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赤くなったピーマンは食べられる?原因は?パプリカとは別物?

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赤くなったピーマンは食べられる?原因は?パプリカとは別物?

ピーマンが赤く変色して驚いた経験がある方も多いのではないでしょうか。本記事ではピーマンが赤く変色する原因や食べられるのかどうかを詳しく解説します。

ピーマンが赤くなる原因は?食べられる?

育てているピーマンや保存していたピーマンが赤く変色する原因は下記の通りです。

完熟した

ピーマンが赤くなるのは完熟したサインです。

私達が普段食べているピーマンは花が咲いてから15日~20日程の未熟なもので、収穫のタイミングが遅れると、熟していき赤くなります。また、収穫後も温かい場所で保存していたりすると追熟され赤くなることがあります。これは、バナナなどの果物が保存している間に熟してくるのと同じ現象です。

実はピーマンはナス科トウガラシ属の植物です。唐辛子と同じように赤い色素「カプサンチン」が含まれていて、熟していくと緑色の色素「クロロフィル」が分解されて赤色の色素が増えます。そのため、ピーマンも唐辛子と同様に熟していくと赤くなります。

黄色・オレンジにもなる

一部がオレンジに変色したピーマン

ピーマンは熟すと急に赤色になるわけではありません。

はじめは黒い斑点ができはじめ、次第に黄色になったりオレンジ色になることもあります。品種にもよりますが、黄色やオレンジ色に変色した場合も熟してきているサインであると覚えておくと良いでしょう。

食べて問題ない

問題なのは赤くなったピーマンが食べられるのかどうかですよね。上述したようにピーマンが赤く変色するのは完熟したためです。腐敗しているわけではないので、食べて問題ありません。

赤くなったピーマンはスーパーなどでも「カラーピーマン」として販売されていることがあります。黄色いピーマンも同様に販売されています。色合いからパプリカと混合されがちですが、パプリカとは別物です。

赤くなったピーマンと一般的な緑色のピーマンには違いがあります。違いを理解すると調理にも使いやすいので、詳しく紹介します。

赤くなったピーマンの特徴

緑色のピーマンとは異なる赤くなったピーマンの特徴は下記の通りです。

苦味が軽減され甘みが増す

ピーマンと言えば、苦味があるのが特徴の野菜ですよね。ピーマンの苦味成分は「ピラジン」と「クエルシトリン」であることがわかっています。

苦味成分は植物が害虫などから身を守るために生成されるといわれています。熟していくと反対に苦味成分は減っていくため、赤くなったピーマンは緑色のピーマンと比較して苦味が軽減されています。

また、甘みも増すので苦味が苦手な小さなお子様でも食べやすいです。

青臭さが軽減する

野菜にはそれぞれ特有の香気成分をもっており、様々な成分が混ざりあって独特の臭いを感じさせます。緑色のピーマンには特有の青臭さがあります。

この青臭さの原因となっているのも「ピラジン」であることがわかっています。上述したようにピラジンは熟していくことで含有量が減ります。

そのため、緑色のピーマンと比較して青臭さを感じにくい状態になります。

栄養素の変化は?

ピーマンは赤くなると、栄養素にも変化があります。

赤くなったピーマンは、緑色のピーマンと比較してビタミンCは1.8倍、ビタミンEは5.6倍、カロテノイド15倍に増えることがわかっています。

ただし、上述したように苦味成分であるピラジンとクエルシトリンは減ってしまいます。ピラジンは血流促進作用があります。さらに血流が良くなることで夏の冷え性対策にも効果があります。また、エルシトリンはドクダミに多く含まれるポリフェノールの一種で脂肪蓄積を抑制する作用があります。更に高血圧抑制、抗うつ作用、血流改善などの効果があるといわれています。

また、食物繊維も減ってしまうことがわかっています。

含有量が増える栄養成分もあれば減ってしまうものもあるので、一概に赤くなったピーマンのほうが栄養面でメリットがあるとはいえません。

食感が柔らかくなる

緑色のピーマンはパリッとしていて、シャキシャキとした歯ごたえを楽しむことができます。一方赤くなったピーマンは食物繊維が減っているため、緑色のピーマンと比較して柔らかい食感になります。

