ピーマンを料理で使う際は洗うべきなのでしょうか?一見きれいに見えても、ピーマンの表面には農薬や雑菌などが付着しています。そのため、食べる前はしっかりと洗う必要があります。
ピーマンは土に埋まって育つじゃがいもなどの根菜とは異なり、土汚れがついていることも少なく綺麗に見えます。しかし、調理をするときは洗うべきです。
野菜や果物は綺麗に見えても水耕栽培でない限りは、土壌由来の細菌が必ずついているといっても過言ではありません。細菌の全てが下痢や嘔吐の中毒症状を起こすわけではありませんが、しっかりと洗い流してから食べるほうが安全といえます。
また、外気にふれることによって目に見えないチリ汚れなどもついています。衛生面的にも洗ってから食べるのが望ましいです。
野菜や果物を育てる際には、成長を促進したり病害虫の被害を防ぐために農薬が使われます。
日本で使われている農薬は、国に認められたもののみです。残留性が高く人体影響を及ぼすものや環境に影響を与えるほど毒性が強い農薬は、販売が禁止されています。また、登録された農薬であっても使用できる作物や時期、量などの使用基準が定められており、使用基準以外の方法で使用することを禁止しています。
そのため、神経質になる必要はありませんが余計なものは口に入れたくないですよね。
日本の農薬は水溶性であることが多いため、流水で30秒以上洗えばある程度落とすことができるといわれています。野菜を調理する前に洗うのには、土や外気に触れることによる目に見えない汚れを落とすだけではなく残留農薬を落とすという目的があるのです。
ピーマンの残留農薬については下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
ピーマンは残留農薬が多い?おすすめの落とし方を紹介
ピーマンを使うときは、種・わたを取り除いて調理をすることが多いです。これは、ピーマンの種・わたに苦味となる成分が含まれているためです。
種・わたをとって使う場合は、まず表面を洗ってから、種・わたを取って中を洗うの順番が一般的です。種やわたを取ってから洗うことで、中に残ってしまった種やわたも一緒に洗い流すことができます。
ちなみに、取り除いた種とわたは食べることができますので、捨てずに美味しくいただきましょう。
ピーマンは炒めものなど加熱調理をして食べることが多いです。加熱調理をするのであれば洗わなくても良いのではないかと思われがちですが、加熱する際も洗ったほうが良いです。
農薬は加熱をしても残ることがあります。また、細菌の中には加熱をすることで死滅する種類もありますが、例えば土や泥に含まれている可能性があるボツリヌス菌は熱に強い細菌です。加熱をすれば洗っていなくても安全に食べられるというわけではないので、しっかりと洗ってから調理をするほうが安心です。
出典:食品中の残留農薬―残留農薬は調理加工により減少するかー(J-stage)
無農薬や有機のピーマンであっても、洗ったほうが良いです。
「無農薬野菜を購入すれば良いのではないか」と考える方も多いと思いますが、現状では農薬を使っていないことを証明できる基準や規定は存在しません。また、過去に使った農薬が土壌に残っていることや近隣の畑から農薬が飛んできているということもあるため完全なる「無農薬野菜」を作るのは非常に難しいといわれています。そのため、「特別栽培農産物」と呼ばれる節減対象農薬の使用回数が50%以下・化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培されている野菜はあるものの、完全に農薬を使わずに販売されている野菜はありません。
家庭菜園で農薬を使わずに栽培している場合は、農薬の心配はありませんが、やはり土汚れや虫がついていることも多いですので洗ったほうが良いです。
有機野菜は、指定の化学肥料や農薬などの「無機質肥料」を使わず、魚粉や油粕などの植物性・動物性由来の「有機物肥料」を使って育てられた野菜のことをいいます。農林水産省が定めた「有機JAS規格」の条件を満たしたもののみが「有機野菜」として販売することができます。有機野菜においても、JASが認定している31種類の農薬については使用が認められており、「無農薬」というわけではありません。また、虫がついていることもありますので洗って食べるのが安心です。
出典:
ピーマンの洗い方を紹介します。
