも可能です。ラップで一つづつきっちり包むのがポイントです。酸化を防ぎます。その後、冷蔵用のジッパー付きポリ袋に入れて保存します。切ってしまったものは傷みが早いので、密閉します。2〜3日で使い切るようにしましょう。
また、種とわた、へたは傷みが早いので、切ってから保存する場合はなるべく取り除くようにしましょう。
ピーマンを長期保存させたい方は冷凍がおすすめです。冷凍ピーマンの保存期間の目安は約1ヶ月です。
ピーマンは丸ごと冷凍保存することもできます。水けをしっかり取り除き、一つずつラップに包み、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて保存しましょう。
冷凍したピーマンを和え物に使うときは、前日に冷蔵庫に移して自然解凍します。炒め物やスープに使うときは凍ったまま使うことができます。
あらかじめカットしておくと調理するときが楽です。ラップで小分けにし、ジッパー付きポリ袋に入れて保存します。
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