緑色のピーマンのシャキシャキとした食感が好みな方は、物足りなさを感じるでしょう。

日持ちしないので注意

赤くなったピーマンは完熟した状態なので、そのままにしておくとすぐに腐敗してしまいます。そのため、保存していたピーマンが赤くなってしまった場合は、日持ちしません。

緑色の状態であれば冷蔵で3週間ほど保存できますが、赤くなっている場合は数日のうちに腐敗が始まります。果物なども熟すと腐敗するのが早いですよね。

ピーマンが赤くなってしまった場合は、腐敗のサインが見られないか確認し、すぐに食べきるようにしましょう。

赤くなったピーマンにおすすめの食べ方

赤くなったピーマンにおすすめの食べ方を紹介します。

サラダ

赤くなったピーマンは緑色のピーマンと比較して青臭さや苦味が軽減されているため、生でも食べやすいです。そのため、カットしてサラダにして食べるのがおすすめです。

生食であれば、栄養素を無駄にすることなく摂取することができるので栄養面的にも◎赤くなったピーマンをサラダに加えると彩りも良くなりますよ。

肉詰め

ピーマンといえば「ピーマンの肉詰め」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。緑色のピーマンで作るのが一般的ですが、完熟したピーマンでももちろん作ることができます。

赤くなったピーマンは柔らかくなっているので、お肉としっかり馴染みます。また色合いも鮮やかなのでお弁当のおかずにもおすすめです。

酢漬け

赤くなったピーマンは酢漬けにするのもおすすめです。酢漬けにすることで、さっぱりと食べることができます。栄養価も高いので夏の食欲がないときにも良いです。

副菜にしても良いですし、サンドウイッチの具として使うこともできます。

ピーマンを赤く変色させない保存方法

ピーマンは赤くなっても食べることができますが、ピーマンの苦味が好きな方やシャキシャキとした食感が好きな方など赤く変色するのを防ぎたい方もいるでしょう。ピーマンを赤く変色させない正しい保存方法を紹介します。

常温保存

ピーマンは常温保存することも可能です。保存期間の目安は1週間ですが、すぐに食べないならば冷蔵保存がおすすめです。また、夏場は必ず冷蔵保存するようにしましょう。

丸ごと(1週間)

ピーマンを丸ごとキッチンペーパーに包み、かごに入れて冷暗所で保存する

常温保存する場合は、直射日光が当たらず低い室温に保たれた冷暗所に新聞紙かキッチンペーパーで包んで、なるべく立てて保存しましょう。一つずつ丁寧に包みましょう。新聞紙やキッチンペーパーによって乾燥から守ります。

カットしたピーマンの常温保存は不可です。カットしたら、常温保存は避けこの後ご紹介する冷蔵方法で保存するようにしましょう。

冷蔵保存

ピーマンは保存する場合は野菜室での冷蔵保存がベストです。風味や食感をあまり損なうことなく、それなりの長さ保存することができます。冷蔵ピーマンの保存の期間の目安は約3週間です。

丸ごと(3週間)

ピーマンを丸ごとキッチンペーパーに包みポリ袋に入れて冷蔵庫で保存する

ピーマンはできれば丸ごと冷蔵保存がおすすめ。野菜が傷みにくいです。キッチンペーパーに一つづつ包み、ポリ袋に入れます。ピーマンは夏野菜なのでキッチンペーパーを包むことで冷えすぎるのを防ぎます。ポリ袋はやや口を開けておくか、フォークで穴を空けるなどし密閉をさけ通気性を高めるようにするのがポイントです。湿気やガスが貯まるのを防ぎます。

購入時の袋でそのまま保存するのはおすすめしません。取り出してキッチンペーパーで一つずつ水けを拭き取るようにしましょう。

カット(2〜3日)

カットしたピーマンの切り口にラップを密着させ包み冷蔵用保存袋に入れて保存する

カットしたピーマンを冷蔵保存することも可能です。ラップで一つづつきっちり包むのがポイントです。酸化を防ぎます。その後、冷蔵用のジッパー付きポリ袋に入れて保存します。切ってしまったものは傷みが早いので、密閉します。2〜3日で使い切るようにしましょう。

また、種とわた、へたは傷みが早いので、切ってから保存する場合はなるべく取り除くようにしましょう。

冷凍保存

ピーマンを長期保存させたい方は冷凍がおすすめです。冷凍ピーマンの保存期間の目安は約1ヶ月です。

丸ごと(1ヶ月)