まず、ピーマンの表面を流水で洗い流します。ヘタの部分に汚れが入り込んでいることがあるので、注意しましょう。
特に汚れがついていないようであれば、流水で簡単に綺麗にできます。汚れがついているようであれば、傷がついてしまわないように優しく指でこすって汚れを落としましょう。
ピーマンは、へた・種・わたも全て食べることができます。丸ごと調理する場合は、表面を洗ってそのまま調理に使って大丈夫です。
ホタテ貝やホッキ貝を原料に作られたパウダーは、残留農薬を落とすのに有効的です。特におすすめなのがホッキ貝です。ホッキ貝は他の貝殻と比較しても除菌効果が高いことが研究で立証されています。
ホッキ貝を高温で焼きパウダー状にしたものを水に溶かすことで、アルカリ水を作ることが出来ます。上述したように農薬は酸性であるためアルカリ水につけることで農薬が中和されて落としやすくなります。
ホタテ貝やホッキ貝のパウダーを溶かした水にピーマンを5分~10分漬けておくと水溶液が次第に濁ってきたり油が浮いてきたりします。目にみえて残留農薬が落ちていることがわかるので流水で洗い流したりするよりも安心できます。
これを使って水にさらすのが一番おすすめです。
ピーマンの種・わたを取って調理に使う場合は、表面を洗った後に種・わたをとります。
ピーマンの種・わたの取り方は様々あります。その一つが、ピーマンを半分にカットしてから手で取る方法です。その他のピーマンの種・わたの取り方についてはこちらの記事で紹介しているので参考にしてください。
種・わたを取ったら、流水で中を洗い流して完了です。
ピーマンを洗うと泡立つことがあります。これは、サポニンが原因ではないかと言われています。
サポニンは、天然に存在する多様な植物性化合物の総称です。サポニンは、主に植物の茎や葉、根、果実などに存在し、植物が自身を害虫や病原体から保護するための防御物質として働くことが知られています。サポニンには泡立つ性質があり、界面活性剤として使われることがある成分です。
ピーマンに含まれるサポニンの量は一般的には比較的少ないですが、成分の含有量には個体差があるため、生育環境などにより含有量が増えたことで、泡立つ個体もあるのではないかと考えられます。
一部の研究では、ピーマンに含まれるサポニンが健康に対してさまざまな効果をもたらす可能性が示唆されており、人体に害がある成分ではないので食べても大丈夫です。
長時間流水で洗い続けたり、水につけすぎてしまうと水溶性の栄養素も汚れと一緒に流出してしまいます。汚れを落とすことはもちろん大切なのですが、時間をかけて流水で洗ってしまったり、水を入れたボウルに長時間つけてしまわないようにしましょう。
ピーマンに含まれている水溶性の栄養素には例えばビタミンCがあります。ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあります。コラーゲンは、細胞間の結合組織で、血管や皮膚、骨、筋肉などを丈夫にします。コラーゲンによって、肌にハリ・ツヤが生まれます。シミのもとであるメラニン色素の合成も抑えるなど美肌づくりに大切な栄養素です。その他にもカリウムなどの水溶性の栄養素も含まれています。
購入してから時間が経つと、水分が抜けて柔らかくなることがあります。水分が抜けて柔らかくなってしまったピーマンは、50度のお湯で洗うと汚れを落とせるだけではなくハリが戻りパリっとした食感がある程度戻ります。
これは「ヒートショック」とよばれるもので、ピーマン以外の野菜にも使える方法です。50度のお湯につけることで、閉じていた気孔が開き細胞が水分を吸いみずみずしさを取り戻します。
ただし、古くなり腐敗が始まっているピーマンはお湯で洗っても復活しませんし、食べることができませんので破棄しましょう。異臭や変色など腐敗のサインが見られず、水分が飛んでしなびているだけの場合はお湯で洗うと良いです。
ピーマンを洗わずに食べてしまった場合でも、一般的には大きな健康上の問題は起こりません。
ただし、上述したように細菌や農薬などの残留物が残っている可能性があります。食べてから腹痛などの症状がでなければ、これらの細菌や残留物は胃酸や消化過程で破壊されたので問題ないと考えて良いでしょう。
次回からは食品を十分に洗ってから食べることを心がけることが大切です。
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