ピーマンを丸ごとラップで包み冷凍用保存袋に入れて冷凍する

ピーマンは丸ごと冷凍保存することもできます。水けをしっかり取り除き、一つずつラップに包み、冷凍用のジッパー付きポリ袋に入れて保存しましょう。
冷凍したピーマンを和え物に使うときは、前日に冷蔵庫に移して自然解凍します。炒め物やスープに使うときは凍ったまま使うことができます。

カット(1ヶ月)

ピーマンを食べやすい大きさにカットしラップに包んで冷凍用保存袋に入れる

あらかじめカットしておくと調理するときが楽です。ラップで小分けにし、ジッパー付きポリ袋に入れて保存します。

調理して(1ヶ月)

ピーマンをカットして加熱調理をしてから保存することもできる

ピーマンに限らず野菜は冷凍すると、変色したり風味が落ちたりします。加熱調理をしてから冷凍することでそれを防ぐことができます。
2個のピーマンを1cm幅に細切りし、オリーブオイル小さじ1、塩小さじ1/4で炒め、冷ましたものを保存しています。
その他にも天日干しやオーブンで加熱して水分を飛ばして乾燥保存したり、醤油や味噌に漬けて漬け保存することも可能です。ピーマンの保存方法についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。

腐敗したピーマンの特徴

ピーマンは赤く変色しても食べることができますが、下記のような特徴がある場合は腐敗しているので破棄しましょう。

見た目

腐ったピーマンの見た目の特徴は下記の通りです。

表面に白いホコリのようなものがついているときは白カビ、黒い斑点や斑点が一箇所にまとまって黒く変色しているように見える箇所がある場合は黒カビが生えている可能性があります。じゃがいもなどの密度が高い野菜は表面のみであればカビが生えていても食べることができるとされていますが、カビはカビ毒を発生させて下痢や嘔吐などの中毒症状を起こす可能性があります。ピーマンにカビが生えている場合は破棄しましょう。

新鮮なピーマンの表面はハリがあり、パリっとしています。少し水分が抜けてしまった程度であれば問題ありませんが、完全に水分が抜けてしわしわになっている場合も食べられない状態です。溶け出している部分がある場合も腐敗しているので破棄してください。

また、ピーマンの変色は必ずしも腐敗が原因というわけではありませんが、全体的に茶色っぽくなっていたり黒っぽく変色している場合は腐敗しています。

臭い・味

腐ったピーマンの臭いや味の特徴は下記の通りです。

  • 酸っぱい匂い・味

  • 生ゴミ臭

  • カビ臭い

野菜には特有の青臭さがありますが、ピーマンはそこまで臭いがきつい野菜ではありません。酸っぱい臭いや味がする場合や、生ゴミのような臭いがする場合は腐敗している可能性が高いです。

ピーマンに限らず食材は腐敗すると、多くのバクテリアが活動し酢酸発酵することが多いので酸っぱい臭いがしたり酸っぱい味がします。この現象は味噌や醤油といった発酵食品にも起きていますが、発酵とは異なり次第に味や臭い、形が崩れるなど食材が変化していく現象はあるときに「腐敗」とよばれます。あきらかにいつもとは異なる酸っぱい味や生ゴミのような異臭がする場合は食べずに破棄するようにしましょう。

また、カビが生えていないように見えてもカビ臭さを感じる場合は見えない部分にカビの胞子が入り込んでいる可能性があります。カビには様々な種類があり、墨汁のような臭いを感じさせる「2-メチルイソボルネオール」や土臭さや泥臭さを感じさせる「ジェオスミン」といった代表的な悪臭を放つ種類がいます。また、カビ自体は臭いを感じさせる成分を出さない種類もいますが、カビ自体が臭いを出さなくてもカビの餌になる物質がカビの作用によって変化することで発生する臭いなどで、人に「カビ臭い」と感じさせます。心配な方は破棄するのが無難です。

触感

腐ったピーマンの触感の特徴は下記の通りです。

  • ぶにょぶにょしていて柔らかい

  • 全体的にぬめりがある

  • 糸をひいている

新鮮なピーマン上述したように張りがありますが、腐敗が進んでいるとぶにょぶにょとした触感になります。また、全体的にぬめりが出ていたり糸をひく場合も腐敗が進んでしまっている状態なので、残念ですが破棄しましょう。